越前敏弥先生講演会「翻訳百景」@石川県立図書館(その1)(2012/10/7)。

こんにちは。富山で化学を中心とする技術翻訳をしていますヨシダヒロコです。医薬との2本立てが夢なのですが、なんだか寄り道ばかりです。

いつもツイッター(@t_echizen)やブログ「翻訳百景」、ブログ「翻訳ミステリー大賞シンジケート」で拝見している越前先生が実は石川生まれだと知ったのはつい最近のこと。講演会の日はちょうど金沢に行くついでがありましたし、そうでなくても行ったと思いますけど、いつも「シンジケート」の読書会情報や「翻訳百景」の講演会情報を読んで羨ましかったので、イベントの多い関東や関西の方々にリベンジすべく張り切って出かけました。

「シンジケート」については管理人がどなたなのかいままでよく分かっていなかったのですが、エントリをツイートするたびに丁寧にリツイートされるのです。どうやら先生がやっていらっしゃるのかも?このブログについては講演の最後でもう1回出てきます。

北陸でいままで翻訳関係のオフやイベントが少なかったわけではありません。昔は多かったのですが、いろいろ事情がありまして。オフでわたしに酒でも飲ませれば喋ると思いますので、聞きたい方はそうして下さい(^_^;)。翻訳者は恐らく富山県内で20人くらい、通訳者に至っては大御所が引退されたのでほぼいないのではないでしょうか。公的機関がボランティアばかりに頼っていることも問題かと。金沢市にはインターもできましたし、外国人観光客も多いのでもう少し通訳は絶対数がいるかと思われますが、派遣やオンサイトの仕事がないので経験が積めないのですよ。わたしも仕事がないことがまだ多くピーピーしてます。

さて、わたしがイタリア語検定を終え(どうでもいいけどこれを書いている現在、このブログでイタリア語検定バズってます)、雨が上がった晴れやかな天気の中を歩いて開始30分前に会場に着くと、既に来ている人がいて、そこでミステリが好きとツイッターオフで判明したツイ友と合流、列に並びました。会場は兼六園にほど近い本多町にあります。学生時代よく通った道です。

(10/10 8:48追加:図書館の写真です)

頂いたチラシ。もう1枚ありますが続編で書きます。

館内。ビブリオバトル、金沢でもやっているんですね。

下の越前先生のブログエントリにある通り、100人定員のところ(おそらく図書館の判断で)最終的には50名オーバーでぎっちりだったそうです。途中折りたたみ椅子を出しているのは見てました。わたしは早く行ったので前から3列目くらいでした。

翻訳百景 INFORMATION 2012-10-09

許可を得て写真アップします。講演前に椅子に座っておられる先生。チラシよりお優しそうな印象でした。個性的なネクタイが見えますか?これ、本の柄なんだそうです。

まず最初にミュージアムウィークの紹介。今回の講演会は、ミュージアムウィークの一環として行われました。何だかそう言えば街中がお祭りのようになっていましたっけ。

そして館長さんの挨拶。館長さんは英語がお好きだそうで、自ら「越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文」を手にして、楽しく読ませていただきましたと感想を述べられました。わたしはうっかり2冊買ってしまうくらいやる気はあったのですが、まだ途中です。すいませんm(__)m。同業者の間では下の本と並んで「絶対読め」と言われている本の1冊ですが、一般の人が読んでも「へええ」と思うことは多いかと。ただ先生があとの方で似たようなことをおっしゃっていましたがストイックな本かな。

越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文 (ディスカヴァー携書)越前 敏弥

ディスカヴァー・トゥエンティワン

2009-02-18

by [Z]ZAPAnetサーチ2.0

越前敏弥の日本人なら必ず悪訳する英文 (ディスカヴァー携書)越前 敏弥

ディスカヴァー・トゥエンティワン

2011-02-21

by [Z]ZAPAnetサーチ2.0

そして講演会が始まりました。

先生と金沢との関係について。小学校に上がるまでしかいなかったのであまり覚えていないけれど、親戚が沢山いて多分今日も来ているはず。何年に1回か冠婚葬祭で帰るんですが、最近は葬式ばかり、だからこういう機会はあまりないし嬉しいということでした。

そして何故か「石川県立美術館」と書いてあるパワポ。講演は、先生が「すみません」とおっしゃいながらこの「美術館」を「図書館」に直すところから始まりました。ちなみに美術館はすぐ近所です。

石川には北國新聞という地元新聞社があって、わたしが講演会に来る前に試験を受けていたのはそのビルだったのですが、先生は以前そこのインタビューを受けたことがあったそうです。「北國新聞だから誰も見てないよね」と思ったら東京創元社の前社長である戸川氏からメールが来て、「北國新聞に載ったでしょう」。「どうしてご存じなんですか?」「出張で金沢にいたんですよ」。悪いことはできませんね、と先生はおっしゃってました。その戸川氏が以前この図書館で講演をされたので、そのご縁で今回の講演が決まったそうです。でもなかなか実現しなかったようなことを言ってらしたかな?

さて、本題。ここからは、10/26の翻訳百景の大阪版イベントで似た内容の話をなさるそうなので、行かれる方は読まない方がよろしいかと。イベントから帰ってきてから補えばいいかなと。

それで、翻訳者に必要な資質。

  • 日本語が好き
  • 調べ物が好き
  • 本が好き

「『英語』はないんですよ」、と先生。恐らく一般の人は驚いたでしょうね。

誤訳・悪訳の例がこれから続きます。もちろん、名訳も。

  • 犯人はジェフリーズという男らしい。彼を殺してやりたい。

引っかかるのは「彼」。殺したい相手を「彼」なんて言いますか?例えば、「その男、そいつ、その野郎」。日本語には色々あるのだから、「彼」ではつまらない。「彼」には「ボーイフレンド」という意味もありますしね。ではどうすればいいかというと、ただ「殺してやりたい」が自然。必要最小限のことだけが書いてあるのが読みやすい翻訳書だそうです。

  • After a drencher, we were moved to a quonset hut.

   大雨のあと、わたしたちはかまぼこ形の兵舎へ移された。

「かまぼこ形」?翻訳小説に?これは「兵舎」または「プレハブ兵舎」とすべきだそう。無理に訳せば「半円筒型の兵舎」。でもそこまでしなくていいそうです。

ここで聴衆に質問。以下の表現が翻訳小説にあったらOKですか?NGですか?NGと思う人に手を上げてもらいました。

仁王立ち、寿司詰め、狂言自殺。

わたしは最初2つ。「寿司詰め」はヘンという人が多かったです。先生はわたしと同じで、ラストのみOKだという意見でした。なぜかというと、「寿司」が見えると(ビジュアル的に)まずいから。成句がいかに自然かということが大事だけど、「狂言」と聞いて狂言を思い浮かべることは少ないように思うから、だそうです。ですが人それぞれ、ということで。

他の例としては、
口をOの字に開く→「細雪」にもある
口をへの字に結ぶ→うーむ…
真一文字に結ぶ→ギリギリOKかと

いつも考えているが、あれもダメこれもダメとしないでギリギリの線を目指していらっしゃるそう。

  • クイーンより
    The net result of this expert and thorough investigation was nothing.

この熟練した綿密な捜査の結果、収穫は皆無だった。

ここであるスライドが登場。日本国憲法です。二字熟語が非常に多い。上の訳例のようです。

それで先生の訳。
練達の技で念入りに調べたものの、収穫はまったくなかった。

すっきりしてますねー。

あと最大2エントリくらい、間に他の話が入るかもしれませんが続きますので、地理的条件で行けなかった方もお楽しみに。

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