サイエンスカフェとやま第25回「新しいお花を作りたい!」(2017/9/23、とやま健康生きがいセンター1Fカフェゴッコ)その1。

ヨシダヒロコです。

(2018/03/06 1:49追記:写真があったのを思い出しました。冊子もいただきました)

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この話題書きたかったのですが、大変遅くなりました。写真の著作権についてゲストに問い合わせているうちに延び延びになってしまいました。富山市郊外で(この建物ではスポーツ教室など行われている)、ここでの開催は初めてだと思いますが少人数で和気あいあいとした、しかし議論が活発なサイエンスカフェでした。しかも盛り上がりすぎて大幅延長。

思えばまだこの頃は、着いたら暑くてジュースか何か頼んだ覚えが。原稿書いてたのは冬で、もう少し春っぽくなってきました。

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とやまサイエンスカフェのブログ↓より。資料や不思議な花の写真もあります。上のチラシのpdfもあります。色はpdfの方がきれいなのでここにも付けておきますね(pdf)。

http://sctoyama.jp/?p=2383

ゲストの佐々木克友さんとお連れの方々ははるばるつくばの農研機構よりいらっしゃいました。お花の育種(品種改良)にバイオ(遺伝子組換え、最近ではゲノム編集など)が盛んに使われているのは、興味を持って講演などに行っていたのでわたしはもう知っていました。だから是非このお話は聞きたかった。日本は育種大国で沢山新品種を出しているそうです(青いコチョウランのこの過去ログなど(リンク)。青いチューリップ作る試みもブログにに書いたことあるんですが、昔のことなので話がもう進んでいると思います)。

それに、すごい技術だといわれるゲノム編集の話を目の前で聞いたのはこれが初めてでした。そういうわけで、隣接レストランであった懇親会に出られなかったのがすごく残念でした。のちに冬になって、ゲノム編集はもう次の段階に進んでいるとの情報が別方面から入ってきましたけど……。

参加者にはアンケートが渡され、「アレルギーの出ない小麦がもしあったらいいと思うか」「角のないウシがいたら」などのテクノロジーでできた農産物の例が載っていました。

農研機構はつくばの花き研究所で、その日も研究してから来られたそうです。チューリップの品種改良では富山と研究協力しています(ここはチューリップの栽培が盛ん。楽天で球根を買ったら「適した気候は富山・新潟」などと書いてありました。駅でお土産として売ってますし、チューリップフェアの砺波市にある富山県花卉球根農業協同組合などから通販でも買えます)。

育種とは何か。遺伝子は生命の設計図ですが、変わると性質も変わります。都合よく変化したものを使います。

遺伝子とは復習。DNAなどでは、ごく一部の遺伝子がアミノ酸が沢山集まったタンパク質の設計図になり、お花の色や形を作ります。イネには約32000個、ヒトには約23000個の遺伝子があります。

遺伝子の中で直接アミノ酸を作らないジャンクの部分も役に立たないことはありません。ある部分は分かっているところもあります。遺伝子の発現とか安定性とか病気の研究とか、動物の方が予算が付くそうです。

初心者には難しいですが、メチル化の質問がいきなり出たのでしばらくその話(エピジェネティクス)。

育種に話が戻って、育種とは野生種→作物→多様化のようになります。例えばトマトの野生種の写真を見せていただいたのですが、南米にあって小さく、美味しくなく、毒があり(トマチン)、すぐに実が落ち、いっせいに芽が出ないといったものであるそうです。今のトマトは4tくらい食べると死ぬ程度です。

(このエントリ書いていて偶然見つけたこのスライドに、様々なペルーの原種があるのを見つけました)

イネでは脱粒性というのがあり、種粒が落ちてしまうのですが落ちない品種を選びました。インディカ米とジャポニカ米はDNAが1塩基違うだけですが、それを発見したのは日本人研究者です。

さて、お花の話になって、バラに見える写真が分割された画面に沢山出てきました。実は北米原産のトルコキキョウが混ざっていてややこしいです。今、(お花好きな人なら店頭で見ていると思うのですが)育種では(八重の)バラ咲きが中心です。最初は一重でした。「交配育種」といい、花粉をめしべに付けます。トマトでは、欲しい性質をかけ合わせます。それを繰り返し、数万~数十万の個体、5年以上かけます(これもどれくらいかかると思う?とクイズになった覚えが)。果樹だと50年以上で、研究者が退職するときにまだ終わっていないそうです。

農水省にジーンバンクというのがあって、種だけで22万、菊の遺伝子は300位管理しているそうです。

次は新種のカーネーション育種秘話です。農研機構HPに写真がある「ミラクルルージュ」「ミラクルシンフォニー」という紅白のお花。持ちがよいのが特徴で、リンクを見ると今後発売だそうで母の日にどうぞ、らしいです。

プレスリリース。

http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/season/006539.html    魚拓

研究成果パンフレット。

http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/research_digest/digest_kind/flower_vegetables/027311.html    魚拓

このお花は、老化ホルモンのエチレンを出しません。交配(おしべをめしべに付ける)の親は「花恋ルージュ」で、複数の形質を並行しながら、形質がなくなることもあるため15年かかりました(1991~2006)。困った病気である萎凋(いちょう)細菌病に抵抗性を持ちます。

まず、カーネーションの1種から枯れにくいものを持ってきて、かけ合わせると最初形が悪いものが出てきます。その種を形の良いものとかけ合わせます。かけ合わせの回数は1000回以下です。一番いいものを交配で作り出すのが一番大変で、温度管理をせずにハウスの中でいいものができて、種にすると違ったものになってしまうこともあります。挿し木ならOKです。カーネーションは受粉の時に花びらをむしるので難しく、自然界では生きていけない花だそうです。

今度は、突然変異を利用するやり方。DNAが切れると、それを修復するときにミスが起きます。1.(DNAの)一部が欠失、2.塩基が置換される、3.他の配列が挿入される、などです。

DNA損傷は1. 活性酸素 2. 発がん性物質 3. 放射線 4.紫外線などで作り出せますが、試してみた末にアルゴン、ネオンの重イオンビームを使いました。アルゴン、ネオンは原子が大きいのです。理研の仁科加速器センターにて、ビームをどこにぶつけるか決めることができ、大きなエネルギーが発生するので、DNA損傷を作ることができます。

新品種はサイネリア、トレニア、ペチュニア、なでしこなどができ、黄色い菊は天皇陛下が見に来られました。キクは1年で2500株くらい処理し、色合いや形は6株くらいしか変わりません。キクは6倍体なので、染色体が一度に6本切れないといけません。植物でも動物でも成長して増えていくところに損傷があると遺伝していきます。

(わたしが急いで取ったノートには「ほとんど理研から論文が出ている」と書いてありましたが、天皇陛下が見に来られたのはこれかな、と思われる黄色い菊の研究紹介が農研機構のHPから探せました。重イオンビーム照射によるキク花色変異におけるカロテノイド酸化開裂酵素の関与

佐々木さんが沢山スライドを作ってくださったためこれでもまだ話の半分なので、さらなる変わった花の話を読みたい方は続きのエントリでどうぞ。

~その2へ続く~(リンク

間違いがありましたら、ご指摘お待ちしております。特に関係者の方々。

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