ヨシダヒロコです。
この講座、3回中2回はもう終わってしまって、残りは来月3日です。
わたしは旅費が出ないのでSkype参加ですが、映像の質が落ちたりするので少しお安めになっています。
さて、「ペネロペ・クルス主演でアルモドバル監督のアカデミー賞出品、カンヌ受賞映画」くらいしか知らなかったのだけど、前から見てみたい映画でした。『オール・アバウト・マイ・マザー』は筋をあまり覚えていないけど好きで、DELEB1の筆記で映画関連の設問に書きました。
この映画見る前に、話には結構ハードな性被害が重要なファクターになっています。もしそういう被害に遭った方がこれを見るとしんどいかもしれません。わたしも色々あったのですけど、この映画は「何かが起こる」という伏線が映像であって、実際の事件も映像で見せずに被害者に語らせています。他に、罪を犯した人は罰を受けています。なのであまりしんどいとは思いませんでした。
下のトレイラーにも少し伏線があります。
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ボルベール <帰郷> Blu-ray
TCエンタテインメント |
まず、ボルベール(volver)とは、「戻る」という意味の動詞です。他にも意味があるかもしれません。
ペネロペ演じるライムンダは、マドリードに住むとても働き者の女性で(でも少し性格が激しい)、失業中の夫とティーンエージャーの娘がいます。両親は亡くなったこととされています。映画はふるさとでの墓掃除から始まるんですが、その街は監督の出身地だそう(ラ・マンチャ)。登場人物がやたら大きいキスの音を立てて挨拶するのも、地域の風習らしいです。
ふるさとで老いて、病の所床に付くパウラ伯母、それを看病してくれる隣人のアウグスティナ、ライムンダの姉のソーレ、実は生きていたソーレとライムンダの母親イレーネ、ライムンダの娘のパウラ、ライムンダと6人揃ってカンヌで主演女優賞が贈られました。キャストに男性がほとんどいないですし。
パウラにはある日とても大変な事件が起こり、ライムンダはなんとか娘を助けようといろんな努力をします。ミステリ読む人間には「隠蔽工作がバレないか?」と思ってしまうのですが。その一方でパウラ伯母が亡くなったり、イレーネが見つかったり色々あるのですが、6人6様動きがあってもなにか全部つながっているので、最後の方で「そういうことだったのか」となります。
レッスンの事前に映画を観てこの曲はとても気に入りました。柳原先生によると、もともとタンゴだそうで、それをフラメンコ風にアレンジしてあると。アレンジは山のようにあるそうです。映画ではライムンダが訳があって開くことになったレストランで頼まれて歌います。元は歌手を目指していたという設定です。歌は吹き替えですが、現場では彼女が歌っていたと今回教えてもらいました。
レストランのシーンは特に料理をしているところが見ていて楽しいです。
(2017/09/10 2:52追記:動画差し替えました)
この映画を観る人に、知っておいたらいいのはパコ(Paco)はFranciscoの愛称だということ。ラストの説明が付きます。他に、アウグスティナが自分の母親の思い出を「村でただ1人のヒッピーだった」と言っているのですが、スペインでのヒッピー全盛期は80年代なので、2000年代には笑われてしまうような話であること。その頃のドラッグ・カルチャーにはアルモドバル自身も関わっていたとも解説がありました。
今年やっと『かぐや姫の物語』を見て「女性には自由がない(多分今も)」と思ったものですが、これを見て、「大変には大変だけど、強くてたくましい女性たち」という感じで励まされました。
次に書くのは『ウェルカム!ヘヴン』でまたペネロペなのですが、天使とか悪魔が出てくる話だからか、日本での受けはいまいちだし、DVDの扱いも少ないです。第3回は『靴に恋して』で、両方GEO onlineで見つけ、これから見ます。
あとペネロペは、スペイン語で演じた方が魅力的な気がします。英語でいい役に当たってないか、わたしが見てないだけかもしれないけど。
(2015/08/29 18:01 追記:「あの時はごめんなさい」って、親子でもありがちなことだと思いますが、なかなか言えませんよね。1回投稿してから、この映画だけでなく『あまちゃん』でも見たな、と思い出しました)
(2015/08/29 18:28 追記:歌の方の”Volver”を歌ったエストレージャ・モレンテの公式音源がありました。少しゆっくり目ですし、長いです。故パコ・デ・ルシアとも共演した人なのですね)