サイエンスカフェとやま「2015年ノーベル物理学賞はこうして生まれた:ニュートリノ振動の発見」その3/3(TOYAMAキラリ、2016/01/15)(追記2ヶ所あり)。

(真ん中あたりの音叉実験のところに大事な追記が、最後の方に2016年GW明けくらいまでの記念展告知を追記しました)

ヨシダヒロコです。

その1  

その2

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途中で「座られたらいかがですか」と促され、くだけた感じで座って話している中畑さん。

2回目はちょっと基本というか導入だったので退屈だったかもしれません(メモが間違っているかもしれないし)。わたしの隣のおばちゃんがいなくなってましたし。ここから本編です。素粒子のこと調べてたら、匂いなんてしないのに「フレーバー」とか言うそうです。本当に訳が分からないつぶつぶです。

それでカミオカンデの登場ですが、なぜ神岡にしたかということは前に第1回の打ち上げに(この時だけ)入れてもらって研究者の方に聞いたのを何となく覚えています。神岡鉱山の穴が都合よかったとか何とか。

中畑さんによると、地下に作るとニュートリノが少ない、つまり観測しやすいそうです。地上に比べて10万分の1になります。地下1000m、トンネルを1.7km行ったところにあって、カミオカンデの上がちょうど池の山(標高1368m)です。この山は富山・岐阜の県境だそうです。下の図はスーパーカミオカンデですが。

neutrino_ocillation_confirm

出典:http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa200701/008.htm

カミオカンデ(1983-1996)

3000トンの水タンク、1000本の直径50cmの管、1981年に中畑さんと梶田さんが学生として入りました。実は小柴先生は偉すぎて「さん」とはとても呼べないそうです。普通まともな学生ならこういう研究は考えないけど、梶田さんも中畑さんも山師的だったとおっしゃっていました。小柴先生が「陽子の崩壊を見つけたらノーベル賞だ」と言うので入ってみたら、延々見つからないのでどうしようと思ったそうです。小柴先生はアイデアマンで、(故)戸塚先生は「どれが使えそう」とか見極めが上手だったそうです。

チェレンコフ光

調べると原子核反応でも出る光のようですが、これを使ってニュートリノを検出します。中畑さんのお話では、地下だとやってくるニュートリノが1日に10個とか聞いた気がするので、このビデオのように沢山来るのか?という気がしますが。前にも出したビデオです。英語で言っていることはチェックしてませんが施設も光もきれいだし……。内部を船で移動するのは本当にそうです。これはスーパーカミオカンデの方です。

実際の検出画面はその1で出したようにこんな感じ(スーパーカミオカンデ)。

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水中では光は少し遅く進みますが、ニュートリノがたたき出した荷電粒子がそれよりも速く走るとチェレンコフ光が発生します。中畑さんはこのリンクにあるように、池を泳ぐアヒルに例えていました。

http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/sk/detector/cherenkov.html

カミオカンデが捉えた超新星爆発(1987.2.23)―13秒間に11個のニュートリノ。その瞬間、わたしたちの体を800兆個が通り抜けました。この発見で小柴先生はノーベル賞を受賞しました。

スーパーカミオカンデ

水は50000トンで、上の動画のようにボートに乗っているスライドが出ました。ミューニュートリノは素直に走るのでチェレンコフ光がくっきりだけど、電子ニュートリノは曲がったりγ線を出したりして輪郭がもやもやしているそうです。それで区別ができます。

パターンを見分けるプログラムを1986年頃に梶田さんが作り、88年に論文を書きました。28歳くらい、博士号取ったすぐの頃。ミュータイプの数が少ない、ということでもっととどめを刺すようなデータが欲しいと。それで(それもあって?)スーパーカミオカンデができたらしいです。

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上から降ってくるニュートリノの数は変わっていなくて、地球の裏側から来るものはタウニュートリノになっていて、上下非対称(正確にはミューになったりタウになったりしている)。スーパーカミオカンデではデータがたくさん取れて、1998年に世界中に信じてもらうことができました。350人が集まったニュートリノ国際会議でずっと拍手が鳴っていました(よくTVで梶田さんが英語で発表して、結論を述べたら大拍手、というところを放送していましたが、あれです)。2016-01-15 19.11.14_Fotor

上のスライドあまりうまく撮れなかったのですが、地球の裏側から来るものにニュートリノ振動が起こってものが変わってしまっているのです。これについてはあとでもう1枚スライドがあります。

ニュートリノ振動

ニュートンは「光は粒子」といい、ホイヘンスは「光は波」といい、結局どっちでもあることが分かりました。アインシュタインが「光量子仮説」を提唱します。素粒子もみな光であり粒子、で「量子力学」という学問が誕生します。

ニュートリノの波的な現象がニュートリノ振動で、ここで音叉の実験がありました。梶田さんもサイエンスZEROに出てやってましたが、楽器を弾く人なら分かるかもしれません。チューニングの時に音がうなること。音が合っていないと、周波数が違うから他の人の楽器やチューナーと違ってしまいうなりが出ます。

音叉実験。

(2016/04/29 14:06追記:音叉の実験は、中畑先生が4/24に東大の講演会でもう一度実演し、片方の音叉におもりを付けていました。質量が違うからうなり、振動が起きるのだという話です。大事なことが抜けていました)

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ニュートリノ振動は、質量の違う状態の重ね合わせ。標準理論(沢山の物理学者が100年かけて考えてきた、とあるHPにありました)を越える理論です。スライドで表すとこんな感じに。

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それで、ここにもある謎なのですが、過去カミオカンデからのゲストの皆さんが話題にしたこともはいっています。真ん中らへんにあります。
http://www.senshu.phys.tohoku.ac.jp/houmon/vol7.html

今回例に挙がったのは、1.なぜニュートリノはそんなに軽い? 2.宇宙の謎(ビッグバン、今回話にはなかったけどダークマター)、3. 反物質(日本人の発見)

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で、お話が終わって質問タイムになりました。皆いろいろ質問攻めにしてましたけど、例えば実際のニュートリノってどのくらいの質量なんだろうとか、ビッグバンのこととか、割と年上の男性の方が複数熱心に質問していました。

おまけでオモチャ。休憩時間に遊んでくださいね、と置いてあったんですが、このボールは投げ上げると色が変わって帰ってきます。出来のよくないものもあるらしいのですが。

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で、わたしは時間内には無理だったので、終了後にまた中畑さんのところに近寄っていって、お聞きしたいことを聞いてきました。次にブログに書こうと思っていますけど、このエントリの中で出てきた故・戸塚先生のドキュメンタリーが、ノーベル賞受賞すぐにNHK BSで再放送されました(2009年初回放送)。一言でいうと、ガンになった科学者が現場を離れ、ブログを書いたり自身を見つめて残された時間を過ごすというもので、とても色々考えてしまう内容でした。中畑さんにとっては近しい方だったので(昨日確認したところ、番組に出演されていました)ためらわれるところはあったんですが。あの番組を見ていて思ったのは、「宇宙の始まりは人間の始まりでもあるんだろうか」「始まりがあれば終わりもあって、この研究はそれとも関係があるのだろうか」ということでした。

中畑さんは「再放送されましたね」と話すとすぐに「はい」と言われ、1つ目の質問に関しては「人間を作っている物質ができた(元となるものができた?)という点では始まりと言えるかも」と。ダイレクトではないというニュアンスのようでした。2つめの質問に関しては、「今宇宙の終わりについて言われているのは、膨張していって残されたのはニュートリノと電子だけ。そこにニュートリノはあるけれど、話としては関係がない」ということでした。ニュートリノと電子しかない空間を想像すると寒々しているので、そう言いました。疑問が聞けてよかったです。それにしてもあの番組は、どこかにアーカイブでもないだろうかと思うほど胸に迫るドキュメンタリーでした。

ごはん食べて帰ろうとしたら、富山駅に市電が入ってゆくところでした(右手)。少し分かりにくいですが。

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ノーベル賞に直接関わった方のお話が聞けてよかったです。これからもハイパーカミオカンデや、富山大と共同のKAGRAなどなどいろいろあるので楽しみですね。資料をpdfで添付します。梶田さんのサインや言葉があるので、見てみてください。あと、やさしいニュートリノの話とか。スキャンする上で切れてしまったところがあるのですが、印刷して合わせてみてください。

Neutrino.pdf

難しい話を偉そうに書いてますが、素粒子物理学なんてきっと今回の受賞があってからようよう少しずつ……という感じですので、変なところがあったらご指摘くださいませ。

(2016/01/31追記:最後にサイエンスカフェとやまの旗振り役でもある科学博物館学芸員さんから告知があったのですが、いま博物館でやっているノーベル賞受賞の記念展、3月31日までの予定でしたけど伸びそうですとのこと。コンパクトな博物館ですが、増倍管は間違いなくあるそうです。天文台のはそろそろ終わってしまいますが)

(2016/04/29 14:13追記:東京駅すぐそばのKITTEにあるインターメディアテクでも、5/8までメダルレプリカなど少し展示をしています)

梶田隆章さんノーベル物理学賞受賞記念 受賞研究紹介展その他
http://www.tsm.toyama.toyama.jp/?tid=100767   魚拓

次回のサイエンスカフェとやまは3月19日、昔は高岡短大と言っていた(就職率がすごくよかった)大学が富山大に統合され、その芸術文化学部の先生が『軒下プロジェクションマッピングの発案から公開までの記録』というお話をします。実はサイエンスカフェはネット中継されています。リンクにカフェのHP(ブログ)がありますので、問い合わせるとお知らせを送ってもらえるはずです。

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サイエンスカフェとやま「2015年ノーベル物理学賞はこうして生まれた:ニュートリノ振動の発見」その2/3(TOYAMAキラリ、2016/01/15)。

ヨシダヒロコです。

その1から

今日は本題の前置きくらいに入ります。

その前に、中畑さんは以前(2014年)にもこのカフェのゲストで来られたのですが、その時の記事を見てみるとご本人によるYouTubeが出てきました。1999年と古いですが、貼っておきます。わたしは一昨年のカフェ、確か何か用事が重なって欠席したのでした。

サイエンスカフェとやま第12回「ニュートリノでお星さまの謎を解き明かす」(7/5)

サイエンス・チャンネル テクノ・ギャラリー (9)謎の素粒子「ニュートリノ」!

さて、カフェに戻って、こんな感じで説明する中畑さん。

2016-01-15 18.05.27.web

まずニュートリノとは何か?から始まりました。

パウリが1930年頃に予言し(この人化学にも出てきます)、45年にノーベル賞を受賞します。

β崩壊(原子核崩壊→原子が壊れると)

アインシュタインの有名な法則、E=mc2がほぼ確立し、この際にエネルギーが保存されていないので他の粒子があるのか?それはするする抜けていくような粒子?と言われていた(注:どこで知ったのか覚えていませんが、幽霊粒子とも言われているそうです)。

1950年代、ライネス(1995年ノーベル賞受賞)、コーワンがニュートリノを発見、ライネスは初期カミオカンデに関わりました。1956年にアメリカでニュートリノ測定器ができ、液体シンチレーターと光検出器からできていました。

1962年、また違うニュートリノの発見(ミューニュートリノ)。発見したシュタインバーガー、シュワルツ、レーダーマンは1988年ノーベル賞受賞。こう見ていくと、実験結果が出てからノーベル賞まで20年。

文科省の資料なども参考にすると、湯川先生の予言した中間子(後にπ中間子)が関わっており、陽子にπ中間子をぶつけて測定器で測定します。

参考:http://t2k-experiment.org/ja/neutrinos/sources-and-experiments/

素粒子とは?

水分子を分けていくと、水分子→原子(O2, H2)→原子核、原子→陽子、中性子→クォーク(アップ、ダウン他)

クォークはそれ以上分解できず(今のところ)、だから素粒子と呼ばれています。

素粒子の種類です。小難しいけど図で見た方が良いと思いまして、お借りしました。こんな感じのスライドが出ました。

名古屋大がアメリカとの研究で見つけたのはタウニュートリノで、反応したときに何が出てくるかで名前が決まっています。

素粒子と力

強い力―湯川

弱い力―中性子と陽子の間(重い粒子のやり取りがあるので力が弱い)

電磁気力

重力―素粒子とはあまり関係がない

クォークは2/3とか-1/3とか、変な電荷を持っています。

ニュートリノはνe, νμ, ντなどと書きます(2個目のギリシア文字は下付き、小さい)

  • 弱い力しか働かない
  • ものと反応しない
  • 地球を通り抜ける、反応しない

ニュートリノが飛んでくるのは、1)太陽や星、超新星、2)宇宙線(大気ニュートリノ)。梶田さんの研究は後者です。

太陽からのニュートリノは人の体を1秒に数百個、大気ニュートリノは1秒に10万個通り抜けています。ビッグバンの直後に沢山作られ、エネルギーの固まりから粒子が生まれます。粒子が生まれれば反粒子も生まれます。その当時のニュートリノが、1立方メートルに3億個くらいあり、とても身近な存在です。

アンケートと一緒に頂いたのがこのしおり。非常に貴重なので大事にします。

2016-01-15 17.47.59_web

その3に続く~次はいよいよカミオカンデのお話です。スライドいろいろ出ます。

今年はもう記帳始めました。

ヨシダヒロコです。

去年は本当にギリギリに投函した失敗を踏まえて、年末頃から整理できていないレシートを仕分けしたり記録したりしていました。夏にしんどかったときに記録を放棄してしまった分と、12月に買物が多かったので大変でしたが、1月の中頃だったかには整理が済みました。去年の苦労したので入力が楽なように、デビットカードの明細やネット通販のお金の流れや、どこの銀行から払ったとか全部記入しました。

あとはそれに従って入力するだけになりました。

去年、2015年じゃなくて2014年度版買ってしまったのですが、ダウンロードには問題なかったです。

今使うならこれが最新版です。もう今年度の記帳をする人向けにサイトでは今年度のソフト(Excel)が売ってますが、1回本を買えばダウンロードするだけです。初年度サポートを付けて、色々教えて頂きました。それぞれ1000円位なのでお得です。
超簡単!フリーランスのための青色申告
https://freelance.kantan-aoiro.net/

【2015-2016年度版】フリーランスのための超簡単!青色申告 (事業所得用・申告ソフト付/Windows用)

塚田 祐子

クリエイティブ ワークステーション

2015-12-07

by [Z]ZAPAnetサーチ2.0

画面はこんな感じで、初期設定を済ませました。前年度から受け継ぐこともできるのですが、盲点は12/31の残高を把握しておかなければいけないこと。現金は全く覚えてなくて(去年のソフトにあるかも)。税制上では去年が開業年だったので関係なかったのですが。今年は何となく覚えているので、メモっておきます。

Excelマクロで動くのですが、1ページ目はこんな感じです。よく使う入力を登録しておいてスピードアップできます。今年もうマイナスが決定しているのですが、それが今年度にはどう反映するかをまた見てみます。寄付の領収書はあと1枚、支払調書はあと1枚来る予定です。ちなみに東大の早野先生に寄付すると、おまけが送られてきます。

Excelで簡単

あと、特に控除が多い人に役に立つかも。Excelシートで計算してくれます。

Rescue Rangers
年末調整&源泉徴収票 Excel用シート

マイナンバーでの申告は来年から(e-Taxではもういる)ですが、役所の手続きなどではすでに書類に欄があったり、手続きに必要なことがあるようです。いろいろ制度に不安があるので、カードは作らないでおこうかと思っています。

サイエンスカフェとやま「2015年ノーベル物理学賞はこうして生まれた:ニュートリノ振動の発見」その1/3(TOYAMAキラリ、2016/01/15)。

ヨシダヒロコです。

今まで見たサイエンスカフェとやま(4,5回行ってると思いますが)でかなり興奮度が高いものでした。
ゲストは、梶田先生と一緒にノーベル・ウィークにスウェーデンまで行ってきたという、スーパーカミオカンデ施設長の中畑雅行さん。サイエンスカフェとやまの告知記事へのリンクはこちら

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カミオカンデ関係者とサイエンスカフェとやまの縁は深く、3年ほど前?第1回のサイエンスカフェはやはりカミオカンデの話でしたし(過去ログあります)、11月にも受賞前に企画したのだと思いますが、富山市天文台でもカミオカンデからゲストを迎えてお話がありました。天文台は森深くにありアクセスはよくないので、最寄り駅まで行ってから「土曜日は帰りのバスがない!」と気がついたバカです。天文台も素敵なところですよ。

話は戻って、会場にはなかなか見られない展示物がありました。これがお話と同じくらいワクワクしました。あのスーパーカミオカンデの壁に貼り付いている増倍管(ランプ2016/01/23 訂正:ランプというか検出器)の実物や、スーパーカミオカンデからの生データが送られてきている画面がずっと映し出されていたのです。刻々色が変わってゆきます。赤くなるにつれて光が強くなります。

それで会場ですが、8月にできたTOYAMAキラリ、中には市立図書館とガラス美術館があります。富山駅の隣の駅に呉羽(くれは)というのがあって、住所上は呉羽だと思うのですが、実際は旧小杉町に近いところにガラス工房があります。吹きガラスの体験やってみたこととかありますが、残念ながら車がないとアクセスが悪い。でもキラリは街のど真ん中で、ぱっと見数は少ないかも知れませんが、ガラス作品に触れることができます。

建物も外から既に美しくて、話には聞いていましたが、新国立競技場を手がけた隈研吾さんによるものです。ガラスはきれいで好きなので行ってみたく思っていて、嬉しいついでができました。美術館はまたゆっくり行ってきます。プロが撮るとこんなに美しいですが、下にタブレットで撮ったしょぼい(笑)写真載せます。サイエンスカフェとやまの上のリンクにも写真あります。

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まず、サイエンスカフェとやまではたまに応募者多数で抽選になります。もともと30人とかが定員らしいので、たしかレオナルド・ダ・ヴィンチの時もそうでした。今回も抽選があってわたしは落ちたのですが、後ろに十分椅子が準備してあって、余裕を持って座れました。いっぱいだったら困るので、受付と同時に行きました。

会場はこんな感じで、あとでトークが始まると音響的にはやりにくい面があったみたいですが、わたしには青空授業みたいで気持ちよかったです。2階の非常に開放感のあるスペースでした。

準備の間、横のミュージアムショップをぶらぶらしたりしていました。カフェもありました。サイエンスカフェはゲスト(先生ではない)と参加者は対等なので、さんづけで呼びます。話を遮ってもよいことになっていましたが、なかなかそうはなりませんでした。ただ、最後の方で質問は出まくりでしたし、中学生らしい男の子がゲストに個人的に質問していたり、他にも時間を見つけて質問している人が多かったです。わたしもどうしても聞きたいことがありました。メモが長いので3回シリーズになります。ラストのラストにわたしがした一番大きな質問を書きます。他にうまく聞き取れなくてメモを直してもらったところもあったのですが。

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今日書くのは、話の冒頭にあったノーベル・ウィーク。興味のある方多いと思いますが、中畑さんは同行して、途中からは写真は禁じられたので新聞などからの写真でしたが、ご自分の目で見てきたことを話してもらいました。では、以下授賞式の裏話。

まず、カミオカンデではみな「さん」付けだそうです。梶田さんが「中畑さん~」とすり寄ってくるときはたいていすごく困っているそうです。

まず12月6日、ノーベル博物館で。上にあるランプのような増倍管を寄付し、同時受賞のマクドナルドさんはD2O(重水といって水なんですが重さが2倍です)、H2Oを寄付しました。カフェがあって、その椅子の裏にサイン。これは報道されましたが、梶田さんは名前と「スーパーカミオカンデグループ」、マクドナルドさんは名前と、カナダの研究グループであるSNOLABの名を書きました。

8日にノーベルレクチャー。ストックホルム大学にて。学生さんなのか若い人が沢山いて、うらやましく思ったそうです。日本にもこういうものがあれば良いのにと。夕方はノーベルコンサート。きれいなホールでトリフォノフのピアノを聴いたそうです。このピアニストは隣の市に来ていったことがあるのですが(行き損ねた)、今まだ24才と若く有望株と聞いています。今調べたら、チャイコフスキーのコンクール決勝でショパン(コンクール3位を取っている)弾いて勝ったそうです。ロシア人。2010年ショパンコンクールの時の演奏です。

(2020/02/17 0:33追記:動画が消されたので貼り替えました)

12月10日には授賞式、写真は撮れずここからスライドが新聞の写真になりました。受賞の合間にオーケストラが鳴って、国王からメダルとディプロマというものを頂いたと。ディプロマは美しくデザインされた見開きの賞状みたいなものらしいです。会場でも模様について話がありましたが、今調べました。

晩餐会は市庁舎で、1350人出席。梶田さんの奥様が国王にエスコートされ、梶田さんはソフィア妃をエスコートしたそうです。

若い方へ、ノーベル賞を取るとこういうことがありますよ、ということでした。

その2へ続く~

『第4回 スパコンを知る集い in 富山 〜「京」、そしてその先へ〜』(2015/12/19)(追記あり)。 

ヨシダヒロコです。

わたしは理科系の教育を受けていますが、じわじわ分かる範囲を広げています。
昔やった勉強にあぐらをかいていてはいけないと思うし、だいたい20年前に習ったことなどもう忘れてますし、今はもっと進んでますし。

スパコンは全く専門外でしたが、話を聞いていると組み立てる前の設計の考え方など、「ほほう」と思うことがあり、それは2013年に新潟まで『知る集い』を聞きに行って思ったことです。それに、本当にいろんなことに使われているので、分かる話が1つはあるはず。今回なかったですけど、新潟では創薬の話があったり、心臓のモデルがありました。リアルに3Dっぽく動く心臓です。

下にリンクを張っておきます。

「スーパーコンピュータ『京』を知る集いin新潟」聴講記(1)(2013/07/20)。

「スーパーコンピュータ『京』を知る集いin新潟」聴講記(2)(2013/07/20)。

今回は理研が資料を後でネットで配布してくれたので(もらったものをスキャンしてもよかったのですが、理研側のものがきれいだろうと思ったのです)、それを待ってメモを公開します。前回は写真OKだったんですが、今回はなしです。ホールの外はいいということで撮りました。

京

会場の富山国際会議場は、すぐ外に富山城が見えます(あまり城の中身はないですが)。

2015-12-19 15.43.18_web

講演の要旨はここで見られます。
http://www.aics.riken.jp/shirutsudoi/meeting21.html#kouen

PDF、ここにも付けておきます。

最初に「京」開発についての15 分程度のビデオがあり(多分前に見た)、中高生の科学オリンピック絡みの催しをやっていて、最初の神戸大学の先生まではその一環でした。本題になると正直人が減ったので、分からないけど上のリンクで言っている500人いましたかね。ホールが大きすぎて分かりにくかったのかもしれませんが。司会はTBS系のチューリップテレビのアナウンサーさんで、手話通訳がはいっていました。

お題はこの3つ。

「スパコンて何? 何ができるの?」横川 三津夫(計算科学研究機構/神戸大学・教授) (pdf)

「鉄道の技術開発を支えるシミュレーション技術 ~より早くより安全に~」池田 充(鉄道総合技術研究所 鉄道力学研究部・部長) (pdf)

「スパコンで地震の揺れと津波を予測 〜「京」で災害を減らす〜」古村 孝志(東京大学地震研究所・教授) (pdf)

後ろ2つについては、講演者のプロフィールが付いてきたので、貼っておきます。おふたりとも「京」は使っているけど理研内部の方ではありません(外部の人でも申請出して、研究できるから)。池田さんの話は鉄ちゃんが聞いたら喜んだだろうなという感じで、古い写真も出てきました。右の古村教授は富山出身、富山には地震がほとんどないのに地震研にいらっしゃるという方です。

(メモなので怪しい場合があります。録音とかしてません)

1.ビデオについて:富山の名物は薬だが、リレンザ・タミフルはコンピューター・シミュレーションからできた。京のパーツ、組み立て、工場、設計、ポートアイランドでの建設を動画や映像で。多分新バージョンで、前見たときは口頭の部分もあった。運転しながら故障部分を交換できるそう。ゴードン・ベル賞(2012)、HPCチャレンジ賞(2013)受賞。

2. 横川教授講演メモ:目玉焼きの熱伝導から話が始まったはず。資料にもあるように数学の話が多く、やさしくしようとしているのは分かるけど中学生にはきつくないだろうか。出てきたのは、格子点・偏微分・Fortran、その他の数式。もっと難しいものを使うらしいとよそで読んだこともある。基本的なことが少し見えたのが収獲だった。

他のシミュレーションの例:大規模避難シミュレーション(災害があったときに個人がどう避難するかということが動く点で表される)、心臓の動き再現(UT-Heart)、MRJ、ゴルフボール(よく飛ぶものを開発)など。

3.池田池川さん講演メモ:コンピューターは東海道新幹線で導入されたが、使用は限られていた。いまは欠かせないものになった。シミュレーションを設計段階で入れたり、駅構内の人の流れをシミュレーション(動かして見せてもらう)、ハンドアウトにあるように、細かいところまで使っている。

Q:海外に比べて。技術はどうか?→A.海外でもシミュレーションはやっているが、鉄道公社ではなくメーカーがやっていて、技術は変わらない。

Q: リニアモーターカーについて。→A: 550km/hは海外でも同じくらい。地上設備の上に浮かぶので、設備を作ってしまうとスピードアップはしにくい。

4.古村教授の講演メモ:ハンドアウトが結構分かりやすいし、実際にはこれが動いたので話がよく見えた。この道に進んだきっかけが面白かったのでメモ(ハンドアウトにはない昔の写真とかが出た)。地震の研究をなぜ、と聞かれるのだけど、いつから研究しているのかよく分からない。北大(理学部、たしかが地球物理)に進んで山スキーに目覚め、物理でも自然を相手にしたくなった。地震の揺れは数学を勉強するほど分からない(数式だらけの博論の写真が出る)。でもシミュレーションだとでき、計算機は大したものだと思った。1990年代の汎用コンピューターは遅く、128MBくらい。「何の訳に立つんだ」と言われた。「コンピューターは速くなる」と言っていたら、本当に10年で1000倍速くなった。

震災前は、地震のことはもう分かったと思っていた。甘かった。「まるごと」シミュレーション。

(まるごとシミュレーションとは、地震研のホームページより)

http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/panko/2014/OpenSeminar01.html

(2021/06/05追記:他のリンクは消えてしまいましたが。上のURLアーカイブ

深発地震は分かっていない。いくらシミュレーションしていても分からないことが出てきて、その都度研究する。今後、京では足りない。自然に対しても闘ってゆく。

Q: 計算にかかる時間は?→A: 全体の5%位使って2時間ほどを10~20回繰り返す。事前に計算しておく。普段の研究では1週間かけて計算、1ヶ月後に結果。

Q: 寄り回り波(富山特有の波で、人がさらわれることがある)についての研究は?→A: 富山湾で研究している人がいる。津波が起きて小舟がひっくり返るという不思議な事件が起きたことがある。

最後にお名前は分からないけれど偉い方がお話をし、少し「ポスト京」の話が出たのですが、具体的な話はなかったような記憶があります。これくらい速くないと、という言葉は古村先生か、2013年の講演にもあったかと思います。また富士通が受注したのですよね。

*******

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会場の外に「研究員にアンケート」というのがあって、特に自由回答欄が面白かったのでちょっとメモってきました。得意科目は上の通り。

プログラミングを始めた年齢など、少なめだけど小学生もある。理系だと学校でFortranとか習う。

自由回答欄:「女性の友達を作っておくべきだった」、「大学の時遊んでおくべきだった」、「リア充をしておくべきだった(?メモが不十分)」、「仕事とプライベートで区別が付けにくい」、「のぞみ256号が切りがいいとかいうと不思議がられる」、「任期付きなので生活が」。

そんなこんなで、終わった頃には窓の外が暗く、富山城もライトアップされていました。クリスマス前だったのでイルミネーションがきれいでした。

最後にこの日のアンケート回答者向けお土産と、資料を並べたところです。お土産は、たしかボールペンかジャポニカ(前もらった)か付箋だったのですが、ジャポニカは使いにくかったので付箋にしました。マスコットになった京が可愛いです。

Foo Fightersの骨折Tシャツ購入。

ヨシダヒロコです。

(注:今日現在の情報です。このブログでは何年前のログを見に来られる方もいるので)

デビュー時からのフーファイのファンですが、コンサートになかなか行けずに、やっと去年のフジロックで行けました。

http://shop.foofighters.com/

ショップでの骨折Tシャツですが、セールかかっている品があったからもう品薄かと思って急いで買いました。ですがまだあるものもあるので、英語で何とか注文できる方どうぞ。デイヴが(他に考えられない)骨折をパロって作ったのでしょうか。夏から面白いなーと思っていたし、フジロックで見かけた気もします。品物のページよく見たら、限定アイテムでした。

普通にカートに入れて住所書いてクレジット払いですが、わたしの場合、夜中に端末触ってたら「そのご住所への送料はありません」とかサイトで言われて放置しました。起きたら「カートに品物が残ってるよ」とメールが来ていたので事情を説明して調整してもらいました。送料は急がないのであれば、一番安い10ドルでも1週間かそこらで届きます。

で、なんと、差出人がフーファイなんです!
下に出す”Break A Leg Tour Unisex Tee(「頑張れ」と「骨折」をかけている)”が欲しかったんですけど、その時サイズなくて、代わりにこのX Ray Unisex Teeにしました。腰の辺りでデイヴの足が折れてます。わたしは大柄なので、ユニセックスのLサイズです。サイズはインチで出てますが、Googleに●インチと打ち込むと換算できます。通貨もそう。便利な世代になったものだ。

サイズ表はここの下にあります。
http://shop.foofighters.com/pages/faq

あとでBreak A Leg Tour Unisex Teeの在庫が復活しましたが、デイヴが書いた王座(Throne、ライヴで座っていたもの)のスケッチTシャツ、Throne Schematics Unisex Teeは紺がもうなくなったようで、オリーブがXSと3Lしかない状態。紺を狙っていたのですが買いそびれました。

そのうちライヴがまたあったら着てゆきたいですね。

Saint Ceciliaの音源付きTシャツもかっこいいですし、子供向けのアパレルもあるので、お好きな方は是非。フジロックのレビューが結構参照されたので、参考までに書いてみました。

フェレットななの1周忌でした。

ヨシダヒロコです。

フェレットのこと書いていたブログを以前たたんだのですが、ななが死ぬ前くらいから少しずつここに書き出しました。ニュージーっ子が珍しいせいか、特に亡くしたときのエントリを沢山読んで頂いてありがとうございます。

新しい子を迎えても、死んだ子は死んだ子でやっぱり可愛いということをよく思い知った1年でした。ただ、新しく来たりり(死んだ子と同じく→偶然なのですが白っぽくおてんばな子)が可愛らしく、そのうち仲良くしたがっていたミントと一緒に遊んだり寝たりするようになり、今ではベッドで本を読んでいる足元や、机に向かっているわたしの毛布の足元に仲良くくるまっています。かなり慰められています。

ペットの死がここまで堪えたのははじめてで、それに近いのが初めて飼った子(腸閉塞で享年1才)でしたが、ななは長いこと毎日わたしのそばにいたためと思います。およそ5年です。

フェレットの牙は鋭いですが、うちに来た子はしつければ人を噛まなくなり、それどころか唇のような神経の細かいところを毎日なめてくれました。ななは特にしつけに苦労した子です。

遺品は薬やシリンジが多く、袋にまとめたのを開けてみたらケージを片付けるときに集めた毛がどっかに行ってます。今、確定申告の集計途中なのでわやなのですが、そのうち出てくるでしょう。薬は乳酸菌で、飲みかけのままです。

2016-01-16 22.57.37

なかなか立ち直れなくて、病児用ケージは次の子が来るまでそのまま、最後まで体をくるんでいた毛布は匂いが秋まで残っていて、春頃にはまだ嗅いでは泣いていました。秋から冬にかけて匂いが消えてゆき、名残を惜しもうと布団の横の所に置いておいたら、いたち2匹がちんまり入っていたことがあって、「これで時代が変わったのかな」という気がしました。

1月16日にこういうエントリを書くのはこれで最後にします。今後は黙ってお花を買ってきて、3匹分(本当は命日違うのですが)弔おうと思います。みんな可愛い子で、富山に帰ってきてからこっちしんどいことだらけだったわたしをよく慰めてくれました。

フェレットには、暖冬のためもう売っているチューリップを1本ずつ庭に置いてきて、去年2月頃作ってもらったプリザーブドフラワーのお供え花もありますが、生のお花を追加で部屋用に買ってきました。去年なきがらと一緒に埋める花束を作ってくださった花屋さんに行ったら、オレンジや黄色のラナンキュラスがあるというので、アクセントにニゲラを入れて。ラナンキュラスは毎日切り戻せば豪華に咲きます(茎が弱いですが)。部屋の暖房で咲きかけがすぐに開いたので写真が2枚あります。

部屋のヒヤシンスももうすぐ満開になりそうですが、全部咲いたらまた何かのついでに載せます。

わたしのフェレットたちがどこかでつるんで、楽しく(悪いことを?)してくれていたらいいなあと思います。

このオモチャはフェレットワールドに売ってて、丈夫なのでまた買ってあげようと思っていたところです。まだ2才かそこらのななが見られます。家の中など見苦しいところもありますが、サッカー見ながら箱とか好きそうなもの色々置いているようですね。

イタリア語検定準2級出願しました(2016/01/18まで)。

ヨシダヒロコです。

春の合格から1年後の受験を目指していて、対策早く始めないとと思いながら、体の都合で対策そのものは年末くらいからのスタートになりました。日伊学院の通信添削第2回が返ってきたばかりで、読みやすいように添削のインクを濃くして夕べプリントアウトしました。模試だけ、作文だけの通信もあります(3級の時は作文+Skypeレッスンでした)。
回し者のようですみません。

文法を”Qui Italia”で少しやってまして、あと1ヶ月半あるし本(上巻)の半分は行くと思います。
絵が多くてシンプルな問題を書いて覚えるタイプで、やりやすいです。難易度は”Linea Diretta”の方が上だそうですが、学院の方にサンプル見せて頂いた上でこっちを買いました。あまり難易度は高くなさそうですが、基本の確認にいいです。わたしの苦手なのは近過去で、準2級レベルはこの本でカバーできるそう。苦手なところは”Ecco”も使うかも。

Qui Italia: Lingue e Grammatico

Alberto Mazzetti

Continental Book Co Inc

2005-06-14

by [Z]ZAPAnetサーチ2.0

出願期間は月曜日までなので急ぎましょう。
今はゆうちょ銀行のPay-easy(他の銀行もできるのかな?)、コンビニ支払いもできます。
クレジットカードだと即時です。西検はこの辺融通効かないんですけどね。

わたしの今までの出願履歴ですが、2014年8月出願のは病欠です。その前、2回目に受験したときはあと4点でした(経緯は全部エントリにしてあります)。

italiano_pre2

今は模試形式の課題なので弱点が丸わかり。その時によって弱点が違いますが、今はリスニングだそうです。Giovanni Amoretti先生のリスニング本やらねば(もう4回目なんですけど)。

試験は3月6日、準2級は13:30からです。午前中から1時間半かけて金沢に行くのは大変だったので助かります。他の勉強法としては、TVとかで観光番組を見ると(イタリアに関するものは多い)百聞は一見にしかずですし、年末年始にやっていた『ローマ街道物語』(ヤマザキマリがゲスト、6回シリーズ)が役に立ちました。前に書いたラジオ(トーク系)も流すだけ聴いてみようかな。
学校からはYahoo! Italiaを読むこともお薦めされました。

『エピゲノムと生命』読了&『エピジェネティクス』へ。

ヨシダヒロコです。

お正月終わったと思ったら連休で、いつもより少し手のかかる(原稿から起こす)仕事が割り増しできてます。最近は夜に雑用片付けていて、例えば片付け・掃除など。思わぬものが出てきます。

それで、去年だったか一昨年からだったか読み始めたエピジェネティクス関連の本、2冊目終わりました。ブルーバックスだから安いし、コストパフォーマンスのいい本です。ただ、図はどうしても貧弱になってしまいますが。

もともとHONZで薦めていて(下記)、仲野先生の『エピジェネティクス』の前に読む本として2回読みました。1回読んでも分かりにくいところが多々あったのです。夏から秋は専門書を読むのお休みしていて、11月末から残りの半分を読みました。しつこく読んでいるとラスト半分は分かりやすいし速く進みました。とは言っても、いろんな制御因子とか用語の数々、忘れましたけど。DNAとかゲノム周りの話はとりあえず複雑で謎がいっぱい、でも何か役に立ちそう(もう立っていると思う)と分かりましたし、不思議で面白いです。

DNAの一部にちょろっと飾りが付いたりなんだりするだけで、出なくなってしまったり逆に出てきたりする性質があり、がんや精神病、メタボリックシンドロームなどなど病気にも関係あります。わたしが読んでいる理由の1つがそれです。最初は誰かが「この分野面白い」と言っていたことから始まりましたが、今はわたしもそう思います。エピゲノム薬というのもあるし、iPSやクローンにも関係あります。例の騒動の前に出た本で、若山教授の名もあります。記憶にも関わることがあり、「アルジャーノン」もたとえに出てきていました。

9章中7章辺りから、今までの基礎的解説を踏まえて実例が色々出てきて楽しいのですけど、1つ「?」と思ったのは虐待(ネグレクト)をするマウスを作ると子に連鎖するので、人間でもそうではないかという結論になっていること。これはエピジェネティックな変化です。もちろん著者は「人間は成長するまで時間がかかるので救済策はある」というようなことを書いていますが、虐待についてはマウスの例がそのまま行くほど簡単な話ではないのでは(一例を挙げると、自分で気がついて役所に助けを求めるお母さんの話を福祉番組で見ました)という気もします。

『エピジェネティクス』は1章読んだところで、今のところ、今まで読んだ本の貯金もあるかもしれないのですがとても明快です。ただ、2章からいきなり難しくなるそう。

仲野先生はマスコミの人などにエピジェネティクスを説明するも、「難しいですねえ」と言われてしまい、「何か分かりやすい本ないか。なら自分が書こう」と。岩波文庫なので完全に文章だけで、これだけ読むと図がなくてイメージしづらいかもですが、文章が分かりやすいので期待できます。この先生は科学史というか、科学者などの伝記物が好物で、HONZでいつの間に「ミイラ取り」に回り、大村先生の伝記も受賞時にとっくに紹介済み(リンク)でした。

大阪弁でほんわかしたツイートしていらっしゃいます。Amazonレビューでは「高校生物の知識は必要」とあり、同意します。ついでですが、仲野先生は星占い師・ライターでファンが多い石井ゆかりさんとまで対談してます。「闇鍋インタビュー」ってのがあって、相手を何も知らずに会いに行くという。面白かったです。

本の前書きにあったのですが、「『エピジェネティックな特性とは、DNAの塩基配列の変化をともなわずに、染色体における変化によって生じる、安定的に受け継がれうる表現型である』などと、いきなり言われても、専門としないほとんどの人には何のことか分からないだろう。しかし、エピジェネティクスは、われわれの体の発生や成り立ちといった生命現象の根源的な現象に深く関与している」だそうです。

著者によると読み飛ばしてくれてもいいらしいですが、わたしは苦手意識があったし難しい分野と思ったので、この順で読みました。HONZで薦められていました。一番上の入門書を読んでいるうちに『エピジェネティクス』を含め次々出版されたのです。あと『エピゲノムと生命』にも言えますが、中身がぎっしりそうな割に新書なので安いですね。

『エピジェネティクス』を理解するために パート1 サイエンス通信番外編
『エピジェネティクス』を理解するために パート2 サイエンス通信番外編
『エピジェネティクス』を理解するために パート3 サイエンス通信番外編

上は『フェルマーの最終定理』や『暗号解読』など、理科系の翻訳家さんでは右に出る人がほぼいない、青木薫さんの軽妙で面白い文章です。

エピジェネティクス入門―三毛猫の模様はどう決まるのか (岩波科学ライブラリー)

佐々木 裕之

岩波書店

2005-05-12

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エピゲノムと生命 (ブルーバックス)

太田 邦史

講談社

2013-08-21

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エピジェネティクス――新しい生命像をえがく (岩波新書)

仲野 徹

岩波書店

2014-05-21

by [Z]ZAPAnetサーチ2.0

これは応用編と思いますが、去年だったかからうちにあり、最初開いても意味が分かりませんでした。今は少し分かる用語が出てきました。病気に分けて解説してありますけど、もうとっくに研究進んじゃっているのでは?専門書なので高いのが難点。

エピジェネティクスと病気 (遺伝子医学MOOK 25号)

メディカルドゥ

2013-08-31

by [Z]ZAPAnetサーチ2.0

2015年に面白かった映画(旧作含む、日本語、英、仏)。

ヨシダヒロコです。

(2016/01/06:映画を1つ追加しました)

12月30日に書いた話の続きです。

1.『かぐや姫の物語』
地上波で入ったので見られました。劇場公開の時行きたかったのですが。
かぐや姫は学校で習って、その後家庭教師などを(仕事として)やっているときに説明しましたが、こういう姫だったという解釈かー面白いな、と。感受性があって喜怒哀楽がはっきりした人に描かれてました。そのあと原作を対訳で読んだら前と印象変わったような。ブログ記事はここ

2.『思い出のマーニー』
またジブリで、また劇場公開を見逃して地上波です。元々はイギリスの原作です。地道な印象ですが、最後はいろいろこみ上げてくるものが。養子の主人公が養父母になじめないという設定はそういうことよくありそうですが、孤独なヒロインの前に謎の金髪の女の子が現れて、すごく親しげにしてくる。この人一体誰?という話です。身内の、家庭環境が複雑な男の子がしみじみよかったと公開時に言っていました。今知ったけど、マーニーの声有村架純ですか。よかったです。

原作はこちら。北陸出身の有名な翻訳家さん、越前先生を中心として急ピッチで訳されたのですが(確か他にも新訳された本があったはず)、「なぜ北海道の設定をイギリスに変える」と謎の苦情が来たとSNSで読みました。

新訳 思い出のマーニー (角川文庫)

ジョーン・G・ロビンソン

KADOKAWA/角川書店

2014-07-10

by [Z]ZAPAnetサーチ2.0

3.『毎日かあさん』
戦場カメラマンだった故・鴨志田譲と奥さんだった漫画家・西原理恵子、その子供たちの物語を、実際に元夫婦だった永瀬正敏と小泉今日子が演じます。鴨志田さんの闘病生活も描かれ、家族の物語は『毎日かあさん』という毎日新聞連載のマンガになったんですが、この話の頃までは読んでました。高知出身の西原さんが「高知の女はよく働き、男はろくでなしとかヒモ」みたいに描いていたのを以前よく読みました。エンドロールの写真を誰が撮っているか、よく見てみてください。

4.『パレードへようこそ』
5.の映画とはしごして、ミニシアターで見ました。イギリスの炭坑映画には外れがありません。これは60年代終わり80年代に坑夫のデモが吹き荒れたときにLGBTのグループが支援し、坑夫のみんなは最初は偏見があったけど結局いい仲間になったという話なんですが、話はそう簡単にいかずいろんなことがあります。実話ベースの話です。実話といわれても脚色あるだろうから100%は信じないですが。結構笑えます。

オフィシャルサイト。
http://www.cetera.co.jp/pride/

5.『パリよ、永遠に』
これは気になってあとでオークションでパンフレット買いました。史実に基づいているし、パンフレット売り切れだったし(さすがにもうないかも)。パリ破壊作戦をナチスが計画していたなんて知りませんでした。その破壊を命じられ、パリに来たばかりの司令官と、それを部屋に来て止めるよう説得をするスウェーデン総領事のやり取りがずーっと続くという話です。2人ともフランス人&フランス語なのはご愛敬ですが、こういう年配の大物俳優をWキャストでを回すって、日本人はあまりやらないかも。しかも監督はドイツ人でした。パリが特に好きというわけではないですが、話に興味を持ちました。「ドイツ-フランス合作」というの、いいですね。

オフィシャルサイトはここですが、今ダウンしてる?
http://paris-eien.com/

(2016/01/06:映画を1つ忘れていました)

6.『インターステラー』
ちょうど1年ほど前、上映終わり頃に見に行きました。できるだけ大きな画面をお薦めします。この映画には相対性理論が沢山出てきますが、去年のノーベル物理学賞は物理学の常識を変えたといわれるもの。映画監督も興味あったでしょうね。これを見てからSF映画も見ようと思ったのですが、まだいろいろ消化できていません。星や宇宙空間、惑星などがきれいです。ブログ記事はこちら