イタリア語検定準2級2回目出願+雑感。

ヨシダヒロコです。

この話を出願してすぐに書かなかったのは、自分の体が何で長いことこんなに疲れているのか分からず、とぼしい知識を元に、多少採血とかしてもらってました。大きな異常はなく薬を調整して休んでいたのです。まったく、『ドクターG』なら1時間でカタが付くのに、現実は厳しいですね。

そんなことを言っている間に昨日イタリア中部にある、ペルージャから76kmのラツィオ州リエーティ県アマトリーチェ、アクモーリ、アルクアータ・デル・トロントなどがM6.2の地震(しかも朝の3時半過ぎ)の被害を受け、建物が古いため崩れてしまいました。昨日やっと知ったのですが、アマトリーチェはトマトとベーコンが入った有名なパスタ「アマトリチャーナ」の街だそうです。赤十字情報を(英語で)見たら、余震も多いそうで心配です。「地球の歩き方」ブログで、今はバカンスだから救助の人手が足りないとあり、それはすごく大変そうです。早朝地震で起こされて揺れるだけでも怖いのに、街がこんなに壊れてしまっては、と。

赤十字などでもし募金情報があったら別に書きます。まだイタリア赤十字社から支援要請が出てないし、その辺は東京の日本赤十字社にも確認を取りました。

写真はWikipediaからダウンロードした3つの街の写真です。3つめは湖ですが(アクモーリ)。あとスパゲッティ・アマトリチャーナ。レストランで注文してくれたら代金のうちから募金するという動きがあるそうです。日本でもやらないですかね。何か有用な情報をツイートするときは#terremotoと付けましょう。

(2016/08/25 14:36追記:アマトリチャーナでの募金、国内でも出てきています。他のタグとして、#PrayforItaly #PrayforAmatrice #TerremotoItalia #ItalyEarthquakeなどがあります)

それで出願ですが、もしかしたら試験日に行けないかもと思いながら振り込んで、前回はあと9点で落ちましたが、もうちょっと改善するかどうか?というところです。先ほど書いたように、Repubblica.itなどTwitterにカラム作って他に読みたい新聞と共に流しておいて、気が向いたときに開いています。

先生に文法が弱いと何回も言われているので、4月に学校にお邪魔したときに薦められたこの本をやっと買いました。中のレイアウトは青系で適度なスペースがありやりやすそうです。わたしの場合はイギリスの出品者から買いましたが、送料はあまりかかってません。

Grammatica Pratica Della Lingua Italiana: Nuova Grammatica Pratica Della Lingua Italiana

Alma Edizioni

2012-04-11

by [Z]ZAPAnetサーチ2.0

あとは日伊学院の準2級対策講座(模試形式)が最初に書いたような理由で溜まってしまってなかなか進まず、19日で1年の提出期限が終わるのでなるたけ出しました。3月に伊検が終わってからすぐにスペイン語DELEに移り、それが終わったら呆然としていて。3回くらい受けたら何とかならないかな。Skype講座も久しぶりに入れているのですが、なんだか地震の話になりそうな予感も。

最近CILSで探してくる人がいますけど、準2級取得後は、これは更にハードな試験なのでちょっとしばらくいいです。それより翻訳講座で勉強がしたい。CILSは日伊では個人的に対応しているらしいし、たしか単発のクラスがあったような覚えがあります。

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KAGRA見学会のため神岡まで・その1(2016/07/24)。

ヨシダヒロコです。

諸々の理由があって、小難しいことメモも取れず聞いてきたのに記事にするのが遅れました。しかも書き終わって写真を加工して入れるところでブラウザが落ちて書き直す羽目になりました。技術的なことはもらってきた資料でも補足できないかもしれません。少し忘れているので。2エントリに分け、2エントリ目は道の駅の話をします。

小旅行のような日帰り旅を飛騨の神岡鉱山までしてきました。小学校か中学校のとき平湯温泉に行っているのですが、バスの中から見えた鉱山は裸山で穴がボコボコ開いていて、富山県人なら学校でよく習う「イタイイタイ病」(患者さんは高齢化しているがまだいる)を思い起こさせたものでした。今回行ってみると、標高は1000mくらいかと思われる山が青々して、昔の寒々しいイメージは綺麗になくなり、神岡は星の街になっていました。神通川ほとりの学校に通っていたとき、既に川の水はきれいでした。

神岡までのアクセスは、隣県の富山からでも面倒です。直通の高速バスがありますが本数が少ないし、日曜はもっと減るはず(濃飛バスも同様)。JR高山線は特急・鈍行がありますが2時間に1本とかいうレベル。他県の人は前泊では?なので、応募には昼くらいに集合の一番遅い回を第1希望とし、3倍を勝ち抜けて当選しました。今年は飛騨の物理絡みのイベントが多く、来週もありますが、KAGRAは去年見学会をしているものの、今年の条件が一番良かったそうです。施設ができて稼働前、しかも本格稼働してしまうと研究者も立ち入れないからです(振動を避けるため)。なので、当選して体調も何とかなって行けたときは、「今年の幸運使い果たしたかも」と思いました。今年の条件が一番良かったことは集合場所で知りました。

日曜日でバスの便がややこしく、濃飛バスに電話してよく聞きました。行きはJRで猪谷まで50分、40分待ってバスで集合場所の神岡振興事務所まで40分。車だと自由度高そうですが、山道が結構あった気がします。ちなみに神岡振興事務所のJR最寄り駅は飛騨古川で、これから公開のアニメ『君の名は。』に出てくるため、飛騨市はポスター作って応援すると後で知りました。道中、猪谷駅から先はこんな景色のところです。天気も良かった。

神岡振興事務所に集合時間ほぼぴったりのバスで着くと、受付で「危険があることを承知の上」みたいな書類に署名捺印して渡し、ヘルメットとその下にかぶる不敷布の帽子を渡されました。いかにも鉱山入りです。中にいる間はかぶったままでいるよう言われました。梶田先生のレア写真が小さく入っているという宇宙線研究所の今年のカレンダー(3月まで、飛騨の道の駅と東大に売ってます)を買いました。海外にもある施設を含め、写真がとてもきれいです。今回の主催は宇宙線研究所、宇宙まるごと創生塾飛騨アカデミー、飛騨市です。道順についてなどは飛騨市役所にも聞きました。KAGRAの場所を特定しなければ写真などご自由にというのと、服装は山行きまででなくてもいいですよということで、UV対策カーディガン(坑道内は14℃程度と涼しいから)にジーンズ、スニーカーで。山用のあまり大きくないリュックで行ったので、中に懐中電灯が入ってて助かりました。坑道は全部で1kmも歩いたかなという感じです。

バスに分乗し揺られて、途中で「あれがスーパーカミオカンデの入口です」などと説明してもらいました。前日、GEO SPACE ADVENTUREという、スーパーカミオカンデとカムランドなどが見られる毎年のイベントが終わったところでした(第7便の応募倍率が高いとか何とか)。山の中に点々と施設がある感じなので、場所はバラしようもなく全然分かりませんでした。他にダークマターの研究しているXMASSがありますが、公開することがあるのか分かりません。

バスを降りるとかぐらトンネルがあり、そこから坑道に入ります。明かりは少しあるけどいきなり真っ暗でした。デジタル一眼とタブレットを持っていったのですが、どちらでも(歩きながらだったし)写すのが難しく、少し加工して載せておきます。

この辺りは入ったところだったと思いますが、ドアがあったかどうか。資料を見るとサーバー室あたりにいたらしいです。データ解析システムのネットワークなどについてパネルが貼ってあり、協力している大学等は写真が見えにくいので書いておきます。大阪市立大、新潟大、長岡技術科学大、東大RESCEU、富山大、国立天文台、統計数理研究所、Inje Univ.、Yonsei Univ.などです。1人目の研究者さんが説明してくれました。他の方のInstagram(KAGRA内は圏外でしたが、わたしもなるたけリアルタイムに発信してました)を見ると、研究者さんが参加者に届くよう台に乗っていたそうです。わたしは後ろの方で聞こえませんでした。思い出してみると、すごく不思議なところに来てキョロキョロしていたかも。まだ工事中?という感じのところがあり、あとKAGRAプロジェクト寄付の話がありました。前に少額送りましたが、イベントすべてではありませんがお知らせがメールで届くことがあります(今回の見学会は全く偶然に見つけました)。(10万以上の)高額寄付者は金色のプレートに名前が彫られて施設内に貼られる、大きさは金額によるとのこと。そのプレートがこの辺にありました。
この日寄付者向けの見学会もあり、梶田先生が説明しています。
http://gwcenter.icrr.u-tokyo.ac.jp/archives/2337

2ヶ所目のポイントでは長い真空パイプが見え、大型の冷凍庫(クライオスタット、2階まである)、合成サファイア単結晶の鏡を見せてもらいました。重力波は本当に小さいものなので、測定するときにちょっとでも振動があるとノイズになって波が見えません。なので徹底的に振動をなくすよう作られています。神岡の施設がもともと地下にあったこともあるのでしょうが、振動を少なくするため地下に作り、レーザービームを反射する鏡を7段の糸で吊ってあります。冷凍庫はかなり大きく、1階部分だけで人の背丈を優に超え、冷やすには冷媒ではなくて熱膨張を使います。糸を伝って鏡が冷える仕組みで、-253℃まで全部冷えるのに1ヶ月半もかかるそうです。数字をど忘れしていましたが、すべてのものが停止すると言われる絶対零度まであと20℃(-273℃)です。もっと冷やしてもいいけど冷えやすい温度があったり(液体窒素の温度など)、効率の話がありました。ちなみにサファイアは合成できますが、鉱物的にはルビーと同じ(入っている微量金属が違うのみ)、鏡は直径22cm、厚みがかなりあり10cmは軽く越えた透明結晶でした。

単結晶は学生の時に測定のため周りの学生が食塩の結晶など使っていましたが、落として壊すと何万という世界だったので、3ヶ所目のポイントで研究者さんに聞いたら「ものすごく高価」とのことでした。他の参加者さんのInstagramでは数千万円という数字がありました。

宇宙線研究所HPより、ここで撮った写真。

KAGRA見学会開催される

最後の3ヶ所目のポイント。ここは横にパイプが通る坑道内だったので研究者さんと距離が近く、どれも顔はぼやかしたりしているのですが、今回はまだ若い女性研究者でした。通る声でハキハキ説明する方で、作業服や拡声器がすごく似合っていました。7月の頭に宇宙線研究所若手支援基金のお知らせが来ましたが、この研究者さんがどういう身分か知らないけど対象かもしれないなと。

ここでは施設の仕組みのようなこと。3km×3kmのパイプがクロスしているんですが、鏡を3つ使って、全反射のものもあれば透過するものもあります。何百回も(何千回だったかも)中をレーザー光が往復することで、何千キロ走らせたのと同じになると。施設の大きさはどうしてこの大きさに決まったのですかという質問があり、大きくもできたけど予算的なこともあってと。詳細は忘れましたが地下に作ったことについての質問もあり、地下の方が揺れないこと、地震などがあっても揺れにくいとか?、LIGOは地上にあるので地震対策をしていて、KAGRAと感度は同程度と聞きました。資料を見ると、KAGRAは地下にあって更に防振装置が複数付いています。雑談的に聞いたのは、研究者が施設周辺を移動するときは電気自転車や(ゴルフのような)カートを使っているということです。

この場所で撮影された岐阜新聞の記事を見つけました。8月に入ってからLIGOの発見について東大などの別グループが論文を出し、そのニュースを読んでいて偶然見つけました。2個目に書きますが、岐阜新聞は神岡鉱山での研究について細かく報道を続けていたようです。

「かぐら」の大きさに驚き 県内外の家族ら見学 2016/7/25  岐阜新聞

http://this.kiji.is/130117482977968133        魚拓

起源は原始ブラックホール 初観測の重力波 | 2016/8/3 – 共同通信 47NEWS
http://this.kiji.is/133223691051057154      魚拓

原論文はこちらです。Abstractでぜいぜいでしたけど(先に日本語で要点を読んでいたのでマシだった)。

Primordial Black Hole Scenario for the Gravitational-Wave Event GW150914
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.117.061101

長くなったので資料は2エントリ目に付けます。見学会は以上です。

次は資料だらけだった道の駅について。

DELE B1、2回目の挑戦で落ちました。

ヨシダヒロコです。

これがもし受かったらしばらくお休みにしようと思っていました。
ずっと体調不良があって、さっきその原因が分かったところです。試験日はしんどかったし朝起きるのきつかったし(会場が遠かった)すごく暑かったのにリスニングは上がっていたのはまあ良かったです。

今度はなるたけコンディションを整えていきたいです。セルバンテスに以前聞いたところによると、最初は結果は2ヶ月でと言っていたんだけど本部が遅れるんで、3ヶ月から4ヶ月と言っているそうです。

結果はこちらから見られます。

http://dele.cervantes.es/es/informacion/consulta_notas.html

Dele2016.jpg

“NO APTO”とは落ちました、と書いてあるのですが、はっきりした採点基準はセルバンテスの英語版には簡単にしか書いてなくて、スペイン語版だと分数も入れた計算が詳しく書いてあります。単に何個正解した、ではないかも(そのうち辞書使って読んでおこう)。

ちなみに2013年11月に受けたのはこの通り。今回はリスニングが上がってもうすぐ7割くらい、リーディングは練習で7割行くこともあったのですがあまりはかばかしくなく、聞く・話すが比較的マシというか、アウトプット系がダメという結果になりました。

Grupo 1                                                                                             Grupo 2

Comprensión de lectura Expresión e interacción escritas Comprensión auditiva Expresión e interacción orales
Puntuación máxima     25 puntos      25 puntos              25 puntos       25 puntos
Puntuación mínima exigida 30 puntos                                   30 puntos
Puntuación obtenida    13.33 puntos   9.8 puntos   5.83 puntos   8.33 puntos

23.13 (NO APTO)                        14.16 (NO APTO)
La calificación final es de: NO APTO
El plazo para presentar solicitudes de revisión de las pruebas de la convocatoria de noviembre 2013 finaliza el 14 de marzo de 2014.

ことしはイタリア語検定もう1回トライするので、それで終わりです。

 

放送大学大学院の試験(『精神医学特論』、2016/07/23)。

ヨシダヒロコです。

このエントリをもっと早く書かなかったのは、この試験範囲にあった内容がそのまま相模原の事件と関わるようなことだったため、世間が落ち着くのを待っていたためです。15回中14、15回は精神医療の歴史でした。優生思想だけはなかったですが、偶然去年から今年にかけてEテレ『ハートネット』で知る機会があったことは先月のうちに書きました。事件特番の『バリバラ』再放送は週末なので、興味のある方是非。自分にも刺さる内容でした。

放送大学大学院科目生になって1ヶ月。

シラバスです。

http://www.ouj.ac.jp/hp/kamoku/H28/daigakuin/B/kyoutsu/8910707.html#syllabus

結論から言うと、この授業は受けてとても良かったと思っています。患者としても翻訳者としても。石丸先生はテキストに厳密に沿うのではなく、下に挙げるような先生をゲストとして読んで呼んでなにか心にしみいるようなインタビューをしていました。
20代のときひどい睡眠障害があって毎晩『ラジオ深夜便』聞いていたら、3時頃になってしみじみと『こころの時代』が始まるのですが、あんな感じ。学部では『死生学入門』を担当、わたしの受けた授業でも、エリザベス・キューブラー・ロスの『死ぬ瞬間』を薦めていました。他に呉秀三の私宅監置の本も。テキスト巻末には膨大なレファレンスがあります。

「治療は面接開始でもう始まっている」とか、「薬に先だって医師が患者に処方される」とか、「あらゆる病気が心身症なのでICD-10では心身症という言葉がなくなった」という意味の記述とか、なるほどーと思いました。

ゲストの先生方。たしかもう1人いらしたような。

「統合失調症と向き合う」
遺伝子多型についての研究裏話で、バイオ勉強しといて良かったという内容でした。
(2016/08/13 8:58追記:研究裏話は授業で。以下のリンクはゲストの先生のファミリーヒストリーの話で、それが研究につながります)
http://jpop-voice.jp/schizophrenia/s/1404/01.html

「教授ご挨拶 | 筑波大学医学医療系臨床医学域 災害精神支援学講座」
http://plaza.umin.ac.jp/~dp2012/greeting.html

 

この授業は1年前に受けたかったのですが叶わず、改訂前のテキストを持ってますがDSM-Vができたためでしょう、今年度から新内容です。DSM改訂点の説明も多いですが、「これだけに頼らないでください」という意味のことは繰り返し言われました。

試験は、授業が半分まで来たところで受ける提出課題・自習用課題、過去問2年分くらいあればシンプルなテストなので大丈夫かと思います。ただややこしいところもあるので、初めて接する人には学習が難しいかもしれません。もともとあった知識の確認的に受講したので何とかなりました。とは言っても採点結果はまだですが。

わたしは違いますけど、臨床心理士を目指している方が「試験にはこれだけで十分だった(病気について)」というコメントが旧版テキストの前書きにありました。

後期は受けたい科目が学部にもあり、院については生物(バイオ含む)を取って手順とか映像で見られないかと期待しています(次は1年間の選科生にしたい)。高校の頃やってみたかった生態学も、今ではデータや統計バリバリなのですね。

最後に、きっと読み甲斐あるだろうなと思われるこんな本が出るそうです。

(2016/08/17追記:試験の結果はA○でした(○の中にAが入っている)。9割から満点でした。周りの人も苦労しているようには見えませんでした)

お盆にメールで挨拶回り。

ヨシダヒロコです。

2016-08-06 12_Fotor_Fotor

少し透き通っている多肉を買いました。

お盆とかお正月とかもともとわたしには関係なく、子持ちでもないですし(甥姪はもう大きい)、混んでるときに旅に出たりしないので、大きい休みの前にはスケジュールについて気がついた登録先にメールしておきます。向こうでも人が足りてないかもしれないし。

メールボックスはエージェントごとにフィルタをかけてありますが、重なるときは重なって結局流れたり、アメリア見てると登録済みのところが人を欲しがっていたりするので、「その他」に入っているところとか見直して、手が空いたのでこないだから少しずつメールを送っていました。

今年前半はバイオで終わって、色々足りてないことが分かりました。それでも何もやらないと足りないことも分からないので。ほぼバイオだったので、最近の会社にはアップデートすることがないですね。

何もお仕事来なかったら、預かった猫を構いながらゆるゆる試験勉強です。

イタリア語の試験対策にYahooを読み始めたら、平子理沙が綺麗!と絶賛されていて、なのにタイトルで思いっきりタイポがあり、誰のことかと思いました。

近藤医師反論本を3冊読みました(2021年追記)。

(2021/08/27追記: この記事を書いたのは6年前です。日付見てない人多そうなので。昨今の長尾医師の言動にはまったく共感できません。当方病人で調子が上がらず、一言書き加えるのが遅れました)

ヨシダヒロコです。

1年間だるいだるいと言い続けてきましたが、正常なそこそこ年が進んだ女性に起こる現象らしいです。血液検査の結果を待っていますが、注射が効いているようなのでほぼ決まりでしょう。他に病気があったりやたら暑かったりするのでうまく切り分けられませんでした。

さて、わたしが近藤本『患者よ、がんと闘うな』を読んだのはたぶん15年ほど前でした。その時から「がんもどき」(転移せず悪さをしないがんらしいですが、転移するがんと見分けが付かないと反論されている)の批判本が出ていて一緒に買ったのですが、読んでいる余裕がなく、近藤本のおかしいところもまだ分かりませんでした。その少し後、がんを患った漫画家の大島弓子さんが『グーグーだって猫である』で「この本は人を憂うつにさせる」というようなことを書いていて、患者さん視点ではそうなのかーと思っていました。

下に挙げる3冊の本では、放射線科の医師である近藤医師の乳房温存療法やインフォームドコンセントなど、先駆けて始めたことは評価しています。最後に紹介する本では以前の対談から一部抜粋してあったりします。要するに「なぜあなたはこんな風になってしまったのですか」と皆言いたいようです。他に、がんで亡くなった著名人を引き合いに出して結果を責めるようなことを言うのもお三方共に腹に据えかねるそうです。もっと早く読み終わりたかったのですが……。

わたしは大分前にロシア語通訳者の米原万里さん(故人)について書いています。単なる本の感想も入れると3回くらいでしょうか。週刊文春の担当読書欄が告知されてから段々変な方向(代替療法など)に行って、近藤医師の診察を受けていたらしいです。最後見放されたらしいですが、親友のイタリア語通訳者の田丸久美子さん(この方も肩のこらないエッセイ多数)が、悲痛なお別れの文を『ガセネッタ・シモネッタ』のあとがきに書いています。これがいかにも朗らかな印象の田丸さんの文章ですか、と最初読んだとき驚きました。

医療否定本の嘘

勝俣 範之

扶桑社

2015-07-01

by [Z]ZAPAnetサーチ2.0

「医療否定本」に殺されないための48の真実

長尾 和宏

扶桑社

2013-08-20

by [Z]ZAPAnetサーチ2.0

そのガン、放置しますか? 近藤教に惑わされて、君、死に急ぐなかれ (ディスカヴァー携書)

大鐘稔彦

ディスカヴァー・トゥエンティワン

2015-07-30

by [Z]ZAPAnetサーチ2.0

印象に残った順では、大鐘先生→勝俣先生≓長尾先生(最後の2冊は同じくらい)で、結論としては同じことを書いていると思います。アマゾンレビューは見ればお分かりの通り、組織的に荒らしている人がいます。複数人が。本は買った当時(冬頃)で可能なら新しいものを選びました。

では、書影を挙げた順に。

勝俣先生の本。実は一番期待度が高かったです。ネットやメディアなどへの露出が多い先生ですし、その主張も存じ上げていました。「がんとは『闘う』ものではない」という主張を、割と最近著名人が亡くなったときにされていたのを覚えています。「闘う」とか言われると、新たに診断された人が怖くなってしまうから。抗がん剤は外来で受けられ、その間は普通の生活ができるともあります。

この本が印象に残ったのは、「わたしは近藤先生を尊敬していたのに!」という気持ちが一番ひしひし伝わってきたことと、患者さんのメンタルな部分に気を使われているな、と思ったことです。早期緩和治療についてもあります。「腫瘍精神科」という科があって、悪い知らせを伝える”SHARE”というコミュニケーションスキルがあるのですが、研修で学んだ先生は「自分はできていなかった……」と思ったそうです。勝俣先生の本には、医師ができていないことの反省が強い気がします。字がゆったり目で、要点は太字にしてあり、第4章のデータ操作以外は一般に分かりやすいのでは。

勝俣先生はFacebookでもフォローして拝見していますが、最新の療法についても怪しいものには突っ込みを入れていて、例えば免疫療法は保険適用外でお金がかかって、その割に……と。免疫チェックポイント阻害薬には期待できるそうです。

長尾先生の本。関西の町医者さんで、もろに関西弁の題名が付いた著書もあり、町医者なのでがんだけを扱っているわけではないようです。認知症の本もあるのですが、紛らわしいことに共著で近藤誠という医師がいらっしゃいます。件の近藤医師とは関係がありません。勤務医から町医者になった方で、町医者ならではのプライドが感じられます。「がんという病気は、実は、町医者に始まり、町医者に終わる」。この本も要点が太字になっていて、あとがき以外で200ページちょっと、でも文庫化されてて一番分かりやすいかも。新しい治療にも言及があり、特筆すべきはかかりつけ医らしく、自宅での看取りにページが割いてあることです。「緩和治療は診断されたときから始まっている」とこちらにもあります。

本屋で偶然見つけた大鐘先生の本。症例やエピソードが豊富です。外科医で、大きな病院にもいたのにわけあって田舎に引っ込んだ方です。がん告知の悩みが特に覚えているエピソードで、患者はなんとか「がんです」と医者にはっきり言ってもらいたい、でも医者は自殺でもされたらと思ってできない、それで看護師になんとかかまをかけたり心理戦になるというずっと昔の思い出話です。キャリアの非常に長い方なんでしょう。物書きもしていて文章を読ませると感じましたが、わたしが一気に読む余裕がなかったせいか、エピソード単位では印象的でも全体としてのまとまりは分かりません(読み直すかな)。「がんは今は治る病気」との文章もありました。予後が悪くとも、寿命を伸ばすことができて心残りを片付けられると。

20年ほど前の近藤医師との対談や(意外に意見が一致しているところもある、注があるが専門用語が多い)、最近になってまた対談を申しこんで無視されたときのかなりヨイショした手紙は(それでも断られたんですが)一見の価値があります。近藤医師のバックにいる文春まで叩いているところがすごいです。

どの本も一般向けなので、短い章を作って読みやすくしてあります。3冊目は普段本を読まない人にはきついかも。「近藤医師を信じてはダメです」という要の所は同じなので、もし気になる本があったらぜひどうぞ。

写真は福井にある陽子線治療施設のポスター。調べてみるとこれも先進治療には入りますが、かなりの負担です。勝俣先生はお薦めできないそうです。最先端と言われてもよく調べないとですね。

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