こんにちは。富山で化学翻訳を営むヨシダヒロコ(@chiruru)です。医薬翻訳者の駆け出しでもあります。スペイン語、イタリア語勉強してます。
高校時代から好きだった作家の北杜夫さんが24日にお亡くなりになりました。ご高齢ということもあって、覚悟していたのですが。
SANSPO.COMの死亡記事から頂いてきた写真です(死亡記事の魚拓 1ページ目 2ページ目)。前から思っていたのですが、人の気が付かないことを感じ取ってしまうようなお顔をしてます。
高校時代、わたしは情緒不安定なところがすでにあって、友達と一緒にいるのも好きだったけど訳もなく独りになりたくて図書館にこもることもありました。本を見ると落ち着いていられました。フルートを吹きまくることもありました(再開したいのですがね)。そんなわたしがはまったのが北さんの著作でした。
一番好きだったのが、もうあらすじが分からないのだけど上に挙げた「幽霊」、これは純文学です。「どくとるマンボウ」などの明るくにぎやかな作品とは全然違います。「どくとるマンボウ」は間違いなく数冊は読んでいて、「なんかこの気分のアップダウン分かるような気がする」と思っていたら、後にうつ病を発病し、さらに本当は躁うつ病だったことが分かりました。マンボウ先生が教えてくれていたのかもしれませんね。
「船乗りクプクプ」は読んだかどうか覚えがあまりないのだけど、遠藤周作さんとの悪友ぶりは楽しく読んだ記憶があります。ただ全部ではないと思います。
数年前から、いやもう10年ほど前からになるでしょうか、「週刊新潮」で北さんの娘さんの斉藤由香さん(サントリーの窓際OL(笑))が連載を始めました。時々ですが読ませていただいてました。もうお父さんの話が出ないのかと思うと寂しいです(上に挙げた本とは関係ありません)。
斉藤由香さんと北さんのやり取りで、このエッセイに載っていた印象的なやり取り。これも早すぎる死を遂げた鷺沢萠(さぎさわ・めぐむ)氏が昔ウェブ日記でコメントを書いていたこと。こちらのブログからの孫引きです。でもこちらのブログによると、「マンボウ遺言状」からの文章となってますね。
鷺沢萠 「明日がいい日でありますように サギサワ@オフィスめめ」より
「ああ、パパもずっと鬱病で小説も書けないし、生きていても仕方ないから、安楽死させてくれ……
するとお嬢様、答えて曰く・
「パパは名馬じゃないんだから安楽死は駄目。駄馬は死にものぐるいで働かないと」
吹っ飛んだ。いろんな意味でいろんな悩みが。
そんなわけで長々書いてきましたが、どこかにいらっしゃると思っていた北さんがもうどこにもいらっしゃらないと思うとしんみりしてしまいます。もう本の中にしかいらっしゃらないのですね。これからは紛失してしまった昔の本を買い集め、また読んでみたいと思います。年を重ねて、しかも同じ病気のわたしにはいろいろ感じるところがあるでしょうから。それでは、マンボウ先生、少しの間おやすみなさい。