円城塔氏の「ポスドクからポストポスドクへ」に寄せて(2017/04/06リンク張り替え)。


日本物理学会誌 「ポスドクからポストポスドクへ」 円城塔
(シリーズ”ポスドク問題”その12)

(2017/04/06 23:25追記:CiNii問題で、ここに文章があったので貼っておきます)

http://d.hatena.ne.jp/shavetail1/files/%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%83%89%E3%82%AF%E3%81%8B%E3%82%89%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%83%89%E3%82%AF%E3%81%B8%EF%BC%88%E5%86%86%E5%9F%8E%E5%A1%94%EF%BC%89.pdf

円城氏が芥川賞を取ったときに「きくまこ先生」こと菊池誠教授がお祝いの言葉を贈っていたことは覚えていますが、こういう経歴の方だとは知りませんでした。ポスドクを34歳まで続けて辞め、民間勤めの傍ら兼業作家をやった後に専業へ。翻訳者である自分にとって、さらに険しい作家への道は、翻訳者から翻訳者兼作家になった友人の言葉の端々から推し量るしかありません。

それにしてもこの内容は、円城氏が本名不明で「これから嘘をつきます」と書いていなければ書けない類のことでしょう。以前わたしは「ポスドクと羅生門と蜘蛛の糸と杜子春。」という文章を書いて、あるポスドク氏から意見をもらったことがありました。言外に「あなたに何が分かるのか」と言われた気がしました。そういう含みがあったとしてもこの文章を読んだ後だったら想像が付きそうな気がします(けして「分かります」なんて言っていませんし、これからも言わないでしょう)。

上の物理学会の文章は、「これから嘘をつきます」と言って本当のことを述べるところにある種のウィットを感じますし、安部公房に影響を受けたとWikipediaには書いてあった気がしますが、皮肉が非常に効いていて、笑うべきじゃないところに皮肉のあまり笑ってしまいます。「理系だから文章が書けない」なんて言わせない、という何か反骨心のようなものを感じます。

上記わたしの書いた文章で「待遇については聞きにくい」と書きましたが、実はこっそり教えてくださった方もいました。金額的には円城氏の言った通りでした。

ところで、この文章のうち少し解説がいるとしたら、

鬱病らしきものに頑張れと励まし、統合失調症は放っておけば治ると考えており、境界性人格障害の疑いのある者を、自分はあいつを守ると宣言する。

ここですが、全部あべこべに近いです。うつ病についてはまあ知られてますけど。境界性人格障害は難しいですが、巻き込まれず「味方だよ」というサインをずっと送ることでしょうか。宣言なんてしちゃったらまずいです(かつての当事者から)。

きっと、苦労が人間性を磨くという側面はあるでしょう。ですが、それにも限度があるし、ましてや死んでしまっては元も子もありません。わたしが知る某大学に長く勤めていた人は、先日あっさりと「飛び降り多かったんだよ」と。この文章が書かれたのが5年前、それから時代はどっちへ向かっているんでしょうね……。

円城氏の本は、何か探して読んでみたいです。

何かご意見がある方は、匿名でよろしいので書き込んでいただければ幸いです。中身によってはお返事できないかもしれませんが、目は通します。「名無し」はかぶる可能性があるのであまりお薦めしませんが。

(23:34追記:メールアドレスはわたしにしか見えません)

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円城塔氏の「ポスドクからポストポスドクへ」に寄せて(2017/04/06リンク張り替え)。」への2件のフィードバック

  1. 完全な門外漢です。物理学にもポスドクにも。ポスドクの意味すら知りませんでした。まず、この円城塔氏の文章が読めたことを喜んでいます。ネットがなければ、物理学会誌を読むことなど考えられません。だとすれば、喜ぶ先はネットなのでしょうか?ips細胞の山中先生がノーベル賞をとったとき、下支えする研究員の生活の一部をテレビニュースで知り、日本と言う国の政治のお粗末さに(=選挙民の暗愚さに)改めて気がつかされたのですが、円城塔氏の文章で、そのことが再確認できました。これは嬉しいとは表現できませんが、あなたのブログのおかげです。(私は71歳の年金生活者で元地方図書館員。薬理学にも翻訳にも無関係ですが、1年くらい前からあなたのブログの読者になっています。きっかけは忘れていますが。)以上、意見ではなく、感想でした。

    • mitlebenさん、初めまして、長いこと読んでくださって
      ありがとうございます。それに、今回出てきてくださって
      ありがとうございます。

      そうですね、わたしの知人にはポスドクや元ポスドクが
      複数いて、彼らが不遇な目に遭っているというのが前
      のエントリを書いた直接の原因かもしれませんね。

      あのエントリには追記が2,3付いているので、すでにお
      読みかもしれませんが再読していただけたらさらなる発
      見がおありかと存じます。

      円城氏の文章はただ素晴らしいの一言ですね。
      これからもよろしくお願いいたします。

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