大隅良典栄誉教授、すずかけ台からのノーベル生理学・医学賞受賞おめでとうございます(2016/10/09、13、20、12/13追記)。

ヨシダヒロコです。

自分が修士の半ばまでいた大学からおそらく初めてのノーベル賞が出ました。おめでとうございます。写真は東工大トップページの英語版、日本語版です。誰が受賞してもその結果を楽しみにしようと思ってましたがびっくり。こういう場合、肖像権上の問題とかどうなるの……メール書いておこう。

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修士だけいて、病気で勉強も思うに任せなかったのでどんな先生がいらっしゃるのか専門の近く以外にはよく知りませんでした。文系があることは知っていましたが。一般にこの大学は大岡山と言われがちですが、生命理工学部は横浜のすずかけ台にあって、キャンパスは結構離れています。授業行くのに苦労したのを覚えていて、興味は持ちかけていた生命科学の雑誌(高校で生物を履修していなかったため。今は仕事のため独学中)眺めては「難しいなあ」と思っていました。雑草が生い茂っていたキャンパス、という印象がありましたが今はどうなんでしょう。

先生の研究室HPはこの通り。素敵ですね。ノーベル賞一報がでたすぐには、手書きのベンジャミンの絵があったのですけど。http://www.ohsumilab.aro.iri.titech.ac.jp/

オートファジーは今後勉強したいです。今年は去年のように説明できない受賞結果が多いので、とにかくリンクや書籍を集めてきました。

まず、サイエンスZEROで10/09日曜夜に特番です。再放送+オンデマンドあり。
http://www.nhk.or.jp/zero/index.html

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大隅先生は1年ほど前にもご出演です。この頃チェックしだしていたのですが、見たかどうか忘れました。かなり新しい結果や第一線の先生も出演して解説してくれる番組です。しかも一般向け。ネコについてとかもあります。

NHKオンデマンド | サイエンスZERO 「長寿のカギ!? 細胞内のリサイクル“オートファジー”」
http://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2015061892SA000/?capid=sns002

大隅良典栄誉教授 ノーベル生理学・医学賞受賞記者会見を開催 | 東工大ニュース | 東京工業大学
http://www.titech.ac.jp/news/2016/036429.html

Honorary Professor Yoshinori Ohsumi wins Nobel Prize in Physiology or Medicine for 2016 | Tokyo Tech News | Tokyo Institute of Technology
http://www.titech.ac.jp/english/news/2016/036279.html

大隅良典先生のノーベル生理学医学賞2016受賞に寄せて | 東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻
http://www.bs.s.u-tokyo.ac.jp/news/2016nobel.html

大隅良典名誉教授のノーベル賞受賞決定を受けて、元基礎生物学研究所長・元岡崎国立共同研究機構長 毛利秀雄名誉教授の寄稿を掲載いたします
「隣のおじさん-大隅良典君(ノーベル生理学・医学賞の受賞を祝して)」
http://www.nibb.ac.jp/pressroom/news/2016/10/07.html
この文章一番お勧めです。

ノーベル賞大隅さん「細胞の自食」解明…がん抑制期待
(写真11枚)
http://mainichi.jp/graphs/20161003/hpj/00m/040/004000g/1

大隅さん「洗濯機のCMと紛らわしいと言われたことも」(会員登録)
http://www.asahi.com/articles/ASJB42R1FJB4UBQU00F.html

上記事魚拓

教えてもらいましたが、”fuzzy”でなくて”phagy”と全然スペルが違うそう。日本語の発音は同じです。

大隅良典氏オートファジー研究をリード(2014/04/03)(会員登録)
http://mainichi.jp/articles/20140403/mog/00m/040/999000c

上記事魚拓

「私と科研費」
https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/29_essay/no78.html
本来は補助金とは知りませんでした。皆あんなに必死になっているのに。

ノーベル賞・大隅教授「年間100万円あれば、やりたいことを進められる研究者がたくさんいる」http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161005-00010000-nkogyo-ind

上記事魚拓

ノーベル生理学・医学賞を受賞大隅良典氏の会見(全文1)少年時代からの夢
https://thepage.jp/detail/20161004-00000002-wordleaf
ノーベル生理学・医学賞を受賞大隅良典氏の会見(全文2)競争好きではない(有料)
https://thepage.jp/detail/20161004-00000001-wordleafk
ノーベル生理学・医学賞大隅氏の会見(全文3完)役に立つという言葉は問題(有料)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161004-00000002-wordleafk-sctch
PageはYahoo! Japan系列で、1ヶ月648円、Yahoo!プレミアム会員だと540円の有料です。

「日本に必要なのは、社会全体でサイエンスを支えるという意識」- 東工大・大隅良典 栄誉教授 (1) 細胞の自食作用「オートファジー」とは
http://news.mynavi.jp/articles/2016/08/02/ohsumi/

【 #ノーベル賞 】「この先、日本人研究者は受賞できるのか?」 科学界に広がる悲観の背景
https://www.buzzfeed.com/satoruishido/no-be-ru-shou-ko-no-senjitsu-bon-bito-kenkyuusha-ha-jushou-d?utm_term=.ifpVJAzX1

実験医学500号(2012年8月号)特集「世界を動かした生命医科学のマイルストーン」より
小さな細胞から見えてきたオートファジーの世界
[著]大隅良典
https://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/articles/9784758100861/yoshinori_ohsumi.html?ad=g_a1
「はじめに」のところ、わたしも子供たちが身近な生き物に接する機会がなくなったと感じています。小さい頃、野原で草花を摘んだり虫を捕ったりで、遊びながら沢山学びました。今は公園が芝生なことを危惧していた方もTwitterにいて、まったく同感です。雑草植えたらいいのに。学問的な文章の意味が取れない人でも、最初と最後は読んで欲しいと思います。

あまりにも異常な日本の論文数のカーブ
「ある医療系大学長のつぼやき   鈴鹿医療科学大学学長、前国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog 」
http://blog.goo.ne.jp/toyodang/e/26f372a069cbd77537e4086b0e56d347


(2016/10/13 8:48記事いくつか追記)

新聞を読んで/ ノーベル賞受賞に浮かれている場合ではない・・・日本の研究は実は危機的状況に – 隗より始めよ・三浦淳のブログ

http://blog.livedoor.jp/amiur0358/archives/1061614317.html

上記事魚拓

<ノーベル賞>日本人の女性研究者が出ない理由
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161009-00000007-mai-soci

上記事魚拓
私の研究は科研費に支えられた(大隅氏)ノーベル賞に導いた総額18億円
オートファジーのすぐ後に科研費ゼロだけど?お役所の姿勢が見えますねと指摘してた人が。
https://newswitch.jp/p/6415

上記事魚拓


(2016/10/20 8:09さらに追記)

「ノーベル生理学・医学賞受賞の大隅良典氏に単独インタビュー 『このままでは日本のサイエンスはダメになる』」 (会員登録)

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201610/548515.html
「【会見での質疑応答】ノーベル生理学・医学賞受賞の大隅良典氏 オートファジーって何? 疾患とのかかわりは?」 (日経メディカル・会員登録)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201610/548490.html
「NASH、放射線防護、神経変性疾患 5分で分かる!オートファジー研究の最先端」 (会員登録)
5分は盛りすぎです。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/nishimura/201610/548533.html

ブログ『天漢日乗』「2016ノーベル生理医学賞 大隅良典東工大栄誉教授が受賞! ついでにいうと総合研究大学院大学名誉教授」
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2016/10/2016-3deb.html

ノーベル生理学・医学賞2016 大隅良典栄誉教授 | 東京工業大学(特設サイト?)
http://www.titech.ac.jp/nobel/

以上追記。


オートファジーを簡単に説明している記事がありました。この記事はほとんどインタビューです。

大隅さん会見「ノーベル賞には格別の重さ感じる」
http://www.asahi.com/articles/ASJB36RCDJB3ULBJ02C.html

上記事魚拓

――オートファジーを知らない人に説明してもらえませんか。

私たちは毎日、70~80グラムのたんぱく質を食べているが、たんぱく質を分解してアミノ酸という原料にしている。私たちの体内では300グラムくらいのたんぱく質が作られている。どこから来るかというと、私たちの体内ではたんぱく質が壊れてアミノ酸になって再利用されているよということ。

例えば、海で遭難した。1週間、水だけで生きた。たんぱく質合成を止めているわけではない。たんぱく質を分解しながら再利用するシステムなんだ。たんぱく質を食べて、再利用している。作っては壊し、作っては壊しを繰り返して、生物はある。

(2016/10/09 9:52追記:奥様は共同研究者だったそうです)

大隅萬里子先生の共同研究がノーベル賞を受賞| ニュース | ニュース | 帝京科学大学
http://www.ntu.ac.jp/topics/news/2016/10/05201411.html

一通り報道読ませて頂きましたが本当に謙虚な方で、お酒は大好きという茶目っ気があったりして。でも今の大学のあり方になるとここまで公の場ではっきりものを言う先生も珍しく、次に何を言われるのか楽しみだしもっと言って下さいと思います。学問が「役に立つ/立たない」でまた議論がありました。今まで長いことノーベル学者がもの申すということがあったのですが、事態が逼迫(ひっぱく)しているんだろうかと思います。

そこに天皇陛下がやはり生物学で、手間はかかっているが(タヌキ相手ですから)何の役に立つか分からない論文を出されました。変に研究が役に立っては困るという事情もあるんでしょうけど、天皇家は生物の研究者が多いし、陛下も何かの折りに興味津々で大隈先生を質問攻めにされたようなことを読みました。

最後に、大隅先生執筆、翻訳の教科書はあるのですが、一般に手の届きやすいものはお弟子さんの水島先生が一番人気のようです。『実験科学』には大隈先生も寄稿があります(今は紙版の在庫なし、版元に電子版あり)。

今後また本が出ることを期待しつつ、先生が幼少の頃影響を受けた本もあわせて紹介します。『ロウソクの科学』ってこんな素敵な装丁でもあったのですね。ファラデーは確か、クリスマス・レクチャーの創始者だったはず(クリスマスに子供たちに科学の講義をプレゼント)。最後2冊は子供でも読めそうで、もっと簡単そうなバージョンもあり。ただ現在は品薄だったり取り寄せだったりです。

(2016/12/13追記:17日から放送大学でお若いときの先生の講義を放送。BSあれば誰でも見られるはず)

2016年ノーベル生理学・医学賞の受賞が決定した大隅 良典 東京工業大学栄誉教授による講義の再放送について
魚拓

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KAGRA見学会当選&宇宙線研究所若手支援基金開設。

ヨシダヒロコです。

見渡す範囲でいろんな人が言ってますが、暑いですねー。早くもバテ気味で、自分の部屋の構造(西向きなど)のためか冷やし方が分かりません。気がついたら冷えすぎていたり。暖かいものも適宜取っているのですが難しい。看護師さんによると、湯船に浸かる他に足湯もいいそうです(自律神経の調整)。

そんな訳で、ブログに書くべきことも滞っています。

そんなわたしに、飛騨市からお手紙が来ました。応募していたKAGRA見学会に通ったというのです。周囲の食べ物屋さんガイド付き(「とんちゃん」が気になる)。まだ体調がどうなるか分かりませんが、富山からだと「特急ひだ」で1時間です。出たばかりで最近買った『重力波は歌う』も書影を貼っておきます。坑道は14℃、熱中症の危険もあり、「危険なところであることを承知の上」という書類に現地でサインします。この辺は山ですし、山行きの格好をしていくつもりです。

ハードそうな場所で、体調が整えばいいのですが……。納期が日程にかぶる可能性があるので、行けなかったらレポートできないかもしれないので、とりあえず事前情報の提供だけでも。ちなみにスーパーカミオカンデもこれくらいの時期に見学会をやっており、応募は5月頃らしいです。

もう1つ、年末に東大物理の早野先生とKAGRAと両方にごくわずかですが寄付をしました。時々東大基金から関連情報がメルマガで送られてきます。さっきもらったものから。

宇宙線研究所若手支援基金

リンク先をご覧になればお分かりと思いますが、若手研究者をサポートするための基金ができました。今の研究職は本当に不安定で、大学での正規の職にはなかなか就けません。ポスドク(博士研究員)などでチャンスをうかがうことになりますが、生活は不安定な有期雇用となります。しかも博士になるまでに時間もお金もかかっています。

昨日ネットをさまよっていて知ったのですが、スーパーカミオカンデで大事故があったとき作業で活躍したのは全国からの学生ボランティアで、多くが研究者となって戻ってきたそう。

すでに京大iPS細胞研究所の山中先生がそのような寄付を募っています。梶田先生も同じく、国に頼っていては未来がないだろうと判断されたのかもしれません。同じくノーベル化学賞学者の白川先生が「このままでは日本の科学はダメになる」というようなことをおっしゃっていたそうですが、確かに今出ている結果は20年前とかのものなのです(ニュートリノ関係のサイエンスカフェで、他国も含めたノーベル賞までのタイムラグを聞きました)。

その他、学術系クラウドファンディングのacademistとか、一般の人が気軽に「投げ銭」できるシステムがこれから流行ってくれればなあと思います。『宇宙における星形成史』に少し募金しましたが、80万の所500万弱集まるなどすごい盛り上がりようでした。

Nishiharaさんの新作、「研究室の藪の中」&剽窃と無断引用の違い。

ヨシダヒロコです。

1年前ほどに、「ポスドクと羅生門と蜘蛛の糸と杜子春。」というエントリを書きましたが、この時紹介した、芥川に題を採った優れた作品を書いたのは西原史暁(Fumiaki Nishihara)さんという方です。言語学の研究を以前なさっていた方です。まだ20代なのには驚きました。

この方が、今話題の「剽窃」(つまり「盗作」)についてしばらく前に新作を書かれました。Twitterが流れてしまってつかみ損ねましたが、他の作家でも作品を書いてらっしゃるそうです。


研究室の藪の中

概要
ある剽窃さわぎから発覚した捏造。しかし、それをめぐる関係者——特任研究員、ポスドク、助教——の言葉は一致せずに……。

言わずと知れた芥川の「藪の中」からの作品ですが、わたしはこれのみオリジナルを読んでいません。あ、青空文庫にあるかな。ラストの1枚の紙は怖かったですね。

もう1つ、Nishiharaさんは「無断引用」という言葉を使うのを止めよう、と提唱しています。確かに、引用は正当な範囲でなら誰がやっても著作権違反になりません。この辺のことは、昔Niftyの翻訳フォーラムで良く習いました。でも、じゃあこれからAll rights reserved.を訳せと言われたときにどうしようと思うのですが。

「無断引用」という表現はやめよう

概要
他人の文章を自分の文章のように扱う研究上の不正は、「剽窃」または「盗用」と呼ぶのが正確であり、不正確で誤解を招く「無断引用」という表現を用いるのはやめるべきである。

某筆頭著者の件については、明日なにやら会見があるようですが、このパンチのあるブログで〆にします。

「アメリカポスドクの歩き方
在米高齢ポスドクが歩む二流研究者へのいばらの道」より

ただ純粋に悲しく悔しい

ある一流ラボに留学した知りあいがいた。
うつっていきなり非常に面白い現象を発見した。ボスは大興奮し色々なところで宣伝した。
しかし、その知りあいは最後の詰めのデータがどうしても良い結果にならなかった。
まわりに相談すると、間接的に捏造することを勧められたという。そうやって皆ポジションを得るんだよ。と。
でも、本人は捏造などしなくても証明できると信じてコツコツ実験を続けた。

こういうポスドク、沢山いるんだろうな……。

ハカセたちが綴る(おそらく)初のメルマガ「ヤバ研『博士@研究室』」。

ヨシダヒロコです。

長らくのツイ友である山本慎太郎(@nennpa)さんが編集長となって、ハカセたちが執筆する有料メルマガを創刊しました。その名もヤバ研「博士@研究室」。創刊号は今月上旬だったかな?に出て無料で読めたので、すぐに申し込みました。毎週配信で、月525円です。キャッチコピーは「学術研究の世界、その職業生活のほんとのところを(きっと)晒します」。こういうメルマガ、記憶にある限りでは知りません。

京大で人気を博した「素数ものさし」の話、料理のうまみの話なんかが今まで良く記憶に残っていますが、ヤバ研の始まりから進展を書いた藤原さんことえふわらさんの記事、あと山本さんこと念波さんの、先号にあった殺人的な阪大の院試の話や、今出ている4号にある編集後記はなんかポスドク問題にも触れていて、本領発揮と言ったところでしょうか。後から来た人のために、バックナンバーってないのかなあ?

山本さんは個人的に色々ものを書きためてきたそうなので、「書いたものが読みたい」とぶつぶつ言い続けてきた訳ですが、このように執筆者の皆さんにも(部数に応じて、ですが)利益が還元される形で読めるようになったのは個人的にも大変喜ばしいことです。わたしのようなものを書く(訳す)人間にしろ、博士のようにものを書くことに多大なお金と労力を費やして習得した人々にしろ、世の中の人は「ただで読める」と思ったら甘過ぎです。

ヤバ研

このフレーズも気に入っています。「飲み会に集まってくる比較的若め(学術界では)な研究者の集まりです。なにがヤバいと言って、ええと、心身の調子とか?今後の人生とか?」。

登録&サンプルはこちらからどうぞ。どうぞよろしく。

http://chokumaga.com/magazine/?mid=104&vol=2

(2015/06/09:「ヤバ研」の認知度上がってきたようですね。実は春からだったか、KADOKAWAに移転しています。こちらへどうぞ。 http://ch.nicovideo.jp/yabaken

「ポスドク」のGoogleサジェストと彼女と配偶者がツラい件について。

ヨシダヒロコです。ただいま逃避中です。

わたし自身は学位取得者でもなんでもないのですが、ポスドク問題で2エントリほど書いたところちょくちょく読みに来られる人がいるので、今度は別の角度から書きます。

日曜早朝、仕事が進まず困っていたらTwitterでこんなのが回ってきました。

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ポスドクの結婚生活で気の毒な話も聞いたことがあったので、気になったし一番下をクリックしてみたら、発言小町が沢山出てきました。あそこって、しょうがない嫁姑やママ友の話だけではなく、ポスドクや博士課程学生の彼女や配偶者(理系が多い。まあ、女性ポスドクもいるとは思うんだけど……)が真剣に語っていることもあるんですね。

曰く「別れようと言われた末、3週間連絡がありません。泣いてしまいます」みたいな20代らしい女性から(彼はD3で、集中すると携帯の存在を忘れるそうです)、研究者が夫という方の「まるで単身家庭です。気が向いたときに甘えてきます」みたいなのも。

挙げ句の果てに、「研究者は忙しいため、振られてしまうことが多い」……うわー可哀想。自分の夫の将来性みたいなのを尋ねている人もいました。

恥ずかしながら、D論を通すのに(恐らく本ちゃんの他に)論文が3本必要なことを初めて知りました。間違いがあればご指摘お願いします。小町情報ですし。
というわけで、他に書きたいエントリもあるんですが、深夜の納期が終わったらまた。

#そんなに書き続けられるとは思わないんだけど、そのうち「ポスドク問題」てタグできたりして……。

 

円城塔氏の「ポスドクからポストポスドクへ」に寄せて(2017/04/06リンク張り替え)。


日本物理学会誌 「ポスドクからポストポスドクへ」 円城塔
(シリーズ”ポスドク問題”その12)

(2017/04/06 23:25追記:CiNii問題で、ここに文章があったので貼っておきます)

http://d.hatena.ne.jp/shavetail1/files/%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%83%89%E3%82%AF%E3%81%8B%E3%82%89%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%83%89%E3%82%AF%E3%81%B8%EF%BC%88%E5%86%86%E5%9F%8E%E5%A1%94%EF%BC%89.pdf

円城氏が芥川賞を取ったときに「きくまこ先生」こと菊池誠教授がお祝いの言葉を贈っていたことは覚えていますが、こういう経歴の方だとは知りませんでした。ポスドクを34歳まで続けて辞め、民間勤めの傍ら兼業作家をやった後に専業へ。翻訳者である自分にとって、さらに険しい作家への道は、翻訳者から翻訳者兼作家になった友人の言葉の端々から推し量るしかありません。

それにしてもこの内容は、円城氏が本名不明で「これから嘘をつきます」と書いていなければ書けない類のことでしょう。以前わたしは「ポスドクと羅生門と蜘蛛の糸と杜子春。」という文章を書いて、あるポスドク氏から意見をもらったことがありました。言外に「あなたに何が分かるのか」と言われた気がしました。そういう含みがあったとしてもこの文章を読んだ後だったら想像が付きそうな気がします(けして「分かります」なんて言っていませんし、これからも言わないでしょう)。

上の物理学会の文章は、「これから嘘をつきます」と言って本当のことを述べるところにある種のウィットを感じますし、安部公房に影響を受けたとWikipediaには書いてあった気がしますが、皮肉が非常に効いていて、笑うべきじゃないところに皮肉のあまり笑ってしまいます。「理系だから文章が書けない」なんて言わせない、という何か反骨心のようなものを感じます。

上記わたしの書いた文章で「待遇については聞きにくい」と書きましたが、実はこっそり教えてくださった方もいました。金額的には円城氏の言った通りでした。

ところで、この文章のうち少し解説がいるとしたら、

鬱病らしきものに頑張れと励まし、統合失調症は放っておけば治ると考えており、境界性人格障害の疑いのある者を、自分はあいつを守ると宣言する。

ここですが、全部あべこべに近いです。うつ病についてはまあ知られてますけど。境界性人格障害は難しいですが、巻き込まれず「味方だよ」というサインをずっと送ることでしょうか。宣言なんてしちゃったらまずいです(かつての当事者から)。

きっと、苦労が人間性を磨くという側面はあるでしょう。ですが、それにも限度があるし、ましてや死んでしまっては元も子もありません。わたしが知る某大学に長く勤めていた人は、先日あっさりと「飛び降り多かったんだよ」と。この文章が書かれたのが5年前、それから時代はどっちへ向かっているんでしょうね……。

円城氏の本は、何か探して読んでみたいです。

何かご意見がある方は、匿名でよろしいので書き込んでいただければ幸いです。中身によってはお返事できないかもしれませんが、目は通します。「名無し」はかぶる可能性があるのであまりお薦めしませんが。

(23:34追記:メールアドレスはわたしにしか見えません)

ポスドクと羅生門と蜘蛛の糸と杜子春。

富山で化学を中心とする技術翻訳・医薬翻訳をしていますヨシダヒロコです。

(2/23、2/27に追加した追記が最後にあります)

修士課程を出られなかったわたしが言っても現実感がないかもしれませんが、不遇な博士号取得者の、せっかく学んだことが生かせない苦しさとか、親にかける金銭的な迷惑もろもろについては修士の延長で多少は分かるつもりです。もちろん、定職がなくて苦労したという経験は学生をやめてからずっとしています。ここは「働いて当然、専業主婦なんて存在しない、うちに昼間いる人はどこかからだが悪い」という土地柄ですので。

翻訳で少しは糊口をしのげるようになったのは、本当にごく最近のことなんですよ。わたしは事情で外には働きには出られないので。ある意味翻訳というのは、何かで挫折した人がやってくる場所なのかもしれないですね。そこで運良く輝ける方もいます。

で、ポスドクの話ですが、数年前から下のリンクの「5号館のつぶやき」さんで存在は知っており、わたしは中退した院の催し事になぜか呼んでもらっているのですが、ある時そこで任期付きの苦労を聞いたことがあります。任期最後の方は「次どうしよう」という話題しかない、ということでした。

一方では、「ちょっとやそっとではつぶれないだろう」という企業に勤めている卒業生もいるのにね。ちなみに、文系の事情はちょっと知らないので、理系の話をしています。

ポスドクは古くは任期付きを指し、今では無職博士も含むという話も聞きました。無職の方にはまだ遭遇したことはないのですが、任期付きの方には(詳しくは聞きにくいこともあってどういう待遇かは聞いていませんが)ネットやリアルでお会いしてます。わたしは博士の平均というものを知らないので、大卒としての感想になるんですが、普通に「賢いなあ」と感心する方ばかりでした。ここまでくるのにずいぶん勉強したんだろうな、と。そして、勉強や研究が好きなんだろうなと。もちろん、なにかすごく変わり者だと言うこともない。なのにそういう人たちが職にあぶれたり、次々と就職を探さなければならなかったり、待遇がよくなかったり。

何かが激しく間違ってますよね。

下は、昨日回ってきたツイートで、Wordpressではリンクがうまく入らないので改変しました。リツイートとお気に入りの数を見てください。芥川の小説を基にし、ポスドクを主人公にした創作小説です。そういえば、昨日も「日本の大学には元気がない」とある方から聞いたところでした……。

こういう事実をご存じなかった人には、是非読んで頂きたいです。

——

(2/23追記:大学関係者の方からご意見頂きました。簡単には言い切れない暗部が沢山ある模様で、ポスドク問題も上で書いたように単純ではないようです)

(2/27追記:ブログ「5号館のつぶやき」さんで、こんな記事を見つけました。2009年に東北大の院生の方が亡くなったと。大学時代の傷をまだ違う形で引きずっているわたしにも人ごととは思えませんね。)