『地底から宇宙をさぐる――ニュートリノ質量が発見されるまで 増補新版』読了。

ヨシダヒロコです。

Facebookの機能で知りましたが、約1年前に買ったものをやっと最近読み終わりました。

梶田先生の恩師で、宇宙線研究所所長などを務めた故・戸塚先生の著書(更に偉いのが小柴先生)。2008年に、東海村J-PARCの加速器と協力した待望の実験を見届けることなく、がんで亡くなったそうです。この先生が亡くなったときに放送されたNHKのドキュメンタリーが2015年に再放送され、闘病中に書いたブログのことや(下に貼りましたが書籍化されています)、宇宙と自分の生と死を重ねながら(宇宙もいつかは死にますから)、自らの病を科学者として分析しつくした特異な方として知ることになりました。こういう方が自分から地理的にそう遠くないところで毎日研究していたんだなと。

去年神岡に行ったときに他の本も眺めました。口調が堅くないというか、どこか豪快な性格が出ていて親しみやすい語り口でした。この本もそうで、ニュートリノ研究の歴史や解説の中に研究生活の裏話を混ぜ込んで、戸塚先生の分だけで110ページほどですが読みやすかったです。学会で大御所に会った話とか、浜松ホトニクスの社長は「アタラシモノ好き」で小柴先生と意気投合し、そのころ日本の部品は使っていなかったころだったと。

戸塚先生の分だけで、というのは、梶田先生の授賞以降の2016年に、梶田先生の以前雑誌に寄せた短めの原稿を足して増補版として出版されたのです。師弟の共同作業的な本でしょうか。梶田先生がニュートリノ振動の学会発表をしたとき、神岡の道の駅「宙ドーム」に沢山貼ってあった岐阜新聞で読んだのですが、「(発表を)やれ」と戸塚先生に言われ、結果拍手が鳴り止まなかったそうです(拍手のことは、今の神岡施設長の中畑先生がおっしゃっていた)。

この本を読んでいて、p47にフランクリン・メダルの話があります。ある科学者がなかなか取れないという話なんですが、番組で先生の遺影の前に賞状があるのを見ました。「アメリカで最も権威ある賞のひとつ」と本文中にはあるのですが、検索すると「アメリカのノーベル賞」と出ました。先生が授賞したのは亡くなる前年で、日本でも「ノーベル賞が近い」と言われていました。梶田先生は、「ノーベル賞の定員は3人なのに、(先生の)1人分空けてくれた」とTVでおっしゃっていました。

本に書かれていることでリアルなのは、カミオカンデでの超新星爆発ニュートリノ発見の舞台裏です。今でもスーパーカミオカンデでは次の爆発を待っています。カミオカンデ建設についても最初から関わっているのでいろいろ書いてあり(今は坑道のそっち方面は封鎖されているようです)、ラストはスーパーカミオカンデ建設へ向けてとなっています。

語り口が気に入ったので時々また本を開くかもしれません。例えば、素粒子物理学者が「傲慢」という話をやはり外国人物理学者の講演で聞いたことがあります。先生は次のように書いています。

高エネルギー物理学がその後の40年間に手にした成果は実に目を見はるものがある。(略)1930年にローレンスがサイクロトロンで8万電子ボルトまで陽子を加速したのを思い出してほしい。60年後、陽子の加速エネルギーは1億倍、衝突エネルギーは1000億倍になったのである。ときどき物理屋が「俺たちがやろうと思ったことで、できないことはない」といういささか傲慢な言動を口にしても、どうか許してあげてほしい。加速器は物理学者が作り上げた機械のほんの一例だけれど、これだけの恐るべき技術的な進歩を実際にやり遂げたのだから(p28)。

これは一例ですが、とても魅力的な文章です。ブログは(2017/09/11 0:06訂正)Web Archiveにhttp://fewmonths.exblog.jp/ と入れるとThe Fourth Three MonthとしてWeb魚拓に一部が残っています。ご自分のいろんな考えも書いていました。湯川先生や朝永先生のようにエッセイをたくさん書かれたらきっと一般の人にも広く読まれたような文章だと思います。

ブログの書籍化はこちらで、すでに持っていますが、素晴らしい写真が省略されているようで残念です。

このブログ書きながら書誌情報見てて気づいたのですが、余命が短いと分かっていた先生のブログからの本がもう1冊ありました。こちらは科学エッセイで、神岡町図書館の物理コーナーでも見かけました。「話し出すと止まらなくなるので、今日はこの辺で」みたいに書いてあって微笑ましかったです。

最近知ったのですが、静岡県人の先生を記念して、富士市の道の駅に「戸塚洋二ニュートリノ館」があります。HPは多国語展開で、英語のページや展示にも先生の可愛らしい似顔絵が見られます。プラネタリウムまであります。

表紙写真はスーパーカミオカンデと思いますが、大体の施設写真は写真が趣味の中畑先生が撮っているそうなので、クレジットはないけど弟子として参加しているのかも。

さて、やっと梶田先生のご本を買う番になりました。他に関連本は何冊かあります。小柴先生のは大分前にジュニア向けの本を読みました。現・東北大カムランドの鈴木厚人先生も書かれてます。

「ニュートリノは難しい」という人に。面白いのはこんなちっちゃな、重さがあったといって大騒ぎになるようなつぶつぶが物理の理論を変えるといわれていたり、宇宙の始まりを解き明かすかもといわれていることです。知らない間に飛んできて身体を通り過ぎている(山ほど)というのもミステリアスです。

4年前、右も左も分からなかった頃に神岡から鈴木洋一郎先生がお話に来られるというので、小柴先生のこの本を読みました。子供向けでも話をぜんぶ分かったわけではないけど「楽しかった」と思ったのはその時が最初でした。もう1冊、梶田先生受賞後に出た初心者用向けの本を貼っておきます。

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岩波新書『エピジェネティクス』ようやっと読了。

ヨシダヒロコです。

「エピジェネティクスが分かりたい!」と生物を履修してないわたしが4年ほど前に生物の大学学部の生物学教科書くらいから読み始め、一昨年去年と体調不良でなかなか読めず、もうちょっとでラストというところで力つきたりして、結局3回くらい読みました。3回目になるとさすがにページは進みますね。

著者はBSプレミアム『フランケンシュタインの事件簿 科学史 闇の事件簿』にもよくご出演の阪大医学部仲野徹先生。書評サイトHONZにもとうとう引き入れられて結構経ちます。

今まで他に読んだエピジェネティクス関連本はこんな感じ。HONZへの青木薫さんの寄稿(ここからパート3まで)に従いました。以下新しい順に過去ログです。

『エピゲノムと生命』読了&『エピジェネティクス』へ。

『新版 絵で分かるゲノム・遺伝子 DNA』再読。

『理系なら知っておきたい生物の基本ノート 生化学・分子生物学編』は文系にもお薦め。

岩波科学ライブラリー「エピジェネティクス入門 三毛猫の模様はどう決まるのか」を2回通読。

「基礎から学ぶ生物学・細胞生物学」ようやっと読了&今後の予定。

一番下リンクの教科書は羊土社のベストセラーで今は新版があるはずですが、ここまでしなくても上から2番目の高校参考書でもいいかも。『好きになる生物学』は大分前にクリアしてました。

今回の『エピジェネティクス』は、新書でコスパはいいです。ただ生物とかDNAとか知らない人がいきなり読むには適してないと思います。先生はこれ一冊読めば分かる本を書くつもりで書かれてますけど。新書だから図が少なくモノクロなのが唯一残念です。仕方ないけど。

目次。

序章 ヘップバーンと球根

第1章 巨人の肩から遠視鏡で

第2章 エピジェネティクスの分子基盤

第3章 さまざまな生命現象とエピジェネティクス

第4章 病気とエピジェネティクス

第5章 エピジェネティクスを考える

終章 新しい生命像をえがく

「エピジェネティクスとは何?」について先生の説明を、第1章から抜き出します。言葉が最初に発表されたのが1942年。「エピジェネティックな特性とは、DNAの塩基配列の変化をともなわずに、染色体における変化によって生じる、安定的に受け継がれうる表現型である」。ほ乳類や動物植物だけでなく、アカパンカビにもあるのだそうです。具体的には例えばDNAの塩基にメチル基がくっついて働きが変わってしまったりなどです。iPS細胞や同時受賞のガードン博士の実験は美しい、という言葉が最初数行のうちに出てきます。

2章はDNAなどの仕組みで完璧に「お勉強」だから難しいですが、ここがそこそこ分かると後が楽です。

エピジェネティクスが関係していることは第3章にありますが、ある種のネズミでのつがい特性、江戸時代にできた斑入りアサガオ、ルイセンコ学説、冬の寒さを記憶する植物、恐怖の記憶や学習、ミツバチのゲノム・女王バチになるには、育てられ方とストレス反応、マウスの毛色など様々な例が出てきて、先生がボケをかましているのが笑えます。難しい話だから和ませようとしているのか、「先生それ個人的感想……」みたいなのがちらっちらっと入っていて可笑しいです。医学史に強い先生なので、歴史的なことがちょいちょい入ってます。

3章にはトランスポゾンというゲノムからゲノムへと移動して回る遺伝子がトウモロコシから見つかったりなどの不思議な話もあります。他の生物からも後で見つかります。

4章は短く、その中ではがんのページが長くて一般の人が知っている病気だと白血病・生活習慣病が扱われています。他にまれな疾患3種ほど。

5章は4章に続いてエピゲノムという概念の話や、次世代シーケンサー(DNAの配列が早く読める)、三毛猫の雄の話やクローン羊ドリー、クロマチン免疫沈降法(新しい)、病気の話もしている。「あれもこれもエピジェネティクスに関係あると言いきっていいものだろうか」と自問自答もしています。

終章では、エピジェネティクス万歳!みたいな考え方とゲノムが基本的にすべてを決めるという考え方を対比して、先生の考え方を書いています。この分野を読みたかった目的ですが、統合失調症・双極性障害の発症にこのエピジェネティクスが絡んでいる可能性がある、ということはここで述べられています(双生児研究により)。PTSD発症に絡んでいるってどうなの?ということも書いてあります。分子メカニズム解析はここ20年ほどで爆発的に発達したけれど、生命科学の性質として各論ばかりになって複雑化し、分かりにくくなってしまうそうです。そういう時には各論にとらわれすぎず基本に戻りましょうと。

TVやTwitterなどで拝見するように、真面目だけどどこかほっとするキャラクターが出ている本でした。「今はまだそこまで分かっていない」「それは楽観的すぎる」みたいな曖昧な部分も残しつつ、色々説明してもらったなと。

新しい本では、たまたま出たばかりのアメリア会員の訳本なんですが、これが良さそうです。ただ、これいきなり読んで分かるのは素養のある人かと思います。エピジェネティクスは分かるの難しくて、自分もまだそこそこで、同じ本を複数回読んでやっと今の状態です。

生きものの身体は不思議だな、とつくづく思ったのでした。

五感で感じる化学(4)—モルって何?

ヨシダヒロコです。

前回はサイエンス界の大問題を取り上げてかなり脱線してしまったので、今回は普通に行きます。前の前に予告した通り「モルって何?」です。

他の連載 (1) (2) (3) (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12) (13) (14) (15)

この概念は高校化学の教科書では最初の方にあるのですが、わたし自身思い切りつまずいたというか。実はこれが分からないとその先かなりの部分が分からなくなってしまいます。自分がどうしたかというと、地道に教科書を読んで問題を解いて(計算です)、多分下のビデオにあるようなことを何となく理解したのだと思います。

アボガドロ数というマジックナンバーがあります。すごく桁の大きい数ですが、これがひとかたまりになっている、例えば「ダース」や「カートン」のような概念と考えてください、ということをどっちの動画でも言っています。

アボガドロ数の語源であるアボガドロという人は(ファーストネームはアメデオですが貴族なので本当の名前は長い)化学では超有名人で、トリノ出身のイタリア人です。次回どういう人だったのかを少し書きます。ここに写真が出ていますね。

The-Mole-2015

pdf欲しい方はこちらから。

http://www.compoundchem.com/wp-content/uploads/2014/10/The-Mole-2015.pdf

下の動画2つのうち、最初のスピーカーはプレゼンサイトTEDでも有名な人のようです。2つめは出所がはっきりしないですがイギリス発のようで、ものの例えに出してくるお菓子の違いが面白いです。

(TEDサイト https://www.ted.com/speakers/tyler_dewitt

この2つの動画では「モルとは原子のひとかたまり、その数を表すのがアボガドロ数。桁が大きいので10を23回かけたのは右上にまとめて書いてある」とあります。次回書こうと思っている周期表にも関係あるのですが、周期表にある数字は飾りではなくて、例えば「すいへーりーべ、ぼくの船」で6番元素である炭素には周期表で12と書いてあり、1モルが12gです。塩化水素(水に溶かすと塩酸になる=HCl)は1モルの質量がH=1.0、Cl=35.5なのでHCl=36.5gです。基本の基本はこんな感じです。なお、この1モルの質量(重さをきちんと表す言葉)は、教科書のもっと前で習う分子量と同じです。

また、「標準状態」と言われる状態があり、0℃、1気圧を指します。この状態で気体である物質は1モルの体積が皆22.4Lになります。この”L”はライフサイエンス分野では大文字になっていることが多いようですが、化学の教科書では小文字です。見やすくするために大文字にしました。

探したらこういう画像があったので、22.4Lがどれほどの大きさかお分かりでしょうか。

Un_mol_de_gas_ocupa_un_volumen_de_22.4_L

Description Español: Un mol de cualquier gas en condiciones normales de presión y temperatura tiene un volumen de 22.4 L
Date 26 October 2015
Source Own work
Author Viviana Rosalía Tello Mendoza

(スペイン語タイトル訳:標準気圧と温度にある気体1モルは22.4L

またモルに関連して、モル濃度(mol/l)という用語を翻訳者の方はよく見かけるかもしれません。モル数を水1Lとかで割ってあげればいいです。他に、化学反応式(たとえば2H2+02→2H2O)で表されるような化学反応はモルを理解しているととても分かりやすいです。

今書いたような話を英語で読んでみたい人、カリフォルニア大デイヴィス校が教育目的でこんなテキスト出しています。他の部分も基礎の確認に使えそうですね。

https://chem.libretexts.org/Textbook_Maps/Introductory_Chemistry_Textbook_Maps/Map%3A_Introductory_Chemistry_%28CK-12%29/10%3A_The_Mole/10.06%3A_Avogadro%27s_Hypothesis_and_Molar_Volume

思い切り簡単なものがいいという方、にはこれ。ブルーバックスは他にもマンガを出しています。この「モル」の本は結構使えるのでは。計算がセリフで沢山出てきますが、手を動かして計算するのも大事です。他に違う漫画家さんで「化学史」の本もあります。

次回は「周期表、原子、分子とは?その1」です。

おまけです。

イタリアの動画で、タイトルは「うちでできるすごい実験8つ」。画面のセンスがいいので、ゆるーく見ていただければ。それはうちではなくてバカンス先では?ってのも混じってます。YouTuber 2人による作品らしいです。監修の方によるとうちでできない危険な実験が混じっているとのことで要注意だそうです。

監修:原典行(元東京工業大学大学院 物質科学専攻助教)

スーパーカミオカンデ(東大)、カムランド(東北大)が見られるジオスペースアドベンチャー申し込みは20日まで(2017/05/08~2017/05/20)。

ヨシダヒロコです。

ジオスペースアドベンチャーことGSAの抽選申し込みが行われています。わたしはしばらく考えて、もう申しこみました。下の画像にもありますが、開催は7/15、16です。

http://gsa-hida.jp/

 

 

GSA

今回行けたら、ガッタンゴーに乗りたいです。

http://rail-mtb.com/

 

イベント『アルマ望遠鏡でさぐるオリオン大星雲』(2017/03/25、大阪市立科学館)。

ヨシダヒロコです。

先日大阪に行った1番の理由はこれでした。ピーターラビット展(既に書いた)も魅力的だったのですが、頑張ればまだ名古屋展に行けるかもでしたし。このイベントは、一度行ってみたかった大阪市立科学館で、最近いろいろ結果が出ているチリのアルマ望遠鏡イベントということでしたので。今まで各地のイベントを「いいなー」と横目で見ていました。

この望遠鏡、チリの高山5000mほどにありますが、行く気になれば見学できるそうです。

わたしは前に書いたグランフロントのピーターラビット展から中之島に荷物持ったまま動いたのですが、中之島近辺はいろんな電車が通っていて、どれに乗ろうかまず迷い&悩み(もう時間になっていて焦りました)、乗って降りたら6時過ぎとかなり暗くて目標物が分からず、着いたら最初の登壇者を聞き逃してしまってました。科学館近辺はシーンとしており、来る場所間違えたかと思いました。

プログラムを順にあげておくと、

1.アルマ望遠鏡プロジェクトの概要:国立天文台チリ観測所助教 平松正顕氏

2.チリ・アルマ望遠鏡施設の紹介:国立天文台チリ観測所准教授 浅山信一郎氏

(チリからSkypeで中継)+所長さんもやって来て手を振ってくれました

3.オリオン座や南天の星空のプラネタリウム解説:学芸員 西野藍子氏(天文担当)

4.オリオン大星雲のアルマ観測最前線:国立天文台水沢VLBI観測所助教 廣田朋也氏

質問タイム

回線の都合か、2.が最後に来たのはラッキーでした。間に合ったから。

行ったときは学芸員さんの解説が最後らへんで、遠くを見る用の眼鏡レンズを注文してまだ交換できてなかったのですが、前に誘導してもらえました。

4.が間もなく始まり、「天文学者は望遠鏡を真っ先にオリオン大星雲に向ける」とか、研究を説明してもらった後に「これはオフレコ」とまだ発表していないデータが出てきたり、Sourceとsauceを説明するのに「2度付け禁止」の写真が出てきて、聴衆が受けたら「滑ったらどうしようかと思った、よかったー」と講演者が感想を漏らしたりしました。

2.は講演者がまず外にいて、朝8時で太陽が昇ってくるところ、同僚はこれから来るみたいな説明があり、何千メートルの高所で仕事をすると例えば日焼け止めは欠かせないなどのトリビアがありました。山頂(5000m)と山麓(2950m)に施設があるそうです。コントロールルームにもカメラが入り、研究者さんに質問したり。ちょっと前まで知らなかったのですが、米・欧と協同しているんですね。共通の言葉はスペイン語です。

質問は科学館側の意向か、子供の質問が多かったのか、まあ大阪の子供たちは積極的に手あげるなという感じで、「地球宇宙の歴史138億年ってどうして分かったんですか?」みたいないいところ突く子とか、星が好きで研究者になりたいとアピールする子とか面白かったです。そのアピールする子には研究者さんが「(研究者になるのを)待ってますよ」と答えてました。

資料などとお土産です。アンケートにはイベントを増やして欲しいなどと書きました。チケットは翌日行ったときの障害者割引入場券です。イベントは500円でした。

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(最近知りましたが、小中学校の先生方がリクエストしたら国立天文台の研究者さんが来て話をしてくれるというのがあるそうです。 ふれあい天文学)。

翌日待ち合わせの時間つぶしで昼間の科学館に行ったのですが、南部博士の展示を見ながら「これ、誰やろ」と突っ込んでいる男の子がいたので、素の富山弁で「ノーベル賞取った人やよ」と答えておきました(「誰やと思う?」としばらく考えてもらった方が良かったかも)。霧箱やシンチレーションカウンターをちらっと見てきました。半分遊園地のようで、その後会った友達も「あそこ大好き。子供連れてよくいったなあ」と。時間なくてよく見られなかったけど、子供を遊ばせる仕組みがあるらしいです。

また今度行って展示をよく見たいです。今はこんな展示をやっています。去年の賢治展は行きたかったなあ。ミュージアムショップも学芸員さんの書いた「薄い本」が沢山出ていたし、また見たいです。

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#今回、学生時代のユースホステル以来久しぶりに、最近都会に多いホステルに泊まったのですが、新しいところで若いスタッフが道案内の右左を複数回間違えたようで、夜の施錠後にまたコンビニに出て行ったら、危うく戻って来られないところでした。

サイエンスカフェとやま第23回『原子っちゃなんけ?』(ゲスト:新潟大大学院生 小林良彦さん、2017/03/19、富山まちなか研究室)。

ヨシダヒロコです。

2連荘でサイエンスカフェは初めてです。

ゲストの希望で急遽入ったサイエンスカフェだそうで、メルマガで告知があったので申しこみました。告知から時間がなかったせいもあり、お客は4人くらい、前日の天文台より更にこぢんまりしたカフェでした。ですが意外に話が盛り上がってしまい、学芸員さんが別の説明をしてくれたりして、たしか1時間くらいは延長しました。

小林さんはもう博士課程を卒業間近の院生で、専攻は原子核物理学(理論)です。あまりその分野の方から話を聞かないので現地でそう聞いて楽しみでした。わたしが興味を持っている素粒子とは立ち位置が違うようで、そこが面白かったです。

まず、チラシ。タイトルは富山弁で「原子とは何ですか?」です。同席した学芸員さんは物理が専門らしかったです。小林さんは新潟ネイティブではないですが、新潟ではこういう言い方はしないらしい。

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コーヒーを紙コップにもらって、飲み飲み始まりました。スライド3枚くらい付けておきます。

「原子とは?」を科学史的に順を追ってお話してもらいました。まず、研究対象である原子を見たことない、という話。

ブラウン運動というのが化学に(物理にも?)出てきますが、ブラウンが植物学者だったのは知りませんでした。花粉を水に浮かべると破裂してちょこまか動くのですが、石英やガラスでは?と調べるとどれでも動きました。アインシュタインが博士課程で興味を持ち、「アインシュタインの関係式」としてNA=6.02✕10^23(10を23回かける)といういわゆる「アボガドロ数」を考え、これをもともと言い出したのはアボガドロなのでその名前が付いていますが、実験で確かめたのはペランでした。

1905年にアインシュタインは5つくらい理論を出していますが、その1つがブラウン運動で、1908年に原子、分子の存在の論争が終了します。ですがボルツマンなどの原子論派と反原子論派(調べたらオストワルトなどだそう)の対立が激しかったため、ボルツマンは1906年に自殺していました。あと2年生きていたら、という話でした。ボルツマンの墓石にはS=k logWの式が書かれています。

ちなみに小林さんは国内の科学者の墓や関連史跡を訪ねるのが趣味だそうです。尊敬する科学者は仁科芳雄先生です。

(仁科先生、どこかで聞いたと思ったら放送大の『もう一度聞きたい名講義』で見てました。仁科芳雄記念シンポジウム(100周年)のときにルドルフ・パイエルス博士が『物理学に終わりは来るのか』という題で講演した放送があります。毎月スケジュールが大学HPに出ますので、また再放送があるかも。その中で仁科先生の略歴があり、理研で活躍され戦後大変な時期に代表者だった方と知ったのでした。下は略歴)

http://www.nishina-mf.or.jp/nishina-bio.html

ちょっとした実験もありました。無水エタノール100mlと水100mlをビーカーでよく混ぜると、200mlになりますか?という実験。子供向けの科学検定問題になっていました。

http://www.kagaku-kentei.jp/kodomonokagaku

魚拓

後半は元素の話(元素は原子の種類)、原子の構造でラザフォードやボーアが出てきて、キュリー夫妻やベクレルといった放射性物質の研究についても触れられました。元素といえば周期表なのですが、あとに書く新元素を含む最新のものが「一家に一枚」の周期表として手に入ります。無料です。スマホなどだと拡大できます。周期表も美しくできていますが、他にも面白そうなものがあるので(その前日に天文台でもらったものがあった)いろいろあるのを貼ります。

http://stw.mext.go.jp/series.html

錬金術は昔研究されたけど結局金は作れなかった、でも今ならできると。ニホニウムの前にあったウンウントリウムは仮の名だったそうです(何だろうと思っていた)。新元素は4つで他は欧米発。ニホニウムは不安定ですが、その先の物質に利用できるかもしれないとのことでした。ちなみに400兆回試みて、作れたのはたった3回だそうです。

『サイエンスZERO』に特集番組があります。「えっ、できてたの?」って感じだったらしいですね(去年再放送したそうです)。

https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2015061918SA000/

このお話の最後は、理研がなんと『113』というマンガを出していて、登場人物が何割か増しでイケメンになっているとのことでした。つい最近完結したそうです。

http://www.riken.jp/pr/fun/113/

(これ書いていると、ついでに森田先生のインタビューなど入った特設ページも見つけました)

http://www.nishina.riken.jp/113/

脱線しながら行ったので、良く覚えている質問といえば「原発問題が分かる本が知りたい」くらいでした。実は原子核分野の先生は本を書いていないのだそうです。もともと原子核はイメージが悪いし、書いたことでどうなるか。他の分野の学者さんも叩かれてましたし、と。素粒子は人気があって、「宇宙の起源を探る」というと受けるんですけどね、と言われ、その素粒子に興味があって掘り下げたかったわたしは「そういう見方があったか」と我が身を振り返りました。

もう1つ、学芸員さんが「わたしは時間は構わないけど大丈夫?」とMRIやCTの原理を説明してくれました。出席者の中にお医者さんがいて、学芸員さんも紙芝居で子供によく原理を教えていてその日も持ってきていたんです。知らなかったのですが、化学の構造決定でおなじみのNMR(核磁気共鳴)、原理がMRIと同じで、「核」と付くとイメージが悪いのでNが抜けていると。あとなんで3次元の絵が出てくるか、ホワイトボードとこんなの使って説明してくれました。このパズルは若い人の方が解くの早いらしいです。X、Y、Z軸方向に測定すると波線みたいなグラフが出て、少しずつ角度変えてまたかけて、それに「フーリエ変換」という魔法のようなものをかけるらしい。この魔法は前日の天文台でも出てきたのですが、また勉強しておきます。

2017-03-19 17_Fotor

院生の時に、「(NMR室には)磁気を持ったもの持って入らないでね。当たり馬券飛ばした人いるから」、「なぜか教授には娘さんが生まれることが多い」などの噂を聞きました。そんな軽口も聞きながら、まだ話が続いていたようですがもう夕方だったのでお暇しました。

わたしはたぶん半分くらいはここのサイエンスカフェに出てると思いますが、こういう緩くて延々話してるのは初めてでした。それはそれで面白かったです。あと、博士課程あたりの学生さんだったら十分専門性もあるし、現役ならではのお話も聞けるかなと今後に期待したいです。学生さんに少ないお金で準備させて喋らせていいのかな、という懸念がありますけど。

富山まちなか研究室は多目的スペースみたいなところで、壁がこんなのでした。

2017-03-19 17_1_Fotor

しばらくカフェをできなかったせいか、次はもう来週で『蜃気楼の不思議を体験しよう!』です。

http://sctoyama.jp/?p=2346

  • 開催日:2017年4月15日(土) 14:00-15:30

  • 会 場:紀伊国屋書店富山店(総曲輪フェリオ7階)

  • 参加費:無料(飲物はありません)

  • 定 員:20名(申込み順)

  • 申込み申込専用フォームに必要事項を記入してお申し込みください。

  • そのほか

    • 会場風景を撮影して動画配信や記録写真として一部を公開することがあります。

五感で感じる化学(3)――【番外編1】アカハラとブラック研究室が消え去る日はいつ?

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Photo: Classmates ironypoisoning via Visual hunt /  CC BY-SA

他の連載 (1) (2)  (4)  (5)  (6)  (7)  (8)  (9)  (10)  (11)  (12)

ヨシダヒロコです。

この連載は、本来化学の基礎を分かりやすくというものです。今回は、本当はラストに持ってこようと思っていたサイエンス界隈の問題2つのうち、予定を変更して化学のみならず、実験系の理系に特に多い問題を取り上げます。春先でちょうど人が動く時期ですし、まだ寒い頃にこんな署名集めが始まったからです。2017/04/02現在、当初の目的500名を達成して1000名を集め国に持っていこうとしています。

文部科学省と各大学にアカデミックハラスメント対策を徹底し,被害者の保護とケアを最優先するよう求めます

自らの経験、周囲で見聞きした経験からも言えますが、若い学生の将来が沢山これまで奪われてきました。全員やる気があったとして、行けるところに進んでいたらどうなっていたでしょう。後ろの方にリンク貼りますが、わたしもその被害者で学生時代から30年近く精神を患っています。途中で遺伝も半分くらいは絡む病であったと分かりましたが。

文系にハラスメントがないわけではありません。そのいやらしさは例えば、詩人・文月悠光(ふづきゆみ)さんの書いた「詩人と娼婦」問題(「私は詩人じゃなかったら「娼婦」になっていたのか? 」(リンク))に出ていると思います。今は有料記事になっていますが。セクハラしている方が文学的な問題とはき違えているところがすごくいやらしいです。

学生を追い詰める「ブラック研究室」の実態
http://newswitch.jp/p/8290
魚拓
家庭教師や塾教師をしていたとき、お母さん方が「資格で安泰に」「手に職」のようにおっしゃることがよくありました。自分ができなかったことを子供に代わりにさせようというお母さんも。でも、それで本人の意に反して理系にやるとすれば、お子さんをひとりの人間として見ていないことになります。これから書くような悲惨なことも起こりかねません(自分から「行く」というなら問題点を教えた上で行ってみれば、と言うのもいいかと思います)。

また、翻訳者には文系出身で専門知識がないことに悩む人が多く、理系出身は少数派です。何か理系を「打ち出の小槌」のように「なんでもできる」と勘違いする方もいます(翻訳会社にもいます)。人によっては死人が出んばかりの過酷な目にあって卒業しているのに、嫉妬なのか無知なだけなのか、無神経な言葉の対象にされることすらあります。今までいちいち言ってきませんでしたが、理系の実態は最悪の場合こうなる(=命がない)なのです。実は上に挙げた文月さんは、「詩人」という肩書きについてくる偏見についてエッセイで書いていて、「理系」と何かが似ています。

冷静なイメージがあり冷たく見えようとも理系も人間ですから、研究室の上の人間が1ヶ月も罵倒すればご飯も喉を通らないし眠れなくなります。そこから「死」に向かうなんて簡単です。そうやって大学に行けなくなった生徒は、専攻によっては珍しくありません。論文を人質に取られハラスメントされることもあり、そうすると卒業ができなかったり危うくなったり、手柄を取られたりすることだってあると聞いています。された方は泣き寝入りしかできなかったのではないでしょうか。

そうやって噂になるのが「ブラック研究室」ですが、誰も何もできません。入ってから分かっても配置換えできたらいいのですが。Googleで検索してみたらこうなりました。

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「アカハラ=アカデミックハラスメント」という名前は実はかなり古いですけど、そう呼ばれる前からこのハラスメントはありました。例えばいじめが学生時代にあって、いじめられた方はずっと引きずったり進路が狂ったりするのに、いじめた方はしれっと普通に家庭持ったりしているというような理不尽さと同様のことが起きています。

なお、アカハラは教員間にもあり、中間管理職的な教員がもっと上から受けるものもあります。

わたしがいわゆる「専門知識」(たった学部並みですが)と引き替えに得たのは健康を長期にわたって害し、就職も逃すという結果でした。きちんと就職もしたかったし、やりたいことをやれるだけの体力も欲しかった。ですが(2017/05/23追記:修士に)進学したときに不況に入ったということもあって、卒業も就職も叶いませんでした。それを何も知らない人は「理系でいいねー、うらやましい」と言います。何とか卒業はしたくて(その後修士に進んで出ないとやりたいことができないため)、這うようにして学校に行きました。うつ症状が出ると朝がとても辛くなるので、這うというのは誇張ではありません。

進学を控えた、特に理工系や生命科学系の学生さんは、そういうハラスメントがあり得ると前もって知っておくだけでも少しは違うかもしれません。同じ研究室で朝から晩、深夜まで(朝まで?)閉じ込められていると面倒が起きやすいようです。研究室にいる時間が自分の経験では10時間くらいで普通でした。病気していたから無理できなかったですが、頑張れる人はもっと残っていました。

Classmate - Patrick_and_Mike

“Classmate – Patrick/Mike” by Marck Schoenmaker is licensed under CC BY 2.0

他のブログで読んだ対策案へのつっこみです。

1.研究室訪問:やらないよりはマシですが、それで全部は分からないと思います。わたしは修士に進むとき当時自分の大学からはあまり行われていなかった大学を替わるということをやったので、3校6講座の先生に約束取って会いました。一番話しやすかったのが最終的に決まった先生で、その予感は幸い外れていなかったのですが、世の中には最初はよくても裏表があったり豹変したりする人がいます。研究室はよく「あそこはきつい」とか噂が立つのですけど、今思えば自分が学部でいたところも事前に噂がありました。

2.ハラスメント相談室:人の話を総合すると、あまり役に立たないようです。既に削除されたTwitterによると、「相談したことを相手に漏らす」という相談室があるらしく、大学にもよるようですけど役に立たないと。他にセクハラ窓口の旗振り役が自らセクハラをしているというしょうがない話を読んだことがあります。

3.法テラス:下のリンク先にありますがわたしはDV調停離婚経験者で(有責側が調停起こしたと理解しています)、その後制度が法テラスに変わりました。一般的に弁護士に相談しようとすると役所などに法テラスを薦められます。証明しにくいものがアカハラやモラハラ(精神的ハラスメント、家庭だけではなく職場などにもある)の特徴だと思うので同列に書きます。

調停当時、弁護士さんによって対応はえらく異なりました。アカハラやモラハラの場合、証拠もはっきりしないのに大学という組織にケンカ売ってくれる弁護士さんは簡単にいますかね?DVでも精神的被害の訴えだけで勝訴したという話を聞いたことがありません。弁護士会などが犯罪被害相談ダイヤルを設けている自治体もありますが、常時開いていない場合もあり、うちの県では存在自体ほとんど知られていません。電話で訴えても先につながるとは限りません。

アカハラを受けて、裁判で勝訴したという例もあります。

http://thelancet.com/pdfs/journals/lancet/PIIS0140-6736(05)71533-6.pdf

(なくなったら困るので、ダウンロードしたもの。PIIS0140673605715336

試料などを持ち出され廃棄された日本人の女性研究者が勝訴した話で、2001年のLancetにあったものがなぜかその近辺だけpdfで見つかりました。証拠があったからこその勝訴ではないかと思います。

ブログ主のアカハラ体験で、この10年超ブログ書いたうちのトップ5には入っている記事です。

アカハラ被害体験とそこからの救済について(長いです。2015年と17年に追記)。

最後にキャンパスでの性 被害の話です。入学時の歓迎会などでのお酒の強要、最近はアルハラとも言うらしいですが、さらにセクハラやそれ以上の被害がこれから増えるのでしょう。深刻な被害もあるので書いておきます。今まで大学内の性 被害は表に出なかったのが変わってきました。去年大学内での性 犯罪摘発が多かったのは単に被害者が訴え出られるようになっただけだと思います。酒の席でなくとも性 被害はありますが、もしも被害に遭った時のことを考え次に書いておきます。
(性 暴力の定義を注釈として最後に付けます)

あまり知られていないようですけど、性 加害者で一番多いのは「夜道の見知らぬ人」ではなく「友人・知人」で80%(最後の注釈参照)を超えます。つまり、ほぼ泣き寝入りだと言うことです。わたしは大学外での被害者ですが、身近なケース2件だったためそれが被害だと気づくのに10年くらい遅れ、気づいた後パニックを起こしたりしました。
都道府県ごとに被害の後処理が1ヶ所ですむワンストップセンターができつつあり、病院や警察で何回も被害状況を話す必要がありません。東京の「レイプクライシスセンターTSUBOMI」は、時効がきている件でも3回まで電話で聞いてくれます(被害者センターも各地にありますが、相談可能かはケースバイケースのようです)。全国のワンストップセンターは以下の通り。
http://purplelab.web.fc2.com/onestopcenter.html

悲しいですが訴え出ても相談しても2次被害があります。新入学のみなさんに言いたいのは、お酒ってうまく使わないと一番メジャーなドラッグですからね。泥酔させられ被害に遭ったケースが昨年大きく報道されたものではほとんどでした。しんどいのなら一気飲みは断るのが身のためです。命にも関わりますし。仲がよい人ではなかったけど、同級生が1人急性アルコール中毒で亡くなっています。
酒が絡んだ性 暴力などの参考意見を医師のツイートやブログから注釈に張りました。

最近の強 姦罪改正で、男性に対する性暴力も認められるようになりました。ちなみに米有名私大も強 姦被害がひどく、オバマ前大統領がどうにかしようとしたくらいでした。
法律の改正点はこんな感じです。
現行刑法は「男尊女卑の発想」 性 犯罪刑法改正、残る論点は
https://news.yahoo.co.jp/byline/ogawatamaka/20170315-00068739/
なお、学内でもデートDV、ストーカーがあり得ます。

そういうわけで、この時期入学したり研究室に配属されたりする学生さん向けに各種ハラスメントについて書きました。将来的に進む方にも参考になればと思います。いや、大学でのサバイバルも大変ですね。何か「こうすれば逃げられる」という手立てがあれば良いのですが、今回のテーマは詰まるところ「暴力」で加害者にはまず実感がないため、気がつかないうちに「自分が悪い」という方向に追いつめられる被害者も十分考えられます。まずは気がつくところからかと思います。

注釈:

性 暴力の定義は日本福祉大のHPでこんな感じです。恐らくほとんどの女性は被害経験があるでしょう。

※キャンパス・セクシュアルハラスメントとは
相手方の意に反した性的な行為や言動そのもの。また、それによって、学業や大学業務を遂行する上で不利益を与えたり、学業や就業の環境を著しく悪化させてしまうことを指します。
※性 暴力とは
レイプや痴漢行為、のぞきなどの明らかな犯罪ばかりではなく、相手方の意に反した肉体的な暴力あるいはことばの暴力によって性的関係を強要したり、間接的に性的接触を行うなどの犯罪的行為を含みます。
—–
知人・友人からの被害80%のソースは以下の通り。

性暴力の8割「知人から」…被害者支援の弁護士「自分を責めないで」(弁護士ドットコム)
https://www.bengo4.com/c_1009/c_1198/li_328/
魚拓

子の性暴力被害なくそう 大津のNPO、小中学校へ出張講座(京都新聞)
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20170327000021

魚拓

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医師の意見

日付をクリックして付いたコメントも見てみることをお薦めします。

河野美代子のいろいろダイアリー
http://miyoko-diary.cocolog-nifty.com/blog/2017/04/post-e617.html

魚拓
この先生のおっしゃることその通りで、被害に遭うとなぜでしょうね、被害者がいろいろと責められます(女性が被害者の場合、女性にまで)。なにか社会的に性 被害を生み出す土壌があるのだろうと考えています。
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今回のおまけ:陰鬱な内容だったので、最後に綺麗な話題を。院生の時先輩が紹介していた「生物発光」という現象。ホタルとかホタルイカなどがそうです。バイオで検出に使いますが、近所の大学でバイアルの中で光るのを見せてもらったことがあり、とても美しいものでした。

Firefly

Photo: Firefly Mr.k_Taiwan via VisualHunt /  CC BY-NC-SA

監修:原典行(元東京工業大学大学院 物質科学専攻助教)

サイエンスカフェとやま『明るさの変わる星――激しく変光する星を追って――』(渡辺学芸員、2017/03/18、富山市天文台)。

 

ヨシダヒロコです。

この次の日は天文台の親玉である科学館主催のささやかな物理のサイエンスカフェがあり、面白かったのでまた書きますが、今回はずっと行きたかった天文台に昼間なので家族に送ってもらえたのが嬉しかったです。地理的には近くても、運転を控えているので特に夜には交通手段がなくて。

富山市天文台

呉羽のコミュニティバスには頑張って欲しい。わたしはノーベル物理学賞発表前にもうここでする事が決まっていたニュートリノ関係のカフェに申しこんでいて、受賞後のカフェ当日、天文台から帰る最終便が土曜日は運休(タクシー代もなかった。田舎は高いのです)ことに最寄り駅で気がついて帰るしかなかったことありました。

そんな因縁の(?)天文台。車だとあっさり着き、結構鬱蒼とした古洞の森の中を10分ほど歩きます。春になって外出がしやすくなっていて、森の中は空気が綺麗な気もし、まだ水鳥がいて池で鳴いていました。こんな看板もありました。

入るとサイエンスカフェは始まったばかりで、春休みなのか親子連れが2組くらいと個人がちらほら。こじんまりしていましたが却っていい感じで、自身変光星の観測を長くしている学芸員さんのお話でした。

2017-03-18 17_Fotor

変光星は2つの星が近くで回っていて、片方が隠されるため明るさが周期的に変化するものがあり、そのタイプでは、別名「悪魔の星」と呼ばれる北斗七星のアルゴルが有名だそうです。以前星を知らずに天文台に勤めた人が、2年で「今日はアルゴルが暗い」と分かるようになったとか(肉眼です)。

変光する星にはいろいろな場合があり、爆発する前かもとか、カシオペア座で何か星でない物体が通った?(『コズミック☆フロントNEXT』でその謎の物体の話を見たような)など紹介されました。『コズミック~』はこの天文台も含め、かなりいろんな天文関係者に取材してるんですね。

はくちょう座のデネブや(太陽の200倍くらい大きい、遠い星)、オリオン座のベテルギウスは何が起こるか分からず、天文学とは何が起こるか分からない学問だそうです。例に挙がったのは他におうし座T型変光星、くじら座ミラ、はくちょう座カイ星などで、データを長く取ると変光の度合いが変わることがあるそうです。

変光星に限らず、天文学はアマチュア天文ファンの活躍が大きいのですが、変光星は日本人が多くを発見しているそうです。富山のように天気が悪い地域だと無理ですが、天気がいい地域では愛好家の会社員が屋根などにカメラをセットしてつけたまま寝る、起きてPCのデータ解析(ソフトは無料)という二重生活のようなことで探索していくそうです。東北の方で、天気悪いから群馬に観測所作った方もいるそうです(データは東北に飛ばす)。グループでブログに成果を発表して競い合っているそうです。

途中で、中学生くらいの女の子2人がどうも納得いかないことがあるらしく、ホワイトボードを出してもらって、2人でああたらこうたら絵を描きながら意見を交わしていたのが微笑ましかったです。

渡辺学芸員がお好きなのは激変星という明るさが激しく変わる星です。このサイエンスカフェの数日前に鹿児島の前田さんが発見したうしかい座OV星があるそうですが、検索して裏が取れませんでした。

サイエンスカフェの他には富山県天文学会会員の写真展があったり、ブラックホールのプラネタリウム(規模は小さいけど光ファイバー使った綺麗に光るドーム)があり、時間の関係で春の星座を省略し、学芸員さんにブラックホールのことで少し質問してました。

他に、展示写真がすごいので撮り方の質問もしました。わたしのCanon EOS Kiss X50は月には向いてないとメーカーに言われた気がするのですが、星を撮る方法や使うべきレンズがあるらしいのです。

望遠鏡は結構大きいのがあって、昼でも天気よければ観測があります。この日は残念ながら曇りでした。

デジカメで天体を撮るとかいろんなイベントをしているので、また森を歩いて、夜にゆっくり行ってみたいなあと思った1日でした。これから季節もいいですし。

gacco『解明:オーロラの謎』 (東北大大学院理学研究科、小原教授)スピード修了。

ヨシダヒロコです。

オーロラを美しいと思う人は沢山いますし、わたしもそのひとりですが、どうしてあんなものができるのか考えてませんでした。きっと圧倒されているからでしょう。

この講座ではビジュアル(NASA、ISS国際宇宙ステーション、JAXA、カリフォルニア工科大、国立天文台など)を多用し、理屈の上でオーロラがどうやってできるのか、どうやって調べたのかをざっと教えてくれます。ISSはたまにInstagramで綺麗な写真や動画を見ていましたが、地球のオーロラ映像では特にリアルで好きです。

gaccoからは昔受講失敗に終わった(時間がなかった)統計の授業以来メールをもらっていますが、今回東北大が講座に参加することになったらしく、「他にはどんな話が聞きたいですか」という事前アンケートがあったので迷わず「海の毒の話です(その界隈では有名ですし、とても不思議です)」と答えておきました。そもそも東北大がオーロラ研究をしていることを知りませんでした。

aurora_contents

Week1 オーロラの不思議

Week2 活動する太陽(ニュートリノと同じ話です)

Week3 惑星のオーロラ

Week4 望遠鏡と探査機で探るオーロラ

他に期限のある勉強や課題はあったけど、仕事もヒマだったしこれともう1つ取って始めました。正味5日(8時間強)ほどで終えました。英語圏でもCourseraやったことがあって、最後まで行けたのはとても少ないのですが、字幕も借りて理解できればとても勉強になると思います。現在2つほったらかし中で、そのうち何とかします。gaccoも同じMOOCというタイプの無料講座で、最長7分までのビデオの後にミニテストがあります。

磁力とかプラズマとか電子とか出てきますが、上に「惑星のオーロラ」とあるように、他の惑星にもあるんです。知らなかった。なんだか色々衛星飛ばしていますが、どんな仕事をしているかよく知らなかったし。

「知らなかったー、不思議だな」と思いました。続編あれば見たいです。

なお、画像は著作権が絡むのでダウンロードできず、先生の説明をテキストに起こしたもののみです。

しつこく言いますが、理系でも物理を入試に使っただけで最近までご無沙汰だった自分の成績です(問題見てからまたビデオをひっくり返したりしました)。ここ2年弱自習してます。

物理の話は難しいと思ったら映像眺めるだけでもいいかもしれません。期間は3月7日の終わりまでで、また開講されると思います。受講証って1科目では出ないみたいです。Courseraのように1科目でも出してくれるといいのに、有料でもいいから。

gacco

 

五感で感じる化学(2)――料理は化学だ!――朝ドラ『ごちそうさん』め以子の場合

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初めましての方もいらっしゃると思います。

ヨシダヒロコと申します。同姓同名が多いのでカタカナにしています。

「五感」と書いていますが、匂い(嗅覚)やさわり心地(触覚)は文章のみの表現になります。もし様々な障害などでコンテンツが感じ取ることができないけれど、もっと内容について知りたい方は、コメント等でお知らせください。なお、わたし自身は別のタイプの障害者です。

前回から時間が空きました。秋からBSで再放送している、杏主演の朝ドラ『ごちそうさん』を見ています。東から西に、またはその逆に移動してカルチャーショックにという話はよくありますが、このドラマはヒロインの東京の実家がやっている洋食屋がとってもおいしそうなのと(戦前なのに)、後に大阪に引っ越して以降も、知らない食べ物や文化がこれでもかと出てくるところがすごいです。商店街で相談して夕飯の献立決めたというの、うちの近所でもあったらしいです。

め以子は子供のときから食い意地の張った女の子でしたが、ある時料理に目覚めるときがきます。相手役の悠太郎(東出昌大)は長身で大阪人なので、め以子の女学校の友達に「通天閣」とあだ名をつけられてしまいますが、手違いで下宿生として住むことに。ある時め以子が科学の試験で追試を食らってしまい、ぜんぜん分からないので帝大建築科の悠太郎にお願いして教えてもらいます。それがとても面白い。

ごちそうさん10話「黄身と出会った」

www.nhk-ondemand.jp/goods/G2013051435SA000/

(NHKオンデマンドへのリンク)

ごちそうさん11話

http://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2013051436SA000/

ごちそうさん12話(ここが話の肝!週末の完結話)

https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2013051437SA000/

12話だけでもいいし、前2話くらい見たらもっと分かるかなと思います。前回予告で題名を「化学」と言っていたのですが、ドラマでは「科学」でした。ただどちらかというと料理は化学の要素が強いですので、タイトルはそのままにします。

お互いツンツンしていた2人が科学のあれが面白いといって盛り上がるのですが、それは悠太郎が「分からないところが分からないのでは」と図星を突いたことをいい(勉強が分からないときは往々にしてそうだと思います)、食べ物を例にして教え始めたからです。

例えば、ドラマ中でめ以子の父がスコッチエッグを半熟にしたいと苦労していましたが、ある工夫で解決します。そこには物理と化学の間くらいが絡んでいます。写真探したら、半熟スコッチエッグ(Soft-boiled scotch egg)はその工夫をせずともできるようですが、肉を多くしたかったらああなるのかな。

Scotch Eggs

iStock

他に出てきたのは、牛乳はコロイド(colloid)という粒子が浮かんでいて白く見えること。岩波理化学辞典によると、コロイドとは通常の原子よりも大きい粒子を形成している状態で、グレアムが見つけました。他にもタンパク質やデンプンなど多くの例があります。

Bottle and glass of milk

iStock

乳化(emulsification)も出てきました。油と水が混じることで、ドレッシングといえば分かるでしょうか(最近ノンオイルのものもありますけど)。マヨネーズもそうです。

italian_dressing

Wikipedia: ITALIAN DRESSING! HANDS OFF

パスタ料理を作る人はご存知と思いますが、シンプルなものほど難しいです。赤唐辛子とにんにくとパスタのゆで汁の塩味でほぼ決まるぺペロンチーノ(アーリオオーリオ)はうっかりしょっぱくなったり唐辛子が辛くなったりします(当社比)。乳化は大事とあるとき知って試していて、今回タブレットを持ちつつ撮ってみました。オリーブオイルのフライパンにゆで汁を入れて揺すって混ぜます。水と油が混じるのがうまく見えるでしょうか。

おいしい作り方のコツを教えている動画(10分)も見つかりました。乳化は3分20秒過ぎと6分過ぎから最後近くまでです。

参考:【失敗しない】美味しいペペロンチーノを作るためのレシピ科学

http://r.gnavi.co.jp/g-interview/entry/1768

魚拓

他に出てきたよくある現象はタンパク質の凝固(coagulation)です。卵はタンパク質でできているので熱で固まります。ベーコンエッグやハムエッグなら両方凝固しますね。

Hot fried eggs in a pan

iStock

め以子は苦手だった通天閣に好感を持つようになり、それはお互いなのですが、科学も料理もつながっていて生活に根ざしており、どっちも面白いと気がついたのでした。そしておいしいご飯を作るのに情熱を燃やすようになるのです。

ちなみにこの「料理は科学」、49話~54話の「君をあいス」で作った新メニューでも生かされます。

料理と化学に関して参考本。以前「大さじ2杯は何グラム?」などと言っている建築系の人がいて、なるほどそういう発想もあるかと。その人が選んでいた本がこんな系統だったかと思います。

http://www.seishun.co.jp/book/15812/

最後におまけ動画です。

次回第3回は「モルって何?」です。第1回にも書きましたがわたしも最初分かりませんでした。

監修:原典行(元東京工業大学大学院 物質科学専攻助教)