理系出身でありながら物理が苦手だったヨシダヒロコです。
今日この本が届いて、夕方からゆっくり読み始め、さっき終わりました。
正直、詳しくレビューすればするほど読んだときの楽しみが減ると思うので、簡潔に。(2014/03/17追記:最後に菊池先生からのツイートがあります)
わたしは以前「『いちから聞きたい放射能のほんとう:いま知っておきたい22の話』予約開始。」というエントリを書いて、その中で著者のおひとりである菊池先生に草稿を見せて頂きました。わたしがDM(ダイレクトメール)で指摘したのは、1)元素周期表があったら良いと思う 2)等価線量とか実効線量が難しかった 3)光は波であり同時につぶつぶであることは説明しないのですか?の3点だったと思います。
それがどこまで取り入れられたのか分かりませんが、周期表は手書きの、おかざき真里さん(伊東美咲主演で2006年にドラマ化された「サプリ」の原作者さんです)による素敵なものが付きました(2014/03/17追記:挿絵は一部イラストレーターさんが描いているそうです)。α線とかで崩壊するときにも丁寧に部分的に出てきました。2)はわたし的にはもう一度読んだ方が良いかな。ですが、放射線の解説を一通りしたあとにおさらいのページがあって、それを読むとある程度整理できます。3)については、一旦先生は「説明を諦めた」とお返事を返してこられましたが、結局本の中では説明していますね。
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いちから聞きたい放射線のほんとう: いま知っておきたい22の話 (単行本)菊池 誠筑摩書房
2014-03-15 |
おかざきさんの絵が素敵で、特にDNAのらせんが気に入りました。これ、著作権上まずかったら削除しますが、例えばα崩壊はこんな風に絵になっています。このページのようにアイコン付きの対話形式になっています。菊池先生とミュージシャン仲間である(菊池先生はテルミンの演奏者で、良くライヴをやってます)ZABADAKの小峰公子さん(実家が郡山)とのチャットを再構成したものらしい。
一読して、過去わたしが読んだものとはだいぶ変わっている気がします。第1部は放射線の知識が書いてあって、第2部はリスクや体への影響などが書いてあります。第2部はなんか読んだ記憶がないので、後から書かれたものかも。第2部は特に良かったです。除染のやり方とか知らなかったです。被災地の人もそうでない人も、読めば安心する人が出るのではないでしょうか。
イラストが漫画家さんによるというのは確かに科学書ではあまり例がなくて、先生も得意の音楽(有名どころの洋楽)ネタでジョークをかましてくれるので大笑いしてしまいました。
最後に、目次を書いておきます。Amazonにはないので、購入検討中の方は参考にして下さい。
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第一部 放射線ってなんだろう
1.みんなつぶつぶでできている――原子と原子核のこと
2.放射線はやるせなさエネルギー――α線のこと
3.電子ビューン――β線のこと
4.光って、つぶつぶ――γ線のこと
5.ダイスをころがせ――半減期のこと
6.からだのなかの放射性物質――生物学的半減期のこと
7.単位と大きさのこと
8.ベクレルってなに?
9.ふたつのシーベルト――等価線量と実効線量
10.何を測ってるの?――空間線量率
11.食べたらどれくらい内部被ばくする?――預託実効線量
12.ここまでのまとめ
第二部 放射線とわたしたち
1.気になっていたことをこの際、聞いてしまおう
2.放射線ってどういう影響があるの
3.遺伝子と放射線のこと
4.放射線とがんのこと
5.母親も、将来母親になる人も
6.子どもの甲状腺がんのこと
7.核実験の時代――むかし降った放射性物質のこと
8.まわりにある放射線――自然放射線のこと
9.除染してわかったこと
10.放射線とわたしたち
この本を読んでもっと知りたくなった方のための参考書が2冊、最後に挙げてあります。あと、最近出たばかりの本で、中西準子さんの「原発事故と放射線のリスク学」という本にもわたしは興味を持っています。Amazonでは一時的に現在品切れですが。
読みたい本が多くて大変です。暇なうちに片付けておかないと。実際は、割と楽しいんですけどね。
(2014/03/17追記:わたしの誤解についての菊池先生の説明です)
@chiruru 第2部は草稿バージョンからついてる。配った草稿では図版の用意ができてないから、周期表含めて図版と表はひとつもつけてない。本につけた図版は、草稿段階での予定よりも数が少ないくらい。これはページと予算の関係。ほんとはもう少しつけたかった
— 菊池誠 (@kikumaco) March 17, 2014