こんにちは。富山で化学を中心とする技術翻訳をしていますヨシダヒロコです。
GWには、ゲオでDVDが準新作・旧作50円と安かったので、沢山借りましたよ。
まず、「クライマーズ・ハイ」。評判の良かったNHKドラマ版は未見です。
クライマーズ・ハイ [DVD]
原作の気に入ったラストでなかったのが残念だが、引き込まれた。
ちなみに、原作は以前、週刊文春の書評1ページ目で薦めていたので読みました。この小説は本当に素晴らしい。
クライマーズ・ハイ (文春文庫)
日航機墜落事故の際の地元地方新聞記者の奮闘を、元新聞記者の著者が小説化。
昔、「NHKでしかドラマ化できなかった『クライマーズ・ハイ』」というエントリを書いています。これを書いた後に映画化されたのですが、原作者がどうしても「日航」の社名を出して欲しいと。映画でもその希望が生かされたようですね。
原作とドラマ版がすごすぎるせいか、Amazonレビューでは映画版の評判あまり良くないですね。ドラマ版を見ていないせいかもしれませんが、映画でも携帯がない黒電話の時代の取材の大変さがよく分かりました。まあ、こんな山の中では携帯があっても電波届かなかったかもしれませんけどね。
堺雅人が、最初に現地入りして雑感を書く佐山役(県警キャップ)を好演しています。ほかに工学部卒の設定で(原作はどうだったかな…)尾野真千子が玉置役。彼女は事故原因に絡むネタを取ろうと奔走します。尾野真千子の存在を知ったのはフジ水曜のママ友ドラマだったのですが、こんな硬派な役を何年も前にやっていたなんて。
主演の日航事故全権デスク・悠木役は堤真一。赤軍事件で活躍した上の世代の記者に妨害を受けながら、時には取っ組み合い寸前になりながら(けんかっ早いんですこの職場の人たち)自分の主張を通すデスク役を演じています。原作のラストが好きだったんですけど、全然変わってますね。そのことは残念です。
次はNHKドラマだな。
それでもボクはやってない スタンダード・エディション [DVD]
痴漢冤罪事件に巻き込まれた主人公。取り調べや裁判の理不尽さを描く。
自分は調停や弁護士との面談は経験してるんですよね。本当に弁護士にもいろんな人がいるし、味方になってくれるとも限らないです。主人公は弁護士には恵まれましたが、さて無罪を勝ち取れるか。最後の独白が胸に刺さります。途中交代する裁判官役の小日向文世がいい味を出しています。
白いドレスの女 [DVD]
誘惑してきたセクシーな女には裏があった。ファムファタールもの。
キャスリーン・ターナー若かりし頃の有名な作品ですが、やっと見ました。弁護士のネッドはある日白いドレスを着た美しいマティに出会い、激しい恋に落ちます。ですがマティは既婚者。やがて「夫を殺して欲しい」と言われますが、実行した後からマティの嘘が次々と明らかになります。女で破滅する男って、ミステリのネタには良くありますね。
これは借りた中で、かなり白眉の作品でした。「ボウリング・フォー・コロンバイン」もすごい作品でしたが、「華氏911」は見たいと思いながらもなかなか余裕がなかったのです。残念なことに、アマゾンではもう新品が売ってないんですよね。
この作品では、皆さんもうご存じだと思いますが、ブッシュ政権の嘘を徹底して描いています。寡聞にして知らなかったのは、いかにブッシュとサウジ王家の関係が深いかということ。サウジ王と仲良く会食するシーンで、R.E.M.の”Shiny Happy People”が流れます(歌詞へのリンク。何だか能天気に読めますが、複数のファンが「天安門事件を皮肉っている曲」と書いています)。
サウジ王家の力は非常に強く、筆頭株主になっている社名まで出てきてびっくりでした。
9.11のことは良く覚えています。ちょうど家庭教師の仕事から帰ってきたら、貿易センタービルがあんなことになっていて。現地の報道をつまみ聞きしたこともあり、ショックで2週間ほどうつうつして小説などの「作り物」にすっかり興味をなくしました。当日のブッシュが何をしていたのか、テロの知らせを受けてどうしたのか、全部映像に残っているんですね。
悲しみを怒りに変えたアメリカは「テロとの戦い」を始めますが、あの当時「なんでイラク?なんでアフガン?」と思いました。特にアフガンは戦争に次ぐ戦争でボロボロです。それを空爆するなんて。2003年に始まったイラク空爆の映像が出てきますが、悲惨の一言です。米兵が何人か登場して話をします。ほとんどが意味を失って絶望している中に、どうかしているやつがいます。メタル系の音楽(motherf*ckerとか言ってるような)をガンガンかけながら人を殺すのが快感だと。ミュージシャンが困るだろうから誰の曲かは書きませんし、わたしも攻撃的な音楽が嫌いなわけじゃないので……それでもショックでした。
間に挟まれる、元高官(日本だったら考えられませんが、喋るんです)や精神科医の談話も興味深いです。
映画から少し脱線しますが、前から書きたかった話をここで書いておきます。
イラクやアフガンでの戦争が長引くにつれ、こんな反戦ソングも出てきています。2009年にRiseagainstというバンドが出した曲で、”Hero of War”(邦題は「ヒーロー・オブ・ウォー」、意味は「戦争の英雄」)という曲です。わたしの好きなバンドのアメリカツアーで去年前座を務めたバンドで、それで知りました。
歌詞の内容をかいつまむと、映画の中にも出てくる軍のスカウトがやってきて、「世界を見たいと思わないか?」と勧誘すると。金も払うよ、と。それで「戦争の英雄」と呼ばれ、アメリカの旗のもと人を殺し、とそんな内容です。動画のビュー数がすごいです。
話を戻します。手や足をなくしたり、長引く症状に苦しむ退役軍人病院の映像もあります。上で書いたような「英雄」の扱いは全く受けていません。最後に、見終わって分かったことがありました。わたしはアメリカの政治をずっと苦手に思ってきたけれど(イラクやアフガンの他に、南米の様子とか見てるとそうなります)、米兵も空爆されたイラクやアフガンの人々も、その遺族たちも、みなブッシュ政権の嘘に振り回された被害者なのだと。
監督マイケル・ムーアは去年自伝を出していて、同じ年にペーパーバックになってます。Amazon.comでは評判すごくいいです。400ページ超ありますが(^_^;)。
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Here Comes Trouble: Stories From My LifeMichael Moore
Allen Lane |
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ゲバラ関係も借りたのですが、スペイン語の勉強の一環ということでエントリを改めます。
他には、ミニシアター系で建って5年の「総曲輪フォルツァ」に「ひまわり」を見に行きたかったのですが、親が「うちに録画がある、もったいない」と言うので止めました。まあ今月はこの映画館で見たい映画があと2本はありますし。
これだけをPCで見たのでちょっと肩懲りましたが、合間合間に休憩挟んだり、帰ってきていた姪がフェレットと遊ぶんだーと部屋にやってきたりして、そうなると予定は狂うんですが(笑、お母さん方、お疲れ様です)平和な連休を楽しめました。
締めは、今日早朝に書いたようにスーパー銭湯に行って、しばらく暇そうなので借りたいDVDを集中して借りておきました。いつ暇がなくなるか分からないので。
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おまけに、4月頭にはこの映画も見ました。遅ればせながらここに書いておきます。
ヒア アフター [DVD]
死せるものたちと生きるものたちの絆、生と死について考えてしまう作品。大津波映像に注意。
最初の津波のシーンで、震災の後一時レンタル市場から消えたわけがよく分かりました。被災者の方は視聴を避けた方がいいと思います。死後の世界や死者との交信など、ぱっと聞くとオカルトチックですが、とても人の心の深いところに触れる作品に仕上がっていると思いました。双子のかわいい坊やが出てくるんですが、監督のイーストウッドに励まされて頑張って演技したそうです(付録にあった)。この子たちの話が一番好きです。
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何か面白い映画があったらまたご報告します。長文におつきあいくださりありがとうございました。