gacco『ようこそ、科学技術コミュニケーション』(北大CoSTEP講師陣、2018/03/07~)

ヨシダヒロコです。

CoSTEP.png

 

前回あった東北大災害科学国際研究所の震災についての授業は、レポートの評価が良かったので嬉しかったです。簡単に言うとゲームを使って遺稿を回るというレポートでした。ゲーム長らくしてないですけど。もっと動画見てみたかったので、来年また受けます。所長の今村先生が、震災のあった日辺りにシンポジウムに出席されているのをNHKでやってました。

さて、科学技術コミュニケーションとか科学コミュニケーションといわれてもなじみのない方も多いかもしれません。わたしの知っているのはよく行くサイエンスカフェなどで、普段はお話しする機会もないような研究者さんなど専門家の方々と対等にお話ができるものです。

北大CoSTEPは科学技術コミュニケーションに特化した大学院大学ではいち早くできたもののうちに入り、科学技術コミュニケーターを養成します。たまたま機会があって2005か2006年には存在を知っていました。サイエンスライティングなどやってみたかったのですが、その学科は札幌までたまに行かないとダメでした。科学館や科学博物館での学芸員さんのお仕事もサイエンスコミュニケーションに入るのかな。この科目では、科学技術コミュニケーションの歴史やスキルなどを垣間見ることができます。概要を見てみたかったのでありがたいです。

大学院の紹介など。

http://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/costep/html/introduction.html

例えば「欠如モデル」と言われる「分からない人に知識を与えれば啓蒙できる」的な考えは否定されていること、サイエンスカフェは興味のある人しか来ないという問題点の話がありました。

もう勉強は半分弱まで進んでいて、最終課題が17日なので急がなくては。慣れている方なら今からでも入れるかも。今回はいつもと違ってスライドをダウンロードできます。

わたしは今まで富山・新潟・金沢とサイエンスカフェに出席してきて、今年はちょっと変わったところに行くかもなんですが、札幌はいろいろ進んでいるなと思いました。この辺のカフェも頑張っているし、運営の手作り感というか、親しみが持てていいのですよもちろん。ただこの授業受けててこんな工夫があるんだと知ることができました。

わたしとしてはWeek3のライティングが楽しみなところです。ライティングの訓練は実は受けたことがありません。翻訳から一旦離れてやってみたいとは思っていますけど、今は余裕が……(すでに学生でもあるので)。

Week1 科学技術コミュニケーションとは 講義&課題: 2018年3月7日15時 公開 ← すべて日本時間 JST (UTC+9) とする

    • Part1 科学技術コミュニケーションとは
    • 1-1-1. 講義の流れと目標
    • 1-1-2. 科学技術コミュニケーションとは
    • 1-1-3. 科学技術コミュニケーションの定義
    • 1-1-4. 科学技術コミュニケーターとは
    • 1-1-5. 確認
    • 1-1. クイズ
    • Part2 科学技術コミュニケーションの歴史
    • 1-2-1. 目標
    • 1-2-2. 科学技術コミュニケーションの歴史
    • 1-2-3. 科学技術コミュニケーションのモデル
    • 1-2-4. 日本における科学技術コミュニケーション
    • 1-2-5. 確認
    • 1-2. クイズ
    • Part3 科学技術コミュニケーションの現在
    • 1-3-1. 目標
    • 1-3-2. 科学技術コミュニケーションの現在 科学者の状況
    • 1-3-3. 科学技術コミュニケーションの現在 市民の状況
    • 1-3-4. 科学技術コミュニケーションの危機
    • 1-3-5. 確認
    • 1-3. クイズ
    • Part4 科学教育からみる科学技術コミュニケーション
    • 1-4-1. 目標
    • 1-4-2. 科学的知識と関心の関係
    • 1-4-3. 学習観と科学技術コミュニケーション
    • 1-4-4. 確認
    • 1-4. クイズ

 


Week2 対話でつなぐ科学と社会 講義&課題: 2018年3月14日15時 公開

    • Part1 科学技術コミュニケーションとしての対話
    • 2-1-1. 目標
    • 2-1-2. 科学技術コミュニケーションとしての対話
    • 2-1-3. 対話の場の事例紹介
    • 2-1-4. 確認
    • 2-1. クイズ
    • Part2 対話の場を企画する
    • 2-2-1. 目標
    • 2-2-2. 対話の場を企画する
    • 2-2-3. プログラムデザイン
    • 1-2-4. プログラムデザインの事例
    • 2-2-5. 確認
    • 2-2. クイズ
    • Part3 対話の場を創る
    • 2-3-1. 目標
    • 2-3-2. ファシリテーションとは何か
    • 2-3-3. ファシリテーションのプロセス 場のデザイン
    • 2-3-4. ファシリテーションのプロセス 対話のデザイン 議論の促進(発散)
    • 2-3-5. ファシリテーションのプロセス 対話のデザイン 合意形成・まとめ(収束)
    • 2-3-6. ファシリテーションのプロセス 対話のデザイン 共有
    • 2-3-7. 確認
    • 2-3. クイズ
    • Part4 対話の実践をめぐる対談
    • 2-4-1. 目標
    • 2-4-2. サイエンス・カフェ
    • 2-4-3. 討論劇とワークショップ
    • 2-4-4. 体験型ワークショップ
    • 2-4-5. 対話型展示
    • 2-4-6. アイディアを形にする
    • 2-4-7. 確認
    • 2-4. クイズ

 


Week3 文章でつなぐ科学と社会 講義&課題: 2018年3月22日15時 公開

    • Part1 科学技術コミュニケーションとしてのライティング
    • 3-1-1. 目標
    • 3-1-2. ライティングとは
    • 3-1-3. サイエンスライティングにおける注意点
    • 3-1-4. ライティングの媒体
    • 3-1-5. ライティングのフロー
    • 3-1-6. 確認
    • 3-1. クイズ
    • Part2 ライティングを企画する~多様な表現を目指して~
    • 3-2-1. 目標
    • 3-2-2. ライティングを企画する
    • 3-2-3. テーマの展開
    • 3-2-4. 実例で見るライティングの切り口
    • 3-2-5. 確認
    • 3-2. クイズ
    • Part3 インタビューという実践
    • 3-3-1. 目標
    • 3-3-2. サイエンスライティングとインタビュー
    • 3-3-3. インタビューとは
    • 3-3-4. インタビューの要素 傾聴
    • 3-3-5. インタビューの要素 質問
    • 3-3-6. インタビューの心得
    • 3-3-7.  確認
    • 3-3. クイズ
  • Part4 文章で科学をどう伝えるか
  • 3-4-1. 目標
  • 3-4-2. 文章のピントを合わせる1
  • 3-4-3. 文章のピントを合わせる2
  • 3-4-4. 説明とは何か1
  • 3-4-5. 説明とは何か2
  • 例文『生き物をめぐる「4つのなぜ」』
  • 『生き物をめぐる「4つのなぜ」』の答え合わせ
  • 3-4-6. 問うことの大切さ
  • 3-4-7. 確認
  • 3-4. クイズ

Week4 科学と社会をつなぐ多様なメディア表現 講義&課題: 2018年3月28日15時 公開

    • Part1 映像というメディア
    • 4-1-1. 目標
    • 4-1-2. 映像メディアの変革期
    • 4-1-3. ビジュアル表現の特性
    • 4-1-4. 映像メディアと科学技術コミュニケーション
    • 4-1-5. 映像メディアの注意点
    • 4-1-6. 確認
    • 4-1. クイズ
    • Part2 WEBというメディア
    • 4-2-1. 目標
    • 4-2-2. WEBの特徴と活用法1
    • 4-2-3. WEBの特徴と活用法2
    • 4-2-4. WEBの効果的運用
    • 4-2-5. 確認
    • 4-2. クイズ
    • Part3 グラフィックというメディア
    • 4-3-1. 目標
    • 4-3-2. デザインとは
    • 4-3-3. 適材適所のデザイン
    • 4-3-4. 発信者と受け手の間をとりもつデザイン1
    • 4-3-5. 発信者と受け手の間をとりもつデザイン2
    • 4-3-6. 確認
    • 4-3. クイズ
  • Part4 アートというメディア
  • 4-4-1. 目標
  • 4-4-2. アートについて考える-科学とアートの関係-
  • 4-4-3. アートの歴史
  • 4-4-4. コンテンポラリーアート1
  • 4-4-5. コンテンポラリーアート2
  • 4-4-6. 科学技術コミュニケーションとアート
  • 4-4-7. 確認
  • 4-4. クイズ

*  課題すべて : 理解度確認クイズ 1~2点、計21点
*提出締切日時: 2018年4月17日23時59分

* 最終レポート20点
* 提出締切日時: 2018年4月17日23時59分
* 採点締切日時: 2018年4月24日23時59分

 

 

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gacco『Memento Mori–死を想え』(東北大大学院文学研究科 鈴木教授)でしみじみする。

ヨシダヒロコです。

この講座はまた開講されると思いますが、7日で課題受付は終わり、登録しているわたしには現在動画だけ見えている状態です(28日まで)。最近、読みたいのに買えてないですが『死すべき定め』という翻訳書が売れたり、終活という言葉が流行ったり死生学という学問も人気なようです。

この講座は「東北大学で学ぶ高度教養シリーズ」の第一弾で、「宗教民俗学」という学問から特に日本人の生と死、宗教観、宗教儀式などを取り扱っています。「民俗」とつくのでふだんわたしらのやっているようなことが題材となっており、豊富な写真やフィールドワーク、先生の話術(こんなテーマなのにちょっと受けることを言う)で飽きませんでした。最後は1000~2000字のレポートがありました。その採点はまだ済んでいません。

memento_mori

下の写真はもとはflickrFrickrという写真サイトから、Creative Commonsのライセンスで講座内の最初と最後にアップで使われていたものから。悲しくも美しく、選択が見事です。

 

わたしの場合、

1.自分自身の死について考えることが多いような病気に罹っている

2.ペットを沢山飼ってきたので、沢山亡くしている

3.周りの人の死、面識がない場合でも考えてしまうことがある。さっき知ったのですが、重力波望遠鏡LIGOの創設者のひとりであるロナルド・ドレーバー氏が亡くなったと。ノーベル賞も取り沙汰されていたような方だそうですが、英語ニュースによると認知症だったと。状態は分からないが残酷なことだなと思いました。

まず、「Memento Mori」という言葉について先生の解説。字幕はダウンロードできるので、適宜句読点を入れました。確かにラテン語系の言葉は「死ぬ」という動詞がmorireだったりmorirだったりします。

「memento mori」というこの授業についてですけれども、この言葉はラテン語の ある意味では
「覚えていろ」という 命令と、「死ぬこと」という言葉が くっついて、「死を思い出せ」「死を想え」 ということになります

宗教民俗学って知らなかったのですが、こんな説明です。

信仰の定義、 つまりこれは宗教を含むわけですけれども、信仰の定義について考えてみましょう。私はこれをカタカナのヒトと カタカナのカミとの交渉に関する観念と、それに基づく行為である というふうにまとめています。
ここではカタカナの「ヒト」は 人間を表します。またカタカナのカミは漢字で書く神、漢字で書く仏 、カタカナで書くホトケ、霊魂, 精霊, 先祖, お化けなど といった超自然的存在、すなわちスーパーナチュラルビーイング 全体を考えています。つまり ヒトとスーパーナチュラルビーイングとの交渉に関する観念とそれに基づく行為を信仰という ふうに理解しています。

さて 私がやってる宗教民俗学の視座というのはそういった「信仰」を研究対象とします。その点でいいますと神学と 言われるようなところが宗教を対象としてると言っても いいかもしれません。そこでさらに宗教民俗学は 宗教の規律というかドグマというような形で教えがしっかりした体形を とってるような部分が変化・曲解・混淆して 受け入れられている、そういった現実の進行場面を対象としています。

民俗学とはよく知らなかったのですが、なんかおもちゃ箱ひっくりかえしたようにいろんな話がいろんな地域から出てきて、庶民のやることですから誤解して違うものを違った拝み方している場合などもある訳です。それをそのまま観察するところが大らかだと思いました。ある事象そのものも教義を無視しているところがあって、それものびのびと死者を祀っているなと。

印象的な話はなんといっても恐山。イタコの口寄せは異次元から怖いものが来るような印象がありましたが、やってくるのは懐かしい人の霊で、「また呼んでくれ」といって帰っていきます。お供え物にも圧倒されましたし、何やら恐山事態自体の構造がカオスなのが興味深かったです。東北らしいもので言うと、震災後の怪異譚。タクシーにお客さんを乗せて降ろしたら、というのはどこかで読みました。それも怖いというより悲しい。先生は突然の死のことを「サドンデス」と言っていました。生者の負い目も大きくなると。

また、在宅ホスピスというのがありますが、勤務医の先生が在宅での看取りをやる医師になったら、なぜかお迎え現象が増えたという話がありました。研究結果は見たことがある気がしていて、不思議だなあと思ってました。幻でも身内が来てくれたら死ぬのも怖くないでしょうし。

生者が死者を悼むのは生者の思いのため、という話を聞きましたが、経験上全く同じことを考えていました。日本人の宗教観について矛盾も突いており、エキサイティングな講義でした。ビデオが「オーロラ」より長めなので、心持ち早送りにしても時間はかかりましたが、こういう話は悲しいことも多く出てくるけれど心を豊かにもしてくれると思います。本来、文学部とはそういう所かと思います。

そんな講座を修了して(レポートの採点まだだけど、した…と思う)、ネット本屋(わたしはe-honからリアル本屋経由で買ってますが)を整理していると、上で書いたのと似た怪異譚が本になっていて評判もいいようなので紹介します。泣かせる話とか感動とかいうのが大の苦手ですが、これは紹介したいなと思いました。

Twitterで遺族の方らしい方が「『忘れない日』ではなく、忘れたくても忘れられない命日」と書いていました。今回の講座は葬式やお墓など回りのこと、何回忌という区切りも紹介していました。震災で亡くなった方には7回忌に当たります。

最後にこういう「臨床宗教師」という資格ができました。医者やカウンセラーでは限界がある場合、災害(熊本地震の実績あり)や医療現場のターミナルケアに出動するらしいです。最初に養成講座を作ったのがこの大学でした。宗教家を対象とします。

http://www.sal.tohoku.ac.jp/p-religion/neo/wiki.cgi?page=%CE%D7%BE%B2%BD%A1%B6%B5%BB%D5%B4%D8%CF%A2

gacco『解明:オーロラの謎』 (東北大大学院理学研究科、小原教授)スピード修了。

ヨシダヒロコです。

オーロラを美しいと思う人は沢山いますし、わたしもそのひとりですが、どうしてあんなものができるのか考えてませんでした。きっと圧倒されているからでしょう。

この講座ではビジュアル(NASA、ISS国際宇宙ステーション、JAXA、カリフォルニア工科大、国立天文台など)を多用し、理屈の上でオーロラがどうやってできるのか、どうやって調べたのかをざっと教えてくれます。ISSはたまにInstagramで綺麗な写真や動画を見ていましたが、地球のオーロラ映像では特にリアルで好きです。

gaccoからは昔受講失敗に終わった(時間がなかった)統計の授業以来メールをもらっていますが、今回東北大が講座に参加することになったらしく、「他にはどんな話が聞きたいですか」という事前アンケートがあったので迷わず「海の毒の話です(その界隈では有名ですし、とても不思議です)」と答えておきました。そもそも東北大がオーロラ研究をしていることを知りませんでした。

aurora_contents

Week1 オーロラの不思議

Week2 活動する太陽(ニュートリノと同じ話です)

Week3 惑星のオーロラ

Week4 望遠鏡と探査機で探るオーロラ

他に期限のある勉強や課題はあったけど、仕事もヒマだったしこれともう1つ取って始めました。正味5日(8時間強)ほどで終えました。英語圏でもCourseraやったことがあって、最後まで行けたのはとても少ないのですが、字幕も借りて理解できればとても勉強になると思います。現在2つほったらかし中で、そのうち何とかします。gaccoも同じMOOCというタイプの無料講座で、最長7分までのビデオの後にミニテストがあります。

磁力とかプラズマとか電子とか出てきますが、上に「惑星のオーロラ」とあるように、他の惑星にもあるんです。知らなかった。なんだか色々衛星飛ばしていますが、どんな仕事をしているかよく知らなかったし。

「知らなかったー、不思議だな」と思いました。続編あれば見たいです。

なお、画像は著作権が絡むのでダウンロードできず、先生の説明をテキストに起こしたもののみです。

しつこく言いますが、理系でも物理を入試に使っただけで最近までご無沙汰だった自分の成績です(問題見てからまたビデオをひっくり返したりしました)。ここ2年弱自習してます。

物理の話は難しいと思ったら映像眺めるだけでもいいかもしれません。期間は3月7日の終わりまでで、また開講されると思います。受講証って1科目では出ないみたいです。Courseraのように1科目でも出してくれるといいのに、有料でもいいから。

gacco