詩集『適切な世界の適切ならざる私』読了。

ヨシダヒロコです。

放送大学の試験前ですが一旦浮上します。他にも書きかけエントリあります。

下にも書きましたが、現代詩を主に英語で読んでいるのは最近のことで、それまでは昭和初期の日本の詩人を読んでいました。賢治、中也、犀星など。

この本は文月悠光さんの第1詩集で、14~17歳までの詩を収録しています。最年少で中原中也賞(詩の世界の芥川賞)を取った作品はどんなのかなと思って、まずは処女詩集から買いました。ちなみにe-honではお取り寄せだったような。処女エッセイ『洗礼ダイアリー』でこの方の存在を詩って知って先に読んでますが(感想リンク)、この出版の頃はe-honで詩集が軒並みお取り寄せだったと思います。

感想その1。自分の前職は塾や家庭教師で1対1で教える仕事で、学生バイトから始まって30歳近くまでやってました。大学4年生、院生の時や病気が重かったときは教えてなかったですが。女の子で理系科目を教えて欲しいという依頼が多かったため、生徒さんはほとんど女の子で50人近く見ましたでしょうか。いろんな子がいたけど、大体の子は懐いてくれていろんな話をしました。

授業だけだとつまんないので息抜きに脱線もしました。多分教え子はその話を後になっても覚えているだろうと思って。恋バナも聞いたけど(甲子園やサッカー絡みとか)、大体の子は塾が合わない位なので内気でした。自分もそうであったように中高生はとても難しい。文月さんの詩も「不安の連続で安定している」という評が中にはさんである紙(複数人の評)に付いているんですが、この年代でないとリアルタイムでは書けなかったかもしれない身体と心の揺らぎ(身体がどんどん「女」になっていくことの恐れだったり)がこれでもかと書かれていて、かつての教え子たちを思い出しました。入試前には特に、風邪や不安などですが体調管理の相談にも乗っていたので。

感想その2。このようなありあまる感受性(ありきたりな言葉ですいません)を持ってしまった少女は、普通に学校生活をやっていくのが困難だったのではないか、と。文月さんは大人になっても器用とはいいがたいようなので、もちろんそれが悪いわけではないけど、学校のような集団生活だと結構しんどいですよね。勝手な思い入れかもしれませんがそれも感じました。地方出身で周りに詩を書いてる人なんていなかっただろうし、ご本人もエッセイで詩を書いていることを隠していた、と書いていたし。

生きる意味は

どこに落ちているんだろう。

きれいに死ねる自信を

誰が持っているんだろう。

自分は風に乗って流れていく木の葉か、

でなければ、あんたが今

くつの裏でかわいがった吸い殻ではないのか。

存在なんてものにこだわっていたら、

落ちてゆくよ。

『どこへ?』

橋の下さ。

――『天井観測』

詩に関して言うと、こういう10代にしては空恐ろしいような冴えたことを言うのに、健康診断とかランドセルとか子供らしいものが出てくるアンバランスさが面白いです。また、最近広告媒体に書きました!とTwitterで見せてもらっているのと比べると、すごく詩の内容や形式が冒険していて好きです。まあ、広告にはあまり大胆なの書けませんよね……。

普通の詩のように改行しているかと思えば突如散文調が数行続いたり、不思議な改行があったり。「/」が入っているのは好きな詩人の影響か何かでしょうか(ディッキンソンとか?)。その他、語彙が驚くほどです。「されば、わたしは学校帰りに月までとばなくてはならない」というようなイマジネーションも好きです。産まれる前から、産まれたら「可愛いね」と言われるような詐欺師だったのだ私はという『産声を産む』や、祖父を亡くしたときのことを書いた『骨の雪』も。

ちなみに、割と最近のミヨシ石鹸のCMはこんな感じです。

 

2018年新春企画、オフィシャルHPにある「おめでとう」

http://fuzukiyumi.com/yomimono/282/

わたしは、MOOCの1つCourseraにあるModPoというペンシルベニア大の現代詩の授業を取っていますが(受講してみての中間感想)、ときどきものすごいパワーのある詩があります。そして、大胆な詩も沢山あります。先生も解説してて興奮しちゃったり。外国の映画とか見てると、詩は教養の1つであり、テーブルに皆が揃ったときやいろんな場所で暗唱されるのに、日本だと文月さんの言うように「ポエマー」みたいな扱いは残念です。

最後に、買う本がたまっていてすぐに買えませんが第2エッセイ出るそうです。著者自らのプロモーションに微力ながら協力します。Amazonなどで予約中ですが、最初に予約などかかった数が勝負だというからくりは初めて知りました。装丁が相変わらずいいなあと。noteに出たときに読んだのも多く、楽しく読みました。詩集を含め順番に読んでまた感想書きます。出版記念トークなど企画あり、上のTwitterアカウントから見られますのでよろしかったら。わたしはしばらく北陸から動けないので残念です。

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左巻先生ご夫妻の検定外教科書『大人のやりなおし中学生物 木と草の違いはどこにあるの?ごはんをかむとなぜ甘くなる?』読了。

ヨシダヒロコです。

翻訳祭で話した本のうちでラストから2冊目。実はこれが易しそうに見えてなかなかどうしていい意味で期待を裏切りました。初学者の場合レイアウトも大事だと思っています。この本は手書きイラスト、色つきの部分、文字の配分が良く、好感が持てました。

わざわざ「左巻先生の」と断ったのは、理科教育やニセ科学批判問題で有名な方だからです。ニセ科学とは科学に見えてそうでないものを指し、例を挙げれば「水にきれいな言葉をかけたらきれいな結晶を作る」みたいなものです。ご夫妻で教育現場に長年おられて、著書も沢山ありますがこれが初めて読む本になりました。下に挙げる「高校生物」の化学版(左巻先生著)はレファレンスとして秋に買いました。

中学生物だけでなく、高校生物の検定外教科書もあります。著者からいって間違いないのでそのうち揃えておきたいのですが。

共著者は北大理学部の教授をされていた栃内先生。ブログつながりが長く、今はよくTwitterを拝見している先生です。『進化から見た病気――「ダーウィン医学」のすすめ』(ブログ掲載時に題名間違ってました、すいません!)は2009年出版時に読んでブログにレビュー(リンク)があります。

 

「中学理科」は題名にあるとおり、大人が生物をやりなおす場面になったときのための検定外教科書です。1章30分で読めるように書いたとあり、確かに読みやすいです。Amazonにページの画像があります。検定外のため、文科省の指導要綱には従ってない部分があり、元塾講師・家庭教師として思うにはDNAのあたりがかなり突っ込んであるのがそうでしょうか。最近は知りませんが、中学校ではほとんどやらないのではないでしょうか。

読者対象はこんな人々。P3より、

1.仕事や学業で生物の基礎を短時間で学び直したい大人。

2.中学生物を短時間で復習したい中学生、高校生。

3.中学生物の全体を知るために予習したい中学生。

このうち、1.の人がメインだそうです。受験準備にもいいと思います。

さらに目次をあげておきます。

第1章 植物の体のつくりと働き・暮らし

第2章 植物の仲間とその歴史

第3章 動物の暮らしと体のつくり

第4章 動物の仲間とその歴史

第5章 生物の細胞と発生

第6章 生物の遺伝

第7章 生物どうしのつながり

第8章 生物の進化

第9章 生物の歴史

第10章 人類の成り立ち

4択ミニテストが随所にはさんであり、簡単そうに見えて意外に間違えてしまうのですが、理解度を確認できます。とはいっても基本的に読み物なので、見開きなどでコラムがあって「へええ」「ほー」という内容で読みでがあります。これだけ内容があって、もし読者が理解できたら簡単にニセ科学にもだまされないのでは?と思うくらい。

わたしは前半を読んでいて、「ああこんな話子供の頃に大好きだったなあ」と思い、分子生物学のところは一応確認のために読み、「遺伝子組み替え」のコラムを頷きつつ読み(知らないことがあった)、最後の方で、太古の昔にあった植物や恐竜の絵や描写があるので、今そういう生き物が生きていたらどんなだったかなと想像したりしました。

字はまあありますが、新書サイズで小さいのでどこにでも持っていって読めます。生物はとても範囲が広いと放送大学の院で授業を取ったときに教わりました。この本は「中学」と付いてはいても、今の時代を生きていくのに最低限必要な知識を楽しく読書してつけられる本だと思います。

「理系のハナシは難しいと思っていませんか?実は中学レベルの約束事を知っていれば、内容の多くを理解できます」(裏表紙より)。

Eテレ『ハートネット』でパラリンピックを知ろう!

ヨシダヒロコです。

heartnet

1個前の新年の挨拶で書いた「言いたいこと」というのは例えばこんなことてす。前回のパラリンピックはかろうじて開会式といくつかの競技を見たくらい、あとハートネットで広瀬アリスをレポーターにしていろいろ取材されたものを見たくらいです。開会式で、開催の母体となる団体がそもそも違うことを知りました。

わたしの障害はパラの対象になっていませんが、この間この10月に放があった再放送を見て(明日2018/01/04の午後1時台に再放送です)、もう開催まで1000日を切って、会場が大阪だと知りました。ルー大柴さんが司会で、まだ「藪からスティック」言ってました。

http://www.nhk.or.jp/heart-net/index.html

題名はこれ。放送カレンダーをリスト表示にすると再放送が見えます。基本的に昼が再放送で、1番組を2回放送します。

「シリーズ 1000日前 東京大会へ! 第1回 パラリンピックが日本を変える!?」

「シリーズ 1000日前 東京大会へ! 第2回 より速く!より強く! —2つの新競技の魅力に迫る—」

「シリーズ 1000日前 東京大会へ! 第3回 走る ―パラ陸上・知的障害 川上春菜 ―」

(最近家族から聞いたような気がするけど、川上さんは能登出身です)

地道に障害者、マイノリティ、介護、いろいろ困ったことになっている人を取り上げている番組で、2年半前くらいにナチスのT-4実験を取材して最初に放送したのはここです。あとでNスペになりましたが。他にもっと知名度の高いバラエティ『バリバラ』、これも地道な15分番組『ろうを生きる 難聴を生きる』があり、後者から『静かでうるさい居酒屋』がハートネットにスピンオフした覚えがあります。

冬のパラリンピックもあり、これから4回特集します。見られなかったりしてもしばらくすると番組書き起こしがでます。再放送は割とよくあるけど、オンデマンドには入らないから。それに、最近テレビは見ない人増えてるし。とはいえ福祉についてはこの局は頑張ってます(他局もやってくれれば嬉しいです)。

パラリンピックの翻訳通訳やりたい!と思っている人もいるでしょう。前回オリンピック(パラは情報少なくて……)でプロの通訳さんがやるはずだったヒーローインタビューがボランティアに回ってきて、出来なかったことをぽろっとブログで書いてしまい、本職の人に呆れられていたことがありました。他にも有名選手を知らなかったとか。わたしは翻訳ですが、通訳さんの本は好きで読みます。アスリートにとっては一生に一度のインタビューかもしれません。どっちをやりたい人も今から知識はつけておきましょう。

その他、日本のバリアフリーはダメダメな印象があるし、世界各国からくる身体障害者が多い選手の皆さんがいやな思いをしないか、今からわたしは気になっています。わたしのような精神障害でも疲れやすかったりすることがあり、たとえ五体満足でもいつも身体が動く訳ではありません。エレベーターの位置が分かりにくい駅があると気になります。『バリバラ』で見ましたが、東京でも「この駅で下りられても困る、隣で降りてくれ」みたいなことがあるそうで。

選手の環境もいいとはいえず、車いすラグビーやバスケで「床が傷む」として体育館が使えないことも珍しくないらしいです。

今回、障害者レポーターが2名採用されました(期限付きにしてほしくなかったけど)。見た感じ和み系の女子ふたりですが、障害には誰もがいろんなヒストリーを持っており、それは皆違うんです。彼女たちも大変なこと沢山あったんじゃないかな。レポーターとしての成長も見守っていきたいです。

2018年、あけまして。

ヨシダヒロコです。

昨年末は年賀状で、Photoshopを初めて使い無謀にもコラージュを作りました。プリンタはCanonではありませんが(デジイチはCanon)、これはCanonのサイトから結構選んだ画像です。柴でしょうね。

 

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新しい年を迎えたとて、机組み立て中の部屋はなかなか片付くことはなく、気持ちや身体が休みになったかというとあんまりそんなこともないんですが。身内が猫連れて来たので、きれいな毛皮をなでて心の慰めにはなりました。この子はフェレットやわたしに興味を持って探検しに来るのですが、中年にさしかかったので以前ほどの勢いはないです。ただ、跳ねる姿はバネでも中に入っているかのよう。

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フェレットも猫ミルクのおかげで体重が少し増え、3が日が明けたら今年第1回めの点滴に行ってきます。

今年も自分の思うこと、お薦めなもの勝手に書いていきますが、よろしくおつきあいください。

 

2017年を振り返り(プライベート)。

ヨシダヒロコです。

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富山県美術館に行く途中の環水公園。

去年は特に体調面で激動の年だったのですが、今年は快方に向かう一方で、人間関係の悩みが大きかった年でした。

わたしは一生もののメンタルな病(障害年金受給者=2級以上で、わたしは2級)を持っており、過去受けた性被害やDVのフラッシュバックやパニックといった、PTSDまではいかない後遺症を抱えています。前者は薬で何とかなってますが後者はいつ快方に向かうのか全然分からず、相互に関係しています。後者は今年進展はあってよかったのですが。この発言だけ読む人もいそうなので一応書いておきます。

問題は、わたしが外出先や人に接しているときに病気っぽくなく見えるらしいのです。実際より。それで「そこまで今は悪くないのでは?」と思われることが役所など複数の場面であるのに、秋までは予定を入れてもその日起きてみないと分からないとか、頭痛が起きると行けるか分からないことがありました。田舎では必須の運転を控えている上にこの状態では、外に働きにも行けませんでした。

秋以降、今年は秋を通り抜けて晩秋になってしまいましたが、身体も軽くなって前から努力はしていたダイエットが進みました。薬自体に太りやすい副作用があったり天候不順で散歩できなかったり。うちでヨガ、たまに筋トレをする習慣がついたことも、メンタルと頭痛の両方に良かったのではと思います。

人間関係について一般的に書くと、わたしは先に書いたDV被害で逃げてきて、実際に会える近くの知り合いを一新しなければなりませんでした。今の知り合いは遠くの人も近くの人も、翻訳者の人もそうでない人もSNSで出会ったか再会した人が多いです。リアルの知り合いも含め、今年は訪問看護師さんに相談してそうしたケースも含め人との別れが多く、年明けに悪縁を切るお守りなんて買いましたがほんとにそんなのばかりでした。近所の友人は「そういう年だったんだね」と言いましたが、その後で翻訳祭で大挽回したとはいえ、SNSって一体何だろうと。

わたしは昔、通翻ジャーナルが月刊だった頃、そして院を中退して中途で就職したらすごいブラックで(この言葉はまだなかった)、将来に迷っていたころに翻訳フォーラムの特集記事を読みました。それでPC買って。当時Windows95、富士通はえらく羽振りが良い様子で、ミニタワーが26万くらいでした。

フォーラムでは自己紹介の部屋、文学系、医学系、IT(その頃はITとは呼んでなかったと思いますが)、3行で言いたいことをまとめる部屋、フリートークなどあったと思いますが、わたしは音楽部屋の住人で、夜はチャットばかり。画面は黒字に白文字のMS-DOS風でした。発言の字はぎっしりな方が多く、なのでいまでもアメブロあたりの無駄な改行や空行には全然慣れません。

IDが発言に表示されるので完璧に名無し書き捨てでいることは難しく、揉め事もありましたがシスオペという管理人さんがいざとなったら収めてくれていました。わたしはオフにもよく出てました。このサービスのあったNifty-Serveがなくなって、インターネット上フォーラム→現在の形式になっているはずです。

インターネットも割とはじめの方は誰かの個人ホームページや掲示板に行って交流していました。後になって出てきたのがSNSやSkype、LINEなどのツールです。わたしはLINEは一時使って今は入れておらず、SNSはMySpace、mixi 、LinkedIn、Twitter、 Facebook、Instagramなどを使っていて、最初の3個は止めるかなくなるかしました。後3個は2009~2012くらいに始めて、写真を撮って出すだけのInstagramが今は一番楽です(文章は入れますが)。ブログは知る限り15年くらい前にはもう英語圏にありました。

院生の時の主治医に言われたことがありますが、「人には直接会った方がいい、次が電話その次がメール」(当時メールは普及してなかった気がしますけど……何だったっけ?手紙かな?)だそうです。ネットでは、相手の顔を直接見ていたらこんなことになっただろうかということが起こります。画面の向こうの相手がショックを受けたり嘆き悲しんでいるところが見えないから自分の都合や感情でものを言ってしまいがちなのと、メールのやりとりでも何でも短い間に話が進んで、カーッとなっているうちに取り返しのつかないことになる場合があるからです。

まあ、史実か知りませんが「話せばわかる」と言った板垣も殺されてしまいましたから、そんな簡単なものではないでしょうけど。

わたし自身は、指摘されて自覚しているのですがものをはっきり言うようです。時々振り返ってはいます。特に言葉を扱う翻訳者さんが、言葉の難しさをよく知っているはずなのにそれはないよね?という場面があり1ヶ月いたずらに雑炊のレパートリーが増えたりしました。年の終わりに来て、そんなこんなをまだ振り切っていません。

昨日のエントリで「影響力のある人は」と書いたけど自分でも書く努力をしてみようと思って少し書いてみました。今年は翻訳フォーラムで過去交流のあった方々と久しぶりに会話する機会がありました。前に古い友達と疎遠になったときも、再会してあの空白は何だったの?みたいにしゃべるしゃべるということが複数回ありました。でもそれはリアルの繋がりがあって初めて可能になることなのかもしれず、ついたり離れたりが激しいSNSだけでの付き合いでは、それなりに自衛しながら使うことが大事だろうと思うのです。

年の終わりになって、大事なフェレットの大病が分かりました。喪中ハガキの故人の年齢に驚き、故人に面識はありませんでしたが知り合いが心配で都合つき次第お花を送ったり、生死について考えることも多かった年でした。

なるたけ安寧に暮らしてゆくにはどうしたらいいのか、賢治の『雨ニモマケズ』の「サムサノナツ」のところにあるように、これからもまたオロオロ歩くのだと思います(ヒドリノトキハナミダヲナガシ/サムサノナツハオロオロアルキ、青空文庫より)。

2017年を振り返り(仕事・勉強編)。

ヨシダヒロコです。

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作ったスワッグにイタリア語の教科書を敷きました(何となく……)。

 

今年の仕事はとにかく低調だったけど、勉強したことが生きるような収獲もありました。仕事がなかったらラッキー休み!にはならず、何が自分には足りないか分析したり強みになるものも作らないといけません。

2013年くらいから物理というか宇宙物理方面が面白いなと思い、2016年(だったよね?)に放送大学に入ってから半年ほどして物理を専攻したいと思ったんです。電車に乗っていてぱーーっと書きたいことが出てきて乗り過ごしてしまいました。富山や石川で乗り過ごすとエラいことになるんですが。

体調が悪すぎた年がここ2年ほど続きましたが、今年は比較的体が動いたし積ん読も多少は崩せました。今年後期で大学では物理を3教科履修し、2科目で試験を受けられることが昨日分かりました。とても難しいのですが、受かってくれることを祈ります。

物理を勉強すると、ものが動くとは何かとか、電気とはこんな風になっているなどの基礎的なことから入るので、医療機器の原理のトライアルってわりと多いんですけど、合否にかかわらず助かりました。もともとそういう目的で履修したのではないのですが。トライアルは沢山受けました。あと、登録年数から考えて絶対仕事を回してくれなさそうなところ、例えばMT絡みなどで考えの合わないところとは関係を切りました。

翻訳についての本も読み、日英に少しだけ自信が付きましたし、自分はどういう方向に行くべきか考えました。

MOOCのCourseraで米国を中心とした現代詩の勉強もしています。日本のgaccoでは、東北大2講座(memento moriとオーロラ)修了に続き、東北大(東日本大震災の教訓を活かした実践的防災学へのアプローチ)と北大(CoStep)1講座ずつ申しこみました。

他言語の勉強では、かなり頑張って受けたイタリア語検定準2級に2回連続であと3点で落ち、少し息切れしたようです。1月は放送大単位認定試験で潰れますし。先生が今年最後の授業で言われたことをよく理解してないので詳しくは来年に持ち越しですが、レベルを少し落とした”Qui Italia”(写真中にある)で文法をおさらいすることになりそうです。試験は秋まで延期かな。試験にしても、将来的に翻訳するにしても文法からは逃げられないし、わたしは結構穴が沢山あるので。

そういえば、初めてイタリア語で絵本(注:翻訳)のコンテストに出しました。

スペイン語は、DELEをお休みしました。近所にはなく遠征しなくてはいけないのできついですし。今年はB1でボロボロな落ち方を2回しているので1つ落としてA2で受ける予定です。今年から先生が変わって文法をよく教えてもらっています。バレンシアの方です。イタリア語もスペイン語も、過去形1つ取っても複数ありますから面倒です。レッスン増やしたいなと思うんですがさあどうなるか。加藤伸吾先生の『スペイン語力養成ドリル2000題』も再びちょくちょくやるつもり。そんなこと言ってる間に先生の新刊でましたけど。

英語の学校には全然行けなくて残念でした。

課外活動的なものでは、仕事に直接関係あるもので大きかったのが翻訳祭。その前にエージェント訪問したりイタリア語の通学レッスンを受けられたことも含め。ブースでいつものコーディネーターさんの素顔も見られ、その後仕事が楽になったと思います。直前に山グッズの仕事を無茶振りしたとちょっと申し訳なさそうでしたが、いやわたしに当たってよかったです(山は経験ないに等しいけど好きなので)。自分が10分とはいえ登壇者になったことも今後に生かしたいです。あとは春にテリーさんの翻訳チェックのJTFセミナーに行きました。

サイエンスカフェとやまには結構行って、「原子っちゃなんけ」、「変光星」、「iPS」(金沢の聞イテミル・考エテミル!?とCiRA共催)、「重力波」(飛騨)、「育種」などでした。

講演会では山中先生らのもの(高岡)と、「夢のたまご塾」というティーン向け合宿講座(飛騨)の後ろに座って梶田先生の講演も聞きました。高岡のものは内容の紹介に関していろいろ制限がかかっており、面倒な思いもしたため、全く書いてません。惜しかったのは双極性障害を研究している理研の加藤忠史先生が金沢に来られたのを見落としたことでした。

博物館などでは、大阪市立科学館のイベントで朝のアルマ望遠鏡をライブ中継で見て、春の東京では英国自然史博物館展、放送大学のサークル見学でみんなで国立天文台に行きました。春、東京ではバベルの塔とか色々やってましたが何であんなに混んでるんでしょうねえ。断念しました。

来年の抱負などは体調次第なので一昨年くらいから書いてないのです。仕事関係の人間関係でいいことも辛いこともありました。影響力のある人は、仕事にSNSを活用することを紹介するときに、これは役に立つけど向こうにいるのは人間なのでしんどいこともある、と初心者には一言添えた方が親切なのでは、と思ったりもします。

ともあれ、1月のお出かけ予定は何から始まるかまだはっきりとはしてないですが、去年くらいから興味が増している詩歌にまつわる本や写真集なども今後ここで紹介できたらと思います。あ、これは趣味に近いのかな。でも書いといたらカメラとかの仕事来ないかな。

今年はあと1本、プライベート面での出来事を振り返って終わります。

フェレットミントとの最後になるかもしれないクリスマス(りりもいるよ)。

ヨシダヒロコです。

北陸の寒い夜。フェレットたちはおニューの足温器が気に入り、膝掛け毛布もあるので2匹とも入り込んでぬくぬく寝ています。人工的でない暖かさがわたしのつま先にも伝わってきます。これだけなら微笑ましい光景ですが、実はこれがいつまで続くか分かりません。

16日のことなので2週間ほど前になりますが、この茶色の子、ミントは「多臓器不全になりかかっている」という診断を受けました。スキャンした画像を出すのはなんなので、pdfにしますから飼い主さんなどは参考にして欲しいです(pdfです。Mint_labtest_0001)。2012年真夏に拾われたフェレットでおよそ6才、腸閉塞で4才の時に危うく死にかけましたが一命を取り留め、6才時の触診(8月)でも問題はありませんでした。

ただ、本当のところは血液検査と、副腎疾患(フェレットに多い)などの場合はエコーもかけないと分かりません。高齢なので検診の予定はしていましたが今年は本当に入金が少なく、やっと検査できたと思ったら12月になっていました。その間、たしか11月くらいから痩せ細っていったので心配でした。

うちの獣医さんでは複数獣医さんがいますが、院長・副院長先生だけがフェレットを診ることができ、結果を聞くときおふたり揃っている時点で「悪い知らせだな」と思いました。

体重はベスト時から200g以上減って、1000gを切っていました。小動物では大事です。病状は

  1. 腎不全。嚢胞が複数あり、多嚢胞性というらしいですが、こういう場合腎不全になりやすいと。専門書を見せながら教えてくれました。腎臓が働いていないのでおしっこを作れず、多尿になると。よく水を飲ませてあげてくださいと。数値も振り切れてる感じです。腎機能が悪いのでひどい貧血です。
  2. 肝臓。エコーだと”Mass.”と書いてありましたが周りの組織と違うかたまりがあり、これは良性か悪性か分からないが腫瘍だろうと。多嚢胞でもあるそうです。
  3. 血糖値が低いので(検査前絶食させるのを忘れたにもかかわらず)インスリノーマ(膵がん)かもしれないそうです。

そんな訳で、またひどい値の検査値を見て、どこから何をすればいいか分からなくなりました。その場では大きく取り乱してはいなかったと思います。腎不全を少しでもよくするために、電解質の皮下点滴(20mlくらい?点滴というかほぼ注射です)をその場でしてもらい、なるたけ通うことになりました。1回が2000円と消費税なので、今は何かお金を使う場面が来るたびに、いろんなものが2000円の点滴に換算されています。

その日夜になって(わたしはわりと重い精神の病を薬でなんとかなだめているので)色々思うことがあり精神科専門の救急にかけて話を聞いてもらったのですが、ペットは口をきかないし苦しみを言葉にできないし、飼い主がしてやれることは限られています。もっと早く検査すべきだったとの後悔は、診察室で口にしていました。結局は苦しんで死ぬのだから、何をしても後悔しますし、何匹飼っても慣れません。看護師さんと色々話して、本当は自分はすごく動揺していたのを抑圧していたことをやっと知りました。

今でもこの子がいなくなるという実感が湧きません。2回目の点滴では「治ることはないけど、QOLをよくすることはできる」みたいに言われました。

クリスマスにはこれが最後かもしれないから、いつもあげているレンチン鶏むねではなくてわたしのを分けてあげようと親に買ってきてもらいました。2匹ともに異様に受けてしまって、あとで温かい肉にケモノとして反応したのではと知るのですが、そんなに喜ぶならともう1回買ってきてもらいました。1回目は肉をお宝と思ったのか隠して、あとでミントがほとんど食べ、後で隠したところに行ってまだ「ないの?ないの?」みたいになっていました。今では鶏むねはぬるいくらいにチンしてあげています。もともと奪い合って食べているのですがさらに激しくなったような。

My Mint is an old #ferret , 6 yo, now very ill and thin. For his Christmas gift, I shared my chicken with him and his sister Lily, maybe both was not hungry or regarded as treasury food, carried away and hid it. うちの#フェレット ミントは6才で高齢、今や重い病で痩せてしまってます。クリスマスに、妹のりり共々チキンをあげました。あまりお腹空いてなかったのか、大事な宝物と思ったのか、運んで隠してしまいました。 #lovelyferret #ferretlove #sableferret #albinoferret #christmas #furetti #furon #oldferret #pet #smallanimal #animal #vet #フェレット可愛い #セーブルフェレット #アルビノフェレット #クリスマス #高齢フェレット #ペット #小動物 #動物 #獣医 #ferretvideo #フェレット動画 #lifewithferrets #フェレットとの生活 #ig_ferret #ig_japan #fuzzy

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ミントは食欲はまだあるし、固形食も食べます。でも弱ってはいるし、こういう小動物は悪くなると本当に早いので、診断後しばらくしてから療法食というか流動食をあげてます。元気いっぱいのりりも横から食べますがまあいいです。獣医さんと相談の上、猫ミルク(パックで猫用に加工してあり、その他特別な食べ物より安い)にふやかしごはんをまぜたものか、免疫サポートにすることにしました。こういうのも人肌にするといいらしいです。ちなみにアイソカルは人間用なので、そしてヤギ(ゴート)ミルクは草食動物用なので、獣医さんは「うーん……」ということでした。

他に、前から甘えてくるような気がしていたのですが、獣医さん曰く人恋しかったのではないかと。今も、りりもそうですけどわたしがケージの横を通ったとか朝起きてきたときなどに素早く反応します。先月上京していたときも母にさんざん甘えたらしいです。

今夜は何かミントの足元がおぼつかないし、前からたまに苦しそうな息をするのを先生に見せるために昨夜動画を撮りました。さっき危なっかしいのでケージに帰したけど、足元ふらついてるのも撮った方が良いかも。できれば午前中なるたけ早く病院に行った方が良いかも(病院は30日午前まで)。

フェレットはわんこのところで待つのですが、毎回犬の飼い主さんに捕まってこの動物はなに?と1回の通院で最高3人くらいに質問攻めに遭うのです。犬も吠えますし(吠えられるのはわたしはあまり気にしません。こっちに興味持ってるだけかもしれないので)。この状況で質問はさすがにやめて欲しく、車の中で待つことにしました。ブザーを貸してもらえます。犬なんかも吠えてしまうので車の中で待っている人がいるそうです。

体重も1日2回測ってて、ここのところ良い感じではあるのですが。キッチンはかり(2017/12/29 13:30追記:平らで小さなはかりで、フェレット専用です)の上に靴箱を置いて0gにし、バイトで釣られたフェレットが一生懸命なめていると、揺れていた数値が安定してきます。前回の3回目の点滴で、流動食のおかげか治療のおかげか、体重が1000gを超えました。抱いた感じが少し太った気がします。でもまだ油断できません。

わたしは多少事態が実感できているけど、何も知らないりりは本当に可哀想。お兄ちゃんが大好きなのになあ。金沢市神明宮のペットお守りがうちにありますが、少しでも御利益があることを祈ります。

サイエンスZEROのノーベル賞特集(2017/12/10, 17)。

ヨシダヒロコです。

ノーベル賞だけが偉いと思っているわけではありません。特に名誉があり目立つ賞の1つではあるでしょうが、賞金ならブレークスルー賞の方が3億円とずっと高いですし(賞金額と主催がグーグルということは最近知りました)、ノーベル賞には数学や生物学部門もないですし。

ただ、この賞は技術や発見の内容が詳しく報道されることがあり、知らなかったものを知ることができます。

Twitterの科学クラスタはカウントダウンしてネット中継を見ています。物理学賞はやはり予想通りの重力波で、観測してから2年だからものすごく早かったのですが、みんな待っていた観測でしたし。

http://www4.nhk.or.jp/zero/x/2017-12-10/31/20489/2136659/

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その興奮冷めやらぬ10月半ばには、夏頃から噂されていたLIGO-Virgoによる中性子星合体の記者会見が夜中にYouTubeで延々行われました。Twitter天文・物理クラスタが解説をつぶやいてくれるので3/4位は流していましたが、成果がでか過ぎること、これで新しい天文学が始まってしまったのを目撃した興奮で呆然となりなんだか疲れてしまいました(記者会見はLIGOのチャンネルにあります)。専門の研究者さんですら余波で「仕事が手に付かない」とつぶやく有様で。

この辺を簡単にまとめたものをやってくれるのはきっとこの番組だろうと思ったら、やってくれました。30分とコンパクトなので見やすいです(コズミック☆フロントNEXTは好きですが録画が溜まりまくっています)。12/10辺りは授賞式だったので、それに合わせたのでしょう。受賞者のひとりバリー・バリッシュ教授のインタビューを取ってきました。LIGOに関わった日本人研究者も出演。中性子星合体についても取り上げ、最後の方で「コクーンモデル」という非常に美しいシミュレーションを見せてくれました。下のYouTubeにもそれらしいものが出てます。

ちなみにバリッシュ教授は、東北に作られる予定の加速器・国際リニアコライダー(ILC)にも関わっています。個人的には是非東北に招致してもらって、いろんな国から人が来たり、行き来が増えて欲しいと思っています。

年が明けてから改めて書きますが、富山市天文台では2/25に重力波サイエンスカフェを開催します。ゲストは宇宙線研究所 重力波観測施設 重力波研究グル-プ  宮川 治さんです。

 

zero_cryo

http://www4.nhk.or.jp/zero/x/2017-12-17/31/25353/2136660/

続いて化学賞ですが、化学は範囲が広く毎年よく分からないことが多いです(苦笑)。今回のクライオ電子顕微鏡は、番組をよく見て意義が分かりました。発展途上の技術ですが、製薬に使えるそうです。名古屋大の藤吉客員教授は受賞者3人と仲がいいそうで、スウェーデンの写真も見せてくれました。

わたしが扱っていたようなコレステロールの仲間(試薬では粉末)でも、今はどうか知りませんが大きな結晶を作ってX線解析で構造決定というのが究極でした。しかし再結晶しようとしてもなかなかできないことがありました。

そこへいくと、藤吉先生たちが扱っていたのは生体組織だったりするので、「そんなん結晶になるの?」と見てて思ったのですが、やはり延々できないことがあったそうです。それがこの電子顕微鏡を使えばタンパク質の構造が見える、というわけです。

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他の賞についても少し書いておくと、文学賞は名前はよく知っていたカズオ・イシグロ氏で、あの有名な本ではなく(追憶の中の)長崎についての本を読んだことがあります。日本は英国に引っ越したこの人に国籍を与えなかったくせに、ノーベル賞を取ったとなると母国の手柄は欲しいのですね、とマスコミを見てて思いました。なんだかなあ。

平和賞をもらったICANについて詳しいわけではないのですが、原爆を作ったマンハッタン計画参加者は何を思っていたのかなあとはずっと思っていて、読めてない本も手元にあるのですが、彼らのことを知ることが第2第3のマンハッタン計画があったときに歯止めとなるかもしれません。個人ができることは限られているので、力のある人や団体に頑張ってもらうしかないですけどね。

『ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー』読了。

ヨシダヒロコです。

しばらくは翻訳祭で紹介してレビュー書いてない本を中心に書いていきます。先月末は本を掛け持ちして結構大変でした。この本はゲノム編集についての一般向けの本で、クロ現が元になっているそうです。

またもや書評サイトHONZより、クマムシ博士こと堀川大樹さんの文です。

『ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー』来るべき未来に備えて正しい理解を

先月だったか見た番組『BS1スペシャル「“ゲノム編集”食物~密着 食の未来の最前線~」』魚拓)、これはオンデマンドでも見られるし、再放送も今後ありそうですが、映像で見ると不気味に思うところもありました。日本で作られている、ゲノム編集ですごく大きく育つ(正確には筋肉が増える)マダイとか。技術的には遺伝子組換えより安全だそうですし、その理屈も理解してはいるのですが。

目の前にあったら?もちろん味見はしますよ。うちの辺りでタイはあまり食べられないですし、あまり刺身でスーパーに売ってないんです。

怖い感じがしたといっても、このドキュメンタリーの中で研究者が言っているように、「自然」な食べ物なんてもうないんです。品種改良の知識のある人はご存知かもしれません。交配でかけ合わせてかけ合わせて、人間に都合のいい野菜や家畜が作られてしまっています。

今、秋にあったお花の品種改良についてのサイエンスカフェをまとめていて、写真の許可待ちです。そこでゲノム編集の話を初めて聞いたのですが、きれいなお花も分子生物学バリバリでどんどん新しい品種が作られています(とはいえ品種改良でも観賞用でも原種は珍重されますけどね)。今ざっと見直すと、その研究施設も本に(追記)出てました。

本の話に戻ると、ゲノム編集で使うクリスパーという塩基配列は、もともと日本人研究者が見つけた不思議な配列が元でした。そこにキャス9というのをあとでくっつけたのですが、同時期に発明したとかしないとかややこしい理由でヨーロッパの研究者ペアとアメリカの研究者の間で訴訟問題になっています。特許専門の翻訳者さんは、経緯に興味を持つでしょうね。取材班はその片方、アメリカ側の研究室訪問も行っています。

ノーベル賞確実と言われているだけに、誰に特許が認められるのかは大きいかもしれません。

その他にも研究のエピソードが豊富で、なかなか見られないものを取材班に連れ回してもらっているような感じで面白かったです。段組がゆったりして写真や図があり、とっつきやすいレイアウトではと思います。

医療への応用も期待されており、iPSとの合わせ技もあるそうです。

もちろん倫理上の話も書いてあります。遺伝子組換えの時で行ったように国際会議を開いたりしていますが、ヒト受精卵の扱いをどうするのかは抜け駆けする人もいるらしくて。

BSドキュメンタリーではこんなものがありました。『オーダーメイド・ベイビー』(魚拓)。デザイナーズ・ベイビーと同義かと思います。「これこれこんな赤ちゃんが欲しい(例えば髪はブロンドで、目は青で……)」という望みを叶えてしまう?という話。3つの番組が紹介されていて、一番興味があったDNA捜査の話は期待を裏切らなかったです。とはいえ、NHKのドキュメンタリーを全部信用しているわけではありません。一応見てみてから考えてます。

ちなみに科学捜査については化学同人から『科学捜査ケースファイル 難事件はいかにして解決されたか』という本が秋に出てたの、やっと注文できました。まだ東京で紹介した本で読み切れなかったのを読んでいたので、翻訳祭の後工程はわたしの中でまだ終わってなかったのですね。気晴らしの本も読みたいですね。

今後紹介する2冊目、『ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃』は字数も多いし図も少ないし、それなりに基本を押さえてないと読めないです。扱っている話題はこちらの方がディープです。

『遺伝子は、変えられる――あなたの人生を根本から変えるエピジェネティクスの真実』読了。

ヨシダヒロコです。

翻訳祭のミニ講演会で紹介した多くの本のうち、一押しでした。これはとっくに読み終わっていますが、最後におまけでつけてあまり説明できなかったスライドにあったゲノム編集の本は、片方がもう少しで終わります。

翻訳祭でもお話ししたし下のリンクにもアップしたのですが、エピジェネティクスについて読んだ本はこれが4冊目です。他に、羊土社の専門書を買ったはいいが眺めて「歯が立たない」と思ったこともあります。それで、これが一番分かりやすかったです。というか型破りでした。

第27回翻訳祭ミニ講演会『専門外から生物・バイオ系を武器に ~メディカルの基礎にも』資料(1)プレゼン資料(2017/11/29、アルカディア市ヶ谷)。

第27回翻訳祭ミニ講演会『専門外から生物・バイオ系を武器に ~メディカルの基礎にも』資料(2)書籍情報など(2017/11/29、アルカディア市ヶ谷)。

もちろん、その前の3冊やさらに生物の基礎について本を読んでいたから楽しく進めたのかもしれません。そこは無駄になってないと思いますが、手っ取り早くどんな感じか知りたいという方には、この本をまず読んでもいいかも。今とても進歩の早い分野だそうですが、4分野ほどの医学周辺領域の話に医学や遺伝と関係のない身近な話をうまく混ぜてあります。Amazonレビューでは、「実生活に関係ない」というハッピーな方もいらっしゃいましたが、がんにも関係あるのでその人も将来無関係ではいられないかも。わたしは遺伝性の病を持っており、それもあってエピジェネティクスを知ろうと心に決めました。

この本には遺伝学や分子生物学の理屈には詳しく立ち入っていなくて、読み物として面白いという感じです。最初の方の章をお見せするとこんな感じで、話のバラエティが多彩でついつい読んでしまいます。理屈や理論が知りたい方は本屋さんへどうぞ。特にDNAってなんだっけからやりたい人は、今入試前でいろんな参考書があるのでは。中学高校の参考書(教科書より手に入りやすいしカラーで見やすい)、学び直し的な本も豊富なはずです。複数眺めているとぴんと来る本があるのではと思います。

 

2017-12-25 00_Fotor

背景を入れて著作権には配慮したのですが……(以前写真家さんに聞きました)

 

翻訳は、原書を見たわけではないですがすらすらと読めとっかかりが少なかったです。「ぼくら」という1人称複数についてAmazonレビューで指摘がありましたが、たぶんWeでしょうが訳しにくそうで悩ましいです。きっと著者は親しみを込めて書いたのでしょうね。

ひとつ疑問があるとすれば、予備知識のない人には「遺伝子は変えられる」と言われると本当に変えられるのかと勘違いしそうなことで、実際には遺伝子の一部がスイッチを入れるようにオン、オフになって、オフになるとDNAの機能が変わったり止まったりしタンパク質も作られなくなるだけで、塩基配列は変わらずそこにあるわけです。遺伝子が制御されるためいいことも悪いことも後天的に起こる場合があって、中には子孫に伝わるものもあります。この本で出てきた「トラウマ」などがそうです。題名については出版社の意向が大きいことを知っていますが、少々ミスリードだったかなと思います。

Amazonレビューの中には、何かの自己啓発本と勘違いしている人がいました(苦笑)。

ちなみに原題は”Inheritance   How our gene changes our lives-and our lives change our genes”で、『遺伝――遺伝子が生活を変え、生活が遺伝子を変える方法』という感じでしょうか。”Lives”は、「生命」と「生活」の掛け言葉のような気がします。

わたしにはエピジェネティクスはこの身に関わっているためすごく身近に感じる話なんですが、なんだか体の中でこまこまやっていると思うと面白いですね(腹が立つこともあります)。医療にもこれからどんな風に使われていくのか、現状はどうなのか、膨大な論文があるのでしょうが知りたくなりました。