ヨシダヒロコです。

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現在病気療養していますが、ちょっと書いておきたくてこの話を書いています。
レートとは最近では外国語1単語(外国語→日本語翻訳の場合)あたりの単価、前は仕上がった原稿の日本語文字数で数えてたこともあったようですが、わたしの場合仕上がりでカウントされた経験はあまりありません。日本語から外国語に訳す場合は日本語原稿1文字当たりになります。
雑誌とか見るとレートで一番多いのは英日が9~10円、日英が5~6円(通訳翻訳ジャーナル 2017年夏号「通訳者・翻訳者のリアルとホンネ 収入と働き方」のアンケートより)。それより上や下もいますが、英日で20円台、30円台のレートの人も見聞きしたことあります。恐らく間に翻訳会社通してないんだと思います。皆が気になるのがこの「レート」です。
直接取引は何回か経験はあり、わたしの技量が足りなかったケースは仕方ないとして、外国人研修生向けのマニュアルという仕事がありました(英訳)。レートの言い値も通ったのですが、間に立ってくれた同業者に「PO(発注書)お願いします」というと、そんなもの出したことなかったらしくこれ大丈夫かと不安になりました。クライアントに特殊な用語を聞いても答えてくれないし。後になって研修生制度について知り、なるほどと合点がいきました。結局、続いた取引はありません。
こういう例外の他には、普通に翻訳会社のトライアルを受けて受かったら交渉してとなるんですけど、受かった後でふたを開けてレートの安さにびっくりということもあり得ます(レート値上げ交渉でも似たようなことが起こることがあります)。これから書きますが、メディカルも例外ではありません。紹介サイトで最低7円くらいからと書いていたメディカル会社/メディカル部門を持つ会社の翻訳者募集案件は2社見たことあります(トライアルの成績次第で9円くらいになることもある)。わたしは履歴書・職務経歴書を1つにしていますが、ミスマッチを避けるためそこに希望レートを書いています。これが絶対というのではなく、交渉に応じますと書き加えて。トライアル受ける前に聞くのもいいと思います。
受かった後でも、提示されたレートにもう一声と言ったら通ったけど、全く仕事は来なかったということはあります。1円レートが違うと、例えば1万ワードの和訳だと単純計算で1万円変わってくるんですが、薄利多売に甘んじるか、高品質を狙ってレートも高く目指すか。わたしは後者を狙って息切れしてしまいました。
こないだ心が折れた話をしましたが、その少し前のこと、Aで始まる超有名なメディカル専門の翻訳会社に応募しようかなと思ったら、受付の人がわたしの応募書類を見て「こちらのスターティングレートは6円台後半(本当ははっきりした数字が入る)なんです」と言い、何だそれは!と応募を取り下げたことがありました。たしかもうトライアルの問題まで届いてたはずです。
2000年代半ばくらいにBRICs(Brazil, Russia, India, China)と言われていた新興国がありました。中国・インドは海外エージェントを探した場合遭遇することが多く、国自体は発展してるのかもしれないけどレートが日本の半分いやもっと安かったり、仕事の進め方も「仕事あるから無料サンプル訳して」「合格したら返事するね」→(音沙汰なし)とか、今でもメール出さないでくれと言ったし返事もしてないのに、安い早い、しかも多い仕事が来たりします。
さっきのメディカル翻訳会社ですけど、まさか日本でBRICsを見るとは思いませんでした。いや、仕事した訳ではないから仕事の進め方までは知らないけど。
わたしが「ぽっきり折れる」まで色々あったというのは、受注が減るとか新規開拓でトライアル(特に英訳)にあまり受からないとかの他に、こうした低レートの会社の姿勢、そしてここに限らず翻訳者を安く使おうとする翻訳会社が大手の多くなのではないかということにほんとうに疲れたからもあります。大手ではなかったですけど、ビジネスパートナーと言いながら実際そうではなかった会社は経験があります。こういうこと、特に会社の実名とレートはオフや勉強会の飲み会、個人的なやり取りで交換されるのため「表」で書く人は少ないですし、翻訳者をやめるかもしれないわたしなら本当のことは書きやすかろうと思って書いています。
これまでに勉強を色々しました。物理に関しては全くの興味からでしたが(今後も勉強します)、レーザー関係など仕事につながった経験もあります。量子力学の単位も取りました。生物→分子生物学は高校レベルから3年ほどかけて独学でやったし、英語や翻訳に関しても県外までセミナーに行くことがありました。そういう努力や労力は何だったんだろうなと思っているところです。もちろん何もかも無駄だったとは考えていませんが、あれだけ頑張ったことは本当に何だったんでしょうね。
病気その他による不調がこれだけ続くのは珍しいですが、昨日の診察では最低来年には軽くずれ込むと思います。良くなれば戻れるかという簡単な問題ではないようです。