放送大学面接授業『宇宙を見る新しい目』(東京大学国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構 鈴木洋一郎特任教授、富山SC、2017/11/11~12 )(追記あり)。

ヨシダヒロコです。

昨日学部の物理専門科目3科目中2科目の提出課題を出しました。『量子と統計』は出来も悪かったしギリギリ間に合いませんでした。この量子は全然意味の分からないことが画面の目の前で展開していくのですが、よく見るとニュートリノ振動や素粒子には関係があります。まあ、少しずつゆっくりやります。

そんな訳で、少しずつ溜まっていたネタを書きます。

今回お星様の話が沢山あったので、ハッブル宇宙望遠鏡のページからクレジットがあればかなり自由に使える写真をダウンロードしてきました。Creative Commons 4.0で使えます。個人使用も可でしょうね。壁紙に「かに星雲」使っています。これはオリオン座ですが、次にニュートリノでの超新星爆発観測があるとすればオリオン座にあるベテルギウスの可能性が高いのです。

https://www.spacetelescope.org/images/potw1109a/

Orion’s lesser-known nebula takes centre stage

Orion’s lesser-known nebula takes centre stage,    Credit: NASA, ESA and Allison Loll/Jeff Hester (Arizona State University). Acknowledgement: Davide De Martin (ESA/Hubble)

さて、この面接授業は去年は『ニュートリノとダークマター』という題でしたが、同じ先生で毎年やっているようです。去年富山学習センターに電話で聞いたら、先生の意向としてはなるたけずっと授業したいとのことでした。題名が変わるとずっと学籍がある人も毎年受けられますし。わたしは去年は共修生でした。院にもパートタイムで籍があり、今の物理の山が終わったらフルの院生になるべく出願できないかなーと思っています。

鈴木洋一郎先生(ニュートリノ研究者にはには最低もうひとり鈴木先生がいらっしゃいます)、カミオカンデ、スーパーカミオカンデで太陽ニュートリノの研究をし、その後XMASSでダークマターの研究をされていました。宇宙線研究所長、神岡施設長、XMASSの実験代表者もされていました(XMASSは昨年度まで)。

10月だったか、XMASSが観測をやめるとかどうとかネットで騒ぎになったので、その質問もしたくて行きました。あと、陽子崩壊とかCP対称性の破れとかを証明するのにハイパーカミオカンデを作りますよという話が追加になるだろうから新しい話も聞きたかったですし。意表を突かれたのは、先生の夢だそうですが、陽子崩壊のための海底測定装置という構想でした。

今回、前の席にいた受講生が先生の著作を持っていたおかげで存在を知ることができました。最後に書籍情報を貼ります。

ちなみにわたしは神岡にも近い富山在住で、SK(スーパーカミオカンデ)関係などの行事が富山でも行われることがあるのでニュースにもなりますし、普段から研究者さんのTwitterなど眺めています。何か見たような景色や食べ物が流れてくることも。鈴木先生のお話を聞くのは3回目で、1回目はサイエンスカフェでした。

9:45~16:45くらいまで、2日間ずっと(素粒子)物理の話+宇宙の話なので、まず数式全くダメとかいう人は少し厳しいかも。先生も「(文系理系という日本にしかない言い方は嫌いだけどとおっしゃってました)文系の方手を挙げて」と聞いてみたり、難しいといわれて難易度を落としたり、予備知識のない人が聴いて分かる授業にされたいみたいでした。

ただ、わたしも数学が前苦手だったことを逆に生かして高校生とか教えていたことがありました。時間をかければ分かってくれる子もいたけど、数式アレルギーがあるなどの苦手な人だったら2日では難しいかも……。とはいえ、最初のサイエンスカフェのとき、わたしは参考図書になっていた小柴先生の易しい本だけ読んでいって(下に挙げます)、鈴木先生のお話の内容を理解したわけではないけどなんだか楽しく、今思えばあれがファーストコンタクトでした。

数式や提唱された仮説など小難しいことは前回よりずいぶん減っていました。およそ1日半でニュートリノ、半日でダークマターでした。ダークマターの割合が減って、質問に時間をかけて、特に最後には「改善点はないですか、次回のために」とまで質問されているのに、「参考図書があったら」などと建設的なことや、「やはり難しかった」と言う人はごくわずかで、残りの沈黙している人にはなんか言って欲しかったです。

わたしは質問したい事情があるので去年と同じく聞きたいことは質問させて頂きました。前回と同じく、こういう話が好きな人は質問して食いついてました。まあこんなことを言ってますが、わたしだって鈴木先生のお話を3回、神岡施設長の中畑先生のお話を2回、梶田先生は1回聞いて、今回でニュートリノ振動をこうやってこうやって証明したとやっと合点がいきました。ですが、だからニュートリノに質量があると言うためには量子力学が必要で、そこをまだ理解していません。

  • 重力波の話はちらほら先生の話に出ていました。マルチメッセンジャー天文学にダークマターが関わることはないそうです。
  • XMASSの話は教えてくださいました。スライドには「中止」とあって、手短に言えば内部では色々あるのではとわたしは解釈しました(詳細は省きます)。今回、こんな時なのにXMASSに触れている時間があまりなかったみたいで、授業後施設名を知らずに帰った人も。大事な施設だろうに、その辺の話を先生の方ではもっとしたかったのでは?と勝手に思いました。

わたしは昨日まで東京に行っていて丸ノ内線に乗る用があったので、一部で噂のSKグッズ(ノートなど)を大学生協行って買ってきたかったのですが、用事が押したので無理でした。そっか神岡に行けば近いじゃんとも思いましたし。何でそこまでと思われるかもしれませんが、今のところそういう話が好きだから、にしておきます。

参考図書になると思われるもの。この新書は講義内容と似てますね。

わたしが初めて読んだニュートリノの本。結構感動しました。ジュニア向けですし易しい部類に入るかと。

小柴先生の教え子で、梶田先生、中畑両先生の恩師である戸塚先生の本。去年再販されました。ざっくばらんに語っているようなその語り口がいいです。鈴木先生も、今回の授業で事故が起きたSKが再建できたわけを質問されてお話ししてましたが、当時所長だった戸塚先生が結構(たしか半分くらいとか)アメリカの研究者を入れていたおかげで、アメリカのお役所からも「再建せよ」と言われたんだそうです。

来年はどんなことが進んでいるか、ダークマターの行方も気になりますがなるたけ行きたいです。
(2017/12/01 14:45追記:帰りのバスターミナルで、東北在住の若いグアテマラ人カップルが隣にいました。彼らはこのアーティストの来日講演を聞きに来ていたそうです。アルバム名、曲のタイトルが”Dark matter”です)

 

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