ヨシダヒロコです。
レポート遅くなりました。
既に参加された市川さんのレポートが「翻訳ミステリー大賞シンジケート」ブログに上がっています。今回は漫才形式できましたね。
第5回金沢読書会レポート(執筆者・市川史朗)
ミステリーミステリー言っている割には積ん読ばかり多くて読めてません。今回、第1回、3回に続いて3回目の参加で、4回目はちょうど立山に行ってて。3回目はひどい風邪引いてましたね。今回はまともなコンディションで参加できて良かったです。
参加者は、富山からのわたしの他には首都圏から、それも複数回目の方がいらっしゃいました。あとは金沢(下ネタ)隊でしょうか。今回の課題書は、エラリー・クイーンの『ギリシャ棺の秘密』。国名シリーズということで順々に出版されていましたが、今まで手はつけられなかったです。この本の翻訳を手がけたのは、金沢生まれの越前先生と幹事の北田さんです。先生は恒例のラーメン巡りを済ませてから来られました。驚いたのは中国の方がいらしたことで、言いたいことがなかなか出てこない様子でしたが、クイーンだけでなく日本の推理小説も好きだと話してました。
まあこの本は、1月は仕事があって本も手に取れず、軌道に乗るまでは「もしかして読書会までに終わらないかも」と。当日まで読んでました。クイーンはその昔、短編を1編読んだことがあっただけでこのような大作は読んだことなかったし。わたしは本格の人でもないし。
それでも、読んで良かったと思います。課題にならなければなかなか手に取れなかったかも。登場人物が非常に多いので、覚え始めるまではしょっちゅう「登場人物」の所に戻って、を繰り返しました。
幹事さんに「ごめんなさいギリギリかも」と断って着いた会場の町屋空間「凛凛」は、「にし茶屋街」のもともと郭の建物を使っており、東山にある有名な「ひがし茶屋街」は3年ほど前に歩きましたが、こういう建物の中はなかなか見られないので面白かったです。店員さんも着物姿。3枚目ぶれてますが(マネキンです)、こんなところです。
後で考えると、郭の中で昔はいろんなドラマがあったのではと思いましたが、考える暇もなく色気もなくバタバタと自己紹介。その文章はもともと各人提出してあったのですが、市川さんのレポートの通り先生のがなくて突っ込まれてました。
皆さんの感想をつらつらと。
1.国名シリーズは、章の名前でネタバレしており、よく考えてある。(エラリー・クイーンが)2人いたとしても頭おかしい。
2.エラリーに手柄を立てさせるため父がバタバタする(この作品ではエラリーのデビュー時という設定)。タイプライターのトリックは、今はPCが出て訳しやすくなったそう。
3.シムズ夫人気絶しすぎ(笑い起きる)。作品は不細工に厳しい。先生の訳がそうなっているのか?あとペッパー+警部というと思い出すものがある。
4.先生のコメント。確かわたしが質問したのだと思うが、国名シリーズは出た順に読んでいい。『ギリシャ棺』は最初に読まないこと(読んじゃったんですけど…)。最初に読むのにお薦めなのは、『オランダ』『シャム』『エジプト』など。「レーン4部作」は順番。章の頭文字を取ると文章になっている(「縦読み」みたいなの)は、日本では平安時代くらいからある。フェレットオーナーとして「このイタチ野郎」というフレーズを質問したが、やはりフェレットだったらしい。フェレットにはいい意味がないので。過去には「ドブネズミ野郎」とも訳されていたそうで、既訳本を回してくれた方がいた。
5.北田さんのコメント。訳が永遠に終わらないかと思った。訳して面白くないのは論証部分で、面白かったのはエラリーがティーバッグを絞るシーン、スローンの日記など。
6.探偵の種明かしとビジネスのプレゼンは似ている。(本作でエラリーは何度か失敗するが)失敗したのに皆が信用している。
7.なんでエラリーはこんなに失敗する?(注:メモがよく分からなくて、失敗したのはクイーンなのかも)
8.本格好きの方。紅茶のシーンは絵を描き、タイムテーブルまで書いて犯人を推理したのに犯人がひっくり返されてやる気なくした。謎解きが始まる頃には淡々となっていた。これだけのことをまとめるのはクイーンならでは。
***
ここまでで大分時間を取ってしまった覚えが。この本ではどんでん返しが何回もあるのですが、そこまで引っ張っといてひどいよ感がすごくあって。話題の『その女アレックス』は読めてないのですが、越前先生が翌日こんなことをツイートしてます。
きのうの金沢読書会で感じたこと。ちゃぶ台をひっくり返すような大技は、ひとつの長篇で3回、できれば2回が限度かな。『ギリシャ棺の秘密』の「すげえけどシンドイ」感も、『その女アレックス』のドンピシャ感もそういうことなんだと思う。
— 越前敏弥 Toshiya Echizen (@t_echizen) 2015, 1月 11
あとは、マジシャンYさんの「後期クイーン問題」の解説と、先生の翻訳ミステリー大賞についてのプレゼンというか紹介でした。後期クイーン問題は、いきなりクイーンに触れたものにとっては難解すぎましたが、そういうことをまじめに考え、論証しているファンがいることを知りました。 さて、懇親会は繁華街・片町のこれも趣のあるお店で、9人で行きました。入口を撮りそびれましたが、古い建物かも。薄暗くて写真があまりいいの撮れず、他にもお刺身やお肉など美味しかったです。
最後のお寿司は〆のごはんです。 わたしはあまり撮っても面白くないノンアルコールを飲んでいたので、先生の注文されたカクテルから。
金沢名物カクテル「恋の予感」 pic.twitter.com/QkNwhVXZYB — 越前敏弥 Toshiya Echizen (@t_echizen) 2015, 1月 10
懇親会の話題は、本のことやら音楽のことやら色々でしたが、先生が「他の読書会にもおいでー」と勧誘されていたのが印象的でした。読書会マニアみたいな方もいらっしゃるとか。
2次会があって、マジシャンYさんのお店に流れた方もいたようですが、わたしはまたの機会にして帰りました。で、『ギリシャ棺』に、せっかく訳者おふたりが揃っていたのにサインもらうの忘れました。
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ギリシャ棺の秘密 (角川文庫)エラリー・クイーン
角川書店 2013-06-21 |