ヨシダヒロコです。
柳原先生のスペイン語映画からのレッスン、今回2回目です。引きつづきSkypeで受講しました。この映画はいつものDMMになく、Geo Onlineで借りました。貸出期間は長かったのですが、なるたけハンドアウト見たりしながら一部の台詞追ったり、話がこんがらがってもう1度見たりしたので返却期限に遅れました。つぎの『靴に恋して』も人間関係が複雑で2回半見ましたし。
原題は”Sin noticias de Dios”(「神のお告げもなく」という感じ?)で、再びペネロペ・クルスに加え、ビクトリア・アブリルも主演です。特典インタビューで見たら(ペネロペは純朴な感じで若いし、英語がまだ訛ってる)ビクトリアはペネロペの憧れの女優さんだったそうです。ガエル・ガルシア・ベルナルも出てきますが、やはり若い。2001年制作ですしね。言葉はスペイン語、英語、フランス語が使われています。
設定が分かりにくいのですけど、天国(なぜかモノクロ)ではマリーナ(ファニー・アルダン)たちが物事を取り仕切っているのですが、トレイラーにあるように破産寸前で、それを打開するために地上にいるボクサー・マニの魂を取ってこいと。それに選ばれたのが天使であるロラ(ビクトリア)。地上ではマニの妻であるという設定です。天国では歌手です。”I wanna be evil”(字幕では訳し分けてあったけど、「悪女になりたい」)なんて曲を歌ってます。吹き替えかと思いますが、素敵なパフォーマンスです。色っぽい人だなと思っていたら、アルモドバルの『アタメ』主役だそうで、ペネロペがインスパイアされたのはこの映画らしい(IMDBより)。
ペネロペは英語の映画にもスペインからの映画にもよく出てくるので(日本に入ってくるものが限られてるんだと思う)良く見ますが、この映画での役・カルメンは変わっていました。とても男っぽい、ボクシングが好きで、字幕でもはすっぱな訳し方をされていました。地獄の工作員で、マニの従妹として家に置いてもらうのですが、ロラと一緒のスーパーに勤めて上司という設定。職場ではすごくできる女性です。特典インタビューではまだあどけなく、女優さんってすごいなと思いました。監督に意図があるらしく、地獄の公用語は英語です。
下のシーンは女友達と踊りに出かける前。なんでこんな性格なのか、ラストの方で分かります。
映画は2人が強盗に入ろうか、ってところで始まるんですが、そのあとその訳が描かれます。強盗に入るところで聖書を引用して話していて、「ペネロペ、それ絶対おかしいよ」って間違いをして直されてます。こういう所、面白くない人は面白くないかも(ネットで「つまんなかった」って意見をよく見かけたので)。ちなみに覆面はエリザベスII世です。
ジャック(ガエル)が地獄の元締めで、普段英語なんですが、カルメンとメキシコスペイン語でしゃべるシーンがあって、駐車場かどこかなんですが。今年ガエルもよく見かけたのですが、そういえばメキシコのスペイン語丸出し、ってのはなかったような。以下、ハンドアウト引用。
–Pero, eso sería terrible.
–Lo sé. Por eso necessito tu ayuda.
–Hago lo que usted diga. Yo siempre he odiado a los chivados y a los traidores.
–Ya lo sé, güey.Por eso te elegí, cabron.
適当な訳ですが、
「でも、そうなったら厄介ですね」
「分かっている。だから君の力が必要なんだ」
「おっしゃる通りです。わたしは密告者や裏切り者は許しませんから」
「分かってるよ、だから君を選んだんだ」(嬉しくてばしっと叩く)
この”güey”ですが、言葉の調子を整えるため、メキシコではやたら使うそうです。辞書では「おまえ」とか「バカ」とか。”cabron”はそのままでは「バカ野郎」なんですが褒め言葉だそうで。そういや英語にもそういうのあるし、日本語でも「やばい」が褒め言葉になっている例がありますね。喜んでいる演技、可愛げありました。
わたしは結構楽しく見ました。天国と地獄の工作員がなんだかんだ言って仲良くやっているし。最後の方、ツイスト(どんでん返し)が数回あって、思わずもう1回見直してしまいました。マリーナとジャックは昔、もしかしたら何百年前かもだけど関係があったっぽいし。1つ不満だったのは、マニの魂をどうこうすることに何の意味があるのか、あまり良く分からなかったことですね。
IMDBなど見てたら書いてあったのですが、トニ役としてハビエル・バルデム(クレジットなし)、マニのお母さんの写真にハビエルのお母さんのピラール(クレジットなし)が出ています。
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ガエルつながりでおまけですが、2ヶ月ほど前『ジュリエットからの手紙』(米2010年、主演アマンダ・セイフライド)を資料目的で見ました。ヴェローナにあるジュリエット像の胸を触ると御利益があるらしい、と読んだことはありましたが、ジュリエットに手紙で恋の悩みを相談するとお返事がくる、と。ボランティアがいるそうです。ジュリエット・クラブという名をウェブで見つけました(日本語の手紙受付けているっぽい)。ガエルはヒロインの婚約者役で、この人には珍しい役どころでしたが、悪いけどこういう鈍感な人はいやだーと。悪気はないところが救いだったかな(そういえばイタリア語しゃべってたような)。なんか予想どおりの展開になってたけど、恋愛ものが好きな人にはお薦めかも。