ヨシダヒロコです。
最終的に翻訳ができるようになる目的で、スペイン語を勉強中です。
なかなかスペイン語圏の映画は北陸に来てくれないのですが、この日金沢で用があり、偶然用事のすぐ後に上映だったので見てきました。
その翌日に試験で、終わった後かなり長く呆然としていたり、生活のために翻訳会社を開拓していてレビューが遅くなりましたが、悲惨なチリの恐怖政治をを国民投票を呼びかけるCMの力で終わらせるという、ざっくりというとそういう明るい内容でした。
珍しくパンフレットを買ったので、おいおい書きます。
トレイラーです。
公式HPと、その魚拓。
http://www.magichour.co.jp/no/
http://megalodon.jp/2015-0614-1455-29/www.magichour.co.jp/no/
ガエルの出演作品を見たのは『天国の口、終わりの楽園』が最初だったと思います。正直、よく分からなかった……。内容を今では忘れていますが、『アモーレス・ペロス』と『モーターサイクル・ダイアリーズ』(今日はチェの誕生日です)は面白く見ました。字幕付きの英語圏発映画すら日本では見られなくなっているらしいのに、スペイン語が原語の映画はガエルのインタビューによると本当にマーケットが小さいらしく、いいものがあっても日本で配給されなかったりするのかなと思います。
この映画のテーマにピノチェト政権の恐怖政治がありますが、ラテンアメリカのことを勉強していると、革命とか内戦とか激しい政治事情、厳しい経済状況、麻薬などの治安の悪さが出てきます。「それでも明るいラテンアメリカ人はいい」などと分かったようなことを言うつもりはないですけど(そういうステレオタイプが苦手そうな先生もいました)、日本にないそのような要素になぜか惹きつけられてしまいます。日本も平和に見えて段々危ない方向に行っていると思ってますが。
詳しくはHPやパンフレットにありますが、ピノチェト政権下での3回目の国民投票で、”SI”(YES)または”NO”に別れてCM合戦をすることになりました。パブロ・ラライン監督は76年生まれ、88年のそのCMのことを覚えているそうです。”SI”は政権側、”NO”を作ったのはガエル演じる広告マン、レネ・サアベドラで、実在した2人の広告マンを組み合わせてあります。”SI”の制作側に回るレネの上司、グスマンを演じたアルフレド・カストロは実際に”NO”に関わった人だそうで。ガエル以外のキャストはチリ人のようです。
先ほど、政治が激しいと書きましたが、映画には実際の映像(人が殴られていたり)が挿入されていて、それに合わせて本編も古いカメラが使ってあったりしますが、日本でこの100年内にこんなひどい状況はあっただろうかと思いました。知る限り、日本に「恐怖政治」が存在したことはないかと。
結局、CMは『チリよ、喜びはもうすぐやってくる』というテーマの曲がバックに流れた明るいものになるのですが、この曲がとてもいいのですよね。短い動画があったので下に付けますが、最初と最後にあるサビ部分が気に入りました。誰が作ったんでしょうね。
パンフレットで一番読んで迫力あったのは、東京外国語大学・高橋正明教授の文章で、すごいなーと読んでいたら、それもそのはず、高橋教授はピノチェト政権下のチリを取材して本を書いてました。『チリ・嵐にざわめく民衆の木よ』です。
http://www.otsukishoten.co.jp/book/b54769.html
最後にパンフの写真をば。読むと、単なるハッピーエンドの映画ではなかったことが分かります。まだ売っているところがあるので、興味がある方がいらっしゃったら。