ヨシダヒロコです。
この本を買ったのは第2版の時、発行は2012年10月16日と奥付にあります。
つまり、山中先生の受賞後すぐに買った本だったのですが、この年は個人的に色々ありまして。リアルでわたしに会ったことのある人もあまり分からなかったと思いますが、かなり体調の変動が激しく、2013年の終わり頃まで続きました。今は大きな波はないですが、微調整は続けています。
そんなわけで、「最近ヨシダさんはやたら本を読んでいるような」と思われた方、その通りで、前は心身共に余裕がなかったのです。今は多少気持ちにゆとりがないときでも、寝る前に本を開くと落ち着くようになったかも。
積ん読を少しでも減らすのは今年やりたいことの1つですから。
さて、「この本読まないと」と思い出したきっかけは、大阪在住の知り合い(一般人)が山中先生の講演に行ってきたと春頃聞いたからです。その内容はこの本にもありますし、ネット(下のリンク)にもあります。ちなみに抽選倍率は5倍だったそうで、本読み終わった後CiRAのサイトに行ったら、山中先生、講演依頼が来すぎている感じでした。近所に来られないかなと思ったんですが、ニュースリリースでも分からなければ広報にメール出してみますかね。
講演の持ちネタはこんな感じだそうです。
ノーベル賞・山中伸弥氏「手術がヘタで、“ジャマナカ”と呼ばれてた」 挫折したことがiPS細胞研究につながる
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山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた
山中 伸弥 講談社 2012-10-11 |
ノーベル賞取った日本人研究者はいろいろいらっしゃるのに、山中先生は(褒めているんですけど)一般人受けするというか、一般向けの講演でも人気が高いようですね。亡くなってもずっと何かのネタにされているアインシュタインのようです。かつて研究者になりたかったわたしは、先生が手柄を独り占めしないというか、部下に当たる学生や研究員について「足を向けて寝られません」みたいな言い方をするのに感銘を受けました。上で書いた大阪の講演でも、「うちの研究員をよろしく」とおっしゃっていたそうです。
そういえば今日、「卓越研究員」なるよく分からないもののお達しが国から出たそうな。
フジロックにこの本と『知ろうとすること』、読みかけのエピゲノムの本を持っていったんですが、前2冊が読みやすく、ほとんど片付いてしまいました。ES細胞やiPS細胞の初歩もやさしく書いてあり、ちょうどその辺を読んでいるわたしには分かりやすかったです。分かんない人には「これなんだろ?」と興味を惹くかもしれません。かつて分からないながらもノーベル賞受賞者の本を読んでいた、高校生の頃のわたしのような子供には。中学生でも行けるかもしれません。よく分かるには、生物とか分子生物学の知識が少しでもあったら面白いと思います。
STAPの騒ぎの横でも淡々と進んでいた、理研CDB・高橋政代プロジェクトリーダーのiPS細胞を使った眼の治療ですが、この本が出たときにはとっくにGoサインが出てたんですね。欄外にありました。
もちろん応用についても大事なことですが、この本を読んで「不思議だな」と思ったのは、山中先生が語った「iPS細胞とES細胞は作り方が全然違うのに似ている」という言葉でした。どうしてそうなるんだろう?と。本の出版後分かったことも沢山あるでしょうから、また何か探してみたいです。
最後に、CiRAは寄付を募っていて、最後のページまるまる使って書いてありますが、実験するのにお金があるかどうかってのは切実な問題で、大学を替わったことのあるわたしは「全然違う」みたいのを経験しました。どちらの先生も、部屋にこもっては研究費獲得その他の書類書きをしていたことをよく覚えています。
(2015/07/31 22:18追記:今日の『あさイチ』で先生ご自身がおっしゃっていましたが、募金は非正規雇用の研究員やスタッフなどの雇用期間を延ばすために使われるそうです。研究員(ポスドク)は雇用が3年とか5年とか限られていて、社会問題になっています。番組中、先生は「こないだも非正規の研究員がやめると知ってがっくりした」とおっしゃっていました)
せめて、この本は定価で買いましょうね。