サイエンスカフェとやま第23回『原子っちゃなんけ?』(ゲスト:新潟大大学院生 小林良彦さん、2017/03/19、富山まちなか研究室)。

ヨシダヒロコです。

2連荘でサイエンスカフェは初めてです。

ゲストの希望で急遽入ったサイエンスカフェだそうで、メルマガで告知があったので申しこみました。告知から時間がなかったせいもあり、お客は4人くらい、前日の天文台より更にこぢんまりしたカフェでした。ですが意外に話が盛り上がってしまい、学芸員さんが別の説明をしてくれたりして、たしか1時間くらいは延長しました。

小林さんはもう博士課程を卒業間近の院生で、専攻は原子核物理学(理論)です。あまりその分野の方から話を聞かないので現地でそう聞いて楽しみでした。わたしが興味を持っている素粒子とは立ち位置が違うようで、そこが面白かったです。

まず、チラシ。タイトルは富山弁で「原子とは何ですか?」です。同席した学芸員さんは物理が専門らしかったです。小林さんは新潟ネイティブではないですが、新潟ではこういう言い方はしないらしい。

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コーヒーを紙コップにもらって、飲み飲み始まりました。スライド3枚くらい付けておきます。

「原子とは?」を科学史的に順を追ってお話してもらいました。まず、研究対象である原子を見たことない、という話。

ブラウン運動というのが化学に(物理にも?)出てきますが、ブラウンが植物学者だったのは知りませんでした。花粉を水に浮かべると破裂してちょこまか動くのですが、石英やガラスでは?と調べるとどれでも動きました。アインシュタインが博士課程で興味を持ち、「アインシュタインの関係式」としてNA=6.02✕10^23(10を23回かける)といういわゆる「アボガドロ数」を考え、これをもともと言い出したのはアボガドロなのでその名前が付いていますが、実験で確かめたのはペランでした。

1905年にアインシュタインは5つくらい理論を出していますが、その1つがブラウン運動で、1908年に原子、分子の存在の論争が終了します。ですがボルツマンなどの原子論派と反原子論派(調べたらオストワルトなどだそう)の対立が激しかったため、ボルツマンは1906年に自殺していました。あと2年生きていたら、という話でした。ボルツマンの墓石にはS=k logWの式が書かれています。

ちなみに小林さんは国内の科学者の墓や関連史跡を訪ねるのが趣味だそうです。尊敬する科学者は仁科芳雄先生です。

(仁科先生、どこかで聞いたと思ったら放送大の『もう一度聞きたい名講義』で見てました。仁科芳雄記念シンポジウム(100周年)のときにルドルフ・パイエルス博士が『物理学に終わりは来るのか』という題で講演した放送があります。毎月スケジュールが大学HPに出ますので、また再放送があるかも。その中で仁科先生の略歴があり、理研で活躍され戦後大変な時期に代表者だった方と知ったのでした。下は略歴)

http://www.nishina-mf.or.jp/nishina-bio.html

ちょっとした実験もありました。無水エタノール100mlと水100mlをビーカーでよく混ぜると、200mlになりますか?という実験。子供向けの科学検定問題になっていました。

http://www.kagaku-kentei.jp/kodomonokagaku

魚拓

後半は元素の話(元素は原子の種類)、原子の構造でラザフォードやボーアが出てきて、キュリー夫妻やベクレルといった放射性物質の研究についても触れられました。元素といえば周期表なのですが、あとに書く新元素を含む最新のものが「一家に一枚」の周期表として手に入ります。無料です。スマホなどだと拡大できます。周期表も美しくできていますが、他にも面白そうなものがあるので(その前日に天文台でもらったものがあった)いろいろあるのを貼ります。

http://stw.mext.go.jp/series.html

錬金術は昔研究されたけど結局金は作れなかった、でも今ならできると。ニホニウムの前にあったウンウントリウムは仮の名だったそうです(何だろうと思っていた)。新元素は4つで他は欧米発。ニホニウムは不安定ですが、その先の物質に利用できるかもしれないとのことでした。ちなみに400兆回試みて、作れたのはたった3回だそうです。

『サイエンスZERO』に特集番組があります。「えっ、できてたの?」って感じだったらしいですね(去年再放送したそうです)。

https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2015061918SA000/

このお話の最後は、理研がなんと『113』というマンガを出していて、登場人物が何割か増しでイケメンになっているとのことでした。つい最近完結したそうです。

http://www.riken.jp/pr/fun/113/

(これ書いていると、ついでに森田先生のインタビューなど入った特設ページも見つけました)

http://www.nishina.riken.jp/113/

脱線しながら行ったので、良く覚えている質問といえば「原発問題が分かる本が知りたい」くらいでした。実は原子核分野の先生は本を書いていないのだそうです。もともと原子核はイメージが悪いし、書いたことでどうなるか。他の分野の学者さんも叩かれてましたし、と。素粒子は人気があって、「宇宙の起源を探る」というと受けるんですけどね、と言われ、その素粒子に興味があって掘り下げたかったわたしは「そういう見方があったか」と我が身を振り返りました。

もう1つ、学芸員さんが「わたしは時間は構わないけど大丈夫?」とMRIやCTの原理を説明してくれました。出席者の中にお医者さんがいて、学芸員さんも紙芝居で子供によく原理を教えていてその日も持ってきていたんです。知らなかったのですが、化学の構造決定でおなじみのNMR(核磁気共鳴)、原理がMRIと同じで、「核」と付くとイメージが悪いのでNが抜けていると。あとなんで3次元の絵が出てくるか、ホワイトボードとこんなの使って説明してくれました。このパズルは若い人の方が解くの早いらしいです。X、Y、Z軸方向に測定すると波線みたいなグラフが出て、少しずつ角度変えてまたかけて、それに「フーリエ変換」という魔法のようなものをかけるらしい。この魔法は前日の天文台でも出てきたのですが、また勉強しておきます。

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院生の時に、「(NMR室には)磁気を持ったもの持って入らないでね。当たり馬券飛ばした人いるから」、「なぜか教授には娘さんが生まれることが多い」などの噂を聞きました。そんな軽口も聞きながら、まだ話が続いていたようですがもう夕方だったのでお暇しました。

わたしはたぶん半分くらいはここのサイエンスカフェに出てると思いますが、こういう緩くて延々話してるのは初めてでした。それはそれで面白かったです。あと、博士課程あたりの学生さんだったら十分専門性もあるし、現役ならではのお話も聞けるかなと今後に期待したいです。学生さんに少ないお金で準備させて喋らせていいのかな、という懸念がありますけど。

富山まちなか研究室は多目的スペースみたいなところで、壁がこんなのでした。

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しばらくカフェをできなかったせいか、次はもう来週で『蜃気楼の不思議を体験しよう!』です。

http://sctoyama.jp/?p=2346

  • 開催日:2017年4月15日(土) 14:00-15:30

  • 会 場:紀伊国屋書店富山店(総曲輪フェリオ7階)

  • 参加費:無料(飲物はありません)

  • 定 員:20名(申込み順)

  • 申込み申込専用フォームに必要事項を記入してお申し込みください。

  • そのほか

    • 会場風景を撮影して動画配信や記録写真として一部を公開することがあります。

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