gacco『ようこそ、科学技術コミュニケーション』(北大CoSTEP講師陣、2018/03/07~)

ヨシダヒロコです。

CoSTEP.png

 

前回あった東北大災害科学国際研究所の震災についての授業は、レポートの評価が良かったので嬉しかったです。簡単に言うとゲームを使って遺稿を回るというレポートでした。ゲーム長らくしてないですけど。もっと動画見てみたかったので、来年また受けます。所長の今村先生が、震災のあった日辺りにシンポジウムに出席されているのをNHKでやってました。

さて、科学技術コミュニケーションとか科学コミュニケーションといわれてもなじみのない方も多いかもしれません。わたしの知っているのはよく行くサイエンスカフェなどで、普段はお話しする機会もないような研究者さんなど専門家の方々と対等にお話ができるものです。

北大CoSTEPは科学技術コミュニケーションに特化した大学院大学ではいち早くできたもののうちに入り、科学技術コミュニケーターを養成します。たまたま機会があって2005か2006年には存在を知っていました。サイエンスライティングなどやってみたかったのですが、その学科は札幌までたまに行かないとダメでした。科学館や科学博物館での学芸員さんのお仕事もサイエンスコミュニケーションに入るのかな。この科目では、科学技術コミュニケーションの歴史やスキルなどを垣間見ることができます。概要を見てみたかったのでありがたいです。

大学院の紹介など。

http://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/costep/html/introduction.html

例えば「欠如モデル」と言われる「分からない人に知識を与えれば啓蒙できる」的な考えは否定されていること、サイエンスカフェは興味のある人しか来ないという問題点の話がありました。

もう勉強は半分弱まで進んでいて、最終課題が17日なので急がなくては。慣れている方なら今からでも入れるかも。今回はいつもと違ってスライドをダウンロードできます。

わたしは今まで富山・新潟・金沢とサイエンスカフェに出席してきて、今年はちょっと変わったところに行くかもなんですが、札幌はいろいろ進んでいるなと思いました。この辺のカフェも頑張っているし、運営の手作り感というか、親しみが持てていいのですよもちろん。ただこの授業受けててこんな工夫があるんだと知ることができました。

わたしとしてはWeek3のライティングが楽しみなところです。ライティングの訓練は実は受けたことがありません。翻訳から一旦離れてやってみたいとは思っていますけど、今は余裕が……(すでに学生でもあるので)。

Week1 科学技術コミュニケーションとは 講義&課題: 2018年3月7日15時 公開 ← すべて日本時間 JST (UTC+9) とする

    • Part1 科学技術コミュニケーションとは
    • 1-1-1. 講義の流れと目標
    • 1-1-2. 科学技術コミュニケーションとは
    • 1-1-3. 科学技術コミュニケーションの定義
    • 1-1-4. 科学技術コミュニケーターとは
    • 1-1-5. 確認
    • 1-1. クイズ
    • Part2 科学技術コミュニケーションの歴史
    • 1-2-1. 目標
    • 1-2-2. 科学技術コミュニケーションの歴史
    • 1-2-3. 科学技術コミュニケーションのモデル
    • 1-2-4. 日本における科学技術コミュニケーション
    • 1-2-5. 確認
    • 1-2. クイズ
    • Part3 科学技術コミュニケーションの現在
    • 1-3-1. 目標
    • 1-3-2. 科学技術コミュニケーションの現在 科学者の状況
    • 1-3-3. 科学技術コミュニケーションの現在 市民の状況
    • 1-3-4. 科学技術コミュニケーションの危機
    • 1-3-5. 確認
    • 1-3. クイズ
    • Part4 科学教育からみる科学技術コミュニケーション
    • 1-4-1. 目標
    • 1-4-2. 科学的知識と関心の関係
    • 1-4-3. 学習観と科学技術コミュニケーション
    • 1-4-4. 確認
    • 1-4. クイズ

 


Week2 対話でつなぐ科学と社会 講義&課題: 2018年3月14日15時 公開

    • Part1 科学技術コミュニケーションとしての対話
    • 2-1-1. 目標
    • 2-1-2. 科学技術コミュニケーションとしての対話
    • 2-1-3. 対話の場の事例紹介
    • 2-1-4. 確認
    • 2-1. クイズ
    • Part2 対話の場を企画する
    • 2-2-1. 目標
    • 2-2-2. 対話の場を企画する
    • 2-2-3. プログラムデザイン
    • 1-2-4. プログラムデザインの事例
    • 2-2-5. 確認
    • 2-2. クイズ
    • Part3 対話の場を創る
    • 2-3-1. 目標
    • 2-3-2. ファシリテーションとは何か
    • 2-3-3. ファシリテーションのプロセス 場のデザイン
    • 2-3-4. ファシリテーションのプロセス 対話のデザイン 議論の促進(発散)
    • 2-3-5. ファシリテーションのプロセス 対話のデザイン 合意形成・まとめ(収束)
    • 2-3-6. ファシリテーションのプロセス 対話のデザイン 共有
    • 2-3-7. 確認
    • 2-3. クイズ
    • Part4 対話の実践をめぐる対談
    • 2-4-1. 目標
    • 2-4-2. サイエンス・カフェ
    • 2-4-3. 討論劇とワークショップ
    • 2-4-4. 体験型ワークショップ
    • 2-4-5. 対話型展示
    • 2-4-6. アイディアを形にする
    • 2-4-7. 確認
    • 2-4. クイズ

 


Week3 文章でつなぐ科学と社会 講義&課題: 2018年3月22日15時 公開

    • Part1 科学技術コミュニケーションとしてのライティング
    • 3-1-1. 目標
    • 3-1-2. ライティングとは
    • 3-1-3. サイエンスライティングにおける注意点
    • 3-1-4. ライティングの媒体
    • 3-1-5. ライティングのフロー
    • 3-1-6. 確認
    • 3-1. クイズ
    • Part2 ライティングを企画する~多様な表現を目指して~
    • 3-2-1. 目標
    • 3-2-2. ライティングを企画する
    • 3-2-3. テーマの展開
    • 3-2-4. 実例で見るライティングの切り口
    • 3-2-5. 確認
    • 3-2. クイズ
    • Part3 インタビューという実践
    • 3-3-1. 目標
    • 3-3-2. サイエンスライティングとインタビュー
    • 3-3-3. インタビューとは
    • 3-3-4. インタビューの要素 傾聴
    • 3-3-5. インタビューの要素 質問
    • 3-3-6. インタビューの心得
    • 3-3-7.  確認
    • 3-3. クイズ
  • Part4 文章で科学をどう伝えるか
  • 3-4-1. 目標
  • 3-4-2. 文章のピントを合わせる1
  • 3-4-3. 文章のピントを合わせる2
  • 3-4-4. 説明とは何か1
  • 3-4-5. 説明とは何か2
  • 例文『生き物をめぐる「4つのなぜ」』
  • 『生き物をめぐる「4つのなぜ」』の答え合わせ
  • 3-4-6. 問うことの大切さ
  • 3-4-7. 確認
  • 3-4. クイズ

Week4 科学と社会をつなぐ多様なメディア表現 講義&課題: 2018年3月28日15時 公開

    • Part1 映像というメディア
    • 4-1-1. 目標
    • 4-1-2. 映像メディアの変革期
    • 4-1-3. ビジュアル表現の特性
    • 4-1-4. 映像メディアと科学技術コミュニケーション
    • 4-1-5. 映像メディアの注意点
    • 4-1-6. 確認
    • 4-1. クイズ
    • Part2 WEBというメディア
    • 4-2-1. 目標
    • 4-2-2. WEBの特徴と活用法1
    • 4-2-3. WEBの特徴と活用法2
    • 4-2-4. WEBの効果的運用
    • 4-2-5. 確認
    • 4-2. クイズ
    • Part3 グラフィックというメディア
    • 4-3-1. 目標
    • 4-3-2. デザインとは
    • 4-3-3. 適材適所のデザイン
    • 4-3-4. 発信者と受け手の間をとりもつデザイン1
    • 4-3-5. 発信者と受け手の間をとりもつデザイン2
    • 4-3-6. 確認
    • 4-3. クイズ
  • Part4 アートというメディア
  • 4-4-1. 目標
  • 4-4-2. アートについて考える-科学とアートの関係-
  • 4-4-3. アートの歴史
  • 4-4-4. コンテンポラリーアート1
  • 4-4-5. コンテンポラリーアート2
  • 4-4-6. 科学技術コミュニケーションとアート
  • 4-4-7. 確認
  • 4-4. クイズ

*  課題すべて : 理解度確認クイズ 1~2点、計21点
*提出締切日時: 2018年4月17日23時59分

* 最終レポート20点
* 提出締切日時: 2018年4月17日23時59分
* 採点締切日時: 2018年4月24日23時59分

 

 

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富山市天文台サイエンスカフェ「重力波で『聞く』宇宙の神秘」(東京大学宇宙線研究所 助教 宮川治さん、2018/02/25 富山市天文台)。

ヨシダヒロコです。

9月のサイエンスカフェのレポをしたばかりですが、先月末に次のに行ってきました。先週大事なサファイアの鏡が搬入されたばかりのKAGRAから宮川さんという研究者さんが来られて、後で分かりましたが夏に神岡であった重力波サイエンスカフェでのゲスト、4人の研究者さんたちのひとりでした。今回のサイエンスカフェと前後して、飛騨でも行われました。今後各地で増えたらいいですね。富山では多分初めてかと思います。天文台サイエンスカフェの開催は年1回です。

重力波捉えるサファイア鏡 「かぐら」の心臓部を公開(2018/03/19)共同・日経           魚拓(リンクが切れていたらどうぞ)

今回は全書き起こしに近い形にはしません。今後KAGRAについての講演や今回のようなくだけた集まりが増えそうな気がするので、あえて文章量を少なめにします。

天文台が森の中ということもあり一眼を持っていったのですが (2018/03/19 3:53青字部分、校正ミス訂正)SDカードを忘れ、タブレットで撮影。数があるのでGoogleフォトでアルバム作りました。本当はもうちょっと修正かけたかったんですが。

https://photos.app.goo.gl/qQ3MzHBFqCwzTFA52

前日になって、「駐車場に雪が多くてスペースがなく、すぐに一杯になるかも」みたいなメールが来て急いで行きました。そこで話聞いて驚いたんですが、天文台とちょっとした温泉、少し離れてライチョウの飼育している富山ファミリーパークがあるだけの本当の森なのに、何を思ったか誰かが(2018/03/19 4:16 青字部分校正)婚活パーティーをやるので駐車場が足りないと。ここで一体何するんだろうと思いながら、送ってくれた親の車を降りました。

森はこんな感じで、池が凍ってました。

2018-02-25 13_Fotor

駐車場から10分ほど歩いて天文台に着き、展示品を見てサイエンスカフェに出て、また展示品を見て帰りました。ゆるキャラKAGRAさんは初めて知りましたが、職員の方曰く、この絵を描いた「ひっぐすたん」(は知ってる)の本は絶版になったけどとても分かりやすいそうです。たぶんこれ。

去年ここに行ったときにKAGRAに出向いて見せてもらい、模型を作る予定だと聞きました。今回見たら何と自前で作ってました、ジオラマまで。器用な職員さんがいるそうです。

2018-02-25 14_Fotor

カフェは意外にも子供が多く、KAGRA見学会にも行って興味を持ってやってきたみたいでした。応募多数で抽選があるかもしれなかったのですが、定員オーバーでもそのまま聞いてもらうことにしたと。カフェでは話を遮って質問してもいいのですが、宮川さんは2、3回「子供たちの質問が少ない」と言ってました。幸い、話の終わった後に中学生くらいの子に捕まって質問受けていました。

宮川さんは名古屋出身、家族で富山在住だそうです。都立大→宇宙線研→カリフォルニア工科大(カルテク)でLIGOの基礎設計(ポスドク)→宇宙線研、という経歴だったと思います。何とあの「鳥人間コンテスト」で優勝経験があるとか。

スライド写真はKAGRAの最深部だそうです。経歴紹介の後はLIGOの大発見のお話から。号外が出たとか(日本で)、アインシュタインの宿題(1916年)を100年かかって解いたというお話がありました。3000km離れた2つの波形が一致し、あまりに理論値とも一致していて「ウソでは?」という話になったくらいだったそうです。

宮川さんはそのLIGOで研究していたので、ノーベル賞取った3人も知ってると。「実験屋のレイ」、「プロジェクトリーダーのバリー」、「理論家のキップ」と言われていて、レイは高齢だけどMITでまだバリバリ回路組んでるそうです。人をまとめる立場の人が(バリー氏のこと)受賞するのは珍しくて、それだけ大変なプロジェクトだったとの事でした。あと観測から1年で受賞も珍しいと(梶田先生は20年かかっている)。

生きていたら受賞したであろうロン・ドレーヴァー氏は観測当時認知症でしたが、重力波が来たことは理解したそうです。干渉計は『重力波は歌う』を読むと書いてありますよと言ってました。確かによく分かります。あと(キップ・ソーン氏が監修した)『インターステラー』見た人?と挙手を募ってました。

実際にブラックホール合体の時の重力波の音を出したり、動画を出して「ここで合体しました」など分かりやすかったです。もしブラックホールがもっと大きかったら音は低かったそうです。

↑「可愛い音」と言われてました。

去年の中性子星合体も、合体の時の音や複数の望遠鏡の動画も聞いたり見たりできました。貴金属がこの合体でできることが分かったので、NASAが元素周期表を書き換えているそうです。

中性子星合体の音。

こういう話でよく聞く「ベテルギウスの超新星爆発」もそろそろかという観測が、2017年6月30日、チリのアルマ望遠鏡が星の変形を捉えたため言われているそうで、でも明日か1000年後かは分かりません。

KAGRAの見学会はレアになりつつあり、そのうち振動を避けるため研究者さえほうり出されてリモート操作になるというお話。わたしは2016年に当選して行けましたが、その年の運を使い果たしたかと思いました。

わたしが苦労している一般相対性理論、KAGRAの原理の話も色々あったのですが、

KAGRAのトリビア(まとめてみました)

  • パイプの直径は80m。
  • レーザーは赤外線で、クリーンルーム中でも出ている。腕時計に反射して目に入ったりすると失明
  • 赤外線を使うのは、設計するときに安定だから。
  • ビームスプリッターは水晶(合成石英)
  • 鏡のサファイアはホワイトサファイア、機械的損失が少ない(ブルーサファイアやルビーとの区別の話がありました。不純物で色が変わる)
  • 感度が10の-19乗とすごく小さいため、いろんなノイズと研究者さんは戦っているそう。
  • 地球上で重力波は作れても小さすぎ、大きなものは人工的に作れず、直接何かに役に立てるのは無理

簡単なしくみがpdf1枚でここにあります。

http://gwcenter.icrr.u-tokyo.ac.jp/KAGRA_Nobel/data/KAGRA2_panel.pdf

重力波観測前のですけど、国立天文台ニュースがここに。

https://www.nao.ac.jp/contents/naoj-news/data/nao_news_0247.pdf

宮川さんのKAGRAでの仕事は干渉計の制御(コントロールルームの設計:リモート操作が大変)で、直属の上司は梶田先生だそうです。

わたしが疑問だったのは、イタリアにあるVirgoをどう発音するのかだったのですが、ヴァーゴとヴィルゴ(それぞれ英語、イタリア語)とあっちとこっちで表記が違うので。実はKAGRAも海外ではGにアクセントが付いて「かぐーら」とか呼ばれちゃうらしくて、みんな呼びたいように呼んでいるらしいです(多国籍のチームですし)。VirgoのTwitterアカウントの中の人にも質問して答えもらったことあったのですが、もっと時代が前だったらどう読むかとか煙に巻かれたような感じでした。

もうひとつ、鏡はなぜサファイアなのかという質問は、寺の鐘を鳴らしたらずーっとゴンゴン響いてるような性質がサファイアにはあるとのこと。おぼろげにしか理解できなかったので、今後の宿題とします。

重力波観測成功が解禁になったときに号外が出た話から始まり、スーパーカミオカンデと『君の名は。』の糸守村の関係、富山県人や岐阜県人なら知っている「ノーベル街道」こと国道41号線の話など、とっつきやすい話もありました。ノーベル街道に縁がある研究者さんたちが子供時代を振り返って言うのは、「自然の中でよく遊んだ」が共通しているようです(田中耕一さんは2ヶ月かそこら前にまた大発見をしたそうですがまだ概要を読んでません)。

今後どんな面白いこと(©大隅先生)があるかということについては、よく聞かれるそうですがまず新しい観測手段であること。宇宙の新事実(4次元以上が発見されるとか)、宇宙初期の星の進化やブラックホールの研究などなどがあります。宇宙初期の話は、論文を分からないながら眺めたことがありますが、昔々のブラックホールがあって重力波がまだ飛んでいるのではという話があるらしいです。

「今日は最後に何かある」と聞いてましたが、職員の方がひとり春で退職になるそうです。その簡単な送別会というか、最近星が好きな宮川さんが星つながりでも交友があったのでしょうか。KAGRAトンネル掘削の最後に出た砂で砂時計を作ってあって、そんなレアなものをプレゼントされてました。とても親切な職員さんなのでいらっしゃらないとつまんないですが、長いことお疲れ様でした。

アルバムにあるスーパーカミオカンデグッズはここではなく街中の科学博物館にあります。わたしはノート狙ってます。

もうさすがに雪は解けたと思いますので、職員さんが退職になる前に夜にでも行けたらいいなあ。

※間違いの訂正を歓迎します。関係者の方は特にありがたいです(メールフォームからでもOKです)。

サイエンスカフェとやま第25回「新しいお花を作りたい!」(2017/9/23、とやま健康生きがいセンター1Fカフェゴッコ)その2(2018/03/14, 17訂正)。

ヨシダヒロコです。

その1はこちらです(リンク)。いろんなお話があって全部リンク先を読むのも難しいでしょうから、好きなところだけどうぞ。

前回書いた青いキク、バラは青い色素を入れます。重イオンビームで変異を起こすより、遺伝子組換えの方が成果がよいというお話だったと思います。青いカーネーションは「ムーンダスト」(サントリーのサイト)、青いバラはサントリーの「アプローズ」(サントリーのサイト)です。アプローズはまだ紫っぽく見えます。薄い紫のバラは風情があり、香り高いのが多くて好きですけど。

青いキクは野田さんという方が2013年に作りました(下のリンクにもありますが写真ではちゃんと青でした)。

「青い菊」咲いた サントリーなど開発(産経)           (魚拓)

プレスリリース (研究成果) 「青いキク」が誕生

http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nivfs/076531.html

遺伝子組換えは既にご存知の方もいるでしょう。モンサント社が自社製品グリホサート(商品名ラウンドアップ、200ml 2300円)に耐えられるように作物を作りました。遺伝子組換え作物の環境への影響が懸念されています。

次は雑誌の表紙にもなった(Plant&Cell Physiology)トレニアというお花の話です。多弁咲きシクラメンで、夏の花壇花です。組換え開始から5ヶ月で開花します。

雑誌の表紙がこれです。

PCP_trenia

動画を見せられ、クリーンベンチでパートさんが実験作業をしています。葉の一片を植えて育てると、培養室で幼植物体となり、土に植えると温室内で開花します。

培養の様子はこんな感じでした(これがガラスの壁の向こうにあって、人間と接触せずに作業します。写真は発芽の実験なので多少違いますけど……)

512px-Kiemtafel_(germination_table)

From “Plant physiology” in Wikipedia, germination table by Rasbak

花が大きくなる過程で遺伝子セットを入れます。時期をずらしてひとつの遺伝子を抑制すると、花のパターンがいろいろできます。それぞれの遺伝子は発現場所やパターンが違います。

色の出方については、細胞の形が変わるから?とか、色々な要素があってまだ分かっていません。

プレスリリース 「花の形・配色パターンだけを効率的に多様化」

http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nivfs/070829.html

次は遺伝子導入、アグロバクテリウム法を使った遺伝子組替えでの育種です。アグロバクテリウムは土中の細菌で、あるDNAを植物に感染させてこぶを作ります。この時感染=組替えがされていない細胞は殺されます。遺伝子組換えにはよく使われる方法と本で読みました。

これで作られたのが青いキク、バラ、カーネーションです。カーネーションはわたしも買ったことあり、紫に近いと思いました。バラは上に書いたサントリーの「アプローズ」です。キクは農研の成果です。光る花も作りました。花だけで遺伝子機能を抑制し、これは組換えでないとできません。TVに取材されたり、国立科学博物館「ヒカリ展」に出品したりしたそうで、TV用に夜咲いているところを撮った写真を見せてもらいました。一面蛍のようで綺麗で、それが花畑なので不思議な感じでした。

光る花の写真は前発言のチラシにもありますが、多少はっきりしたのは農研機構のHPにあります。

ルシフェラーゼ(ホタル)などの化学発光とGFPなどの蛍光(GFP:下村先生が見つけたオワンクラゲ由来の緑色蛍光タンパク質)はメカニズムが違い、GFPでの組換えの前例はありましたがうまく行かなかったため、富山湾に住む海洋プランクトンChiridius Poppeiからの蛍光タンパク質を使っています。ちょっとブログ書きながら検索してみたら、「キリディウス・ポッペイ」でいろいろ出てきました。

プレスリリース「光る花の研究開発に成功」

http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/flower/048489.html

プレスリリース「遺伝子組換え技術により開発された『光る花』の論文を公開」
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/flower/054854.html

国立科学博物館 ヒカリ展の魚拓(リンク切れていたらご覧ください)

(余談:以前買った青いカーネーションの写真です。2016年5月に、ネットの花問屋「はなどんやアソシエ」で濃淡3種あるのを買い、その後金沢の花屋さんにもあるのを見かけました。これはたしか真ん中ほどの濃さの色で、咲き具合で色が変わった気もするし、写真は西日が当たっています。上に書いた「ムーンダスト」のサイトをもう一度貼りますが、1輪ずつ咲くタイプが4色、スプレーが2色あるそうです)
http://moondust.co.jp/

2016-05-12 17_Fotor_Fotor

盛り上がったのでずいぶんいろんな話をしてもらったのですが、最後にゲノム編集のお話。導入だけだったので、いいことはこんなところ、というのを聞きました。クリスパーとか何だろう、と前から思っていたいましたのでちょうど良かったです。

2017-09-23 16.39.59

ゲノム編集は、お話しされた時点でここ3年ほどの技術ということでした。育種の問題を解決してくれるもので、遺伝子を2ヶ所一度に切ることができます。交配だと(2018/03/14 13:39追記:いろんなところが切れるので)いろんな植物ができるのですが、ゲノム編集だと1つしかできません。

農業の課題として、例えばリンゴでは温暖化、担い手不足、病害虫などがあります。その解決や、ジャガイモの芽に含まれる毒をゲノム編集で取り除いて、食中毒リスクを低減することができます。

CRISPER-Cas9(クリスパー・キャスナイン)というものがあり、受精卵などに注入するだけで作業できます。業者さんにこのガイドDNAが欲しい、この配列でなどと頼むと、次の日に送ってくるそうです。

生産コスト減で美味しいトマトもでき、受粉を行う必要がありません。アレルゲンを抑えた米や、養殖しやすい(おとなしくて共食いが少ない)マグロ(2018/03/17 0:32追加:すいません抜けてました)も作れます。

農研機構では世界で初めてキクのゲノム編集を行いました。キクは6倍体だから難しいそうです(2倍体だと楽)。

研究内容はこんな感じで、再び雑誌の表紙になりました(キクが光っているのは、「光る花」の技術も使っているようです)。

プレスリリース
世界で初めてゲノム編集によりキクの性質を変えることに成功

http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nivfs/074039.html

PCP_luminescent_chry

最後の方、よく思い出せない箇条書きメモが書いてあるのですが、覚えているのは、花きはペットと同じくらいの産業規模があり、プレゼントしたりメンタル的に癒しになるとおっしゃっていたかと。

少なめ人数でも活発だったので、「スライドとか今後は工夫しないと」みたいなことをお話の後で感想としてお話ししていました。またお花のお話聞きたいです。

これを書くために農研機構のサイトには何回か行きましたが、最近はウンシュウミカンのゲノム解読に成功したそうです。

※今回のサイエンスカフェは特に内容が濃かったこともあり、間違っていることがあればご指摘お願いします。関係者の方は特にありがたいです(メールフォームでも構いません)。

サイエンスカフェとやま第25回「新しいお花を作りたい!」(2017/9/23、とやま健康生きがいセンター1Fカフェゴッコ)その1。

ヨシダヒロコです。

(2018/03/06 1:49追記:写真があったのを思い出しました。冊子もいただきました)

2017-09-23 15_1_Fotor2017-09-23 15_Fotor

この話題書きたかったのですが、大変遅くなりました。写真の著作権についてゲストに問い合わせているうちに延び延びになってしまいました。富山市郊外で(この建物ではスポーツ教室など行われている)、ここでの開催は初めてだと思いますが少人数で和気あいあいとした、しかし議論が活発なサイエンスカフェでした。しかも盛り上がりすぎて大幅延長。

思えばまだこの頃は、着いたら暑くてジュースか何か頼んだ覚えが。原稿書いてたのは冬で、もう少し春っぽくなってきました。

20171219_Fotor

とやまサイエンスカフェのブログ↓より。資料や不思議な花の写真もあります。上のチラシのpdfもあります。色はpdfの方がきれいなのでここにも付けておきますね(pdf)。

http://sctoyama.jp/?p=2383

ゲストの佐々木克友さんとお連れの方々ははるばるつくばの農研機構よりいらっしゃいました。お花の育種(品種改良)にバイオ(遺伝子組換え、最近ではゲノム編集など)が盛んに使われているのは、興味を持って講演などに行っていたのでわたしはもう知っていました。だから是非このお話は聞きたかった。日本は育種大国で沢山新品種を出しているそうです(青いコチョウランのこの過去ログなど(リンク)。青いチューリップ作る試みもブログにに書いたことあるんですが、昔のことなので話がもう進んでいると思います)。

それに、すごい技術だといわれるゲノム編集の話を目の前で聞いたのはこれが初めてでした。そういうわけで、隣接レストランであった懇親会に出られなかったのがすごく残念でした。のちに冬になって、ゲノム編集はもう次の段階に進んでいるとの情報が別方面から入ってきましたけど……。

参加者にはアンケートが渡され、「アレルギーの出ない小麦がもしあったらいいと思うか」「角のないウシがいたら」などのテクノロジーでできた農産物の例が載っていました。

農研機構はつくばの花き研究所で、その日も研究してから来られたそうです。チューリップの品種改良では富山と研究協力しています(ここはチューリップの栽培が盛ん。楽天で球根を買ったら「適した気候は富山・新潟」などと書いてありました。駅でお土産として売ってますし、チューリップフェアの砺波市にある富山県花卉球根農業協同組合などから通販でも買えます)。

育種とは何か。遺伝子は生命の設計図ですが、変わると性質も変わります。都合よく変化したものを使います。

遺伝子とは復習。DNAなどでは、ごく一部の遺伝子がアミノ酸が沢山集まったタンパク質の設計図になり、お花の色や形を作ります。イネには約32000個、ヒトには約23000個の遺伝子があります。

遺伝子の中で直接アミノ酸を作らないジャンクの部分も役に立たないことはありません。ある部分は分かっているところもあります。遺伝子の発現とか安定性とか病気の研究とか、動物の方が予算が付くそうです。

初心者には難しいですが、メチル化の質問がいきなり出たのでしばらくその話(エピジェネティクス)。

育種に話が戻って、育種とは野生種→作物→多様化のようになります。例えばトマトの野生種の写真を見せていただいたのですが、南米にあって小さく、美味しくなく、毒があり(トマチン)、すぐに実が落ち、いっせいに芽が出ないといったものであるそうです。今のトマトは4tくらい食べると死ぬ程度です。

(このエントリ書いていて偶然見つけたこのスライドに、様々なペルーの原種があるのを見つけました)

イネでは脱粒性というのがあり、種粒が落ちてしまうのですが落ちない品種を選びました。インディカ米とジャポニカ米はDNAが1塩基違うだけですが、それを発見したのは日本人研究者です。

さて、お花の話になって、バラに見える写真が分割された画面に沢山出てきました。実は北米原産のトルコキキョウが混ざっていてややこしいです。今、(お花好きな人なら店頭で見ていると思うのですが)育種では(八重の)バラ咲きが中心です。最初は一重でした。「交配育種」といい、花粉をめしべに付けます。トマトでは、欲しい性質をかけ合わせます。それを繰り返し、数万~数十万の個体、5年以上かけます(これもどれくらいかかると思う?とクイズになった覚えが)。果樹だと50年以上で、研究者が退職するときにまだ終わっていないそうです。

農水省にジーンバンクというのがあって、種だけで22万、菊の遺伝子は300位管理しているそうです。

次は新種のカーネーション育種秘話です。農研機構HPに写真がある「ミラクルルージュ」「ミラクルシンフォニー」という紅白のお花。持ちがよいのが特徴で、リンクを見ると今後発売だそうで母の日にどうぞ、らしいです。

プレスリリース。

http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/season/006539.html    魚拓

研究成果パンフレット。

http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/research_digest/digest_kind/flower_vegetables/027311.html    魚拓

このお花は、老化ホルモンのエチレンを出しません。交配(おしべをめしべに付ける)の親は「花恋ルージュ」で、複数の形質を並行しながら、形質がなくなることもあるため15年かかりました(1991~2006)。困った病気である萎凋(いちょう)細菌病に抵抗性を持ちます。

まず、カーネーションの1種から枯れにくいものを持ってきて、かけ合わせると最初形が悪いものが出てきます。その種を形の良いものとかけ合わせます。かけ合わせの回数は1000回以下です。一番いいものを交配で作り出すのが一番大変で、温度管理をせずにハウスの中でいいものができて、種にすると違ったものになってしまうこともあります。挿し木ならOKです。カーネーションは受粉の時に花びらをむしるので難しく、自然界では生きていけない花だそうです。

今度は、突然変異を利用するやり方。DNAが切れると、それを修復するときにミスが起きます。1.(DNAの)一部が欠失、2.塩基が置換される、3.他の配列が挿入される、などです。

DNA損傷は1. 活性酸素 2. 発がん性物質 3. 放射線 4.紫外線などで作り出せますが、試してみた末にアルゴン、ネオンの重イオンビームを使いました。アルゴン、ネオンは原子が大きいのです。理研の仁科加速器センターにて、ビームをどこにぶつけるか決めることができ、大きなエネルギーが発生するので、DNA損傷を作ることができます。

新品種はサイネリア、トレニア、ペチュニア、なでしこなどができ、黄色い菊は天皇陛下が見に来られました。キクは1年で2500株くらい処理し、色合いや形は6株くらいしか変わりません。キクは6倍体なので、染色体が一度に6本切れないといけません。植物でも動物でも成長して増えていくところに損傷があると遺伝していきます。

(わたしが急いで取ったノートには「ほとんど理研から論文が出ている」と書いてありましたが、天皇陛下が見に来られたのはこれかな、と思われる黄色い菊の研究紹介が農研機構のHPから探せました。重イオンビーム照射によるキク花色変異におけるカロテノイド酸化開裂酵素の関与

佐々木さんが沢山スライドを作ってくださったためこれでもまだ話の半分なので、さらなる変わった花の話を読みたい方は続きのエントリでどうぞ。

~その2へ続く~(リンク

間違いがありましたら、ご指摘お待ちしております。特に関係者の方々。

2017年を振り返り(仕事・勉強編)。

ヨシダヒロコです。

2017-12-23 15_Fotor

作ったスワッグにイタリア語の教科書を敷きました(何となく……)。

 

今年の仕事はとにかく低調だったけど、勉強したことが生きるような収獲もありました。仕事がなかったらラッキー休み!にはならず、何が自分には足りないか分析したり強みになるものも作らないといけません。

2013年くらいから物理というか宇宙物理方面が面白いなと思い、2016年(だったよね?)に放送大学に入ってから半年ほどして物理を専攻したいと思ったんです。電車に乗っていてぱーーっと書きたいことが出てきて乗り過ごしてしまいました。富山や石川で乗り過ごすとエラいことになるんですが。

体調が悪すぎた年がここ2年ほど続きましたが、今年は比較的体が動いたし積ん読も多少は崩せました。今年後期で大学では物理を3教科履修し、2科目で試験を受けられることが昨日分かりました。とても難しいのですが、受かってくれることを祈ります。

物理を勉強すると、ものが動くとは何かとか、電気とはこんな風になっているなどの基礎的なことから入るので、医療機器の原理のトライアルってわりと多いんですけど、合否にかかわらず助かりました。もともとそういう目的で履修したのではないのですが。トライアルは沢山受けました。あと、登録年数から考えて絶対仕事を回してくれなさそうなところ、例えばMT絡みなどで考えの合わないところとは関係を切りました。

翻訳についての本も読み、日英に少しだけ自信が付きましたし、自分はどういう方向に行くべきか考えました。

MOOCのCourseraで米国を中心とした現代詩の勉強もしています。日本のgaccoでは、東北大2講座(memento moriとオーロラ)修了に続き、東北大(東日本大震災の教訓を活かした実践的防災学へのアプローチ)と北大(CoStep)1講座ずつ申しこみました。

他言語の勉強では、かなり頑張って受けたイタリア語検定準2級に2回連続であと3点で落ち、少し息切れしたようです。1月は放送大単位認定試験で潰れますし。先生が今年最後の授業で言われたことをよく理解してないので詳しくは来年に持ち越しですが、レベルを少し落とした”Qui Italia”(写真中にある)で文法をおさらいすることになりそうです。試験は秋まで延期かな。試験にしても、将来的に翻訳するにしても文法からは逃げられないし、わたしは結構穴が沢山あるので。

そういえば、初めてイタリア語で絵本(注:翻訳)のコンテストに出しました。

スペイン語は、DELEをお休みしました。近所にはなく遠征しなくてはいけないのできついですし。今年はB1でボロボロな落ち方を2回しているので1つ落としてA2で受ける予定です。今年から先生が変わって文法をよく教えてもらっています。バレンシアの方です。イタリア語もスペイン語も、過去形1つ取っても複数ありますから面倒です。レッスン増やしたいなと思うんですがさあどうなるか。加藤伸吾先生の『スペイン語力養成ドリル2000題』も再びちょくちょくやるつもり。そんなこと言ってる間に先生の新刊でましたけど。

英語の学校には全然行けなくて残念でした。

課外活動的なものでは、仕事に直接関係あるもので大きかったのが翻訳祭。その前にエージェント訪問したりイタリア語の通学レッスンを受けられたことも含め。ブースでいつものコーディネーターさんの素顔も見られ、その後仕事が楽になったと思います。直前に山グッズの仕事を無茶振りしたとちょっと申し訳なさそうでしたが、いやわたしに当たってよかったです(山は経験ないに等しいけど好きなので)。自分が10分とはいえ登壇者になったことも今後に生かしたいです。あとは春にテリーさんの翻訳チェックのJTFセミナーに行きました。

サイエンスカフェとやまには結構行って、「原子っちゃなんけ」、「変光星」、「iPS」(金沢の聞イテミル・考エテミル!?とCiRA共催)、「重力波」(飛騨)、「育種」などでした。

講演会では山中先生らのもの(高岡)と、「夢のたまご塾」というティーン向け合宿講座(飛騨)の後ろに座って梶田先生の講演も聞きました。高岡のものは内容の紹介に関していろいろ制限がかかっており、面倒な思いもしたため、全く書いてません。惜しかったのは双極性障害を研究している理研の加藤忠史先生が金沢に来られたのを見落としたことでした。

博物館などでは、大阪市立科学館のイベントで朝のアルマ望遠鏡をライブ中継で見て、春の東京では英国自然史博物館展、放送大学のサークル見学でみんなで国立天文台に行きました。春、東京ではバベルの塔とか色々やってましたが何であんなに混んでるんでしょうねえ。断念しました。

来年の抱負などは体調次第なので一昨年くらいから書いてないのです。仕事関係の人間関係でいいことも辛いこともありました。影響力のある人は、仕事にSNSを活用することを紹介するときに、これは役に立つけど向こうにいるのは人間なのでしんどいこともある、と初心者には一言添えた方が親切なのでは、と思ったりもします。

ともあれ、1月のお出かけ予定は何から始まるかまだはっきりとはしてないですが、去年くらいから興味が増している詩歌にまつわる本や写真集なども今後ここで紹介できたらと思います。あ、これは趣味に近いのかな。でも書いといたらカメラとかの仕事来ないかな。

今年はあと1本、プライベート面での出来事を振り返って終わります。

出張CiRA(iPS細胞研究所)カフェ × 聞イテミル・考エテミル!?「iPS細胞の現在:じん臓・すい臓・肝臓の再生医療」in 金沢に参加して(後編・2017/07/09)

ヨシダヒロコです。

後編が大変遅くなりましたが、前編はこちらです。スライド表紙や建物内部は撮影OKを頂きました。iPS細胞研究所と金沢の研究者さんのグループ「聞イテミル・考エテミル!?」の共同主催です。

出張CiRAiPS細胞研究所)カフェ × 聞イテミル・考エテミル!?「iPS細胞の現在:じん臓・すい臓・肝臓の再生医療」in 金沢に参加して(前編・2017/07/09

 

2人目のゲスト、長船(おさふね)先生はじん臓・すい臓・肝臓の研究をなさっている先生で、まず専門を決めたきっかけを話されました。

2017-07-09 14_Fotor

増殖分化機構研究部門 長船 健二 教授

https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/research/osafune_summary.html

研究概要、略歴など。

先生が医師になった頃、研修医のシステムは今とは違っていました。わたしは先生と同年代で、医師の友人がわずかですがいるので少し分かります。専門を決めようとしたとき、開業医の息子でもないし何でも選べたのですが、病気で壊れたら再生しない臓器と再生する臓器があることに興味を持ったそうです。卒業した平成8年には再生医療はメジャーではありませんでした。じん臓の再生に関する研究をなさっていたそうです。

#詳しく知りたい方は、先生の研究についてのコラムがこちらにあります。

インタビュー『“未来”の担い手たち』

腎臓、膵臓、肝臓の再生に挑戦する(1)-全2回- 長船 健二 氏

http://www.jst.go.jp/ips-trend/column/future/06/no01.html   魚拓

(2)

http://www.jst.go.jp/ips-trend/column/future/06/no02.html    魚拓

前のゲストで出てきたiPS細胞の写真がまた出てきました。細胞があっちにもこっちにも固まっているそうです。無限に増えるのですが、くっつくと働きが悪くなるのでバラして別の皿に入れるそうです。200くらいの様々な細胞になれるそうです。

再生医療とは、健康な細胞や臓器を移植することで病気を治すことです。メカニズムはとりあえず横に置いておきます。

次に、「再生医療用iPS細胞ストック」の説明がありました。ニュースレターには載っていて、山中先生がTVでお話ししていたような記憶があり(寄付すると出演番組がメールで送られてくるので)今回のサイエンスカフェでも事前にこの用語を含めて何を知っているかアンケートを取られました。

例えば患者さん自身からiPSを取るとすると、取ってきて育てるのに3ヶ月くらい、しかも悩ましいことに育てると性質がバラバラなものができる(がん化含む)そうです。iPS作成の品質評価のステップで1年間、一番お金がかかります。次に分化誘導というものを行い、ES細胞のように発生の時にどんな刺激があるか、分かる範囲で同じものを与えてiPSに導きます。その品質評価が約10ヶ月くらいかかり、お金もかかります。

(広報の方から、上の長船先生の発言が少し分かりにくいので補足です)

「2014年の加齢黄斑変性の臨床研究の場合、細胞の採取から患者さんに移植するまでで約10ヶ月かかりました。その間に品質評価や分化誘導を行います。同時進行で行われる部分もあり、必ずしも足し算した時間とは一致しません」

今、ここに脊髄損傷になって救急車で運ばれてきた患者さんがいたとして、すぐに処置すれば治るかもというときにこれでは間に合いません。それで、もともとiPSのストックを用意しておくのです。

HLAホモiPS細胞というのがあります。HLAという免疫に関わる細胞のタイプ(番号)が同じな場合、輸血や移植のときも自分と同じと見なして拒絶反応が起きません。日本人では、HLA のA 24:02とB 52:01とDR-B1 15:02の3種で16%を占めます。両親から受け継いだHLA遺伝子が同じ場合をHLAホモといいます。

HLAホモの方は珍しいのですが、HLA型を調べる臍帯血提供者や骨髄ドナー、献血されたかたの中から同意が得られた方から、HLAホモの方を探して協力していただいています。細胞培養施設には臨床グレード(基準)があります。細胞調製施設(Facility for iPS Cell Therapy: FiT)など、写真を見せていただきました。

2017/03/18に、iPS細胞ストックは滲出性加齢黄斑変性の患者さんの手術に使われました(「他人のiPS細胞」などと記事になっています)。理研CDB高橋政代プロジェクトリーダー、神戸中央市民病院、大阪大学、CiRAの成果です。

*****

休憩の前にQ&Aタイム。

Q  iPS細胞の保存期間は?

A ヒトでは-160℃で永久に。液体窒素を使う。マウスは-80℃で保存可能。

Q. 目の細胞のがん化を防ぐ方法は?

A. そもそも目ががん化しにくい環境と言われています。また、少なくともがん化しやすい遺伝子変化がないことは確認しています。万が一がん化した場合にもがん細胞を除去する方法があります。

Q. レトロウイルスはなぜ使うのですか?

A. 遺伝子導入・発現はベクターを使います。効率よく細胞に遺伝子を導入できます。20~30年前に遺伝子治療を受けた患者さんは、導入遺伝子のすぐ先にがん遺伝子があって刺激されてしまい、白血病になってしまいました。エピソーマルベクターは核の中に入りません(なので比較的安全と考えられます)。

Q. わたしの質問ですが、HLA型の表のところを聞きました。

A. 24:02などは種類です。3種で16%ですが、90%をカバーするため20万人のHLAを調べる必要があります。2017年度末までに3種30%が目標です。

****

ここで休憩です。

休憩時間には研究者さんつかまえて質問してもいいということだったそうです。飲み物とお菓子、両方いろいろが準備されて、乾燥したiPSの小さなサンプルがテーブルに用意されており、説明を受けながら容器に付いている拡大鏡を通して見ることができました。さっき見た写真とは違い、見やすいよう赤く染色してありました。

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事件が起こったのは話の後半でした。その日も金沢は暑くて(北陸が夏暑いことは割と知られていません)、何と停電になりました。タブレットで北陸電力を探してみると、金沢市がピンポイントでダウンしているようで、あの古い建物があだになったのかも。しばらくは「お茶でも飲んで待ちましょう」だったのですが、20分くらいどうなりそうもなかったので、先生とスタッフの方2人、計3人がそれぞれスライドを映したノートパソコンを持って(最新医学のことを話しているのに皮肉でした)薄暗い中マイクを使わずにしばらくお話しされました。非常にシュールなアクシデントでした。幸い20分ほどで復旧しました。

先生が研究されているのはじん臓・すい臓・肝臓ですが、これは特に糖尿病の患者さんなどで一度に悪くなることが多いそうです。

じん臓病→慢性腎不全(1300万人。糖尿病だと血管ボロボロ)→毒素をだす→透析(約32万人)移植数 1500人

すい臓→糖尿病(約320万人) →血管ボロボロ、脳梗塞、心筋梗塞   すい臓・すい島移植  40人

糖尿病:将来なる可能性のある人 2000万人

病院行ってない人を含めると 患者は900万人

肝不全(約40万人)→ 肝硬変  移植数 500人

移植しかないのですが、ドナーが追いついていません。それでiPSで解決する研究をしています。iPSは肺とじん臓が難しいそうです。

iPSからじん臓の組織を作りネズミに移植すると、糸球体ができて血管につながり、おしっこを濾過しているのが見られたそうです。でも「まだまだ」とおっしゃっていて、すでに18年も研究されているそうです。

すい臓→すい島をiPSで作る。ネズミは治せそうだそうです。移植したすい島を取り除くと血糖値が戻っているので効いているのかも?

今後の展望としては、3、4年で移植の研究をしたいそうです。糖尿病の研究はし烈で、北米だけでも200万人の患者がいるので製薬会社にはお金になるそうです。北米では1社始めています。

肝臓について。iPS肝臓細胞をネズミとサルに移植します。ハツカネズミは20日に1回出産します。質問したのですが、マウスというかネズミには2系統が研究所にいて、片方がハツカネズミに近いそうです。ネズミでうまくいっても念のためサルでも試すそうです。

最後にスライドで近く患者さんへの移植をする研究が始まる病気の一覧を見せてもらいました。パーキンソン病、加齢黄斑変性(既出)、角膜疾患、難治性心不全、軟骨疾患、がん、血小板減少症、先天性代謝異常症など多数あります。

法律が変わって移植までが早くなったので、実現は研究後近い未来だそうです。定年までやります、と何となくぼそっとした声でつぶやかれていたような。

——————

質問の時間が少しあって、付箋を貼っての質問コーナーに書いていた人もいたのですが、メチル化とかMHCとかレベルが高かったので(後で研究者の主宰したサイエンスカフェと思い出しなるほどと)、個別に聞いてくださいとなりました。

CiRAサイエンスカフェを地方都市で行ったのは初めてだそうですが、暑い中調整して参加でき、色々お話が聞けてよかったです。研究所も前から行きたくて、でもなかなか京都に行く時間や手間が取れなくて。

最先端のお話が少人数対象に目の前で聞けるので、サイエンスカフェは大変お薦めです。今回組織してくださった皆様、ありがとうございました。先生方やスタッフの皆様も遠くからお越し頂けました。

チラシやパンフレットを頂きました。

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左2冊は頂いたもの、一番右に送られてくるニュースレターを置いてみました。

 

 

難しいことはどうも……とおっしゃるけど何か本を読みたい方にはまずこれがおすすめです。2年前のレビューで、山中先生の山あり谷ありの研究人生を話し言葉で書いてあります。

今さらですが『山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた』を読んでみた(2015/07/26)。

****

最後に、iPS関連のサイエンスカフェがまた金沢であるそうです。再生医療学会関連の10/22「アートとビオス」、金沢21世紀美術館で夕方からです。

https://comm.jsrm.jp/risk-communication/events/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%80%8C%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%A8%E3%83%93%E3%82%AA%E3%82%B9%E3%80%8D/

このブログは過去のポストを検索してくる方が多いので、リンク切れを防ぐため情報をコピペします。参加方法は今学会に問い合わせ中です。

サイエンス・カフェ「アートとビオス」

  • 開催日時:2016年10月22日(土) 18:30~
  • タイトル:「アートとビオス」(日本再生医療学会「リスクコミュニケーションのモデル形成事業」サイエンス・カフェ企画)
  • 出演者:福原志保 (BCL)・八代嘉美 (日本再生医療学会/京都大学iPS細胞研究所)
  • 開催地:金沢21世紀美術館カフェレストラン “Fusion21”
    https://www.kanazawa21.jp/
  • 入場料:500円(ワンドリンク)

2006年に山中伸弥教授らがiPS細胞の樹立を報告して、ちょうど10年となりました。それ以来、未来の医療として「再生医療」や「幹細胞」という言葉が、日夜新聞やニュースを賑わわせるようになりました。こうした研究はまた、病気の治療の研究だけではなく、生命のしくみを解き明かす生物学の研究でもあり、その成果はわたしたちが「あたりまえ」のと思っている「生命のすがた」を揺るがしてもいるのです。その一方、バイオテクノロジー自体が手軽に扱えるものとなってきており、それを用いたアート作品群、いわゆる「バイオアート」によって「生命のすがた」の描かれ方も多様になってきています。今回のサイエンスカフェでは、昨年、金沢21世紀美術館で「Ghost in the Cell:細胞の中の幽霊」を展示した福原志保さんをゲストに迎え、幹細胞とは何か、再生医療とは何か、といった話をテーマに、さまざまな技術が「生」へと介入することが可能となった現在について考えます。

BCLウェブサイト

http://bcl.io/

 

今回のサイエンスカフェの報告&iPS関連次回の予告は以上です。

#こういう内容に間違いがあっては困るので、CiRA国際広報室で何度もチェックして頂きました。どうもありがとうございました。

夏、神岡へ(2)――重力波サイエンスカフェに梶田先生現る(2017/08/06)。

ヨシダヒロコです。

前の話はこちらです。

夏、神岡へ(1)――中高生向け「夢のたまご塾」飛騨アカデミーセミナーの梶田先生講演聴講(2017/08/06)。

梶田先生の講演の後も、いろんな先生方が講演していました。わたしはもともと重力波サイエンスカフェに応募したのだし(研究者さんが4人も!市役所の方に「こんな機会ないです」とメールで言われました)、図書館1階でウロウロしているときに、サプライズで梶田先生が飛び入りすることを聞いていたのです。

チラシは告知の時pdfでも出しましたがこちらです。プラス、スペシャルゲストで途中まで梶田先生。

KAGRA220170816

日曜日のためバスが少なく、わたしはカフェが終わる前に終バスが来るため抜けなくてはなりませんでした。

尾関さんが進行役、どの方か分かりませんが眼鏡の朗らかな方が話を進め、紅一点の苔山さんがあの重力波を検出したLIGO(ライゴ)で研究していたと分かって驚きました。この方は、去年のKAGRA見学会(今年のは落ちました、残念)で颯爽とヘルメットにつなぎ姿で説明していた研究者さんでは?私服なので分かりませんでしたが。他に、研究者さんのご身内か何か?手伝い要員さんが市役所や飛騨アカデミーなどの方の他にもいました。

まず、スライド表紙、そして横顔の梶田先生とサイエンスカフェのゲスト全員。

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まず最初は「梶田先生は謙虚」という尾関さん(元ジャーナリスト)と客席の編集者さんの話から始まりました。受賞当日、翌日締め切りの原稿があったそうで、編集者さんと梶田先生の間でやり取りがあったそうです。「梶田先生、今年は授賞ですよ」みたいな。先生が「いや、わたしなんて」とおっしゃっていた20分後かそこら、電話がかかってきたそうです。その他に、「神岡は第2のふるさとです」とも先生はおっしゃっていて、その他は黙って話を聞いていました。40分くらいいらっしゃったでしょうか。次の予定が……と去って行かれましたが、嬉しいサプライズでした。

講演の機会はいろんな場所であるようなので、是非。でも今回のような話は現地で聞くのが楽しいです。

わたしは今回のテーマである重力波についてよく知っているわけではなかったので、前にも書いたこの本を読んでいきました。東大系だけでなく世界の施設に関わっている安東さんの本ですが、いきなり読むと物理物理しているかもです。本当の入門書はないのかな。

『重力波とはなにか』(ブルーバックス)読了&スーパーカミオカンデ一般公開(2017/09/04より申し込み受付)。

以前から「(重力波は)アインシュタインの最後の宿題」と言われていたことは知っていて、このサイエンスカフェもその辺から始まりました。まずLIGOでの初検出があったときの騒ぎをユーモアを交えて紹介。重力波のゆるキャラがあったり(と聞いたのですがググっても出てこない)、号外が出たりしました。その中で香川だけは特異な反応をし、何かというと「かけうどんが値上がりした」が1面トップだったのでした。お話してたゲストは四国人だそうで、「分かりますけどね」と言ってました。

重力波って何?というかどういうときに出るの?という例で、ウィーンの舞踏会の動画が。質量(重さ)を持つものが回ると出るので、スライドに「出てます!重力波」とあったのは可笑しかったです。腕をグルグル回しても出ますが、振幅(波の幅)が0.000~(0が全部で49個)~1(=10の-50乗)くらいなのでとても観測できず、星ほど重いものを測定する場合で近くないと人類には測定できません。測れるのは0.000~(0が全部で21個)~1(=10の-22乗)くらいです。太陽と地球の間で水素分子が1個動いた位の小ささです。

測定の仕方はレーザーの干渉で、つまり光は波でもあるので重力波が来ると山と波がずれ、それで分かります。こんな模型を休憩時間中に見せてもらいました。

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重力波「望遠鏡」で、赤外線の赤いレーザーを使います。撮るの下手でしたが、できたばかりらしいKAGRAの模型が会場にあったので動画を撮りました。

この望遠鏡では、L字の腕の長さが長いほど重力波の影響が大きいのです。重力波の音を聞かせてもらいました。音が低いので高くしたそうですが、後で質問すると、周波数を電気信号に変えているそうです。実際の音と言えば、例えばすごく大きな音だったら直接鼓膜が揺れるかも、だそうです。

LIGOでは2つの大学が恐らく同じものを出してます。chirp(チャープ)とは「さえずり」で、小鳥のさえずりのように聞こえるらしくそう言われているそう。

 

上に貼った写真の模型にある鏡(字が見えないですが上と右にあります)は-253℃に冷やされ、厚み150mm、直径200mmの合成サファイア(無色)、ビームスプリッターは旭硝子製です。

途中でこんなスライドもありました。引き延ばして見えやすいようにしたので画面粗いですけど、このカフェのしばらく前にネットで『君の名は』の舞台が神岡の研究所からあまり離れていない、という説が出ました。それにあやかったものです。夜景の写真をアニメと比べたりしてました。

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次に、LIGOでの発見秘話です。苔山さんが発表している研究者さんとの対談形式で語ってくれました。LIGOは延べ4000人近い研究者が20年頑張っていた施設で、2015年の1050人の研究者のうち日本人は5人くらいだったそうです。あの発見で「ブラックホールの存在」「重力波の存在」が観測できたそうです。研究発表の時は2016年2月、アメリカの文科省のようなところで記者会見し、もう日本に帰っていたので夜中にYouTubeのライブを見ていたそうです。壇上にいたのはLIGO創設者だそうです。

信号は2015年9月に観測され、箝口令が敷かれました。「本当にみんな黙っていたんですか?」と尋ねられて「自分は黙っていたけどTwitterで噂が流れて。日本に帰ってからは『これは』と思うようになりました」と。

意義としては、1.重力波によるゆがみ 2.相対性理論との矛盾なし 3.連星ブラックホールの観測 4.連星ブラックホールの合体観測 5.太陽の30倍の質量のブラックホール観測(X線では今まで小さいものしかなかった)

観測は今年6月にもあり、合体して50倍になりました(このサイエンスカフェからほとんど1ヶ月ですが、1週間ほど前?から観測を始めたばかりのVirgoとLIGOが共同でまた何か発見したと噂になっています)。天体観測として新しい発見で、1万倍のブラックホールもあるそうです。

太陽質量30倍のブラックホールがどうしてできるかというと、メモがあやふやですのですいません。1.寿命を終えた星が超新星爆発をする 2.ファーストスター(重金属がなくガスが集まっている)→後になってから核融合、超新星爆発→大きなブラックホールになる

KAGRAの特徴を話しているところで、1人のおばさんが「難しい。重力波は一体何の役に立つのですか」などと質問しました。それで、バスの時間も迫っているし聞きたかった内部の様子(鏡を何段階にも糸でつるやり方など)を聞かずに帰ることになりましたが、聞きたかったところだったのでこれは残念でした。

研究者さんが話す途中だったのは、

KAGRAの特徴は、地下なので

  • 地面の震動がない。望遠鏡が揺れに弱いので安定する(揺れるとデータが取れない)
  • サファイアの鏡。熱とは原子の振動なのですが、鏡にもし熱があり振動すると、レーザーが反射するところがバラバラになります。だから絶対零度(これ以上ない低温)くらいまで冷やしている、という意味だったと。

この辺の話も「何の役に立つ」の話があったので気もそぞろだったのですが、研究者さんも予想していたのか、「その技術はこういうところに役に立ちます」というスライドを出して、「役に立たない研究、しようよ」の大隅先生の写真まで用意していたりしました。

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そんなこんなでなんとか高速バスをつかまえ富山へ帰りました。近い場所にいるのに梶田先生をお見かけしたことなかったし、飛騨のサイエンスカフェに出られてよかったです。

この日の神岡は暑く天気もよく、こんな風に晴れ上がっていました。この写真はまだ猪谷(富山)ですが、研究施設が県境ですので。

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飛騨市のHPに当日の写真があり、後ろ姿の丸いおばさんとしてわたしもいます。

 

『出張CiRA(iPS細胞研究所)カフェ × 聞イテミル・考エテミル!?「iPS細胞の現在:じん臓・すい臓・肝臓の再生医療」in 金沢』に参加して(前編・2017/07/09、2017/08/25主催追記)

ヨシダヒロコです。

すぐにエントリが書けなくてすみませんでした。この翌日富山県高岡市でのCiRA講演会ともども、iPS細胞でどっぷりの2日間でした。最初このサイエンスカフェをどこで知ったか良く覚えていません。講演会のほうはネット経由でTV局のHPに行き当たりました。サイエンスカフェは地方での開催が初めてだったらしく目を疑いましたが、こくちーずという予約システムですぐに予約ができました。

CiRA(iPS細胞研究所・サイラ)にはわずかですが寄付をしており、1回目には丁寧なお礼状とその後はニュースレターを送ってもらっています。ニュースレターはHPにpdfでもありますし、頼めば送ってもらえます。どういう研究をしているのかを薄い雑誌のような形式で教えてくれます。

さて、この7月9日のサイエンスカフェは、金沢・片町ど真ん中なのにわたしが知らなかった場所で開かれました。金沢学生のまち市民交流館という場所で、古い家屋でしたが本家HPには書いてありません。2個目に貼ったHPに、大正時代の町屋を改築とありました。

木倉町という写真のような趣のある場所で、小さな食べ物屋や飲み屋があります。片町バス停からはすぐですが、この時間に富山から行く電車が少なく、最初の挨拶は逃してしまいました。

金沢学生のまち市民交流館

http://www4.city.kanazawa.lg.jp/22050/shiminkouryukan/index.html

金沢 まちなび

http://www.kanazawa-machinavi.com/detail/shop.php?shop=1307

富山・新潟などでもこういう場所で行われるサイエンスカフェに出席したことはなく、不思議な雰囲気でした。

(2017/08/25 21:59追記→)主催は、疾患当事者や市民が研究者と共に研究についてコミュニケーションする場作りを進める研究者のグループ「聞イテミル・考エテミル!?」とCiRAの共同主催です。

 

サイエンスカフェの様子は、短くまとめたものがCiRAのHPにあります。

http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/seminar/170712-143000.html

最初は国際広報室サイエンスコミュニケーターの和田濵裕之さんから、iPS細胞の一般的な話。他の方もですが、スライドに出てくる細胞や血液や器具などが、水彩と思われる濃淡の付いた何とも言えない素敵な描かれ方をしていました。翌日お聞きしたところ、「難しいイメージを和らげるため」(2017/08/25 0:34追記:原稿のコピペミスを追記)外部のデザイナーに依頼したそうで、なにか理系っぽくなく絵画のようで気に入りました。iPS細胞は紺まで行かないブルーで塗られていました。

チラシは別の方のデザインで、以下のような可愛らしいものでした。

iPS120170812

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和田濱さんのお話では、iPS細胞とは何かということを、さっきお話ししたようなデザイン性が高く美しい絵のようなスライド、そして鮮やかな細胞などの写真を使って成り立ちから分かりやすく説明してくれました。まず、受精卵は育てばどんな細胞にもなることができます。2012年ノーベル生理学・医学賞はジョン・ガードン博士と山中伸弥博士が授賞しましたが、最初にガードン博士がカエルを使って大発見をしたのです。1962年のことで、体の細胞もまたどの細胞にでもなれるという発見でした。その後、1980~90年代に受精後の胚細胞からヒトでもES細胞(胚性幹細胞)が作られ、iPS細胞は皮膚の細胞からマウスで2006年、ヒトで2007年に作られました。10周年になります。

iPS細胞の作り方は、簡単にいうと下のリンクの一番上の「iPS細胞とはどのような細胞ですか?」にあるのですが、

http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/faq/faq_ips.html

最初に発見されたときは遺伝子4つとレトロウイルス・ベクターを入れていました。そのときは細胞ががん化することがあるという問題がありました。今ではその4つの遺伝子(Oct3/4, Sox2, Klf4, c-Myc)にLIN28 DN-p53という遺伝子を加え、レトロウイルス・ベクターの代わりにエピソーマルプラスミドを入れてがん化などが起こりにくいようにしているそうです。

最初は皮膚から細胞を採っていたのですが、深いところなので一針くらい後で縫う必要がありました。今では血液の単核球という細胞を使います。

iPS細胞のコロニーの写真が出てきました。iPS細胞というとよく出てくる青い大きな細胞です。何個だと思いますか?と聞かれました。1個と答えてしまったマヌケはわたしくらいでしたが、実際は数千個(後日談:概算では9000個ほどあるそうです)くらいの細胞があっちにもこっちにも固まっているそうです。無限に増えるのですが、くっつくと働きが悪くなるのでバラして別の皿に入れるそうです。200くらいの様々な細胞になれるそうです。

iPS細胞はもちろん再生医療にも使われますが、病態の再現・創薬・治療法発見にも使われます(2日通して後者の話もよく聞くことができました)。例えば軟骨ができなくなる軟骨無形成症で、病気でない方と病気の方からiPS細胞を作ります。軟骨ができる、できないという病気の状態を実験室で再現できます。患者さんには行うことのできない、いろんな薬を細胞に試してみることができます。これはCiRA妻木範行教授の研究で、既に他の病気で使われている薬が、ネズミを使った実験では軟骨無形成症に効果があるかもしれないという結果も出ています。

アルツハイマー病では個人差があり、iPS細胞から神経細胞を作ると違いがあるので効く薬が違う可能性があります。

ここまででQ&Aタイムです。

  • iPS細胞になることのできる細胞の種類は?

大体何でも。分裂する細胞のほうがいいです。

  • iPS細胞から他の細胞へと分化させる際、発生過程はわかっていなくていいのですか?

薬の評価系でははっきり分かっていなくともいいですが、分かっていたものの方がデザインしやすいです。

  • 初期化で時間は巻き戻りますか?

短くなると細胞が老化した目印とされているテロメアは長くなります。

  • 子供さんからの質問。どんな病気でも皮膚から細胞取れば治りますか?

どんな病気でも治るかどうかは分かりませんが、皮膚からとった細胞をiPS細胞にすることで、色々な病気の研究ができると考えられます。

  • 軟骨細胞の薬が見つかってどう投与するのですか?

薬の候補がみつかっても、どうやって投与するのが良いかは改めて調べる必要があります。まだ現在のところどうするのが良いのかはわかりません。

 

iPS細胞を誰かが研究で使いたいときの話が最後にありました。倫理的なことは特別審査がなく、維持費用は計算が難しくて誰も知りません。研究だけで(人件費なし)200~300万、臨床用だともっとかかるとのお話でした。

最後に、以前HPで見かけましたが幹細胞かるたとiPad向けのiPSマスターがあるそうで、これ書きつつ見てると、ほかにもゲームがあるようです。興味ある方はどうぞ。

参考書も紹介されましたが、次回まとめて出します。

これでおひとり目のゲストのお話は終わりです。和やかな雰囲気だったのですが、次の長船(おさふね)先生のお話の時に思いがけないことが起こるのでした。

#こういう内容に間違いがあっては困るので、CiRA国際広報室でチェックして頂きました。どうもありがとうございました。

~後編に続く~

後編 出張CiRA(iPS細胞研究所)カフェ × 聞イテミル・考エテミル!?「iPS細胞の現在:じん臓・すい臓・肝臓の再生医療」in 金沢に参加して(後編・2017/07/09)

『重力波とはなにか』(ブルーバックス)読了&スーパーカミオカンデ一般公開(2017/09/04より申し込み受付)。

ヨシダヒロコです。

6日日曜の神岡にはなんとか行ってきました。まだ虚脱感がありますけど。宙ドーム辺りで見たいものがあったのですが、会場の図書館に着いて梶田先生の講演は誰に話をすれば?などでうだうだしている間に機会を逃しました。飛騨アカデミーがやっている中高生向け『夢のたまご塾』の一環で梶田先生の講義を後ろのほうで聞かせてもらい、その後飛騨サイエンスカフェ(重力波)でした。

この本はサイエンスカフェの予習として読んだものです(普段予習はしないですけど)。前日はすごく暑くて家の冷房が効かず、読み終わるのギリギリでした。

くしくも読んでいる途中にAdvanced Virgo(ヴィルゴと読むそうです)、イタリア・ピサにある重力波望遠鏡が改良して運転を始め、Twitterでお祝いのメッセージをもらっていました。LIGO(ライゴ)もKAGRAも、協力した方がよいデータが得られるので一緒に会議など開いていると読みました。

 

著者の安東さんは東大理学部物理学専攻准教授で、重力波研究30年。KAGRAはじめ、国際的にもいろいろ関わっている方です。

本を読んで、一番印象的だったのはラストに将来の重力波研究の姿が予想されており、とても楽しみなことと思いました。こういう概説書で出版が新しいものはあまりなかったのですが、コンパクトにいろんなことを知ることができます。物理は苦手、という方には、重力波研究の歴史とか面白いかもしれません。LIGOが箝口令を敷いたりして結果発表に慎重だったのには、それなりの訳があるのです。難しい式が一応見せるためだけに出てきて、「分からなくていいです」と書いてあります。各施設の仕組みや大きさも表にしてあるし説明もしてあるし、それにブラックホールって不思議な天体ですね。

もっと知りたい人には、巻末に参考文献がどっさりあります。

つぎの宇宙系の本はこれです。

神岡に行った話はまた今度。

もう1つ、スーパーカミオカンデ一般公開は今年もGSA(ジオスペースアドベンチャー)に続いて秋にも行うようです。今日の午前に発表されたのですが、見学は11月4日で9月4日から受付開始です。近くなったらまた書きます。

SK2017

夏~初秋の重力波関連イベント、サイエンスカフェ&梶田先生講演会、KAGRA見学会2017(2017/08/06、2017/09/17)。

ヨシダヒロコです。

こちらは梅雨明けもせず変な天気ですが、いかがお過ごしでしょうか。

飛騨市はファンクラブを募ってみたり、ふるさと納税が何か美味しそうだったり攻めていますね。無料のファンクラブには申しこんだので、今デザインの投票中の会員証がどんなのになるか楽しみです。

フォローしている研究者の方がリツイートした飛騨市のお知らせと宇宙線研究所のツイートから芋づる式に分かったのですが、8/6に13:30~神岡町公民館で梶田先生講演会、その後に神岡町図書館(公民館の向かい)で15:30~KAGRA研究者さんたちが揃ってのサイエンスカフェがあります。5時で終わるのであまり遠方からでなければ何とか帰れますかね。サイエンスカフェは飛騨市役所に申し込みです。何回も書いてますが、高山線で来ると結構面倒です。

申しこんだら市の職員の方に「梶田先生の講演会もありますよ」と言われ、なのにどこにも告知がないんですよ。一応書いておきます。この日に先生は子供向けの講演で神岡にはいらっしゃるようです。

KAGRA_sciencecafe

サイエンスカフェのゲストは、科学ジャーナリストの尾関章さん、宇宙線研究所の大橋正健教授、三代木伸二准教授、宮川治助教、苔山圭以子特任助教の5人の方です。なかなかここまで揃いませんよ、と飛騨市の担当者さんがメールで書いてました。

チラシのpdfはこちらです。上はスクリーンショット。

290806_Science Cafe

梶田先生講演会は申し込みできたんですよね?と窓口が違うらしいので市役所に確認しています。今年の冬に、講演会を大雪で諦めた経緯があるので今度は暑さを何とかして行けたらいいな。今月のジオスペースアドベンチャーの展示も結局暑くて諦めたので。

KAGRA一般公開はもうないのかなと思っていましたが、稼働直前にまだあるようです。前は5便まであった気がするのに今度は第3便までしかないので、狭き門でしょうね。あと、「実験に備えて清浄になっているので、中央実験室には入れません」と書いてあるので、去年より入れる場所が限られるのかも。

再来月KEKにもし行けたらよい誕生日プレゼントだと思っていましたが、これに当たったらもう言うことないです。去年一度見たので落ちても贅沢は言いません。

KAGRA2017_visiting

きっと、できたてほやほやのKAGRA模型がGSAに続いて出てくるのかな?一般公開は限定ものを売ったり、ミニイベントがあったりしてお祭りみたいでした。こちらは来週ダメ元で応募します。

こちらがチラシpdfで、上がスクリーンショット。

290917_KAGRA

ハードカバーの『重力波は歌う』が積ん読になっていたので、もっと基本に近いところから読むことにしてこれを注文しました。ブルーバックスには巨大ブラックホールの本もあり、そっちも注文しましたが、神岡に行くまでには間に合わなさそうです。

おまけで、国立天文台の重力波望遠鏡TAMA300(春に地中に埋まっている前まで行ったけど、普段見られない)と東海村のJ-PARC一般公開を見るツアーが飛騨から出ます。8月19、20日です。
魅力的ですが、近所の富山でも多分前後に1泊いりそう。