サイエンスZERO特別編!『575でカガク ニュートリノ』(2018/08/19, 再放送25)&秋のスーパーカミオカンデ一般公開見送り。

share_temporaryヨシダヒロコです。

スーパーカミオカンデが見られないかという検索が多いようですが、もともと一般公開でもタンクの上で説明を受ける感じで、タンクの中は水をいっぱいにして観測中のため見られません。例外は天皇陛下くらいです(ふたを少しずらして中を見て頂いた)。

今年は例外的に12年ぶりにふたを開けて水も抜いて改修工事をしています。7月のジオスペースアドベンチャーに行きましたが、中に入れないとのことで初めて定員割れしたらしい。

恐らく飛騨アカデミーの夏の『夢のたまご塾』に選ばれた子や(HPでは全員は見られないかもとある)、他にごく限られた人は工事中の中に入っているようです。

おっさんもワクワク、スーパーカミオカンデの超純水タンク内部が12年ぶりに公開 (1/3)


レポ:スーパーカミオカンデのタンクの中!

今回、サイエンスZEROで俳人の夏井いつきさんや神岡の施設長である中畑先生(26日に富山で講演する方。昨日応募締切でした)をゲストに迎え、夏井さんを施設に案内して俳句詠んでもらうというのがあるようです。今までにあまりなかった試みです(リンク、アーカイブ)。

そういえば、わたしは特に俳句詠んでる訳ではないですけど、『俳句王国がゆく!』(リンク アーカイブ)というNHK松山局制作の番組が6月に飛騨市に来ました。お題のひとつがスーパーカミオカンデで興味深かったです。リンク先に詠まれた句がすべてあります。

サイエンスZEROは、NHKの回し者ではありませんが、昔の放送からオンデマンドにあるので見逃した方もどうぞ。

好きな動画など貼っておきます。

FacebookのSuper-Kamiokandeより、同じ日に他にもあります(下のTwitterと同じものアップしてるような)。

あと神岡のイベントでも配布されていたICRR Newsはここからダウンロードできます。特に写真が素晴らしいです。102号です。

http://www.icrr.u-tokyo.ac.jp/cat-icrr/

最後にこれ書いてるときに、宇宙線研究所のあのツイート……とか探してたら、最新のツイートがこれでした。

工事が大変なのかな。生まれ変わってバリバリ観測してくれることを楽しみにしています。

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告知:ILC推進国際シンポジウム「ノーベル賞受賞者に聞く『ILCが開く科学の未来』」(2018/08/05、お茶の水女子大学)。

ヨシダヒロコです。

暑いですけど読んでる皆さん、生きてますか。わたしはちょっとぐったりで、スポーツドリンク飲んで夜になるといつもの如くコウモリのように動き出します。放送大で試験控えた皆さんも大丈夫でしょうか(試験の検索が多い)。こちらは最近なかなか進みません。

さてこのシンポジウム、1ヶ月は前から情報つかんでて行く気でいたんですが、量子力学の試験の後必死こいて新幹線に乗らないと間に合わず、そんな金銭的余裕はないので見送ります。ちょっと決まるのが遅すぎたかも?

ILC(国際リニアコライダーという加速器)を日本で作ることにめでたく決まってくれたら、そのお祝いには行けますように。お手伝いの裏方に名前だけですがいます。ILCは日本政府に金銭面など最終決断を促しているところで、できたらすごいことになります。『天使と悪魔』(『ダ・ヴィンチ・コード』続編)に出てくるCERNみたいのが日本にできて、国際的な研究拠点になりますから。

加速器は色々なことができるので、知るとなかなか面白いです。

一般の方が応援できる「ILCサポーターズ」というのもやっていますけど、認知が低いのが問題だそうです。押井守さんなども応援してくれています。誘致候補地はわたしはあえて書きますが、東北の北上山地です。TVの紀行番組で見たら、山や川がとても清らかな場所でした。東北の自治体のILC誘致関連FBページは山ほどあって頑張っています。

ICL_A4_mini

バリッシュ博士は重力波望遠鏡LIGOのまとめ役でノーベル賞受賞者です。有名な方なので簡単に紹介しますが、『重力波は歌う』というノンフィクションに登場しています(レビュー書きました)。この博士はILCの初期に関わっていたそうで、『サイエンスZERO』の今年冬の重力波特集にご出演です。

グラショウ博士は素粒子物理学者。弱い力やチャームクォークのアイデアを出した方だそうで、ワインバーグ博士、サラム博士と共に1979年ノーベル物理学賞を受賞しています。90代だそうです。

ノーベル賞受賞の時のバイオグラフィです(英語)。

https://www.nobelprize.org/nobel_prizes/physics/laureates/1979/glashow-bio.html

日経サイエンス2008年より、いろんな有名人や研究者が飛騨市神岡にあるスーパーカミオカンデの入口の壁にメッセージを書いていきました。グラショウ博士のお名前を見たような気がするのはそれでかもしれません。今改装中の道の駅(宙ドーム)の宇宙物理スペースができたら、また飾られるのではないでしょうか。

短期集中連載:第2回 カミオカンデとスーパーカミオカンデ 物理学を変えた四半世紀

素粒子論の標準モデルを超えて

中島林彦(編集部)協力:戸塚洋二(東京大学)

 

中古のみですがこんな本もありました。

 

その他、ビデオでですが大隅先生と小柴先生が参加されます。英語は逐次通訳(少し話しては訳す)が入ります。対象は中学生以上、保護者がいれば小学生でもOKなので、夏休みの学生さんたちもお茶大に行ってみてはいかがでしょうか。申し込みが必要ですのでお忘れなく。

 

以下、KEKのサイトをコピペします。

 


 

ILC の実現に向けていよいよ重要な時期を迎えるにあたり、米国からシェルドン・グラショー博士とバリー・バリッシュ博士の2名のノーベル賞受賞者が講演するシンポジウム「ノーベル賞受賞者に聞く『ILCが開く科学の未来』」を8月5日(日)、お茶の水女子大学・講堂(徽音堂)で開催します。グラショー博士は、素粒子物理学の研究により1979年に、バリッシュ博士は重力波の発見により2017年に、それぞれノーベル物理学賞を受賞。今回、ILCの実現を応援するために来日します。

ILC とは国際リニアコライダー (International Linear Collider)の略称です。宇宙の誕生と進化の謎を解明するための次世代実験装置 (電子・陽電子衝突型加速器)です。シンポジウムでは、小柴昌俊博士(2002年ノーベル物理学賞)、大隅良典博士(2016年ノーベル生理学・医学賞)の日本人受賞者のインタビュー映像も上映し、高柳・多摩六都科学館館長をモデレーターとしてのパネル討論も計画されています。

グラショー博士、バリッシュ博士の講演は英語で行なわれますが、逐次通訳がつきます。

  • 日 時:8/5(日) 14:00〜17:00 (開場 13:00)
  • 会 場:お茶の水女子大学・講堂 (徽音堂)
  • 対 象:中学生以上 ただし、保護者が同伴する場合には小学生の参加も可能です。
  • 参加費:無料ですが、事前の参加登録が必要です。ilc-symposium.jpよりご登録下さい。

このシンポジウムは、KEK を含む 17 の機関が共同して開催しております。 皆様のご参加をお待ちしています。

https://www.kek.jp/ja/newsroom/2018/07/18/0900/     (アーカイブ

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そういう訳で、行けないながらも富山から旗を振っておきます。

豆知識ですがKEKは「ケック」や「ケーイーケー」など人によって呼び方が違うそうです(ジオスペースアドベンチャーで聞いてきました)。

『4コマで丸わかり!素粒子実験の世界』絵が可愛くて楽しい!オススメ!

ヨシダヒロコです。

black mathematics board with formulas

Credit:Adobe Stock, 式がどれだけ合ってるかは責任持てません。

この本は春頃に金沢のよく行く本屋さん(専門書も多いし便利な場所にある)でラッキーにも見つけた本です。今回のはそこそこ初心者向けだと思います。理屈分かる人もマンガ見て楽しいという。てっきりとっくにレビューしたかと思ってました。

「ラッキーにも」と書いたのは、この本が絶版らしいからです。入手した本屋さんではそのように聞きました。店頭に残っていることはあるそうです。近所の天文台の方が、「ニュートリノのことはひっぐすたんの本が分かりやすかった」と言っていたので探していたのです。AmazonではAmazon扱いではないけどまだ取り扱いがありますので、お早めに。あと、普段はつけないんですが「図書館」の選択肢を書誌情報につけました。

著者の秋本さんは素粒子物理を専攻して博士号を持つイラストレーターです。e-honに出版時の書籍情報がありました。

素粒子注目トピックス!!(梶田博士、ノーベル賞受賞!!重力波が見つかった!)
1 素粒子のキホン!(わたしたちは原子の集まり  原子は陽子と中性子と電子でできている! ほか)
2 ものスゴイ!素粒子実験(LHC、ILC ほか)
3 素粒子実験の向かう先(素粒子実験と素粒子理論、素粒子物理学が目指すもの ほか)
出版社・メーカーコメント

なんだか難しそ~なイメージの素粒子実験を 4コマでわかりやす~く解説しちゃいます! ノーベル賞で大注目の「スーパーカミオカンデ」から、ヒッグス粒子で一躍有名になった「LHC」、新顔の重力波望遠鏡「かぐら」まで! 素粒子実験をキャラクター化し、4コママンガで実験の特徴を解説。素粒子って、素粒子実験って、かわいいよね! 楽しいよね!
著者紹介

秋本 祐希 (アキモト ユウキ)
博士(理学)。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。専門は素粒子実験。現在はデザインの仕事をするかたわら、自らが描くイラストを使った素粒子物理学を解説するホームページ『HIGGSTAN(ひっぐすたん)』を開設・運営(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

HiggstanというHPは、割と最近に発見された素粒子の名前が付いていて、素粒子物理をほのぼのマンガやビジュアルで解説しています。TwitterとFacebook版、ブログでも見られます。英語バージョンもあり。わたしはなんでもゆるキャラがいいとは思ってないですけど、この本についてはスーパーカミオカンデちゃんとかぐらさん(髪飾りに注目)の会話とか面白いなあとくすくす受けながら読んでいました。全部意味は分からなくても絵やセリフが楽しいのではないだろうかと思います。XMASSくんなどなど男の子もいます。

スーパーカミオカンデは加速器ともお仕事してるし、そういうお話も出てきます。意外だったのは、加速器って医療材料作ったりするのにも使われるんですね。考えてみればそうですね。日本の東北に誘致しようと今頑張っている(今年が正念場!)国際リニアコライダー、ILCのキャラであるリナコちゃんもこの方が描きました。話が色々進んだら、またこういう本をバーションアップして欲しいなあ。

ニュートリノについて最近の作品は、

あと、スーパーカミオカンデちゃんのタンクオープン。見ることはできませんが綺麗ですね。YouTubeはBGMを含めたリズム感が絶妙です。スーパーカミオカンデのHPでも工事の様子が見られますよ。

http://higgstan.com/4koma-sk-tankopen/

後は余談です。

阪大・橋本先生の『超ひも理論をパパに習ってみた ―天才物理学者・浪速阪教授の70分講義』もマンガ版があるのを知りました。わたしはひも理論には慣れてないけど一応マンガでない本で先に読んでみます。
放送大の試験無事に終わったら積んであるのから順番に、ですけど。

橋本先生が式を書いたこの指輪は500円なので、キーホルダーとして持ったりお友達の坊やたちにあげたりしました(受けた!)。阪大がなんとAmazonで売り出したんですが、人気出すぎたのか在庫がありません。3種類あります。わたしのは塗装がはげてきてしまいました(アップしてすぐの追記:生協で売ってたのより値段は高くなってますが在庫復活してますね。いいなー)

Twitterで、「『我々はみな星の子である』と思えばいがみ合うことも少なくなるだろうに」という意味のことを言っていた方がいるのですが出典を知りません。そのうち調べることにして、今年まで京大におられた磯部先生の文章を引いておきます。長めですけど中学生対象です。

宇宙がいつか滅びるならなぜ進歩する意味があるのか

『暗黒物質とは何か――宇宙創成の謎に挑む』(幻冬舎新書)レビュー。

ヨシダヒロコです。

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Galaxy Abell 1689’s “Gravitational Lens” Magnifies Light of Distant Galaxies: 重力レンズといえばかみのけ座銀河団が有名だそうだが、これはエイベル1689という巨大な銀河団。

この本てっきりレビューしたと思っていました。著者の鈴木洋一郎先生は、今は東大のカブリ数物連携宇宙研究機構に在籍、その前は暗黒物質探索装置・XMASSの実験代表者、宇宙線研究所所長だったこともある方です。いろいろな受賞歴もあります。太陽ニュートリノの研究で業績を上げた方です。

富山には縁がある方で、神岡で研究されてましたし、サイエンスカフェとやまのゲストには2回(栄えある第1回。暗黒物質(ダークマター)特集には行けなかったのですけど)、放送大学富山学習センターでは後期に面接授業(スクーリング)をされてます。授業では2日間物理どっぷりなので、多少勉強してても身体が付いてかないところがありますが、何回もお話聞くうちに段々いろんなことが理解できてきました。面接授業は別に感想を書いてあります。

去年秋の授業の時にこの本を持っている受講生さんがいて、ノーチェックだったためすぐ買って冬に読んでみました。授業で説明されたカミオカンデ→スーパーカミオカンデの実験のことや、ニュートリノ振動とはどういうことかとか、ダークマターのこととか書いてあります。ダークマターの話がほとんどです。読んで「なるほどそういうことだったのか」というのがありました。「装置は複数のテーマに対応するよう作られている」というのは知りませんでした。

ただ出版は2013年なので、最新の話ではありません。毎年の授業で聞くつもりです(去年はやはり重力波がちらほら話に出ました)。本の中のダークマターでその後決着が付いたことがあったり、XMASSにもいろんな運命が待っていたりして、まだ最終的にどうなるかは分かりません。基礎を知るにはとても良い本だと思います。授業で「いやあ……」みたいになってあまり答えてもらえなかった先生のライフヒストリーも最後の章にあります。白黒ながらも図表や写真が結構あります。

本屋サイトを見ると在庫僅少なところが多いのは、何かあったんでしょうか?

ダークマターを扱っている一般書は、知る限りあとは科学雑誌の特集とかなので、一般向け新書としては貴重です。見つかると大ごとなので、新しい発見がときどきネットニュースにもなっています。

宇宙線研究所の主だった方の本は、あと梶田先生の一般書を今読んでいるところです(語り口が気に入りました)。わたしは地元富山が神岡に近く恵まれているとも言えますが、前記事の名古屋のように市民向け講演会がある場合もあり、これは研究者サイドでも一般市民に研究内容を知ってもらえるようという気持ちの表れだろうかと思います。

ちなみに、富山市天文台ではニュートリノ振動の受賞以降、子供たちの質問がすごく増えたそうです。昨今日本の競争力が落ちたと言われていますが、少し明るい話ですね。

 

 

雨の名古屋大に梶田先生の市民向け講演を聞きに(2018/05/23、超高エネルギー宇宙線反応国際シンポジウム、名古屋大学 坂田・平田ホール)(2018/06/22:神岡施設工事について追記)。

ヨシダヒロコです。

名古屋日帰りというのを初めてやりました。朝10時台終わりに高速バスで出て、最寄り駅からタクシーで帰ったら日付をまたぐくらい。調子はどっちかというと悪い部類に入ったのですけど、多分行ったら楽しいと思ったので。雨で、着ていくものに迷う天気でした。天気は事前に分かっていたので、靴を磨いて防水スプレーしておきました。物理系の学会ってドレスコードが適当と聞いていたのですが、多少真面目な格好をしました。

行きは高岡駅から加越能バス。元々3000円と安いのに、名古屋線では障害者を差別なく割り引いてくれ、氷見や五箇山方面のバスも出してます。帰りの富山地鉄も早くから障害者用ICカード(路線バス・電車)を導入しています。ここは便数が多いので帰りに使いました。加越能は電源はなくWifiはあって、ただトンネルが多すぎて通信状況はあまり良くなかったです。ネットを使わないPC作業にもトレイがないので適していません(地鉄もそう)。ただ車窓の岐阜の景色が綺麗で、白川郷らしい集落もちらっと見えました。地鉄は電源がありました。20時前発の富山行きだとサービスエリアはもう閉まってます。

 

 

名古屋のターミナルで友人と合流し、充電式の充電器を忘れてきてしまったので、スタバで充電の後名大へ。最後に名古屋に来たのは2013年のスペイン語試験DELEでした。試験は近くの南山大だったですけど、その後地下鉄の駅が増えたらしくて門まではスムーズでした。知らない大学内ってよく迷うので、案の定少しウロウロしましたが午後4時半過ぎの開場頃に到着です。

 

 

入口に霧箱が複数あり、学生さんらしき人が説明してくれました。箱のサイズが違うと霧の形が違い、理由は分かっていないというのが何とも不思議。国立科学博物館の動画を貼っておきます。

今回面白かったことの1つは、下のスライド表紙の写真を撮っていいですかと受付で聞いたら、出てこられた責任者の先生がTwitterで拝見している方だったこと。わたしは顔アイコンなので、便利なこともありますね。実は講演中後ろでシャッター音がなかなかうるさかったですけど、自分はこの1枚しか撮ってません(あまりうまくない)。着いたときお客さんは入り始めたところで、わたしは2列目でした。

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17時頃、梶田先生が登場されました。講演をこれだけ近くで聞いたことは初めてに近く、のっけから少々お茶目なことを話されました。うっかりしてて60分の講演だと思って準備していたら45分と聞き、内容削ったけど50分になってしまいましたと。わたしもうっかりしてて、チラシにいろんな方法で宇宙を見る方法があるよと書いてあったのに、重力波オンリーの講演会だと勘違いしていました。

1時間近くお話聞いていて、どうやら口癖は「ま、適当に」だと分かりました。本質的なことをざっくり概算とかだいたいで話すのがすごいと思いました。「全部分かろうとすると大変なので何となくで」と最初におっしゃっていたので読まれる方もそんな感じでお願いします。ちなみに数式の類はありませんでした。

内容は盛りだくさんで、多い項目をおのおのあまり難しくなく説明され、スーパーカミオカンデやKAGRAの最新情報もありましたよ。最初は藤原定家 『明月記』(本文の写真があった)から始まりました。超新星爆発(星の寿命が来て爆発し、明るく輝く)の残骸の星雲が2個写真で出まして。超新星は昔の言葉で「客星」というそうです。

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Credit: Smithsonian Institution , SN1006

 

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Credit: NASA,  SN1054( かに星雲)

  1. ニュートリノで探る宇宙
  2. ガンマ線で探る宇宙
  3. 宇宙線で探る宇宙
  4. 重力波で探る宇宙
  5. まとめ

現在スーパーカミオカンデは感度アップに向けて大改造中(水も抜く)で、わたしは7月のジオスペースアドベンチャーの抽選に通ったので、いろいろ調整をして神岡にまた行き、施設を外から覗いてこられたらと思っています(今回施設の中には入れません)。これは講演中にも話があったように過去の超新星爆発で出たニュートリノを観測するためだそうです。

(詳細はスーパーカミオカンデのHPより)

http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/sk/sk/srn.html

(2018/06/22 1:19:工事のことが詳しく出ていたのでURLを貼っておきます)

http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/whatsnew/2018/06/skopen02.html

KAGRAはGW中にやっと2個目の鏡(1個23kg)がセットできたそうで、1つの鏡をつけるのに20人くらい必要だそうです。来年には試験観測が始められたら、だそうです。

わたしが特に面白かったのは(もちろんニュートリノや重力波も不思議なんですけど)、初めて聞いた超高エネルギーガンマ線のお話。ガンマ線は宇宙にも飛んでいる光というか、放射線の一種です。ガンマ線バーストとかパルサーという言葉も話に出てました(ガンマ線が出ます)。昔爆発した星からできた星雲(SN1006)をガンマ線で観測すると、1000年前の爆発の名残がまだ残っているというのが一番ワクワクしました。

先生の出されたグラフというか図(元の図はエネルギーによってだと思いますが色分けされていました)をペンでざっとメモったもの。超高エネルギーガンマ線で観測するとこうなります。2つにぱっくり分かれているそうです。

2018-05-31 21_Fotor

他には、高エネルギーの宇宙線はあまり曲がらず大谷のストレートくらいの速さだそうで、「陽子1個なのに!ぜひ調べたい」みたいなスライドもあり、お忙しい中野球もチェックしてるんだなとか、表現が面白いなと感心したりしてました。

様々な手段で、光では全く予想できなかった宇宙の姿が見えてくるでしょうという結論でした。

質問はアンケート用紙に欄があり、回収して一問一答みたいな感じで学会スタッフの方が聞いていました。研究のこと、先生自身のことなどいろいろ質問があり、最後にあった「日本の基礎科学が今大変ですが、わたしに何かできることはありますか」という質問には、「重力波のサポートは頂いているのだけどもう少し足りません。(恐らくハイパーカミオカンデのことでは)20年準備してきた計画が実現するか分かりません。基礎科学は厳しいので、いろんな人にその話を広めて下さい」とおっしゃってました。宇宙線研究所まわりにも市民のできる寄付制度が複数あるんですが、それについては言われませんでした。ちなみに先生自身は富山市科学博物館であった質問コーナー(人を介して質問に答えてもらう)でもおっしゃっていたように、さほど計画的でも夢を持っている子供でもなかったそうです。

講演後、先生は質問がある皆さんに囲まれてニコニコと話しておられました。わたしは少々気後れしてしまい、時間もなかったのでホールを出ました。

名古屋大出身の有名な研究者は多いらしく(え、この先生も?というのが学内見ててありました)記念の建物が色々建っていました。今回の会場もそうだと後で知りました(しかも平田先生ってわたしの学生時代の専攻にとても近い先生なのに……)。益川・小林先生はこのように建物の中だけではなく、素粒子の専攻の棟だったと思いますが外側にも顔写真がデザインされていました。講演会が少し押したため余裕がなく、下の写真ももうちょっと数撮って良いの選びたかったですけど。わたしと友人が映り込んでいます。

2018-05-23 18_1_Fotor

帰りのバスの中では寝る気にもなれず、前の記事に書いたように大学の勉強が忙しい時期で、読めないだろうなと思いながらも何冊か本を持ってきていたのが少し読めました。たまにこういうお話を聞くと、物理という科目の性質もあり孤独に勉強しているので刺激になります。違う土地に出向くという新鮮さもありました。

夏から秋の初めくらいには天文・物理系の一般公開色々あって魅力的ですけど、個人的に貧乏旅行をしたい地があるのでまだ何とも言えません。カブリの講演会が6/10にストリーミングでもあるので、2時間超えると思いますけど聞いてみようかな。

https://www.ipmu.jp/ja/20180610-WorldUniverse

物理の世界は分かりにくいと思われがちですが、宇宙線もニュートリノも皆さんの周りを飛んでいる実に身近なものです(リンゴ1個枝から落ちても物理ですし)。宇宙の起源の話は、結局は自分たちがどこから来たかとかどうして存在するかとかそういう話に行きつくようです。それに星とか天体って不思議なことだらけですし。ですので、お住まいの近くで心惹かれる講演やイベントがあったらぜひ申しこんでみて下さい。

#まだまだ勉強中ですので、間違いのご指摘を歓迎します。

告知:名古屋大で梶田先生の市民向け重力波講演(2018/05/21開催)。

ヨシダヒロコです。

kajita

さっき物理系Twitterで知りました。国際会議の一環らしいですが、5月末に一般向けの講演会があります。重力波というものをわたしが知ったのは梶田先生の授賞直後(次のテーマとして)だったのですけど、100年もの長い長い間誰もつかまえることができませんでした。ここ数年で爆発的に話が進んでいます。

去年夏の神岡、今年2月の富山とサイエンスカフェにも出ました(過去ログにレポあり)。梶田先生のニュートリノのお話は夏に神岡で聞きましたけど、重力波は時間がなくてお話しできなかったそうです。きっと一般の人が講演やサイエンスカフェで接する機会が増えるだろうと思ったらやはり。でもとても嬉しいです。

申し込みはこちらから。

https://indico.cern.ch/event/719805/overview

貴重な機会ですので申しこんでみました。このシステムは応募状況がリアルタイムで分かり、まだ申し込みは12/300です。なので登録メールも来たし行けるようです。仕事でもプライベートでも、急に行きたいものがいろいろとできて困りますが、高速バス(+障害者割引)を駆使してコストダウンし頑張ってみます。名古屋行きの高速バスは試験に使いたく一度試してみたかったですし、この時間なら日帰りできます。行って帰ってくるまでが講演ですから、体調はしっかり整えたいと思います。

昨日から気分良くなく落ち込んでいたのですけど、これで少し元気出ました。

サイエンスZEROのノーベル賞特集(2017/12/10, 17)。

ヨシダヒロコです。

ノーベル賞だけが偉いと思っているわけではありません。特に名誉があり目立つ賞の1つではあるでしょうが、賞金ならブレークスルー賞の方が3億円とずっと高いですし(賞金額と主催がグーグルということは最近知りました)、ノーベル賞には数学や生物学部門もないですし。

ただ、この賞は技術や発見の内容が詳しく報道されることがあり、知らなかったものを知ることができます。

Twitterの科学クラスタはカウントダウンしてネット中継を見ています。物理学賞はやはり予想通りの重力波で、観測してから2年だからものすごく早かったのですが、みんな待っていた観測でしたし。

http://www4.nhk.or.jp/zero/x/2017-12-10/31/20489/2136659/

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その興奮冷めやらぬ10月半ばには、夏頃から噂されていたLIGO-Virgoによる中性子星合体の記者会見が夜中にYouTubeで延々行われました。Twitter天文・物理クラスタが解説をつぶやいてくれるので3/4位は流していましたが、成果がでか過ぎること、これで新しい天文学が始まってしまったのを目撃した興奮で呆然となりなんだか疲れてしまいました(記者会見はLIGOのチャンネルにあります)。専門の研究者さんですら余波で「仕事が手に付かない」とつぶやく有様で。

この辺を簡単にまとめたものをやってくれるのはきっとこの番組だろうと思ったら、やってくれました。30分とコンパクトなので見やすいです(コズミック☆フロントNEXTは好きですが録画が溜まりまくっています)。12/10辺りは授賞式だったので、それに合わせたのでしょう。受賞者のひとりバリー・バリッシュ教授のインタビューを取ってきました。LIGOに関わった日本人研究者も出演。中性子星合体についても取り上げ、最後の方で「コクーンモデル」という非常に美しいシミュレーションを見せてくれました。下のYouTubeにもそれらしいものが出てます。

ちなみにバリッシュ教授は、東北に作られる予定の加速器・国際リニアコライダー(ILC)にも関わっています。個人的には是非東北に招致してもらって、いろんな国から人が来たり、行き来が増えて欲しいと思っています。

年が明けてから改めて書きますが、富山市天文台では2/25に重力波サイエンスカフェを開催します。ゲストは宇宙線研究所 重力波観測施設 重力波研究グル-プ  宮川 治さんです。

 

zero_cryo

http://www4.nhk.or.jp/zero/x/2017-12-17/31/25353/2136660/

続いて化学賞ですが、化学は範囲が広く毎年よく分からないことが多いです(苦笑)。今回のクライオ電子顕微鏡は、番組をよく見て意義が分かりました。発展途上の技術ですが、製薬に使えるそうです。名古屋大の藤吉客員教授は受賞者3人と仲がいいそうで、スウェーデンの写真も見せてくれました。

わたしが扱っていたようなコレステロールの仲間(試薬では粉末)でも、今はどうか知りませんが大きな結晶を作ってX線解析で構造決定というのが究極でした。しかし再結晶しようとしてもなかなかできないことがありました。

そこへいくと、藤吉先生たちが扱っていたのは生体組織だったりするので、「そんなん結晶になるの?」と見てて思ったのですが、やはり延々できないことがあったそうです。それがこの電子顕微鏡を使えばタンパク質の構造が見える、というわけです。

*****

他の賞についても少し書いておくと、文学賞は名前はよく知っていたカズオ・イシグロ氏で、あの有名な本ではなく(追憶の中の)長崎についての本を読んだことがあります。日本は英国に引っ越したこの人に国籍を与えなかったくせに、ノーベル賞を取ったとなると母国の手柄は欲しいのですね、とマスコミを見てて思いました。なんだかなあ。

平和賞をもらったICANについて詳しいわけではないのですが、原爆を作ったマンハッタン計画参加者は何を思っていたのかなあとはずっと思っていて、読めてない本も手元にあるのですが、彼らのことを知ることが第2第3のマンハッタン計画があったときに歯止めとなるかもしれません。個人ができることは限られているので、力のある人や団体に頑張ってもらうしかないですけどね。

放送大学面接授業『宇宙を見る新しい目』(東京大学国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構 鈴木洋一郎特任教授、富山SC、2017/11/11~12 )(追記あり)。

ヨシダヒロコです。

昨日学部の物理専門科目3科目中2科目の提出課題を出しました。『量子と統計』は出来も悪かったしギリギリ間に合いませんでした。この量子は全然意味の分からないことが画面の目の前で展開していくのですが、よく見るとニュートリノ振動や素粒子には関係があります。まあ、少しずつゆっくりやります。

そんな訳で、少しずつ溜まっていたネタを書きます。

今回お星様の話が沢山あったので、ハッブル宇宙望遠鏡のページからクレジットがあればかなり自由に使える写真をダウンロードしてきました。Creative Commons 4.0で使えます。個人使用も可でしょうね。壁紙に「かに星雲」使っています。これはオリオン座ですが、次にニュートリノでの超新星爆発観測があるとすればオリオン座にあるベテルギウスの可能性が高いのです。

https://www.spacetelescope.org/images/potw1109a/

Orion’s lesser-known nebula takes centre stage

Orion’s lesser-known nebula takes centre stage,    Credit: NASA, ESA and Allison Loll/Jeff Hester (Arizona State University). Acknowledgement: Davide De Martin (ESA/Hubble)

さて、この面接授業は去年は『ニュートリノとダークマター』という題でしたが、同じ先生で毎年やっているようです。去年富山学習センターに電話で聞いたら、先生の意向としてはなるたけずっと授業したいとのことでした。題名が変わるとずっと学籍がある人も毎年受けられますし。わたしは去年は共修生でした。院にもパートタイムで籍があり、今の物理の山が終わったらフルの院生になるべく出願できないかなーと思っています。

鈴木洋一郎先生(ニュートリノ研究者にはには最低もうひとり鈴木先生がいらっしゃいます)、カミオカンデ、スーパーカミオカンデで太陽ニュートリノの研究をし、その後XMASSでダークマターの研究をされていました。宇宙線研究所長、神岡施設長、XMASSの実験代表者もされていました(XMASSは昨年度まで)。

10月だったか、XMASSが観測をやめるとかどうとかネットで騒ぎになったので、その質問もしたくて行きました。あと、陽子崩壊とかCP対称性の破れとかを証明するのにハイパーカミオカンデを作りますよという話が追加になるだろうから新しい話も聞きたかったですし。意表を突かれたのは、先生の夢だそうですが、陽子崩壊のための海底測定装置という構想でした。

今回、前の席にいた受講生が先生の著作を持っていたおかげで存在を知ることができました。最後に書籍情報を貼ります。

ちなみにわたしは神岡にも近い富山在住で、SK(スーパーカミオカンデ)関係などの行事が富山でも行われることがあるのでニュースにもなりますし、普段から研究者さんのTwitterなど眺めています。何か見たような景色や食べ物が流れてくることも。鈴木先生のお話を聞くのは3回目で、1回目はサイエンスカフェでした。

9:45~16:45くらいまで、2日間ずっと(素粒子)物理の話+宇宙の話なので、まず数式全くダメとかいう人は少し厳しいかも。先生も「(文系理系という日本にしかない言い方は嫌いだけどとおっしゃってました)文系の方手を挙げて」と聞いてみたり、難しいといわれて難易度を落としたり、予備知識のない人が聴いて分かる授業にされたいみたいでした。

ただ、わたしも数学が前苦手だったことを逆に生かして高校生とか教えていたことがありました。時間をかければ分かってくれる子もいたけど、数式アレルギーがあるなどの苦手な人だったら2日では難しいかも……。とはいえ、最初のサイエンスカフェのとき、わたしは参考図書になっていた小柴先生の易しい本だけ読んでいって(下に挙げます)、鈴木先生のお話の内容を理解したわけではないけどなんだか楽しく、今思えばあれがファーストコンタクトでした。

数式や提唱された仮説など小難しいことは前回よりずいぶん減っていました。およそ1日半でニュートリノ、半日でダークマターでした。ダークマターの割合が減って、質問に時間をかけて、特に最後には「改善点はないですか、次回のために」とまで質問されているのに、「参考図書があったら」などと建設的なことや、「やはり難しかった」と言う人はごくわずかで、残りの沈黙している人にはなんか言って欲しかったです。

わたしは質問したい事情があるので去年と同じく聞きたいことは質問させて頂きました。前回と同じく、こういう話が好きな人は質問して食いついてました。まあこんなことを言ってますが、わたしだって鈴木先生のお話を3回、神岡施設長の中畑先生のお話を2回、梶田先生は1回聞いて、今回でニュートリノ振動をこうやってこうやって証明したとやっと合点がいきました。ですが、だからニュートリノに質量があると言うためには量子力学が必要で、そこをまだ理解していません。

  • 重力波の話はちらほら先生の話に出ていました。マルチメッセンジャー天文学にダークマターが関わることはないそうです。
  • XMASSの話は教えてくださいました。スライドには「中止」とあって、手短に言えば内部では色々あるのではとわたしは解釈しました(詳細は省きます)。今回、こんな時なのにXMASSに触れている時間があまりなかったみたいで、授業後施設名を知らずに帰った人も。大事な施設だろうに、その辺の話を先生の方ではもっとしたかったのでは?と勝手に思いました。

わたしは昨日まで東京に行っていて丸ノ内線に乗る用があったので、一部で噂のSKグッズ(ノートなど)を大学生協行って買ってきたかったのですが、用事が押したので無理でした。そっか神岡に行けば近いじゃんとも思いましたし。何でそこまでと思われるかもしれませんが、今のところそういう話が好きだから、にしておきます。

参考図書になると思われるもの。この新書は講義内容と似てますね。

わたしが初めて読んだニュートリノの本。結構感動しました。ジュニア向けですし易しい部類に入るかと。

小柴先生の教え子で、梶田先生、中畑両先生の恩師である戸塚先生の本。去年再販されました。ざっくばらんに語っているようなその語り口がいいです。鈴木先生も、今回の授業で事故が起きたSKが再建できたわけを質問されてお話ししてましたが、当時所長だった戸塚先生が結構(たしか半分くらいとか)アメリカの研究者を入れていたおかげで、アメリカのお役所からも「再建せよ」と言われたんだそうです。

来年はどんなことが進んでいるか、ダークマターの行方も気になりますがなるたけ行きたいです。
(2017/12/01 14:45追記:帰りのバスターミナルで、東北在住の若いグアテマラ人カップルが隣にいました。彼らはこのアーティストの来日講演を聞きに来ていたそうです。アルバム名、曲のタイトルが”Dark matter”です)

 

『重力波は歌う』(原題:Black Hole Blues)を読了しました。

ヨシダヒロコです。

「重力波がノーベル物理学賞を取ったのにヨシダさんは黙っているな」と思っていた人もいるかもですが、この本をノーベルウィーク前からちまちま読んでいました。ハヤカワは文庫で出したんですね。わたしはハードカバーなのでなにか違うかもしれませんが、ハードカバーで260p、文庫で320p位の本です。

買ったのは発売直後の2016年6月頃で、去年は読書が進まなかったためいろんなものが積ん読になり、今片付けています。最も読みたかったうちの1冊がこれで、ただ重力波については詳しくないため躊躇はしていました。読んでみて思うのは、去年ラッキーにもKAGRA見学会に当選して行ってきて、ブルーバックスの『重力波とはなにか』を読んだ後に飛騨サイエンスカフェで重力波の話を聞いてきた後だからかもしれませんが、物理の話よりは研究者の生い立ちやキャリアや性格が生き生きと書かれていて一般の人にも親しみが持ちやすいと思います。面白いノンフィクションというか。

『重力波とはなにか』(ブルーバックス)読了&スーパーカミオカンデ一般公開(2017/09/04より申し込み受付)。

 

それから、LIGOという巨大プロジェクトの中での複雑な人間関係が書かれていて、中には”Rashomon”という題名の章があり日本語では「藪の中」になっていますが、あとで人が触れたがらないような辛い出来事が起こって、それでも著者はその出来事を本に書いたという箇所も。個性的な人には章が割かれ、温厚で問題を起こさない人はさらっと触れられるだけのようです。

LIGOはレーザー干渉計という今主流の形をしていて、L字型に2本のパイプがクロスしていて中をレーザーが走るのですが、1本の長さが4kmもあって地上にあることもあり、こんなことが起こるの?というハプニングがあります。いかにもアメリカな事件なのですが管理も大変だと思いました。もちろん技術的な話もあるのですが、それすらストーリー性がありました。

重力波がなぜ「歌う」かというと、こういう音を出すからです。近くにいれば鼓膜に届くかも、と夏に飛騨で聞きました。本の中で著者のレヴィン先生は、「エレキギターだけだと音はほとんど出ないけど、アンプを通すと大きな音になる」というように書いていて分かりやすく、このYouTubeはそういうことだと思います(電気信号に変えている)。

この本はわたしが修士号(物理系、科学史)のために今後なにか書くとしたら参考になるスタイルで、1つのプロジェクトの歴史を「読ませる」やり方でぐいぐい引っ張っていきました。惜しいのはどちらも原文を参照していませんが、国立天文台のTAMA300が単にTAMAとなっていたり(p235)、p225ではVirgoが(ヴァーゴ)とふりがなを振ってありました。訳者の確認ミスかも?

そのうち書きたいと思いますが、この間LIGO-Virgoが中性子星合体を観測した記者会見があって、ライヴで見ていました。興奮しすぎたせいと長々英語聞いたせいで2時間ほどするとヨレヨレでしたが、Virgoはヴァーゴと呼ばれたりイタリア語でヴィルゴと呼ばれたりしているようでした。どうも後者が正しいらしいです。

その記者会見で、あとがきにあった「マルチメッセンジャー天文学」が本当に幕明けになりました。何というか、すごい時代になったものです。もう2年かそこらでLIGO-Virgo-KAGRAのコンビになるんでしょうね。楽しみです。今はKAGRAで頑張っている苔山さんという方が(たぶんKAGRA見学会でLIGOの説明してくれたのもこの方かと)最後に列挙してある研究者のリストに載っていて、ちょっと胸が熱くなりました。

超弦理論の大栗先生が、朝日に本書を含めお薦めの本を載せています。ソーン先生はわたしも読みたいし、まあ順番ですね。上で書いた安東先生もあちこちの重力波研究に携わっているそうですが、ここに挙げられた川村先生はLIGOのノイズ・ハンターだったそうです。日本人が頑張っていると報道になっていました。残りの2冊はこれです。
http://book.asahi.com/reviews/column/2017102200003.html 魚拓

キップ・ソーン先生の本は品薄のようです。もともと人気のある方ですし。

安東先生の本と川村先生の本は、注文する場合に副題まで確かめないと。同じ東大系なのに何でほぼ同じタイトルにした?

LIGO-Virgoの中性子合体で、夜更かししてYouTube会見を見ていた興味ある人のうちNewton編集長は過ぎてしまった校了日をぶっちぎってこのニュースを入れることにしました。今日は2017/10/29ですが、まだ発売したばかりなので特集が一部サイトで読めます。Newtonは研究者の皆さんも読んでいるようで(長年の愛読者だったりする)、面白そうな話題が多いので、Fujisan.co.jpで定期購読することにしました。

最後に、2014年の再放送ですけど2017/11/01「コズミック☆フロント NEXT」は重力波特集です。建設途中のKAGRAが見られます。オンデマンドにも長く残っているでしょうか。今の所、最近の急展開を突っ込んだTV番組はないですね。

出張CiRA(iPS細胞研究所)カフェ × 聞イテミル・考エテミル!?「iPS細胞の現在:じん臓・すい臓・肝臓の再生医療」in 金沢に参加して(後編・2017/07/09)

ヨシダヒロコです。

後編が大変遅くなりましたが、前編はこちらです。スライド表紙や建物内部は撮影OKを頂きました。iPS細胞研究所と金沢の研究者さんのグループ「聞イテミル・考エテミル!?」の共同主催です。

出張CiRAiPS細胞研究所)カフェ × 聞イテミル・考エテミル!?「iPS細胞の現在:じん臓・すい臓・肝臓の再生医療」in 金沢に参加して(前編・2017/07/09

 

2人目のゲスト、長船(おさふね)先生はじん臓・すい臓・肝臓の研究をなさっている先生で、まず専門を決めたきっかけを話されました。

2017-07-09 14_Fotor

増殖分化機構研究部門 長船 健二 教授

https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/research/osafune_summary.html

研究概要、略歴など。

先生が医師になった頃、研修医のシステムは今とは違っていました。わたしは先生と同年代で、医師の友人がわずかですがいるので少し分かります。専門を決めようとしたとき、開業医の息子でもないし何でも選べたのですが、病気で壊れたら再生しない臓器と再生する臓器があることに興味を持ったそうです。卒業した平成8年には再生医療はメジャーではありませんでした。じん臓の再生に関する研究をなさっていたそうです。

#詳しく知りたい方は、先生の研究についてのコラムがこちらにあります。

インタビュー『“未来”の担い手たち』

腎臓、膵臓、肝臓の再生に挑戦する(1)-全2回- 長船 健二 氏

http://www.jst.go.jp/ips-trend/column/future/06/no01.html   魚拓

(2)

http://www.jst.go.jp/ips-trend/column/future/06/no02.html    魚拓

前のゲストで出てきたiPS細胞の写真がまた出てきました。細胞があっちにもこっちにも固まっているそうです。無限に増えるのですが、くっつくと働きが悪くなるのでバラして別の皿に入れるそうです。200くらいの様々な細胞になれるそうです。

再生医療とは、健康な細胞や臓器を移植することで病気を治すことです。メカニズムはとりあえず横に置いておきます。

次に、「再生医療用iPS細胞ストック」の説明がありました。ニュースレターには載っていて、山中先生がTVでお話ししていたような記憶があり(寄付すると出演番組がメールで送られてくるので)今回のサイエンスカフェでも事前にこの用語を含めて何を知っているかアンケートを取られました。

例えば患者さん自身からiPSを取るとすると、取ってきて育てるのに3ヶ月くらい、しかも悩ましいことに育てると性質がバラバラなものができる(がん化含む)そうです。iPS作成の品質評価のステップで1年間、一番お金がかかります。次に分化誘導というものを行い、ES細胞のように発生の時にどんな刺激があるか、分かる範囲で同じものを与えてiPSに導きます。その品質評価が約10ヶ月くらいかかり、お金もかかります。

(広報の方から、上の長船先生の発言が少し分かりにくいので補足です)

「2014年の加齢黄斑変性の臨床研究の場合、細胞の採取から患者さんに移植するまでで約10ヶ月かかりました。その間に品質評価や分化誘導を行います。同時進行で行われる部分もあり、必ずしも足し算した時間とは一致しません」

今、ここに脊髄損傷になって救急車で運ばれてきた患者さんがいたとして、すぐに処置すれば治るかもというときにこれでは間に合いません。それで、もともとiPSのストックを用意しておくのです。

HLAホモiPS細胞というのがあります。HLAという免疫に関わる細胞のタイプ(番号)が同じな場合、輸血や移植のときも自分と同じと見なして拒絶反応が起きません。日本人では、HLA のA 24:02とB 52:01とDR-B1 15:02の3種で16%を占めます。両親から受け継いだHLA遺伝子が同じ場合をHLAホモといいます。

HLAホモの方は珍しいのですが、HLA型を調べる臍帯血提供者や骨髄ドナー、献血されたかたの中から同意が得られた方から、HLAホモの方を探して協力していただいています。細胞培養施設には臨床グレード(基準)があります。細胞調製施設(Facility for iPS Cell Therapy: FiT)など、写真を見せていただきました。

2017/03/18に、iPS細胞ストックは滲出性加齢黄斑変性の患者さんの手術に使われました(「他人のiPS細胞」などと記事になっています)。理研CDB高橋政代プロジェクトリーダー、神戸中央市民病院、大阪大学、CiRAの成果です。

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休憩の前にQ&Aタイム。

Q  iPS細胞の保存期間は?

A ヒトでは-160℃で永久に。液体窒素を使う。マウスは-80℃で保存可能。

Q. 目の細胞のがん化を防ぐ方法は?

A. そもそも目ががん化しにくい環境と言われています。また、少なくともがん化しやすい遺伝子変化がないことは確認しています。万が一がん化した場合にもがん細胞を除去する方法があります。

Q. レトロウイルスはなぜ使うのですか?

A. 遺伝子導入・発現はベクターを使います。効率よく細胞に遺伝子を導入できます。20~30年前に遺伝子治療を受けた患者さんは、導入遺伝子のすぐ先にがん遺伝子があって刺激されてしまい、白血病になってしまいました。エピソーマルベクターは核の中に入りません(なので比較的安全と考えられます)。

Q. わたしの質問ですが、HLA型の表のところを聞きました。

A. 24:02などは種類です。3種で16%ですが、90%をカバーするため20万人のHLAを調べる必要があります。2017年度末までに3種30%が目標です。

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ここで休憩です。

休憩時間には研究者さんつかまえて質問してもいいということだったそうです。飲み物とお菓子、両方いろいろが準備されて、乾燥したiPSの小さなサンプルがテーブルに用意されており、説明を受けながら容器に付いている拡大鏡を通して見ることができました。さっき見た写真とは違い、見やすいよう赤く染色してありました。

2017-07-09 15_1_Fotor

事件が起こったのは話の後半でした。その日も金沢は暑くて(北陸が夏暑いことは割と知られていません)、何と停電になりました。タブレットで北陸電力を探してみると、金沢市がピンポイントでダウンしているようで、あの古い建物があだになったのかも。しばらくは「お茶でも飲んで待ちましょう」だったのですが、20分くらいどうなりそうもなかったので、先生とスタッフの方2人、計3人がそれぞれスライドを映したノートパソコンを持って(最新医学のことを話しているのに皮肉でした)薄暗い中マイクを使わずにしばらくお話しされました。非常にシュールなアクシデントでした。幸い20分ほどで復旧しました。

先生が研究されているのはじん臓・すい臓・肝臓ですが、これは特に糖尿病の患者さんなどで一度に悪くなることが多いそうです。

じん臓病→慢性腎不全(1300万人。糖尿病だと血管ボロボロ)→毒素をだす→透析(約32万人)移植数 1500人

すい臓→糖尿病(約320万人) →血管ボロボロ、脳梗塞、心筋梗塞   すい臓・すい島移植  40人

糖尿病:将来なる可能性のある人 2000万人

病院行ってない人を含めると 患者は900万人

肝不全(約40万人)→ 肝硬変  移植数 500人

移植しかないのですが、ドナーが追いついていません。それでiPSで解決する研究をしています。iPSは肺とじん臓が難しいそうです。

iPSからじん臓の組織を作りネズミに移植すると、糸球体ができて血管につながり、おしっこを濾過しているのが見られたそうです。でも「まだまだ」とおっしゃっていて、すでに18年も研究されているそうです。

すい臓→すい島をiPSで作る。ネズミは治せそうだそうです。移植したすい島を取り除くと血糖値が戻っているので効いているのかも?

今後の展望としては、3、4年で移植の研究をしたいそうです。糖尿病の研究はし烈で、北米だけでも200万人の患者がいるので製薬会社にはお金になるそうです。北米では1社始めています。

肝臓について。iPS肝臓細胞をネズミとサルに移植します。ハツカネズミは20日に1回出産します。質問したのですが、マウスというかネズミには2系統が研究所にいて、片方がハツカネズミに近いそうです。ネズミでうまくいっても念のためサルでも試すそうです。

最後にスライドで近く患者さんへの移植をする研究が始まる病気の一覧を見せてもらいました。パーキンソン病、加齢黄斑変性(既出)、角膜疾患、難治性心不全、軟骨疾患、がん、血小板減少症、先天性代謝異常症など多数あります。

法律が変わって移植までが早くなったので、実現は研究後近い未来だそうです。定年までやります、と何となくぼそっとした声でつぶやかれていたような。

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質問の時間が少しあって、付箋を貼っての質問コーナーに書いていた人もいたのですが、メチル化とかMHCとかレベルが高かったので(後で研究者の主宰したサイエンスカフェと思い出しなるほどと)、個別に聞いてくださいとなりました。

CiRAサイエンスカフェを地方都市で行ったのは初めてだそうですが、暑い中調整して参加でき、色々お話が聞けてよかったです。研究所も前から行きたくて、でもなかなか京都に行く時間や手間が取れなくて。

最先端のお話が少人数対象に目の前で聞けるので、サイエンスカフェは大変お薦めです。今回組織してくださった皆様、ありがとうございました。先生方やスタッフの皆様も遠くからお越し頂けました。

チラシやパンフレットを頂きました。

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左2冊は頂いたもの、一番右に送られてくるニュースレターを置いてみました。

 

 

難しいことはどうも……とおっしゃるけど何か本を読みたい方にはまずこれがおすすめです。2年前のレビューで、山中先生の山あり谷ありの研究人生を話し言葉で書いてあります。

今さらですが『山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた』を読んでみた(2015/07/26)。

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最後に、iPS関連のサイエンスカフェがまた金沢であるそうです。再生医療学会関連の10/22「アートとビオス」、金沢21世紀美術館で夕方からです。

https://comm.jsrm.jp/risk-communication/events/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%80%8C%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%A8%E3%83%93%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%80%8D/

このブログは過去のポストを検索してくる方が多いので、リンク切れを防ぐため情報をコピペします。参加方法は今学会に問い合わせ中です。

サイエンス・カフェ「アートとビオス」

  • 開催日時:2016年10月22日(土) 18:30~
  • タイトル:「アートとビオス」(日本再生医療学会「リスクコミュニケーションのモデル形成事業」サイエンス・カフェ企画)
  • 出演者:福原志保 (BCL)・八代嘉美 (日本再生医療学会/京都大学iPS細胞研究所)
  • 開催地:金沢21世紀美術館カフェレストラン “Fusion21”
    https://www.kanazawa21.jp/
  • 入場料:500円(ワンドリンク)

2006年に山中伸弥教授らがiPS細胞の樹立を報告して、ちょうど10年となりました。それ以来、未来の医療として「再生医療」や「幹細胞」という言葉が、日夜新聞やニュースを賑わわせるようになりました。こうした研究はまた、病気の治療の研究だけではなく、生命のしくみを解き明かす生物学の研究でもあり、その成果はわたしたちが「あたりまえ」のと思っている「生命のすがた」を揺るがしてもいるのです。その一方、バイオテクノロジー自体が手軽に扱えるものとなってきており、それを用いたアート作品群、いわゆる「バイオアート」によって「生命のすがた」の描かれ方も多様になってきています。今回のサイエンスカフェでは、昨年、金沢21世紀美術館で「Ghost in the Cell:細胞の中の幽霊」を展示した福原志保さんをゲストに迎え、幹細胞とは何か、再生医療とは何か、といった話をテーマに、さまざまな技術が「生」へと介入することが可能となった現在について考えます。

BCLウェブサイト

http://bcl.io/

 

今回のサイエンスカフェの報告&iPS関連次回の予告は以上です。

#こういう内容に間違いがあっては困るので、CiRA国際広報室で何度もチェックして頂きました。どうもありがとうございました。