県立図書館で装丁だけ見て借りました。「負け犬の遠吠え」などで仕事をされた井筒啓之(ひろゆき)さんのお仕事だった。
うわあ悲しいな、という句が多い。著者はそのつもりで書かなかったらしいけれど、後で見たら悲しいのばかりだ、と自分でも思った、とあとがきにあった。
生国にして他国なり葱坊主
(退職)職を捨て通名(つうめい)を捨て青き踏む
汗拭くやハングルの本贈られて
(黛まどかさんにもらったのだが、著者はハングルが読めないのでした)
「チョウセンジンきらい」と泣きし七歳(ななつ)の夏
帰属する国を喪くして日向ぼこ
100%日本人だけれど、疎外感だけはいつも感じてきた人間なので、何となく言いたいことはわかる。
この本は著者贈呈なのだったのだけど、ベッドの上に他の本と積んでおいたら7月ごろに大雨が降って、贈呈マークがはがれてしまった。姜さんごめんなさい。買う本リストに入れときます。というか、もしかしたら引き取らないといけないかも。
あと、あとがきより。あまりにも素晴らしいので1/3くらい引用させて頂きます。
「ウルジマラ」とは「泣くな」という韓国語である。朝鮮民族は悲しいとき辛いとき拳で大地を叩いて「哀号(アイゴー)」と哭く。声を上げて泣くことが悲しみをやわらげる唯一の手段であることを長い歴史の中で身につけてきたのだ。差別の中で彷徨う在日コリアンは、これからも「アイゴー」と嘆き「ウルジマヨ」と慰め、唇を噛んで生きてゆくしかないのだ。
三世くらいになるとだいぶ意識も違うようですが。韓国・朝鮮の人が大泣きする理由がよく分かりました。たしかに、悲しいときに泣かないと余計悲しいですよね。