『暗黒物質とは何か――宇宙創成の謎に挑む』(幻冬舎新書)レビュー。

ヨシダヒロコです。

print

Galaxy Abell 1689’s “Gravitational Lens” Magnifies Light of Distant Galaxies: 重力レンズといえばかみのけ座銀河団が有名だそうだが、これはエイベル1689という巨大な銀河団。

この本てっきりレビューしたと思っていました。著者の鈴木洋一郎先生は、今は東大のカブリ数物連携宇宙研究機構に在籍、その前は暗黒物質探索装置・XMASSの実験代表者、宇宙線研究所所長だったこともある方です。いろいろな受賞歴もあります。太陽ニュートリノの研究で業績を上げた方です。

富山には縁がある方で、神岡で研究されてましたし、サイエンスカフェとやまのゲストには2回(栄えある第1回。暗黒物質(ダークマター)特集には行けなかったのですけど)、放送大学富山学習センターでは後期に面接授業(スクーリング)をされてます。授業では2日間物理どっぷりなので、多少勉強してても身体が付いてかないところがありますが、何回もお話聞くうちに段々いろんなことが理解できてきました。面接授業は別に感想を書いてあります。

去年秋の授業の時にこの本を持っている受講生さんがいて、ノーチェックだったためすぐ買って冬に読んでみました。授業で説明されたカミオカンデ→スーパーカミオカンデの実験のことや、ニュートリノ振動とはどういうことかとか、ダークマターのこととか書いてあります。ダークマターの話がほとんどです。読んで「なるほどそういうことだったのか」というのがありました。「装置は複数のテーマに対応するよう作られている」というのは知りませんでした。

ただ出版は2013年なので、最新の話ではありません。毎年の授業で聞くつもりです(去年はやはり重力波がちらほら話に出ました)。本の中のダークマターでその後決着が付いたことがあったり、XMASSにもいろんな運命が待っていたりして、まだ最終的にどうなるかは分かりません。基礎を知るにはとても良い本だと思います。授業で「いやあ……」みたいになってあまり答えてもらえなかった先生のライフヒストリーも最後の章にあります。白黒ながらも図表や写真が結構あります。

本屋サイトを見ると在庫僅少なところが多いのは、何かあったんでしょうか?

ダークマターを扱っている一般書は、知る限りあとは科学雑誌の特集とかなので、一般向け新書としては貴重です。見つかると大ごとなので、新しい発見がときどきネットニュースにもなっています。

宇宙線研究所の主だった方の本は、あと梶田先生の一般書を今読んでいるところです(語り口が気に入りました)。わたしは地元富山が神岡に近く恵まれているとも言えますが、前記事の名古屋のように市民向け講演会がある場合もあり、これは研究者サイドでも一般市民に研究内容を知ってもらえるようという気持ちの表れだろうかと思います。

ちなみに、富山市天文台ではニュートリノ振動の受賞以降、子供たちの質問がすごく増えたそうです。昨今日本の競争力が落ちたと言われていますが、少し明るい話ですね。

 

 

広告

雨の名古屋大に梶田先生の市民向け講演を聞きに(2018/05/23、超高エネルギー宇宙線反応国際シンポジウム、名古屋大学 坂田・平田ホール)。

ヨシダヒロコです。

名古屋日帰りというのを初めてやりました。朝10時台終わりに高速バスで出て、最寄り駅からタクシーで帰ったら日付をまたぐくらい。調子はどっちかというと悪い部類に入ったのですけど、多分行ったら楽しいと思ったので。雨で、着ていくものに迷う天気でした。天気は事前に分かっていたので、靴を磨いて防水スプレーしておきました。物理系の学会ってドレスコードが適当と聞いていたのですが、多少真面目な格好をしました。

行きは高岡駅から加越能バス。元々3000円と安いのに、名古屋線では障害者を差別なく割り引いてくれ、氷見や五箇山方面のバスも出してます。帰りの富山地鉄も早くから障害者用ICカード(路線バス・電車)を導入しています。ここは便数が多いので帰りに使いました。加越能は電源はなくWifiはあって、ただトンネルが多すぎて通信状況はあまり良くなかったです。ネットを使わないPC作業にもトレイがないので適していません(地鉄もそう)。ただ車窓の岐阜の景色が綺麗で、白川郷らしい集落もちらっと見えました。地鉄は電源がありました。20時前発の富山行きだとサービスエリアはもう閉まってます。

名古屋のターミナルで友人と合流し、充電式の充電器を忘れてきてしまったので、スタバで充電の後名大へ。最後に名古屋に来たのは2013年のスペイン語試験DELEでした。試験は近くの南山大だったですけど、その後地下鉄の駅が増えたらしくて門まではスムーズでした。知らない大学内ってよく迷うので、案の定少しウロウロしましたが午後4時半過ぎの開場頃に到着です。

入口に霧箱が複数あり、学生さんらしき人が説明してくれました。箱のサイズが違うと霧の形が違い、理由は分かっていないというのが何とも不思議。国立科学博物館の動画を貼っておきます。

今回面白かったことの1つは、下のスライド表紙の写真を撮っていいですかと受付で聞いたら、出てこられた責任者の先生がTwitterで拝見している方だったこと。わたしは顔アイコンなので、便利なこともありますね。実は講演中後ろでシャッター音がなかなかうるさかったですけど、自分はこの1枚しか撮ってません(あまりうまくない)。着いたときお客さんは入り始めたところで、わたしは2列目でした。

2018-05-23 16_2_Fotor

kajita

17時頃、梶田先生が登場されました。講演をこれだけ近くで聞いたことは初めてに近く、のっけから少々お茶目なことを話されました。うっかりしてて60分の講演だと思って準備していたら45分と聞き、内容削ったけど50分になってしまいましたと。わたしもうっかりしてて、チラシにいろんな方法で宇宙を見る方法があるよと書いてあったのに、重力波オンリーの講演会だと勘違いしていました。

1時間近くお話聞いていて、どうやら口癖は「ま、適当に」だと分かりました。本質的なことをざっくり概算とかだいたいで話すのがすごいと思いました。「全部分かろうとすると大変なので何となくで」と最初におっしゃっていたので読まれる方もそんな感じでお願いします。ちなみに数式の類はありませんでした。

内容は盛りだくさんで、多い項目をおのおのあまり難しくなく説明され、スーパーカミオカンデやKAGRAの最新情報もありましたよ。最初は藤原定家 『明月記』(本文の写真があった)から始まりました。超新星爆発(星の寿命が来て爆発し、明るく輝く)の残骸の星雲が2個写真で出まして。超新星は昔の言葉で「客星」というそうです。

2940666879_6df2417ca5_b

Credit: Smithsonian Institution , SN1006

 

PIA03606~medium

Credit: NASA,  SN1054( かに星雲)

  1. ニュートリノで探る宇宙
  2. ガンマ線で探る宇宙
  3. 宇宙線で探る宇宙
  4. 重力波で探る宇宙
  5. まとめ

現在スーパーカミオカンデは感度アップに向けて大改造中(水も抜く)で、わたしは7月のジオスペースアドベンチャーの抽選に通ったので、いろいろ調整をして神岡にまた行き、施設を外から覗いてこられたらと思っています(今回施設の中には入れません)。これは講演中にも話があったように過去の超新星爆発で出たニュートリノを観測するためだそうです。

(詳細はスーパーカミオカンデのHPより)

http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/sk/sk/srn.html

KAGRAはGW中にやっと2個目の鏡(1個23kg)がセットできたそうで、1つの鏡をつけるのに20人くらい必要だそうです。来年には試験観測が始められたら、だそうです。

わたしが特に面白かったのは(もちろんニュートリノや重力波も不思議なんですけど)、初めて聞いた超高エネルギーガンマ線のお話。ガンマ線は宇宙にも飛んでいる光というか、放射線の一種です。ガンマ線バーストとかパルサーという言葉も話に出てました(ガンマ線が出ます)。昔爆発した星からできた星雲(SN1006)をガンマ線で観測すると、1000年前の爆発の名残がまだ残っているというのが一番ワクワクしました。

先生の出されたグラフというか図(元の図はエネルギーによってだと思いますが色分けされていました)をペンでざっとメモったもの。超高エネルギーガンマ線で観測するとこうなります。2つにぱっくり分かれているそうです。

2018-05-31 21_Fotor

他には、高エネルギーの宇宙線はあまり曲がらず大谷のストレートくらいの速さだそうで、「陽子1個なのに!ぜひ調べたい」みたいなスライドもあり、お忙しい中野球もチェックしてるんだなとか、表現が面白いなと感心したりしてました。

様々な手段で、光では全く予想できなかった宇宙の姿が見えてくるでしょうという結論でした。

質問はアンケート用紙に欄があり、回収して一問一答みたいな感じで学会スタッフの方が聞いていました。研究のこと、先生自身のことなどいろいろ質問があり、最後にあった「日本の基礎科学が今大変ですが、わたしに何かできることはありますか」という質問には、「重力波のサポートは頂いているのだけどもう少し足りません。(恐らくハイパーカミオカンデのことでは)20年準備してきた計画が実現するか分かりません。基礎科学は厳しいので、いろんな人にその話を広めて下さい」とおっしゃってました。宇宙線研究所まわりにも市民のできる寄付制度が複数あるんですが、それについては言われませんでした。ちなみに先生自身は富山市科学博物館であった質問コーナー(人を介して質問に答えてもらう)でもおっしゃっていたように、さほど計画的でも夢を持っている子供でもなかったそうです。

講演後、先生は質問がある皆さんに囲まれてニコニコと話しておられました。わたしは少々気後れしてしまい、時間もなかったのでホールを出ました。

名古屋大出身の有名な研究者は多いらしく(え、この先生も?というのが学内見ててありました)記念の建物が色々建っていました。今回の会場もそうだと後で知りました(しかも平田先生ってわたしの学生時代の専攻にとても近い先生なのに……)。益川・小林先生はこのように建物の中だけではなく、素粒子の専攻の棟だったと思いますが外側にも顔写真がデザインされていました。講演会が少し押したため余裕がなく、下の写真ももうちょっと数撮って良いの選びたかったですけど。わたしと友人が映り込んでいます。

2018-05-23 18_1_Fotor

帰りのバスの中では寝る気にもなれず、前の記事に書いたように大学の勉強が忙しい時期で、読めないだろうなと思いながらも何冊か本を持ってきていたのが少し読めました。たまにこういうお話を聞くと、物理という科目の性質もあり孤独に勉強しているので刺激になります。違う土地に出向くという新鮮さもありました。

夏から秋の初めくらいには天文・物理系の一般公開色々あって魅力的ですけど、個人的に貧乏旅行をしたい地があるのでまだ何とも言えません。カブリの講演会が6/10にストリーミングでもあるので、2時間超えると思いますけど聞いてみようかな。

https://www.ipmu.jp/ja/20180610-WorldUniverse

物理の世界は分かりにくいと思われがちですが、宇宙線もニュートリノも皆さんの周りを飛んでいる実に身近なものです(リンゴ1個枝から落ちても物理ですし)。宇宙の起源の話は、結局は自分たちがどこから来たかとかどうして存在するかとかそういう話に行きつくようです。それに星とか天体って不思議なことだらけですし。ですので、お住まいの近くで心惹かれる講演やイベントがあったらぜひ申しこんでみて下さい。

#まだまだ勉強中ですので、間違いのご指摘を歓迎します。

告知:名古屋大で梶田先生の市民向け重力波講演(2018/05/21開催)。

ヨシダヒロコです。

kajita

さっき物理系Twitterで知りました。国際会議の一環らしいですが、5月末に一般向けの講演会があります。重力波というものをわたしが知ったのは梶田先生の授賞直後(次のテーマとして)だったのですけど、100年もの長い長い間誰もつかまえることができませんでした。ここ数年で爆発的に話が進んでいます。

去年夏の神岡、今年2月の富山とサイエンスカフェにも出ました(過去ログにレポあり)。梶田先生のニュートリノのお話は夏に神岡で聞きましたけど、重力波は時間がなくてお話しできなかったそうです。きっと一般の人が講演やサイエンスカフェで接する機会が増えるだろうと思ったらやはり。でもとても嬉しいです。

申し込みはこちらから。

https://indico.cern.ch/event/719805/overview

貴重な機会ですので申しこんでみました。このシステムは応募状況がリアルタイムで分かり、まだ申し込みは12/300です。なので登録メールも来たし行けるようです。仕事でもプライベートでも、急に行きたいものがいろいろとできて困りますが、高速バス(+障害者割引)を駆使してコストダウンし頑張ってみます。名古屋行きの高速バスは試験に使いたく一度試してみたかったですし、この時間なら日帰りできます。行って帰ってくるまでが講演ですから、体調はしっかり整えたいと思います。

昨日から気分良くなく落ち込んでいたのですけど、これで少し元気出ました。

サイエンスZEROのノーベル賞特集(2017/12/10, 17)。

ヨシダヒロコです。

ノーベル賞だけが偉いと思っているわけではありません。特に名誉があり目立つ賞の1つではあるでしょうが、賞金ならブレークスルー賞の方が3億円とずっと高いですし(賞金額と主催がグーグルということは最近知りました)、ノーベル賞には数学や生物学部門もないですし。

ただ、この賞は技術や発見の内容が詳しく報道されることがあり、知らなかったものを知ることができます。

Twitterの科学クラスタはカウントダウンしてネット中継を見ています。物理学賞はやはり予想通りの重力波で、観測してから2年だからものすごく早かったのですが、みんな待っていた観測でしたし。

http://www4.nhk.or.jp/zero/x/2017-12-10/31/20489/2136659/

zero_gravitational_2017

その興奮冷めやらぬ10月半ばには、夏頃から噂されていたLIGO-Virgoによる中性子星合体の記者会見が夜中にYouTubeで延々行われました。Twitter天文・物理クラスタが解説をつぶやいてくれるので3/4位は流していましたが、成果がでか過ぎること、これで新しい天文学が始まってしまったのを目撃した興奮で呆然となりなんだか疲れてしまいました(記者会見はLIGOのチャンネルにあります)。専門の研究者さんですら余波で「仕事が手に付かない」とつぶやく有様で。

この辺を簡単にまとめたものをやってくれるのはきっとこの番組だろうと思ったら、やってくれました。30分とコンパクトなので見やすいです(コズミック☆フロントNEXTは好きですが録画が溜まりまくっています)。12/10辺りは授賞式だったので、それに合わせたのでしょう。受賞者のひとりバリー・バリッシュ教授のインタビューを取ってきました。LIGOに関わった日本人研究者も出演。中性子星合体についても取り上げ、最後の方で「コクーンモデル」という非常に美しいシミュレーションを見せてくれました。下のYouTubeにもそれらしいものが出てます。

ちなみにバリッシュ教授は、東北に作られる予定の加速器・国際リニアコライダー(ILC)にも関わっています。個人的には是非東北に招致してもらって、いろんな国から人が来たり、行き来が増えて欲しいと思っています。

年が明けてから改めて書きますが、富山市天文台では2/25に重力波サイエンスカフェを開催します。ゲストは宇宙線研究所 重力波観測施設 重力波研究グル-プ  宮川 治さんです。

 

zero_cryo

http://www4.nhk.or.jp/zero/x/2017-12-17/31/25353/2136660/

続いて化学賞ですが、化学は範囲が広く毎年よく分からないことが多いです(苦笑)。今回のクライオ電子顕微鏡は、番組をよく見て意義が分かりました。発展途上の技術ですが、製薬に使えるそうです。名古屋大の藤吉客員教授は受賞者3人と仲がいいそうで、スウェーデンの写真も見せてくれました。

わたしが扱っていたようなコレステロールの仲間(試薬では粉末)でも、今はどうか知りませんが大きな結晶を作ってX線解析で構造決定というのが究極でした。しかし再結晶しようとしてもなかなかできないことがありました。

そこへいくと、藤吉先生たちが扱っていたのは生体組織だったりするので、「そんなん結晶になるの?」と見てて思ったのですが、やはり延々できないことがあったそうです。それがこの電子顕微鏡を使えばタンパク質の構造が見える、というわけです。

*****

他の賞についても少し書いておくと、文学賞は名前はよく知っていたカズオ・イシグロ氏で、あの有名な本ではなく(追憶の中の)長崎についての本を読んだことがあります。日本は英国に引っ越したこの人に国籍を与えなかったくせに、ノーベル賞を取ったとなると母国の手柄は欲しいのですね、とマスコミを見てて思いました。なんだかなあ。

平和賞をもらったICANについて詳しいわけではないのですが、原爆を作ったマンハッタン計画参加者は何を思っていたのかなあとはずっと思っていて、読めてない本も手元にあるのですが、彼らのことを知ることが第2第3のマンハッタン計画があったときに歯止めとなるかもしれません。個人ができることは限られているので、力のある人や団体に頑張ってもらうしかないですけどね。

放送大学面接授業『宇宙を見る新しい目』(東京大学国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構 鈴木洋一郎特任教授、富山SC、2017/11/11~12 )(追記あり)。

ヨシダヒロコです。

昨日学部の物理専門科目3科目中2科目の提出課題を出しました。『量子と統計』は出来も悪かったしギリギリ間に合いませんでした。この量子は全然意味の分からないことが画面の目の前で展開していくのですが、よく見るとニュートリノ振動や素粒子には関係があります。まあ、少しずつゆっくりやります。

そんな訳で、少しずつ溜まっていたネタを書きます。

今回お星様の話が沢山あったので、ハッブル宇宙望遠鏡のページからクレジットがあればかなり自由に使える写真をダウンロードしてきました。Creative Commons 4.0で使えます。個人使用も可でしょうね。壁紙に「かに星雲」使っています。これはオリオン座ですが、次にニュートリノでの超新星爆発観測があるとすればオリオン座にあるベテルギウスの可能性が高いのです。

https://www.spacetelescope.org/images/potw1109a/

Orion’s lesser-known nebula takes centre stage

Orion’s lesser-known nebula takes centre stage,    Credit: NASA, ESA and Allison Loll/Jeff Hester (Arizona State University). Acknowledgement: Davide De Martin (ESA/Hubble)

さて、この面接授業は去年は『ニュートリノとダークマター』という題でしたが、同じ先生で毎年やっているようです。去年富山学習センターに電話で聞いたら、先生の意向としてはなるたけずっと授業したいとのことでした。題名が変わるとずっと学籍がある人も毎年受けられますし。わたしは去年は共修生でした。院にもパートタイムで籍があり、今の物理の山が終わったらフルの院生になるべく出願できないかなーと思っています。

鈴木洋一郎先生(ニュートリノ研究者にはには最低もうひとり鈴木先生がいらっしゃいます)、カミオカンデ、スーパーカミオカンデで太陽ニュートリノの研究をし、その後XMASSでダークマターの研究をされていました。宇宙線研究所長、神岡施設長、XMASSの実験代表者もされていました(XMASSは昨年度まで)。

10月だったか、XMASSが観測をやめるとかどうとかネットで騒ぎになったので、その質問もしたくて行きました。あと、陽子崩壊とかCP対称性の破れとかを証明するのにハイパーカミオカンデを作りますよという話が追加になるだろうから新しい話も聞きたかったですし。意表を突かれたのは、先生の夢だそうですが、陽子崩壊のための海底測定装置という構想でした。

今回、前の席にいた受講生が先生の著作を持っていたおかげで存在を知ることができました。最後に書籍情報を貼ります。

ちなみにわたしは神岡にも近い富山在住で、SK(スーパーカミオカンデ)関係などの行事が富山でも行われることがあるのでニュースにもなりますし、普段から研究者さんのTwitterなど眺めています。何か見たような景色や食べ物が流れてくることも。鈴木先生のお話を聞くのは3回目で、1回目はサイエンスカフェでした。

9:45~16:45くらいまで、2日間ずっと(素粒子)物理の話+宇宙の話なので、まず数式全くダメとかいう人は少し厳しいかも。先生も「(文系理系という日本にしかない言い方は嫌いだけどとおっしゃってました)文系の方手を挙げて」と聞いてみたり、難しいといわれて難易度を落としたり、予備知識のない人が聴いて分かる授業にされたいみたいでした。

ただ、わたしも数学が前苦手だったことを逆に生かして高校生とか教えていたことがありました。時間をかければ分かってくれる子もいたけど、数式アレルギーがあるなどの苦手な人だったら2日では難しいかも……。とはいえ、最初のサイエンスカフェのとき、わたしは参考図書になっていた小柴先生の易しい本だけ読んでいって(下に挙げます)、鈴木先生のお話の内容を理解したわけではないけどなんだか楽しく、今思えばあれがファーストコンタクトでした。

数式や提唱された仮説など小難しいことは前回よりずいぶん減っていました。およそ1日半でニュートリノ、半日でダークマターでした。ダークマターの割合が減って、質問に時間をかけて、特に最後には「改善点はないですか、次回のために」とまで質問されているのに、「参考図書があったら」などと建設的なことや、「やはり難しかった」と言う人はごくわずかで、残りの沈黙している人にはなんか言って欲しかったです。

わたしは質問したい事情があるので去年と同じく聞きたいことは質問させて頂きました。前回と同じく、こういう話が好きな人は質問して食いついてました。まあこんなことを言ってますが、わたしだって鈴木先生のお話を3回、神岡施設長の中畑先生のお話を2回、梶田先生は1回聞いて、今回でニュートリノ振動をこうやってこうやって証明したとやっと合点がいきました。ですが、だからニュートリノに質量があると言うためには量子力学が必要で、そこをまだ理解していません。

  • 重力波の話はちらほら先生の話に出ていました。マルチメッセンジャー天文学にダークマターが関わることはないそうです。
  • XMASSの話は教えてくださいました。スライドには「中止」とあって、手短に言えば内部では色々あるのではとわたしは解釈しました(詳細は省きます)。今回、こんな時なのにXMASSに触れている時間があまりなかったみたいで、授業後施設名を知らずに帰った人も。大事な施設だろうに、その辺の話を先生の方ではもっとしたかったのでは?と勝手に思いました。

わたしは昨日まで東京に行っていて丸ノ内線に乗る用があったので、一部で噂のSKグッズ(ノートなど)を大学生協行って買ってきたかったのですが、用事が押したので無理でした。そっか神岡に行けば近いじゃんとも思いましたし。何でそこまでと思われるかもしれませんが、今のところそういう話が好きだから、にしておきます。

参考図書になると思われるもの。この新書は講義内容と似てますね。

わたしが初めて読んだニュートリノの本。結構感動しました。ジュニア向けですし易しい部類に入るかと。

小柴先生の教え子で、梶田先生、中畑両先生の恩師である戸塚先生の本。去年再販されました。ざっくばらんに語っているようなその語り口がいいです。鈴木先生も、今回の授業で事故が起きたSKが再建できたわけを質問されてお話ししてましたが、当時所長だった戸塚先生が結構(たしか半分くらいとか)アメリカの研究者を入れていたおかげで、アメリカのお役所からも「再建せよ」と言われたんだそうです。

来年はどんなことが進んでいるか、ダークマターの行方も気になりますがなるたけ行きたいです。
(2017/12/01 14:45追記:帰りのバスターミナルで、東北在住の若いグアテマラ人カップルが隣にいました。彼らはこのアーティストの来日講演を聞きに来ていたそうです。アルバム名、曲のタイトルが”Dark matter”です)

 

『重力波は歌う』(原題:Black Hole Blues)を読了しました。

ヨシダヒロコです。

「重力波がノーベル物理学賞を取ったのにヨシダさんは黙っているな」と思っていた人もいるかもですが、この本をノーベルウィーク前からちまちま読んでいました。ハヤカワは文庫で出したんですね。わたしはハードカバーなのでなにか違うかもしれませんが、ハードカバーで260p、文庫で320p位の本です。

買ったのは発売直後の2016年6月頃で、去年は読書が進まなかったためいろんなものが積ん読になり、今片付けています。最も読みたかったうちの1冊がこれで、ただ重力波については詳しくないため躊躇はしていました。読んでみて思うのは、去年ラッキーにもKAGRA見学会に当選して行ってきて、ブルーバックスの『重力波とはなにか』を読んだ後に飛騨サイエンスカフェで重力波の話を聞いてきた後だからかもしれませんが、物理の話よりは研究者の生い立ちやキャリアや性格が生き生きと書かれていて一般の人にも親しみが持ちやすいと思います。面白いノンフィクションというか。

『重力波とはなにか』(ブルーバックス)読了&スーパーカミオカンデ一般公開(2017/09/04より申し込み受付)。

 

それから、LIGOという巨大プロジェクトの中での複雑な人間関係が書かれていて、中には”Rashomon”という題名の章があり日本語では「藪の中」になっていますが、あとで人が触れたがらないような辛い出来事が起こって、それでも著者はその出来事を本に書いたという箇所も。個性的な人には章が割かれ、温厚で問題を起こさない人はさらっと触れられるだけのようです。

LIGOはレーザー干渉計という今主流の形をしていて、L字型に2本のパイプがクロスしていて中をレーザーが走るのですが、1本の長さが4kmもあって地上にあることもあり、こんなことが起こるの?というハプニングがあります。いかにもアメリカな事件なのですが管理も大変だと思いました。もちろん技術的な話もあるのですが、それすらストーリー性がありました。

重力波がなぜ「歌う」かというと、こういう音を出すからです。近くにいれば鼓膜に届くかも、と夏に飛騨で聞きました。本の中で著者のレヴィン先生は、「エレキギターだけだと音はほとんど出ないけど、アンプを通すと大きな音になる」というように書いていて分かりやすく、このYouTubeはそういうことだと思います(電気信号に変えている)。

この本はわたしが修士号(物理系、科学史)のために今後なにか書くとしたら参考になるスタイルで、1つのプロジェクトの歴史を「読ませる」やり方でぐいぐい引っ張っていきました。惜しいのはどちらも原文を参照していませんが、国立天文台のTAMA300が単にTAMAとなっていたり(p235)、p225ではVirgoが(ヴァーゴ)とふりがなを振ってありました。訳者の確認ミスかも?

そのうち書きたいと思いますが、この間LIGO-Virgoが中性子星合体を観測した記者会見があって、ライヴで見ていました。興奮しすぎたせいと長々英語聞いたせいで2時間ほどするとヨレヨレでしたが、Virgoはヴァーゴと呼ばれたりイタリア語でヴィルゴと呼ばれたりしているようでした。どうも後者が正しいらしいです。

その記者会見で、あとがきにあった「マルチメッセンジャー天文学」が本当に幕明けになりました。何というか、すごい時代になったものです。もう2年かそこらでLIGO-Virgo-KAGRAのコンビになるんでしょうね。楽しみです。今はKAGRAで頑張っている苔山さんという方が(たぶんKAGRA見学会でLIGOの説明してくれたのもこの方かと)最後に列挙してある研究者のリストに載っていて、ちょっと胸が熱くなりました。

超弦理論の大栗先生が、朝日に本書を含めお薦めの本を載せています。ソーン先生はわたしも読みたいし、まあ順番ですね。上で書いた安東先生もあちこちの重力波研究に携わっているそうですが、ここに挙げられた川村先生はLIGOのノイズ・ハンターだったそうです。日本人が頑張っていると報道になっていました。残りの2冊はこれです。
http://book.asahi.com/reviews/column/2017102200003.html 魚拓

キップ・ソーン先生の本は品薄のようです。もともと人気のある方ですし。

安東先生の本と川村先生の本は、注文する場合に副題まで確かめないと。同じ東大系なのに何でほぼ同じタイトルにした?

LIGO-Virgoの中性子合体で、夜更かししてYouTube会見を見ていた興味ある人のうちNewton編集長は過ぎてしまった校了日をぶっちぎってこのニュースを入れることにしました。今日は2017/10/29ですが、まだ発売したばかりなので特集が一部サイトで読めます。Newtonは研究者の皆さんも読んでいるようで(長年の愛読者だったりする)、面白そうな話題が多いので、Fujisan.co.jpで定期購読することにしました。

最後に、2014年の再放送ですけど2017/11/01「コズミック☆フロント NEXT」は重力波特集です。建設途中のKAGRAが見られます。オンデマンドにも長く残っているでしょうか。今の所、最近の急展開を突っ込んだTV番組はないですね。

出張CiRA(iPS細胞研究所)カフェ × 聞イテミル・考エテミル!?「iPS細胞の現在:じん臓・すい臓・肝臓の再生医療」in 金沢に参加して(後編・2017/07/09)

ヨシダヒロコです。

後編が大変遅くなりましたが、前編はこちらです。スライド表紙や建物内部は撮影OKを頂きました。iPS細胞研究所と金沢の研究者さんのグループ「聞イテミル・考エテミル!?」の共同主催です。

出張CiRAiPS細胞研究所)カフェ × 聞イテミル・考エテミル!?「iPS細胞の現在:じん臓・すい臓・肝臓の再生医療」in 金沢に参加して(前編・2017/07/09

 

2人目のゲスト、長船(おさふね)先生はじん臓・すい臓・肝臓の研究をなさっている先生で、まず専門を決めたきっかけを話されました。

2017-07-09 14_Fotor

増殖分化機構研究部門 長船 健二 教授

https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/research/osafune_summary.html

研究概要、略歴など。

先生が医師になった頃、研修医のシステムは今とは違っていました。わたしは先生と同年代で、医師の友人がわずかですがいるので少し分かります。専門を決めようとしたとき、開業医の息子でもないし何でも選べたのですが、病気で壊れたら再生しない臓器と再生する臓器があることに興味を持ったそうです。卒業した平成8年には再生医療はメジャーではありませんでした。じん臓の再生に関する研究をなさっていたそうです。

#詳しく知りたい方は、先生の研究についてのコラムがこちらにあります。

インタビュー『“未来”の担い手たち』

腎臓、膵臓、肝臓の再生に挑戦する(1)-全2回- 長船 健二 氏

http://www.jst.go.jp/ips-trend/column/future/06/no01.html   魚拓

(2)

http://www.jst.go.jp/ips-trend/column/future/06/no02.html    魚拓

前のゲストで出てきたiPS細胞の写真がまた出てきました。細胞があっちにもこっちにも固まっているそうです。無限に増えるのですが、くっつくと働きが悪くなるのでバラして別の皿に入れるそうです。200くらいの様々な細胞になれるそうです。

再生医療とは、健康な細胞や臓器を移植することで病気を治すことです。メカニズムはとりあえず横に置いておきます。

次に、「再生医療用iPS細胞ストック」の説明がありました。ニュースレターには載っていて、山中先生がTVでお話ししていたような記憶があり(寄付すると出演番組がメールで送られてくるので)今回のサイエンスカフェでも事前にこの用語を含めて何を知っているかアンケートを取られました。

例えば患者さん自身からiPSを取るとすると、取ってきて育てるのに3ヶ月くらい、しかも悩ましいことに育てると性質がバラバラなものができる(がん化含む)そうです。iPS作成の品質評価のステップで1年間、一番お金がかかります。次に分化誘導というものを行い、ES細胞のように発生の時にどんな刺激があるか、分かる範囲で同じものを与えてiPSに導きます。その品質評価が約10ヶ月くらいかかり、お金もかかります。

(広報の方から、上の長船先生の発言が少し分かりにくいので補足です)

「2014年の加齢黄斑変性の臨床研究の場合、細胞の採取から患者さんに移植するまでで約10ヶ月かかりました。その間に品質評価や分化誘導を行います。同時進行で行われる部分もあり、必ずしも足し算した時間とは一致しません」

今、ここに脊髄損傷になって救急車で運ばれてきた患者さんがいたとして、すぐに処置すれば治るかもというときにこれでは間に合いません。それで、もともとiPSのストックを用意しておくのです。

HLAホモiPS細胞というのがあります。HLAという免疫に関わる細胞のタイプ(番号)が同じな場合、輸血や移植のときも自分と同じと見なして拒絶反応が起きません。日本人では、HLA のA 24:02とB 52:01とDR-B1 15:02の3種で16%を占めます。両親から受け継いだHLA遺伝子が同じ場合をHLAホモといいます。

HLAホモの方は珍しいのですが、HLA型を調べる臍帯血提供者や骨髄ドナー、献血されたかたの中から同意が得られた方から、HLAホモの方を探して協力していただいています。細胞培養施設には臨床グレード(基準)があります。細胞調製施設(Facility for iPS Cell Therapy: FiT)など、写真を見せていただきました。

2017/03/18に、iPS細胞ストックは滲出性加齢黄斑変性の患者さんの手術に使われました(「他人のiPS細胞」などと記事になっています)。理研CDB高橋政代プロジェクトリーダー、神戸中央市民病院、大阪大学、CiRAの成果です。

*****

休憩の前にQ&Aタイム。

Q  iPS細胞の保存期間は?

A ヒトでは-160℃で永久に。液体窒素を使う。マウスは-80℃で保存可能。

Q. 目の細胞のがん化を防ぐ方法は?

A. そもそも目ががん化しにくい環境と言われています。また、少なくともがん化しやすい遺伝子変化がないことは確認しています。万が一がん化した場合にもがん細胞を除去する方法があります。

Q. レトロウイルスはなぜ使うのですか?

A. 遺伝子導入・発現はベクターを使います。効率よく細胞に遺伝子を導入できます。20~30年前に遺伝子治療を受けた患者さんは、導入遺伝子のすぐ先にがん遺伝子があって刺激されてしまい、白血病になってしまいました。エピソーマルベクターは核の中に入りません(なので比較的安全と考えられます)。

Q. わたしの質問ですが、HLA型の表のところを聞きました。

A. 24:02などは種類です。3種で16%ですが、90%をカバーするため20万人のHLAを調べる必要があります。2017年度末までに3種30%が目標です。

****

ここで休憩です。

休憩時間には研究者さんつかまえて質問してもいいということだったそうです。飲み物とお菓子、両方いろいろが準備されて、乾燥したiPSの小さなサンプルがテーブルに用意されており、説明を受けながら容器に付いている拡大鏡を通して見ることができました。さっき見た写真とは違い、見やすいよう赤く染色してありました。

2017-07-09 15_1_Fotor

事件が起こったのは話の後半でした。その日も金沢は暑くて(北陸が夏暑いことは割と知られていません)、何と停電になりました。タブレットで北陸電力を探してみると、金沢市がピンポイントでダウンしているようで、あの古い建物があだになったのかも。しばらくは「お茶でも飲んで待ちましょう」だったのですが、20分くらいどうなりそうもなかったので、先生とスタッフの方2人、計3人がそれぞれスライドを映したノートパソコンを持って(最新医学のことを話しているのに皮肉でした)薄暗い中マイクを使わずにしばらくお話しされました。非常にシュールなアクシデントでした。幸い20分ほどで復旧しました。

先生が研究されているのはじん臓・すい臓・肝臓ですが、これは特に糖尿病の患者さんなどで一度に悪くなることが多いそうです。

じん臓病→慢性腎不全(1300万人。糖尿病だと血管ボロボロ)→毒素をだす→透析(約32万人)移植数 1500人

すい臓→糖尿病(約320万人) →血管ボロボロ、脳梗塞、心筋梗塞   すい臓・すい島移植  40人

糖尿病:将来なる可能性のある人 2000万人

病院行ってない人を含めると 患者は900万人

肝不全(約40万人)→ 肝硬変  移植数 500人

移植しかないのですが、ドナーが追いついていません。それでiPSで解決する研究をしています。iPSは肺とじん臓が難しいそうです。

iPSからじん臓の組織を作りネズミに移植すると、糸球体ができて血管につながり、おしっこを濾過しているのが見られたそうです。でも「まだまだ」とおっしゃっていて、すでに18年も研究されているそうです。

すい臓→すい島をiPSで作る。ネズミは治せそうだそうです。移植したすい島を取り除くと血糖値が戻っているので効いているのかも?

今後の展望としては、3、4年で移植の研究をしたいそうです。糖尿病の研究はし烈で、北米だけでも200万人の患者がいるので製薬会社にはお金になるそうです。北米では1社始めています。

肝臓について。iPS肝臓細胞をネズミとサルに移植します。ハツカネズミは20日に1回出産します。質問したのですが、マウスというかネズミには2系統が研究所にいて、片方がハツカネズミに近いそうです。ネズミでうまくいっても念のためサルでも試すそうです。

最後にスライドで近く患者さんへの移植をする研究が始まる病気の一覧を見せてもらいました。パーキンソン病、加齢黄斑変性(既出)、角膜疾患、難治性心不全、軟骨疾患、がん、血小板減少症、先天性代謝異常症など多数あります。

法律が変わって移植までが早くなったので、実現は研究後近い未来だそうです。定年までやります、と何となくぼそっとした声でつぶやかれていたような。

——————

質問の時間が少しあって、付箋を貼っての質問コーナーに書いていた人もいたのですが、メチル化とかMHCとかレベルが高かったので(後で研究者の主宰したサイエンスカフェと思い出しなるほどと)、個別に聞いてくださいとなりました。

CiRAサイエンスカフェを地方都市で行ったのは初めてだそうですが、暑い中調整して参加でき、色々お話が聞けてよかったです。研究所も前から行きたくて、でもなかなか京都に行く時間や手間が取れなくて。

最先端のお話が少人数対象に目の前で聞けるので、サイエンスカフェは大変お薦めです。今回組織してくださった皆様、ありがとうございました。先生方やスタッフの皆様も遠くからお越し頂けました。

チラシやパンフレットを頂きました。

20171012_0001

2017-10-12 20_Fotor

左2冊は頂いたもの、一番右に送られてくるニュースレターを置いてみました。

 

 

難しいことはどうも……とおっしゃるけど何か本を読みたい方にはまずこれがおすすめです。2年前のレビューで、山中先生の山あり谷ありの研究人生を話し言葉で書いてあります。

今さらですが『山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた』を読んでみた(2015/07/26)。

****

最後に、iPS関連のサイエンスカフェがまた金沢であるそうです。再生医療学会関連の10/22「アートとビオス」、金沢21世紀美術館で夕方からです。

https://comm.jsrm.jp/risk-communication/events/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%80%8C%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%A8%E3%83%93%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%80%8D/

このブログは過去のポストを検索してくる方が多いので、リンク切れを防ぐため情報をコピペします。参加方法は今学会に問い合わせ中です。

サイエンス・カフェ「アートとビオス」

  • 開催日時:2016年10月22日(土) 18:30~
  • タイトル:「アートとビオス」(日本再生医療学会「リスクコミュニケーションのモデル形成事業」サイエンス・カフェ企画)
  • 出演者:福原志保 (BCL)・八代嘉美 (日本再生医療学会/京都大学iPS細胞研究所)
  • 開催地:金沢21世紀美術館カフェレストラン “Fusion21”
    https://www.kanazawa21.jp/
  • 入場料:500円(ワンドリンク)

2006年に山中伸弥教授らがiPS細胞の樹立を報告して、ちょうど10年となりました。それ以来、未来の医療として「再生医療」や「幹細胞」という言葉が、日夜新聞やニュースを賑わわせるようになりました。こうした研究はまた、病気の治療の研究だけではなく、生命のしくみを解き明かす生物学の研究でもあり、その成果はわたしたちが「あたりまえ」のと思っている「生命のすがた」を揺るがしてもいるのです。その一方、バイオテクノロジー自体が手軽に扱えるものとなってきており、それを用いたアート作品群、いわゆる「バイオアート」によって「生命のすがた」の描かれ方も多様になってきています。今回のサイエンスカフェでは、昨年、金沢21世紀美術館で「Ghost in the Cell:細胞の中の幽霊」を展示した福原志保さんをゲストに迎え、幹細胞とは何か、再生医療とは何か、といった話をテーマに、さまざまな技術が「生」へと介入することが可能となった現在について考えます。

BCLウェブサイト

http://bcl.io/

 

今回のサイエンスカフェの報告&iPS関連次回の予告は以上です。

#こういう内容に間違いがあっては困るので、CiRA国際広報室で何度もチェックして頂きました。どうもありがとうございました。

『地底から宇宙をさぐる――ニュートリノ質量が発見されるまで 増補新版』読了。

ヨシダヒロコです。

Facebookの機能で知りましたが、約1年前に買ったものをやっと最近読み終わりました。

梶田先生の恩師で、宇宙線研究所所長などを務めた故・戸塚先生の著書(更に偉いのが小柴先生)。2008年に、東海村J-PARCの加速器と協力した待望の実験を見届けることなく、がんで亡くなったそうです。この先生が亡くなったときに放送されたNHKのドキュメンタリーが2015年に再放送され、闘病中に書いたブログのことや(下に貼りましたが書籍化されています)、宇宙と自分の生と死を重ねながら(宇宙もいつかは死にますから)、自らの病を科学者として分析しつくした特異な方として知ることになりました。こういう方が自分から地理的にそう遠くないところで毎日研究していたんだなと。

去年神岡に行ったときに他の本も眺めました。口調が堅くないというか、どこか豪快な性格が出ていて親しみやすい語り口でした。この本もそうで、ニュートリノ研究の歴史や解説の中に研究生活の裏話を混ぜ込んで、戸塚先生の分だけで110ページほどですが読みやすかったです。学会で大御所に会った話とか、浜松ホトニクスの社長は「アタラシモノ好き」で小柴先生と意気投合し、そのころ日本の部品は使っていなかったころだったと。

戸塚先生の分だけで、というのは、梶田先生の授賞以降の2016年に、梶田先生の以前雑誌に寄せた短めの原稿を足して増補版として出版されたのです。師弟の共同作業的な本でしょうか。梶田先生がニュートリノ振動の学会発表をしたとき、神岡の道の駅「宙ドーム」に沢山貼ってあった岐阜新聞で読んだのですが、「(発表を)やれ」と戸塚先生に言われ、結果拍手が鳴り止まなかったそうです(拍手のことは、今の神岡施設長の中畑先生がおっしゃっていた)。

この本を読んでいて、p47にフランクリン・メダルの話があります。ある科学者がなかなか取れないという話なんですが、番組で先生の遺影の前に賞状があるのを見ました。「アメリカで最も権威ある賞のひとつ」と本文中にはあるのですが、検索すると「アメリカのノーベル賞」と出ました。先生が授賞したのは亡くなる前年で、日本でも「ノーベル賞が近い」と言われていました。梶田先生は、「ノーベル賞の定員は3人なのに、(先生の)1人分空けてくれた」とTVでおっしゃっていました。

本に書かれていることでリアルなのは、カミオカンデでの超新星爆発ニュートリノ発見の舞台裏です。今でもスーパーカミオカンデでは次の爆発を待っています。カミオカンデ建設についても最初から関わっているのでいろいろ書いてあり(今は坑道のそっち方面は封鎖されているようです)、ラストはスーパーカミオカンデ建設へ向けてとなっています。

語り口が気に入ったので時々また本を開くかもしれません。例えば、素粒子物理学者が「傲慢」という話をやはり外国人物理学者の講演で聞いたことがあります。先生は次のように書いています。

高エネルギー物理学がその後の40年間に手にした成果は実に目を見はるものがある。(略)1930年にローレンスがサイクロトロンで8万電子ボルトまで陽子を加速したのを思い出してほしい。60年後、陽子の加速エネルギーは1億倍、衝突エネルギーは1000億倍になったのである。ときどき物理屋が「俺たちがやろうと思ったことで、できないことはない」といういささか傲慢な言動を口にしても、どうか許してあげてほしい。加速器は物理学者が作り上げた機械のほんの一例だけれど、これだけの恐るべき技術的な進歩を実際にやり遂げたのだから(p28)。

これは一例ですが、とても魅力的な文章です。ブログは(2017/10/07改稿)Web Archiveにhttp://fewmonths.exblog.jp/ と入れると”The Fourth Three Month”として一部が残っています。2008年頃のアーカイブをお探しください。ブログにはご自分のいろんな考えも書いていました。湯川先生や朝永先生のようにエッセイをたくさん書かれたらきっと一般の人にも広く読まれたような文章だと思います。

ブログの書籍化はこちらで、すでに持っていますが、素晴らしい写真が省略されているようで残念です。

このブログ書きながら書誌情報見てて気づいたのですが、余命が短いと分かっていた先生のブログからの本がもう1冊ありました。こちらは科学エッセイで、神岡町図書館の物理コーナーでも見かけました。「話し出すと止まらなくなるので、今日はこの辺で」みたいに書いてあって微笑ましかったです。

最近知ったのですが、静岡県人の先生を記念して、富士市の道の駅に「戸塚洋二ニュートリノ館」があります。HPは多国語展開で、英語のページや展示にも先生の可愛らしい似顔絵が見られます。プラネタリウムまであります。

(2017/10/07追記:今回紹介した本の)表紙写真はスーパーカミオカンデと思いますが、大体の施設写真は写真が趣味の中畑先生が撮っているそうなので、クレジットはないけど弟子として参加しているのかも。

さて、やっと梶田先生のご本を買う番になりました。他に関連本は何冊かあります。小柴先生のは大分前にジュニア向けの本を読みました。現・東北大カムランドの鈴木厚人先生も書かれてます。

「ニュートリノは難しい」という人に。面白いのはこんなちっちゃな、重さがあったといって大騒ぎになるようなつぶつぶが物理の理論を変えるといわれていたり、宇宙の始まりを解き明かすかもといわれていることです。知らない間に飛んできて身体を通り過ぎている(山ほど)というのもミステリアスです。

4年前、右も左も分からなかった頃に神岡から鈴木洋一郎先生がお話に来られるというので、小柴先生のこの本を読みました。子供向けでも話をぜんぶ分かったわけではないけど「楽しかった」と思ったのはその時が最初でした。もう1冊、梶田先生受賞後に出た初心者用向けの本を貼っておきます。

 

『出張CiRA(iPS細胞研究所)カフェ × 聞イテミル・考エテミル!?「iPS細胞の現在:じん臓・すい臓・肝臓の再生医療」in 金沢』に参加して(前編・2017/07/09、2017/08/25主催追記)

ヨシダヒロコです。

すぐにエントリが書けなくてすみませんでした。この翌日富山県高岡市でのCiRA講演会ともども、iPS細胞でどっぷりの2日間でした。最初このサイエンスカフェをどこで知ったか良く覚えていません。講演会のほうはネット経由でTV局のHPに行き当たりました。サイエンスカフェは地方での開催が初めてだったらしく目を疑いましたが、こくちーずという予約システムですぐに予約ができました。

CiRA(iPS細胞研究所・サイラ)にはわずかですが寄付をしており、1回目には丁寧なお礼状とその後はニュースレターを送ってもらっています。ニュースレターはHPにpdfでもありますし、頼めば送ってもらえます。どういう研究をしているのかを薄い雑誌のような形式で教えてくれます。

さて、この7月9日のサイエンスカフェは、金沢・片町ど真ん中なのにわたしが知らなかった場所で開かれました。金沢学生のまち市民交流館という場所で、古い家屋でしたが本家HPには書いてありません。2個目に貼ったHPに、大正時代の町屋を改築とありました。

木倉町という写真のような趣のある場所で、小さな食べ物屋や飲み屋があります。片町バス停からはすぐですが、この時間に富山から行く電車が少なく、最初の挨拶は逃してしまいました。

金沢学生のまち市民交流館

http://www4.city.kanazawa.lg.jp/22050/shiminkouryukan/index.html

金沢 まちなび

http://www.kanazawa-machinavi.com/detail/shop.php?shop=1307

富山・新潟などでもこういう場所で行われるサイエンスカフェに出席したことはなく、不思議な雰囲気でした。

(2017/08/25 21:59追記→)主催は、疾患当事者や市民が研究者と共に研究についてコミュニケーションする場作りを進める研究者のグループ「聞イテミル・考エテミル!?」とCiRAの共同主催です。

 

サイエンスカフェの様子は、短くまとめたものがCiRAのHPにあります。

http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/seminar/170712-143000.html

最初は国際広報室サイエンスコミュニケーターの和田濵裕之さんから、iPS細胞の一般的な話。他の方もですが、スライドに出てくる細胞や血液や器具などが、水彩と思われる濃淡の付いた何とも言えない素敵な描かれ方をしていました。翌日お聞きしたところ、「難しいイメージを和らげるため」(2017/08/25 0:34追記:原稿のコピペミスを追記)外部のデザイナーに依頼したそうで、なにか理系っぽくなく絵画のようで気に入りました。iPS細胞は紺まで行かないブルーで塗られていました。

チラシは別の方のデザインで、以下のような可愛らしいものでした。

iPS120170812

iPS220170812

和田濱さんのお話では、iPS細胞とは何かということを、さっきお話ししたようなデザイン性が高く美しい絵のようなスライド、そして鮮やかな細胞などの写真を使って成り立ちから分かりやすく説明してくれました。まず、受精卵は育てばどんな細胞にもなることができます。2012年ノーベル生理学・医学賞はジョン・ガードン博士と山中伸弥博士が授賞しましたが、最初にガードン博士がカエルを使って大発見をしたのです。1962年のことで、体の細胞もまたどの細胞にでもなれるという発見でした。その後、1980~90年代に受精後の胚細胞からヒトでもES細胞(胚性幹細胞)が作られ、iPS細胞は皮膚の細胞からマウスで2006年、ヒトで2007年に作られました。10周年になります。

iPS細胞の作り方は、簡単にいうと下のリンクの一番上の「iPS細胞とはどのような細胞ですか?」にあるのですが、

http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/faq/faq_ips.html

最初に発見されたときは遺伝子4つとレトロウイルス・ベクターを入れていました。そのときは細胞ががん化することがあるという問題がありました。今ではその4つの遺伝子(Oct3/4, Sox2, Klf4, c-Myc)にLIN28 DN-p53という遺伝子を加え、レトロウイルス・ベクターの代わりにエピソーマルプラスミドを入れてがん化などが起こりにくいようにしているそうです。

最初は皮膚から細胞を採っていたのですが、深いところなので一針くらい後で縫う必要がありました。今では血液の単核球という細胞を使います。

iPS細胞のコロニーの写真が出てきました。iPS細胞というとよく出てくる青い大きな細胞です。何個だと思いますか?と聞かれました。1個と答えてしまったマヌケはわたしくらいでしたが、実際は数千個(後日談:概算では9000個ほどあるそうです)くらいの細胞があっちにもこっちにも固まっているそうです。無限に増えるのですが、くっつくと働きが悪くなるのでバラして別の皿に入れるそうです。200くらいの様々な細胞になれるそうです。

iPS細胞はもちろん再生医療にも使われますが、病態の再現・創薬・治療法発見にも使われます(2日通して後者の話もよく聞くことができました)。例えば軟骨ができなくなる軟骨無形成症で、病気でない方と病気の方からiPS細胞を作ります。軟骨ができる、できないという病気の状態を実験室で再現できます。患者さんには行うことのできない、いろんな薬を細胞に試してみることができます。これはCiRA妻木範行教授の研究で、既に他の病気で使われている薬が、ネズミを使った実験では軟骨無形成症に効果があるかもしれないという結果も出ています。

アルツハイマー病では個人差があり、iPS細胞から神経細胞を作ると違いがあるので効く薬が違う可能性があります。

ここまででQ&Aタイムです。

  • iPS細胞になることのできる細胞の種類は?

大体何でも。分裂する細胞のほうがいいです。

  • iPS細胞から他の細胞へと分化させる際、発生過程はわかっていなくていいのですか?

薬の評価系でははっきり分かっていなくともいいですが、分かっていたものの方がデザインしやすいです。

  • 初期化で時間は巻き戻りますか?

短くなると細胞が老化した目印とされているテロメアは長くなります。

  • 子供さんからの質問。どんな病気でも皮膚から細胞取れば治りますか?

どんな病気でも治るかどうかは分かりませんが、皮膚からとった細胞をiPS細胞にすることで、色々な病気の研究ができると考えられます。

  • 軟骨細胞の薬が見つかってどう投与するのですか?

薬の候補がみつかっても、どうやって投与するのが良いかは改めて調べる必要があります。まだ現在のところどうするのが良いのかはわかりません。

 

iPS細胞を誰かが研究で使いたいときの話が最後にありました。倫理的なことは特別審査がなく、維持費用は計算が難しくて誰も知りません。研究だけで(人件費なし)200~300万、臨床用だともっとかかるとのお話でした。

最後に、以前HPで見かけましたが幹細胞かるたとiPad向けのiPSマスターがあるそうで、これ書きつつ見てると、ほかにもゲームがあるようです。興味ある方はどうぞ。

参考書も紹介されましたが、次回まとめて出します。

これでおひとり目のゲストのお話は終わりです。和やかな雰囲気だったのですが、次の長船(おさふね)先生のお話の時に思いがけないことが起こるのでした。

#こういう内容に間違いがあっては困るので、CiRA国際広報室でチェックして頂きました。どうもありがとうございました。

~後編に続く~

後編 出張CiRA(iPS細胞研究所)カフェ × 聞イテミル・考エテミル!?「iPS細胞の現在:じん臓・すい臓・肝臓の再生医療」in 金沢に参加して(後編・2017/07/09)

夏、神岡へ(1)――中高生向け「夢のたまご塾」飛騨アカデミーセミナーの梶田先生講演聴講(2017/08/06)。

ヨシダヒロコです。

この1ヶ月前にiPS細胞の講演やサイエンスカフェに参加しているのですが、どこまで書いていいか許可を取ったりすることも含めもう少しお待ちください。

2017-08-06 13_Fotor

宇宙線研究所の神岡でのイベントは、飛騨アカデミー(リンク)や市役所の方々(地域振興課とか)に協力してもらってます。飛騨アカデミーはGSA(ジオスペースアドベンチャー)も仕切ってますし。その飛騨アカデミーは、夏に中高生向けの科学合宿セミナーのような催しを行っており、小柴先生が名誉総長だそうです(アカデミーHPより)。参加すると神岡のいろんな施設を見せてもらえます(いつまで見せてもらえるか分かりませんが、今年はKAGRAもあったのかな?もうすぐ見られなくなりますが)。今年の内容はこの魚拓からどうぞ。

もともと、同日の重力波サイエンスカフェに申しこんだら、「梶田先生も講演されますよ」と市役所からのメールの返事に書いてあり、それはラッキーと申しこみました。今年の冬は雪が多く、飛騨市であった講演を大雪で逃していたのです。サイエンスカフェについてはその2で書きます。

講演内容は下の2つのビデオと似てます。ただ神岡は地元なので思い出話が多かったです。残念だったのは、恩師である故・戸塚先生の話を梶田先生が3分ほど触れたときに、隣のおばあちゃんのケータイが鳴り出したことで。全部聞きそびれました。すっごい残念。梶田先生は今どんな風に思い出を振り返っているのかなというのは知りたかったのですが。

一般の観衆は2階にいたのですが年配の方も多く、地元住民の研究への興味を感じました。

わたしの聞いた講演では小柴先生の業績についても時間を割いていました。1983年、実験が始まって数ヶ月後、小柴先生が「太陽ニュートリノをやろう」と言い出したそうです。それでカミオカンデIIに改造、タンクの底などにもぐり、泥だらけになって検出器に変えたそうです。作業中の写真もありました。1987年1月からデータ取得を始め、2月23日に大マゼラン星雲で超新星爆発がありました。当時は情報や起こるというシミュレーションはできませんでした。下でご紹介する本に当時の生々しい話があります。

ご紹介する2本のビデオでは昔話は少ないです。上のビデオは東大(40分)、下は京大(1時間)のオフィシャルなもので、東大のはいろんな関連動画にリンクが貼ってあります。神岡の講演では重力波に触れている時間がなかったそうです。

上のビデオの静止画はカミオカンデ建設メンバーですが、スーパーカミオカンデ(この後SKと略します)になると30人くらいになり、研究者は10ヶ国160人になりました。先生がニュートリノ振動の発表をしたときの話で、中高生にOHPでの発表を(もちろん今はもうないですよね)説明するのにちょっと苦労されていたかな。「フィルムに手書きで」とか。その発表について翌日にクリントン大統領がスピーチで触れてくれたのはとても嬉しかったそうです。余談ですが日本ではもう分かったんだからと予算を減らされる瀬戸際になったと関係者のツイートで読んだこともあります。

過去の超新星爆発で出たニュートリノをつかまえる(1世紀の間に多くて3回と言われている)ことを10年くらい開発・検討しているそうです。SKで超新星爆発ニュートリノをつかまえたシミュレーションを見せてもらいましたが、これでも暗くしてるんですとおっしゃってましたけどダイヤモンドダストみたいに(青いけど)キラキラ光っていました。実験は再来年くらいから開始するそうです。その施設は、まだ予算がきちんと通っていないと聞いた気がするけど、SKよりさらに大きいハイパーカミオカンデ(リンク)です。いろいろテーマがあって、下のビデオで一番最後に出ている光は、是非起こってほしい陽子崩壊でしょう。

あと、SK-Gd(スーパーカミオカンデに微量のガドリニウムを入れて感度を上げる)の話もされていたような(SKのHPへのリンク)。

Q&Aの時間。

前からこのようなところに出てくると、若くて勉強している子に圧倒されます。塾には全国から来てました。意外と飛騨からが少ないらしいです。

一番驚いた質問はこれでした。

Q. (その2日前に発表&報道された)ニュートリノCP対称性の破れ(研究所へのリンク)は、95%の確率で確かだということでしたが、実際はどれ位の確率が必要ですか?

(CP対称性の破れについては、東大発のビデオラスト5分で分かりやすく説明しています)

A. 研究者的には99.999%です。SKでは小さすぎるので、その10倍くらいの装置で10年くらい研究が必要です。今若い人が頑張ってます。

その他数個挙げると(メモが正確でないかもしれません)、

Q. 陽子崩壊とニュートリノのパターンはどう違いますか?

A. 陽子崩壊はもともと水の中に陽子があるから、左右に分かれます。ニュートリノは外から来ます。

Q. ノーベル賞を取って何が変わりましたか?

A. そういうことを考えている暇がなくなりました。

この辺は一般の方の質問だったと思います。

Q. ニュートリノの応用にはどのようなものがありますか?

A. 東北大Kamland、地中のコアなどから来るニュートリノを観測しています。地球がどのように作られたか、地熱の起源などを研究しています。

Q. 純水について

A. 鉱山の中の流水を純水にする装置を通して入れています(フィルター、イオン交換)。わたしは飲んだことがありません。

(わたしもこの質問は研究者さんにしたことがありました。下でご紹介する戸塚先生&梶田先生の本で、戸塚先生は「鉱山のわき水は綺麗だし美味しかった」というようなことを書いています)

そういうわけで、先生はいつもそう言っているようですが、「この中から数人は是非研究者に」と締めくくりました。

図書館の1階に降りようとしてエレベーターに乗ったら、市職員と一緒にこの方が。同じく乗り合わせたおばちゃんたちと「何していいか分かりませんねこういうときー」と言ってました。ちと緊張した。で、これです。

2017-08-06 15_Fotor_Fotor

最後に参考書。もとは1995年出版で、カミオカンデからSK建設までの裏話が色々あってお好きな人には楽しい本。近く改めてレビューしますが、梶田先生の授賞で、昔梶田先生が岩波『科学』に書いた文章を増補して去年出版されました。戸塚先生のユーモラスだったりちょっと豪快な性格なのかな?という人柄が文章にさりげなく出ていて文章も読ませるし笑わせもしてくれます。

(2017/08/21 21:31追記:昨日のJ-PARCの一般公開で、GSAに続いてこれが売ってたらしいです。SKと一緒に研究してるので出店してたのですね)

(2017/08/29 22:33追記:続き書きました)

夏、神岡へ(2)――重力波サイエンスカフェに梶田先生現る(2017/08/06)。