ヨシダヒロコです。
このエントリをもっと早く書かなかったのは、この試験範囲にあった内容がそのまま相模原の事件と関わるようなことだったため、世間が落ち着くのを待っていたためです。15回中14、15回は精神医療の歴史でした。優生思想だけはなかったですが、偶然去年から今年にかけてEテレ『ハートネット』で知る機会があったことは先月のうちに書きました。事件特番の『バリバラ』再放送は週末なので、興味のある方是非。自分にも刺さる内容でした。
シラバスです。
http://www.ouj.ac.jp/hp/kamoku/H28/daigakuin/B/kyoutsu/8910707.html#syllabus
結論から言うと、この授業は受けてとても良かったと思っています。患者としても翻訳者としても。石丸先生はテキストに厳密に沿うのではなく、下に挙げるような先生をゲストとして読んで呼んでなにか心にしみいるようなインタビューをしていました。
20代のときひどい睡眠障害があって毎晩『ラジオ深夜便』聞いていたら、3時頃になってしみじみと『こころの時代』が始まるのですが、あんな感じ。学部では『死生学入門』を担当、わたしの受けた授業でも、エリザベス・キューブラー・ロスの『死ぬ瞬間』を薦めていました。他に呉秀三の私宅監置の本も。テキスト巻末には膨大なレファレンスがあります。
「治療は面接開始でもう始まっている」とか、「薬に先だって医師が患者に処方される」とか、「あらゆる病気が心身症なのでICD-10では心身症という言葉がなくなった」という意味の記述とか、なるほどーと思いました。
ゲストの先生方。たしかもう1人いらしたような。
「統合失調症と向き合う」
遺伝子多型についての研究裏話で、バイオ勉強しといて良かったという内容でした。
(2016/08/13 8:58追記:研究裏話は授業で。以下のリンクはゲストの先生のファミリーヒストリーの話で、それが研究につながります)
http://jpop-voice.jp/schizophrenia/s/1404/01.html
http://plaza.umin.ac.jp/~dp2012/greeting.html
この授業は1年前に受けたかったのですが叶わず、改訂前のテキストを持ってますがDSM-Vができたためでしょう、今年度から新内容です。DSM改訂点の説明も多いですが、「これだけに頼らないでください」という意味のことは繰り返し言われました。
試験は、授業が半分まで来たところで受ける提出課題・自習用課題、過去問2年分くらいあればシンプルなテストなので大丈夫かと思います。ただややこしいところもあるので、初めて接する人には学習が難しいかもしれません。もともとあった知識の確認的に受講したので何とかなりました。とは言っても採点結果はまだですが。
わたしは違いますけど、臨床心理士を目指している方が「試験にはこれだけで十分だった(病気について)」というコメントが旧版テキストの前書きにありました。
後期は受けたい科目が学部にもあり、院については生物(バイオ含む)を取って手順とか映像で見られないかと期待しています(次は1年間の選科生にしたい)。高校の頃やってみたかった生態学も、今ではデータや統計バリバリなのですね。
最後に、きっと読み甲斐あるだろうなと思われるこんな本が出るそうです。
【9月刊行予定】鈴木晃仁・北中淳子編『精神医学の哲学2 精神医学の歴史と人類学』 https://t.co/9pN3N89AaZ 第1部では,表象,専門職,宗教,メディアという観点から精神医学の歴史を問いなおす.第2部では,人類学の視点から精神医学の実践を捉えなおす.
— 東京大学出版会 (@UT_Press) August 5, 2016
(2016/08/17追記:試験の結果はA○でした(○の中にAが入っている)。9割から満点でした。周りの人も苦労しているようには見えませんでした)