ヨシダヒロコです。
名匠・ケン・ローチのハートウォーミングな作品です。他の作品(「麦の穂を揺らす風」「ルート・アイリッシュ」→後者はブログにレビューあり)は救いがないのに、同じ監督の作品とは思えませんでした。
見たのは確か9月頃だったと思いますが、その後調子を崩し、治った後はいろいろと忙しかったので。
グラスゴー(スコットランド)に暮らすロビーは問題児で、300時間の社会奉仕を命じられる。しかしロビーにはガールフレンドがいて、妊娠していた。子供が産まれたロビーは人生をやり直そうと思う。だが彼女の親族には反対されるし、もう後がない。そんな中、保護司のハリーが気晴らしにみなを連れて行ってくれたウィスキー工場でロビーはモルトウィスキーに興味を持ち、教えてもらううちにテイスティングの才能がどんどん開花する。そんな折、「幻のウィスキー」がオークションにかけられることになった……。
題名の「天使の分け前」は原題ではAngel’s Share、そのままの訳ですが素敵です。モルトウィスキーが自然に毎年2%ずつ蒸発していくことをたとえて言っています。
この映画には欲得ずくの人とかも出てくるけれど、どうしようもない悪役というのがいないような気がします。なんかみな人間くさい。そして散りばめられたユーモアも心を和ませてくれます。
DVDはもう出ているみたいなので、レンタルできるのではないでしょうか。ケン・ローチの新たな側面を見た気になりました。こんな作品もこれから見たいです。
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天使の分け前 [DVD] 角川書店 2013-11-08 |
アマゾンレビューでは、「日本人には理解しがたい」との声もちらほら。まあ、言いたいことは分からないでもありませんが、イギリスイングランドより貧しいはずのスコットランドでは生まれ持った階級の影響がもっと厳しいことも想像が付きます。わたしはイングランド人からだけど多少その辺を聞いているせいか、比較的拒否感はなかったかな。楽しかったです。そういえばわたし、コン・ゲームものとか好きなんだった……。この映画はロビーの頭脳の勝利だと思います。