放送大学大学院科目『異言語との出会い――言語を通して自他を知る――(’17)』受講感想と単位認定試験(2018/07/28)(追記あり)。

ヨシダヒロコです。

Photo by Wendy van Zyl on Pexels.com

学籍は院の方が長いですけど経済的理由で休学もあり、来期はなんか疲れたので一学期学籍をなくして休む予定です(面接授業の関係で学部優先して取ることにしました)。今まで受けた大学院科目は3教科でみな深かったです。

この科目は昨年の開講時から狙っていて、今年惜しくも行けなかった翻訳者のセミナーイベントの参考文献としても挙げられていました。わたしは受講始めた後、本当にこの仕事続けていいのか、受注もないし自信もなくなったという事態に陥りました。不思議なことに、この授業の視聴は(ラジオ講座)始めると最期最後まで聞きたくなりました。時に明け方船を漕いだ上寝落ちしてしまったりしても。言語が好きというのと翻訳好きで仕事としてやっていくというのは違うのかも、と思うようになりました。

言葉に関わるプロでなくとも、何かの言語が好きで勉強し続けている人とか、逆に日本語教授法など日本語に興味がある人にもお薦めです。

以下、各章でどんな話してるかを簡単に書きます。全員の先生が他にも放送大学の講義を持った経験があります。佐藤先生と大橋先生はいっちゃん入門の『英語事始め(’17)』ですよ。

1~3章は佐藤良明先生で、最初の方から主に英語と日本語のアクセント、リズムなどネット上の発音サイト(国、男女キャラが選べて固有名詞の発音調べるのに重宝しそう)で発音させて比較し、いろんなフレーズを先生自ら英日で発音してました。あまりに多様で楽しかったです。文法にも切り込んでいって、いわゆる「学校英語」の文法がどういう経緯でできたかのくだりはワクワクしました。

現在放送中の『リトル・チャロ』(1stシーズン)の監修された方で、この間から見てます。今まで見てこなかったけど人の琴線に触れる脚本で、特に動物好きだと泣いてしまうかも。

音楽に詳しい先生でもあり、そういう話も飛び出しました。この本は読んでみたいです。レビューで難しすぎるとメタクソ言われてますけど。他に柴田元幸さんと絡んだ笑えそうな本があり、なるたけ早く欲しいです。

4~6章は大橋理枝先生で、英語圏で博士号を取られてます。第二言語習得とか、いわゆるバイリンガルの細かい定義とか、セミリンガルという言葉が蔑称なので最近使わないとか、ピジン語、それが進化したクレオール語の説明がありました。横浜ピジン日本語(ピジンとはお互いカタコトのような言葉)の会話例があり、興味深かったです。クレオールまでいくともう言語になるわけです。

最近各国語の検定試験についてるCEFR(セファーとかセファールと読む)は例えば中学卒業程度の英語がA2とかいうランク付けらしいです(NHK語学講座の表による)。しかし、これを始めたEUは「複国語主義」(母語の他に複数言語を習得)を取っていて、アメリカも建前は「英語に加えて少なくとももう一言語」なのに、日本は英語一辺倒であるそう。CEFRも日本で何か違う使われ方しているよう。

7、8章はフランス語翻訳家の宮下志郎先生で、まるまる翻訳の話です。佐藤先生の時にもサイデンステッカー訳の『雪国』が出ていて原文と比較されていました。今度は『伊豆の踊子』のサイデンステッカー訳とフランス語訳で、逆に日本語に訳してみて細部を比べたりしてました。フランス語訳は注釈も多く原文に忠実です。サイデンステッカー訳はざっくりしています。訳者は川端に分からないところを聞きたかったのだけど、禅問答のようになって要領を得なかったそうで(『私のニッポン日記』)、でも英訳がなかったら川端のノーベル賞もなかっただろうと2人の先生ともおっしゃっていたかと。

他にも日本文学の翻訳が出てきます。イタリア語の須賀敦子さんがあったのはうれしく、谷崎潤一郎の訳でしたが(英訳と仏訳と並べて紹介してます)、初めてこういう形で原文と突き合わせて訳文を読みました。なんと先生のお知り合いで、講義の時間なくてあまり語れなかったようですが、「50歳を超えてから、その清冽な文体で一挙に読者を獲得したかと思ったら、あっという間に天に召された」と教材にはあり、授業でもしみじみおっしゃっていました。

(余談:2014年だったか、須賀さんの文学展に横浜まで行ったことがありレポを書いています。50歳くらいに博士論文出してたのを知り、ひえーすごいパワーだみたいに思ったのですが、その1年後くらいにわたしも勉強やり直してみたいと思うきっかけがありました)

他に、イエズス会が行った初めての翻訳『エソポのハブラス』(原語ラテン語、イソップ物語)の話も全然知りませんでした。世界に1冊しか残っていません。

9~11章は宮本徹先生で、中国語履修経験がちょっとばかりあってもここにある中国語は全然意味が分からないなと思ったパートです。現在は中華人民共和国になっている国は、世界史勉強した方ならお分かりのように、支配者がどんどん変わったり侵略を受けたりしました。その中活躍したのが「漢児」(かんじ)という北方由来の漢人を中心とする人たちで、いろんな形で支配者と近い位置にいて、言葉ができて重宝されたりしたという話です。北京語が共通語になった経緯もありました。お話聞いていると、本当に変化が激しかった国であることがすこしは想像できました。中国史が複雑で多少混乱はしましたが。

12~14章は滝浦雅人先生で、日本語文法の話です。翻訳語とはという話がありました。「恋愛」とか「社会」とか明治に入ってきた言葉です。日本初の国語辞書『言海』(明治初期)にもページが割いてあり、辞書愛の強い方は涙なしでは読めないかも?『言海』の大槻はじめ日本語文法の大家は複数いるんですけど言ってることが違うらしいです。「形容動詞」というものを学校で習いましたが、日本語の教科書見たり教えたりしたことある人は分かるとおり、「イ形容詞」「ナ形容詞」という言い方もあります。12章の参考文献に山岡洋一さんの『翻訳通信』があります。

15章は皆さん集まってワイワイとお話するという感じでした。試験の上で15章の印刷教材は大事ですが、全体読んでないと持ち込み可でも苦しいです。持ち込み可をうっかりして知らなくて、印刷教材は持って会場に来ていたのでやったーと机に出しました。記述式で模範解答はありません。

教室は他に1人かそこらしかおらず、もちろんこの科目で他に受けている人もいませんでした。予定が後ろ倒しになって、家で直前まで記述式の練習してました。提出課題(最低800字)のときは一ヶ所直されてA○でした。英語と日本語の文法がどう違うか、翻訳者としての感想を書いたのですが、先生はそこを評価してくださった上で「本当に面白いのは個別例の比較ですけどね」と書かれてました。先生のように文学じゃないので仕事の文章でそれはできません……。

試験の時にはそれならと、翻訳者やって経験した具体例を挙げて(詐欺、未払いなど)こういう面倒な目に遭い外国語での対処が必要になったことがあるとか、別の英語の勉強歴エントリ(小中学生)で書いたスウェーデン人文通友達のこととか、『ガラスの仮面』のオーディションじゃないけど「読む人に楽しんでもらおう」と思って書きました。800字をその直前とは内容変えて30分間かかりました。

部屋を出て、障害者の特別措置の手続きして帰りました。

本部によると、週末にいつ頃成績が出るか分かるらしいです。

続いての物理専門3教科ほぼ連荘の疲れ、最近までの暑さもありまだまだ休養は必要ですけど、今回もう仕事できないみたいになって、物事の本質がはっきりしたところがあります。しんどいでしょうと手を貸してくれた人もいましたが、こちらから見ると蹴られたみたいに感じさせた人もいました。

そんな状況の中、今振り返るとこの科目は砂漠でもらった1杯の冷たい水でした。お勧めポイントを書いてきましたが、テキスト買っての自習より、できれば履修したほうが先生とのやりとりで得られるものがあるでしょう。

先生に1つ質問があるので面白ければその内容と、成績はどう出ても追記します。

(2019/07/08)試験結果忘れてました。Aでした。仕事柄もう一声行きたかったのですが。システムが変わって、試験後には疑義などしか出せなくなりました。もっと質問しておけばよかった。他には物理の試験を受けてました。ちなみに佐藤先生のスペシャル講演か何かで『”リキミとブルース”の誕生』というのが今年出てきて面白かったです。

https://bangumi.ouj.ac.jp/bslife/detail/01348011.html

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