近藤医師反論本を3冊読みました。

ヨシダヒロコです。

1年間だるいだるいと言い続けてきましたが、正常なそこそこ年が進んだ女性に起こる現象らしいです。血液検査の結果を待っていますが、注射が効いているようなのでほぼ決まりでしょう。他に病気があったりやたら暑かったりするのでうまく切り分けられませんでした。

さて、わたしが近藤本『患者よ、がんと闘うな』を読んだのはたぶん15年ほど前でした。その時から「がんもどき」(転移せず悪さをしないがんらしいですが、転移するがんと見分けが付かないと反論されている)の批判本が出ていて一緒に買ったのですが、読んでいる余裕がなく、近藤本のおかしいところもまだ分かりませんでした。その少し後、がんを患った漫画家の大島弓子さんが『グーグーだって猫である』で「この本は人を憂うつにさせる」というようなことを書いていて、患者さん視点ではそうなのかーと思っていました。

下に挙げる3冊の本では、放射線科の医師である近藤医師の乳房温存療法やインフォームドコンセントなど、先駆けて始めたことは評価しています。最後に紹介する本では以前の対談から一部抜粋してあったりします。要するに「なぜあなたはこんな風になってしまったのですか」と皆言いたいようです。他に、がんで亡くなった著名人を引き合いに出して結果を責めるようなことを言うのもお三方共に腹に据えかねるそうです。もっと早く読み終わりたかったのですが……。

わたしは大分前にロシア語通訳者の米原万里さん(故人)について書いています。単なる本の感想も入れると3回くらいでしょうか。週刊文春の担当読書欄が告知されてから段々変な方向(代替療法など)に行って、近藤医師の診察を受けていたらしいです。最後見放されたらしいですが、親友のイタリア語通訳者の田丸久美子さん(この方も肩のこらないエッセイ多数)が、悲痛なお別れの文を『ガセネッタ・シモネッタ』のあとがきに書いています。これがいかにも朗らかな印象の田丸さんの文章ですか、と最初読んだとき驚きました。

医療否定本の嘘

勝俣 範之

扶桑社

2015-07-01

by [Z]ZAPAnetサーチ2.0

「医療否定本」に殺されないための48の真実

長尾 和宏

扶桑社

2013-08-20

by [Z]ZAPAnetサーチ2.0

そのガン、放置しますか? 近藤教に惑わされて、君、死に急ぐなかれ (ディスカヴァー携書)

大鐘稔彦

ディスカヴァー・トゥエンティワン

2015-07-30

by [Z]ZAPAnetサーチ2.0

印象に残った順では、大鐘先生→勝俣先生≓長尾先生(最後の2冊は同じくらい)で、結論としては同じことを書いていると思います。アマゾンレビューは見ればお分かりの通り、組織的に荒らしている人がいます。複数人が。本は買った当時(冬頃)で可能なら新しいものを選びました。

では、書影を挙げた順に。

勝俣先生の本。実は一番期待度が高かったです。ネットやメディアなどへの露出が多い先生ですし、その主張も存じ上げていました。「がんとは『闘う』ものではない」という主張を、割と最近著名人が亡くなったときにされていたのを覚えています。「闘う」とか言われると、新たに診断された人が怖くなってしまうから。抗がん剤は外来で受けられ、その間は普通の生活ができるともあります。

この本が印象に残ったのは、「わたしは近藤先生を尊敬していたのに!」という気持ちが一番ひしひし伝わってきたことと、患者さんのメンタルな部分に気を使われているな、と思ったことです。早期緩和治療についてもあります。「腫瘍精神科」という科があって、悪い知らせを伝える”SHARE”というコミュニケーションスキルがあるのですが、研修で学んだ先生は「自分はできていなかった……」と思ったそうです。勝俣先生の本には、医師ができていないことの反省が強い気がします。字がゆったり目で、要点は太字にしてあり、第4章のデータ操作以外は一般に分かりやすいのでは。

勝俣先生はFacebookでもフォローして拝見していますが、最新の療法についても怪しいものには突っ込みを入れていて、例えば免疫療法は保険適用外でお金がかかって、その割に……と。免疫チェックポイント阻害薬には期待できるそうです。

 

長尾先生の本。関西の町医者さんで、もろに関西弁の題名が付いた著書もあり、町医者なのでがんだけを扱っているわけではないようです。認知症の本もあるのですが、紛らわしいことに共著で近藤誠という医師がいらっしゃいます。件の近藤医師とは関係がありません。勤務医から町医者になった方で、町医者ならではのプライドが感じられます。「がんという病気は、実は、町医者に始まり、町医者に終わる」。この本も要点が太字になっていて、あとがき以外で200ページちょっと、でも文庫化されてて一番分かりやすいかも。新しい治療にも言及があり、特筆すべきはかかりつけ医らしく、自宅での看取りにページが割いてあることです。「緩和治療は診断されたときから始まっている」とこちらにもあります。

本屋で偶然見つけた大鐘先生の本。症例やエピソードが豊富です。外科医で、大きな病院にもいたのにわけあって田舎に引っ込んだ方です。がん告知の悩みが特に覚えているエピソードで、患者はなんとか「がんです」と医者にはっきり言ってもらいたい、でも医者は自殺でもされたらと思ってできない、それで看護師になんとかかまをかけたり心理戦になるというずっと昔の思い出話です。キャリアの非常に長い方なんでしょう。物書きもしていて文章を読ませると感じましたが、わたしが一気に読む余裕がなかったせいか、エピソード単位では印象的でも全体としてのまとまりは分かりません(読み直すかな)。「がんは今は治る病気」との文章もありました。予後が悪くとも、寿命を伸ばすことができて心残りを片付けられると。

20年ほど前の近藤医師との対談や(意外に意見が一致しているところもある、注があるが専門用語が多い)、最近になってまた対談を申しこんで無視されたときのかなりヨイショした手紙は(それでも断られたんですが)一見の価値があります。近藤医師のバックにいる文春まで叩いているところがすごいです。

どの本も一般向けなので、短い章を作って読みやすくしてあります。3冊目は普段本を読まない人にはきついかも。「近藤医師を信じてはダメです」という要の所は同じなので、もし気になる本があったらぜひどうぞ。

写真は福井にある陽子線治療施設のポスター。調べてみるとこれも先進治療には入りますが、かなりの負担です。勝俣先生はお薦めできないそうです。最先端と言われてもよく調べないとですね。

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