ヨシダヒロコです。
1年前ほどに、「ポスドクと羅生門と蜘蛛の糸と杜子春。」というエントリを書きましたが、この時紹介した、芥川に題を採った優れた作品を書いたのは西原史暁(Fumiaki Nishihara)さんという方です。言語学の研究を以前なさっていた方です。まだ20代なのには驚きました。
この方が、今話題の「剽窃」(つまり「盗作」)についてしばらく前に新作を書かれました。Twitterが流れてしまってつかみ損ねましたが、他の作家でも作品を書いてらっしゃるそうです。
概要
ある剽窃さわぎから発覚した捏造。しかし、それをめぐる関係者——特任研究員、ポスドク、助教——の言葉は一致せずに……。
言わずと知れた芥川の「藪の中」からの作品ですが、わたしはこれのみオリジナルを読んでいません。あ、青空文庫にあるかな。ラストの1枚の紙は怖かったですね。
もう1つ、Nishiharaさんは「無断引用」という言葉を使うのを止めよう、と提唱しています。確かに、引用は正当な範囲でなら誰がやっても著作権違反になりません。この辺のことは、昔Niftyの翻訳フォーラムで良く習いました。でも、じゃあこれからAll rights reserved.を訳せと言われたときにどうしようと思うのですが。
概要
他人の文章を自分の文章のように扱う研究上の不正は、「剽窃」または「盗用」と呼ぶのが正確であり、不正確で誤解を招く「無断引用」という表現を用いるのはやめるべきである。
某筆頭著者の件については、明日なにやら会見があるようですが、このパンチのあるブログで〆にします。
「アメリカポスドクの歩き方
在米高齢ポスドクが歩む二流研究者へのいばらの道」より
ただ純粋に悲しく悔しい
ある一流ラボに留学した知りあいがいた。
うつっていきなり非常に面白い現象を発見した。ボスは大興奮し色々なところで宣伝した。
しかし、その知りあいは最後の詰めのデータがどうしても良い結果にならなかった。
まわりに相談すると、間接的に捏造することを勧められたという。そうやって皆ポジションを得るんだよ。と。
でも、本人は捏造などしなくても証明できると信じてコツコツ実験を続けた。
こういうポスドク、沢山いるんだろうな……。